当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<特に重要なリスク>
(1) 新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症の拡大は当社業績に引続き大きな影響を及ぼしております。建造工事においては工事従事者の移動制限や機器調達の遅れ等によりプロジェクトの進捗が遅れ、一部の工事の採算性が悪化しております。船齢の高いFPSO等に対して行われている大規模修繕においては感染者の発生により乗船人員数が制限されたため遅れが生じ、工期及びそれに伴う操業停止期間が大幅に延長する例が見られております。操業停止中は、収入が計上されないことから、チャーター及びオペレーションサービスに関する損益が悪化しております。
今後の新型コロナウイルス感染症の収束時期が不透明な中、感染拡大の長期化がさらに当社グループの収益確保及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある状況下、建造工事に関してはプロジェクトスケジュールの延長を含む工程の見直しを進めており、それにより見込まれる将来追加費用については、会計上の費用計上を行っております。また、オペレーションに関しては乗組員に対する自主隔離・検疫実施、乗船前の検査実施といった措置を行う等感染拡大に伴うリスクの最小化を図っております。
なお、世界的なパンデミックが宣言されていることから新型コロナウイルス感染症による納期遅延は契約及び法令に照らして不可抗力事由に相当すると考えており、ペナルティの発生は会計上の見積りを行うにあたり見込んではおりませんが、客先との交渉結果によっては、ペナルティの負担が生じる可能性があります。
そのため、特に新たな進出地域におけるプロジェクトの遂行にあたっては、現地の法律や会計コンサルタント等からの情報収集及び顧客や取引先との間で最適な責任分担を図ることにより、これらリスクの低減に努めております。
海洋油田の発見が探査の行われていなかった大水深海域に拡大していることを背景として、浮体式海洋石油・ガス生産設備の稼働数は増加してきました。また、当社グループがFPSO等の建造を行う場合の受注額は1件につき1千億円を超える大規模なものとなっております。
しかしながら、原油価格が下落すると、石油開発会社は投資を縮小します。石油開発会社はまず探鉱活動に対する投資から縮小するものの、原油価格の低迷が長期化すると新規プロジェクトが遅延するため、当社グループもプロジェクトの受注が一時的に減少するといった影響を受ける可能性があります。
また、当社グループが石油開発会社に提供しているFPSO等のリース、チャーター及びオペレーションに関わるサービスは、契約期間が長期にわたり、安定した収入を期待できる事業ですが、操業を行っている海域における台風等の自然災害の発生や、鉱区を保有する国の政情などによってサービス提供が中断するリスクがあります。これらについては、客先である石油開発会社との契約において当社グループの免責を明文化することや保険付保といった手段によってリスク回避に努めておりますが、事前に予期することが困難な事態の発生によりプロジェクトが中断した場合には、当社グループの業績に一時的な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 化石燃料需要の減少
気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが進み、化石燃料需要の減少により長期的には石油開発企業の化石燃料関連への投資抑制や事業内容の変更が予測されております。当社グループにおいても新中期経営計画の中で、事業モデルの進化によりサステナブルな社会の実現に貢献することを長期ビジョンとして描き、FPSO等の低炭素化や独自の浮体式構造及び係留技術(TLP)を活用した浮体式洋上風力発電設備の事業化へむけた取り組みを推進しております。しかしながら、事業環境の変化に対し当社の対応が遅れた場合には、当社グループの事業及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<その他の重要なリスク>
FPSO等の浮体式海洋石油・ガス生産設備の建造にあたっては多額の資金を要するほか、これを当社グループが保有して石油開発事業者にリース、チャーターを行う場合は、そのリース、チャーター期間が10年を超えるなど建造資金の回収に長期間を要することになります。
当社グループはこうした事業資金を主に社債及び借入金によって調達しているため、2021年12月末における連結ベースの社債及び借入金残高は426,922千米ドルで、負債及び資本合計に占める割合は12.5%となっております。
当社グループでは金利スワップを用いるなど金利変動リスクの低減に努めておりますが、金利の変動によって当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
また、今後もFPSO等に係る新規プロジェクトを開始する場合には、新たに資金調達を行う必要があります。当社グループは、プロジェクトの推進にあたり総合商社をはじめとする事業パートナーとの連携によって資金負担の低減を図るほか、プロジェクトファイナンスの利用によるリスクの遮断も行う方針であります。
しかしながら、入札にあたって所要資金を十分に調達することが困難な場合や、金利等の資金調達条件が悪化した場合には、プロジェクトの受注及び収益性に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外での事業の遂行にあたり、それぞれの国での各種法令、行政による許認可や規制等を遵守しております。しかしながら、これら法令の改廃や新たな法的規制が設けられる等の場合には、その結果が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、地震、風水害、感染症の世界的流行(パンデミック)など各種災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、危機発生時の対応体制や対応指針をまとめたグループ危機管理ガイドラインを策定しております。しかしながら、このような災害による物的・人的被害の発生や物流機能の麻痺等により、FPSO等の建造工事、リース、チャーター及びオペレーションといった当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。
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