課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

① 経営方針

 当社グループは、「我々は勇敢に技術革新を追求し 人格を養い能力を高め 社会の発展に寄与する」という綱領に基づき、当社グループに関わるすべての人を幸福にするとともに、社会に技術で貢献することを目指しています。1951年の創業以来、時代時代で生まれてくるお客様の商品と同様に、当社グループも常に、新しい技術への挑戦と革新を続けることで、時代の変化に対応してきました。また、新しい市場、新しい顧客、新しい商品技術に関わることで、当社グループは成長し、人格を養い自己の能力を高めてきました。これからも世界市場、世界中の顧客、世界中の商品技術に関わることで、世界で競争できる能力を高めていきます。

 

② 前中期経営計画の振返り

 2021年3月期を最終年度とする前中期経営計画(2018-2020年度)では、経営基盤の強化と継続的な成長に向けて、「受注・生産・開発体制強化」、「既存事業の深耕と拡大」、「成長市場への進出」、「量産型ビジネスの確保と商品化」を基本戦略に掲げ、最終年度に向けた数値目標として、連結売上高1000億円台の定着および営業利益率10%以上を目指しました。実績として、連結売上高は600億円台から700億円台、営業利益率は4%台から8%台で推移し、目標に対して大幅な未達となりました。

 「受注・生産・開発体制強化」に対しては、本社新工場建設に伴う生産エリア拡張、生物遺伝資源を用いたビジネス展開に向けた研究と共同研究開発に関する契約などを進めましたが、今後は、生産における稼働率の向上、生物遺伝資源ビジネスの事業化に向けた推進体制の強化が課題と認識しております。

 「既存事業の深耕と拡大」「成長市場への進出」に対しては、半導体搬送分野での事業規模拡大、EV分野での大手・新興企業からの受注などを進めましたが、収益性の向上に向けては、案件採算管理のさらなる徹底、顧客ニーズを捉えた技術開発、グループ会社間の協力体制の強化に取り組みます。

 「量産型ビジネスの確保と商品化」に対しては、自社開発の小型・高効率DCブラシレスモータ「HIRATA BLUE MOTOR」を採用したエコ電動シリーズ商品のラインアップ拡充を進めました。自動車トップティアメーカーで標準品登録されるなど自動車業界での採用が進みました。環境負荷低減により社会貢献する商品として、生産設備での採用をさらに拡大するには、商品ラインアップ拡充を継続するとともに、自動車業界のメーカー以外にも新たな販路を開拓することが課題と認識しております。

 コーポレートガバナンス・コードへの対応につきましては、グループコンプライアンス専任部署の新設により内部統制の充実を進めました。今後は、中長期的な経営戦略等に関して取締役会議論を充実させるとともに、グループ会社を含めた内部統制システムの構築およびリスク管理体制の強化に取り組みます。

 

③ 外部環境認識

 世界的な新型コロナウイルス感染拡大につきましては、国や地域によるばらつきがありながらも、ワクチン普及に伴い総じて回復に向かっております。しかしながら、いまだに感染力の強い変異株が次々と確認されるなど完全な収束には至っておりません。また、エネルギー資源大国であるロシアによるウクライナ侵攻は、今後のエネルギー価格、各国エネルギー政策、カーボンニュートラル社会達成に向けた国際間協力などに影響を及ぼす可能性があり注視すべき状況にあります。

 このような不透明な状況下において、確実に見通せる未来として、電気自動車(EV)市場の長期的な拡大があります。世界の政府と自動車業界のリーダーが、地球の気温上昇を抑えるために、電気自動車の普及拡大を約束しており、関連して半導体市場も拡大することが見込まれております。

 

④ 新中期経営計画の策定

 当社グループでは、前中期経営計画(2018-2020年度)の業績未達と、世界的な新型コロナウイルス感染拡大などによる先行き不透明な状況を受けて、当社の目指すべき方向性の検討および課題の振り返りに時間をかけるべきと判断し、新中期経営計画の開示を2021年度から1年先送りし、2022年度を開始年度とする新中期経営計画(2022-2024年度)を策定しました。

 新中期経営計画では、グループとしての経営基盤を固め、既存事業で利益を出しながら、成長市場でのビジネス拡大を図る3年間と位置付け、2025年3月期の売上高1000億円、営業利益100億円、営業利益率10%、ROE11%を数値目標に掲げました。資本効率の向上に向けては、資本コスト(WACC)を上回るROICを確保することに取り組みます。

 新中期経営計画の策定にあたっては、創業の精神である綱領と経営理念を見つめ直し、「Hirataに関わるすべての人を幸福にするとともに、社会に技術で貢献する」ことこそ当社グループの使命であると考えました。その考え方に基づき、中期的に事業活動を通じて社会課題を解決するための4つの基本方針とその施策を次のように定めました。収益性の強化に向けては、(1)成長市場でのビジネス拡大、(2)グローバル企業としての競争力強化、また、経営基盤の強化に向けては、(3)ESG経営の取り組み強化、(4)ニューノーマル時代に即した経営の実現に取り組みます。

(1)成長市場でのビジネス拡大

   ・事業ポートフォリオの見直しによる、事業の選択と集中の実施:

    -EV市場と半導体市場を成長市場に位置付け資源集中

    -FPD、家電、産業用ロボット、搬送設備・自動倉庫、医療・理化学機器、自動車内燃などの既存事業は効率化

     の追求

    -新規の生物遺伝資源ビジネスを挑戦事業と位置付け社内体制の構築

   ・EV関連設備事業の戦略・施策:

    -バッテリー関連分野の強化に向けた、特化工程の選別、キーデバイスの開発・改良、標準化による商品力強化

     など

   ・半導体関連設備事業の戦略・施策:

    -最適な生産体制の実現に向けた、ターゲット分野の明確化、新生産管理システムの導入、生産能力向上、EFEM

     の標準品採用

   ・新規事業創出や事業領域拡充への取り組み:

    -生物遺伝資源を活用した研究開発へ継続して取り組み2023年頃に研究開発ラボを本格稼働開始

    -オープンイノベーションの活用により既存事業における新領域への進出を加速

    -シナジー効果を徹底的に分析し買収後の統合効果を最大化するための統合プロセスを意識したM&Aを本格検討

(2)グローバル企業としての競争力強化

   ・グローバル対応課題に対しては、グループ内の開発・生産体制の最適化、グループ内の連携強化

   ・事業取り組み課題に対しては、DXを活用した更なる採算管理の徹底、製品競争力の強化

(3)ESG経営の取り組み強化

    企業価値向上に向けたサステナビリティの取り組みにおいては、自社の存在意義・目的である綱領および経営

   理念に基づき、サステナビリティ基本方針を策定しました。

    加えて、サステナビリティ基本方針に基づき、具体的に取り組むマテリアリティ(重要課題)の特定を進めま

   した。E(環境)・S(社会)・G(企業統治)の側面で、「気候変動への対応」「持続可能な社会の構築」「人を

   活かす」「経営基盤の強化」の4つの活動テーマを設定し、それぞれのテーマに関連する10のマテリアリティを

   特定しました。

カテゴリー

4つのテーマ

10のマテリアリティ(重要課題)

E(環境)

Ⅰ.気候変動

  への対応

①自社およびサプライチェーン上

 の環境負荷低減

②製品・サービスによる

 カーボンニュートラルへの貢献

S(社会)

Ⅱ.持続可能な

  社会の構築

③社会変化に伴う新たな顧客ニーズの創出

④デジタル化の進展への対応

Ⅲ.人を活かす

⑤人材確保・育成

⑥多様で安全安心な職場づくり

Ⅳ.経営基盤の強化

⑦製品安全・品質の向上

⑧サプライチェーンマネジメント

G(企業統治)

⑨コーポレート・ガバナンスの強化

⑩リスクマネジメント

    新中期経営計画と連動しながら、このようなマテリアリティに取り組むことで、ステークホルダーの皆さまにお

   ける価値を向上させてまいります。サステナビリティ基本方針を含めたサステナビリティの取り組みの詳細は2022

   年度中に統合報告書での報告を予定しております。

(4)ニューノーマル時代に即した経営の実現

   ・業務のDX推進により提供価値を拡大する:

    エミュレータを活用したバーチャルコミッショニング、新技術(XR・AI)の活用、リモート立ち合い/リモート

    メンテナンス、帳票関連の電子化・クラウド化、工場稼働状況の見える化などへの取り組み

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得