(1)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済情勢は、各国で新型コロナウイルスのワクチン接種が進展したことにより、先進国を中心に経済活動の正常化が進みましたが、新たな変異株による感染再拡大により、活動制限やサプライチェーンの混乱等の影響を受けました。また、資源価格の高騰や深刻な半導体不足などに加え、ロシアのウクライナ侵攻による世界経済への影響が懸念され、景気の先行きは、依然として、不透明感を払拭できない状況が続いております。米国におきましては、供給制約が続くものの、製造業の景況感は改善し、設備投資も底堅く推移しました。また、堅調な雇用情勢を背景に個人消費も回復基調が継続しました。欧州におきましては、ワクチン接種の普及による活動制限の緩和で経済活動が再開しましたが、変異株による感染再拡大により、再び個人消費が冷え込みました。中国におきましては、外需が堅調に推移しましたが、ゼロコロナ政策に伴う活動制限の強化により、景気は減速傾向となりました。わが国におきましては、先送りしていた設備投資を再開する動きが見られましたが、半導体不足の影響を受けた自動車減産等により輸出が減少し、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による活動自粛により、個人消費は伸び悩みました。
このような経営環境のもと、当社グループにおきましては、在宅勤務やWEB会議システムなどの活用に加え、国内ではワクチンの職域接種を実施するなど、新型コロナウイルスの感染拡大防止策を講じながら、海外子会社と連携し、現地調達・現地生産の推進、内製化の拡大など、グローバルな受注の拡大やコスト競争力の強化に取組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度における売上高は670億87百万円(前期は652億55百万円)となり、営業利益は38億56百万円(前期は49億95百万円)、経常利益は42億58百万円(前期は51億76百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は26億82百万円(前期は40億75百万円)となりました。
なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これに伴い、当連結会計年度における売上高は、従来の会計処理方法に比べて増加しております。そのため、当連結会計年度における売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については前期比(%)を記載しておりません。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきまして、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
当社グループの経営方針・経営戦略および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
事業部門別の営業概況は以下のとおりであります。
①自動車関連生産設備事業
自動車関連生産設備事業におきましては、グローバルなカーボンニュートラルに向けた取組みを背景に、電気自動車(EV)などの次世代車への設備投資が旺盛だったことで、売上高は堅調に推移しました。この結果、売上高は261億9百万円(前期は235億43百万円)となりました。
②半導体関連生産設備事業
半導体関連生産設備事業におきましては、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)関連の売上高は高水準であった前期と比べると大きく減少しましたが、第5世代移動通信システム(5G)の本格化や在宅勤務の普及などを背景とした半導体需要の高まりに伴い、半導体メーカーによる積極的な設備投資がおこなわれたことで、シリコンウェーハ搬送設備などの売上高が堅調に推移しました。この結果、売上高は301億25百万円(前期は294億9百万円)となりました。
③家電関連およびその他生産設備事業
家電関連およびその他生産設備事業におきましては、白物家電生産設備の売上高は堅調に推移しましたが、タイヤ関連の設備投資が一巡したことで、売上高は前期を下回りました。この結果、売上高は88億6百万円(前期は103億24百万円)となりました。
セグメントの状況は以下のとおりであります。
①日本
日本におきましては、前期まで牽引していた有機EL関連の売上高が減少しましたが、EV関連やシリコンウェーハ搬送関連などの売上高が堅調に推移しました。一方、一部の案件の悪化や高採算案件の売上減少が利益率低下の要因となりました。この結果、売上高は566億35百万円(前期は547億73百万円)、営業利益は32億59百万円(前期は47億84百万円)となりました。
②アジア
アジアにおきましては、旺盛な半導体需要を背景に、半導体メーカーの設備投資が増加したことで、シリコンウェーハ搬送関連の売上高が底堅く推移しましたが、利益面では、一部の新興国で新型コロナウイルスの影響による経済活動の停滞に加え、原材料値上がりの影響で原価が悪化したことで、利益率は低下しました。この結果、売上高は63億64百万円(前期は53億75百万円)、営業利益は2億73百万円(前期は2億73百万円)となりました。
③北米
北米におきましては、EV関連やシリコンウェーハ搬送関連を中心に売上高を計上しましたが、コロナ禍による活動制限の影響もあり、前期から減収となりました。利益面では、収益性の高い案件を受注できたことで、前期から改善しました。この結果、売上高は31億69百万円(前期は40億50百万円)、営業利益は4億54百万円(前期は31百万円)となりました。
④欧州
欧州におきましては、自動車関連の売上高が減少しましたことに伴いまして、利益も厳しい状況となりました。この結果、売上高は9億18百万円(前期は10億56百万円)、営業損失は53百万円(前期は1億6百万円の営業損失)となりました。
財政状態の概況は以下のとおりであります。
(資産)
当社グループの当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて66億91百万円増加し、994億85百万円となりました。その主な内訳は、売上債権等(受取手形、電子記録債権、売掛金、契約資産)の増加19億22百万円、棚卸資産の増加35億64百万円、退職給付に係る資産の増加12億10百万円であります。
(負債)
負債につきましては、前連結会計年度末に比べて37億51百万円増加し、445億47百万円となりました。その主な内訳は、仕入債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務)の減少14億40百万円、有利子負債(短期借入金、長期借入金)の増加50億46百万円であります。
(純資産)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて29億39百万円増加し、549億38百万円となりました。その主な内訳は、会計方針の変更による期首利益剰余金の増加3億17百万円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上26億82百万円および配当金の支払い6億74百万円により利益剰余金の増加23億24百万円であります。その結果、自己資本比率は前連結会計年度末の55.5%から54.8%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて2億53百万円増加し、129億39百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、34億44百万円の支出(前年同期は6億90百万円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益42億66百万円に対して、棚卸資産の増加42億60百万円、仕入債務の減少26億86百万円等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、熊本工場の研究設備や関西工場の新棟建設に伴う有形固定資産の取得による支出9億25百万円等により、10億82百万円の支出(前年同期は23億78百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、41億50百万円の収入(前年同期は35億36百万円の収入)となりました。主な要因は、生産の高まりを受けて、資金需要が増加したことによる短期借入金の増加51億円、配当金の支払い6億75百万円等によります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、建物及び機械装置等の設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金につきましては、金融機関の長期借入を基本としております。
当連結会計年度末における借入金の残高は237億41百万円、ならびに当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は129億39百万円となっております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
文中における将来に関する事項の記載は、本書提出日(2022年6月27日)現在において当社グループが判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う会計上の見積りの仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
日本 (千円) |
60,985,403 |
- |
アジア(千円) |
7,259,973 |
- |
北米 (千円) |
3,421,290 |
- |
欧州 (千円) |
834,354 |
- |
合計(千円) |
72,501,021 |
- |
(注)1.金額は、販売価格および製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、前期比は記載しておりません。
②受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
日本 |
73,440,663 |
- |
37,193,872 |
- |
アジア |
8,586,017 |
- |
5,237,426 |
- |
北米 |
3,360,760 |
- |
3,235,160 |
- |
欧州 |
1,721,367 |
- |
1,024,061 |
- |
合計 |
87,108,808 |
- |
46,690,521 |
- |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、前期比は記載しておりません。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
日本 (千円) |
56,635,853 |
- |
アジア(千円) |
6,364,221 |
- |
北米 (千円) |
3,169,037 |
- |
欧州 (千円) |
918,320 |
- |
合計(千円) |
67,087,433 |
- |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
相手先 |
金額(千円) |
割合(%) |
キヤノントッキ株式会社 |
11,058,092 |
16.9 |
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
相手先 |
金額(千円) |
割合(%) |
株式会社デンソー |
7,537,643 |
11.2 |
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、前期比は記載しておりません。
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