当連結会計年度におけるわが国経済は、ワクチン接種率上昇により一旦は感染者数の減少とコロナ禍収束の兆しが見えたものの、新たな変異株の急拡大により感染者数が再び増加に転じるなど、経済活動や個人消費は一進一退の不安定な状況が続きました。海外経済におきましては、欧米諸国を中心に新型コロナワクチン接種の進展によりウィズコロナの経済活動が定着し景気が回復しましたが、中国では変異株の拡大により一度は再開した経済活動に再度厳しい制約がかけられました。また、原材料や原油価格の急騰、市販部品の調達環境の悪化、コンテナ不足による輸出への影響は悪化に歯止めがかからず、さらに、2月にロシアがウクライナに侵攻したことにより地政学リスクが顕在化し更なる価格高騰を招いており、経営を取り巻く不透明感が高まりました。
当社グループが主要市場とする食品業界は、昨年に続き新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。コンビニ・スーパー業界は、消費者の新しい生活様式に対応し内食・中食需要を取り込んで堅調に推移しましたが、外食の客足が激減した飲食業界や観光インバウンド客が回復しなかった観光土産物業界は厳しい状況が続きました。製菓・製パン業界は、小麦粉やマーガリン等の高騰により製造原価が上昇し、数次にわたる販売価格の値上げが行われました。
当社グループは、食の安心・安全へのニーズの高まりに対応すべく、レオロジー(流動学)を基礎とする独自の開発技術をベースに、安全面や衛生面の機能性を向上させるソフト技術を充実してまいりました。新型コロナウイルス感染症の影響が想定以上に長期間にわたり継続しておりますが、お客様や従業員の安全面を最優先に確保したうえでの営業活動を継続し、国内外の食品業界への提案を継続してまいりました。
また、環境や社会に配慮した持続可能な経営を進めるべく、10月にはサスティナビリティ委員会を設置し、2月には本社ソリューションセンター及び上河内工場の使用電力を非化石証書付き再生可能エネルギーの電力に切り替えることで、実質的にCO2フリーの電力使用体制を実現いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて2,831百万円増加し、19,792百万円となりました。これは、当社が手許資金の充実に努めたため、現金及び預金が2,515百万円増加、仕掛品が699百万円増加したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて304百万円減少し、16,859百万円となりました。これは、有形固定資産が196百万円減少、ソフトウエアの減価償却が進んだことにより、無形固定資産が226百万円減少したことなどによります。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて2,527百万円増加し、36,651百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,196百万円増加し、6,274百万円となりました。これは支払手形及び買掛金が402百万円増加、前受金が730百万円増加したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて414百万円減少し、1,999百万円となりました。これは、長期借入金が44百万円減少、繰延税金負債が368百万円減少したことなどによります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて782百万円増加し、8,274百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,744百万円増加し、28,377百万円となりました。これは、利益剰余金が988百万円増加、為替換算調整勘定が712百万円増加したことなどによります。
当連結会計年度における売上高は26,585百万円(前年同期比19.3%増)、営業利益は1,099百万円(前年同期比21.7%減)、経常利益は1,468百万円(前年同期比9.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,486百万円(前年同期比7.6%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、セグメント別の売上高は、連結相殺消去後の数値を、セグメント利益は、連結相殺消去前での販売費及び一般管理費から本社一般管理費を除いた数値を記載しております。
日本国内では、製パンライン等、仕入商品の売上は減少しましたが、食品成形機、修理その他の売上が増加しました。
その結果、外部顧客に対する売上高は9,260百万円(前年同期比2.5%増)となりました。
セグメント利益(営業利益)は2,326百万円(前年同期比19.3%増)となりました。
アメリカ地域では、食品成形機、製パンライン等、修理その他の売上が増加したため、現地通貨ベースでは、前年同期比48.0%増加となりました。
主な要因は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、経済活動が回復したことなどがあげられます。
円ベースでは、円換算に使用するUSドルの期中平均レートが106円06銭から112円38銭と6.0% の円安の影響もあり、 外部顧客に対する 売上高は2,494百万円 ( 前年同期比56.8%増 )となりました。
セグメント利益(営業利益)は165百万円(前年同期比159.2%増)となりました。
ヨーロッパ地域では、修理その他の売上は減少しましたが、食品成形機、製パンライン等の売上が増加したため、現地通貨ベースでは、前年同期比3.1%増加となりました。
円ベースでは、円換算に使用するユーロの期中平均レートが123円70銭から130円56銭と5.5% の円安の影響もあり、 外部顧客に対する 売上高は3,457百万円 ( 前年同期比8.8%増 )となりました。
セグメント利益(営業利益)は343百万円(前年同期比7.9%増)となりました。
アジア地域では、食品成形機、製パンライン等、修理その他の売上が増加しました。
主な要因は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、経済活動が回復したことなどがあげられます。
その結果、外部顧客に対する売上高は2,516百万円(前年同期比10.5%増)となりました。
セグメント利益(営業利益)は719百万円(前年同期比1.8%減)にとどまりました。
アメリカ地域では、オレンジベーカリーの売上高が現地通貨ベースでは、前年同期比37.8%増加となりました。
主な要因は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、経済活動が回復したことなどがあげられます。
円ベースでは、円換算に使用するUSドルの期中平均レートが106円06銭から112円38銭と6.0% の円安の影響もあり、 外部顧客に対する 売上高は8,381百万円 ( 前年同期比46.0%増 )となりました。
セグメント損失(営業損失)は材料費の高騰により売上原価が増加、運送費の高騰により販売費及び一般管理費が増加したことにより、553百万円(前年同期はセグメント利益103百万円)となりました。
日本国内では、㈲ホシノ天然酵母パン種の外部顧客に対する売上高は474百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
セグメント利益(営業利益)は71百万円(前年同期比10.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、 10,000百万円 ( 前年同期比2,515百万円増 )となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は3,648百万円(前年同期は2,715百万円の収入)となりました。
主な収入としては、税金等調整前当期純利益が1,438百万円、減価償却費が1,124百万円、売上債権の減少額が436百万円、仕入債務の増加額が323百万円、その他流動負債の増加額が884百万円、法人税等の還付額が529百万円などであります。
主な支出としては、棚卸資産の増加額が905百万円、法人税等の支払額が372百万円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は748百万円(前年同期は573百万円の支出)となりました。
主な収入としては、有形固定資産の売却による収入が285百万円になります。
主な支出としては、有形固定資産の取得による支出が1,014百万円になります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は565百万円(前年同期は380百万円の収入)となりました。
主な収入としては、長期借入れによる収入が350百万円になります。
主な支出としては、長期借入金の返済による支出が321百万円、配当金の支払額が483百万円などであります。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 当連結会計年度における「食品製造販売事業」セグメントの「北米・南米」において、生産高に著しい変動がありました。これは、当連結会計年度に、新規顧客獲得と既存顧客への売上増加に伴う生産量の増加と材料費が高騰したことによるものであります。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 当連結会計年度における「食品加工機械製造販売事業」セグメントの「日本」「北米・南米」「アジア」において、受注残高に著しい変動がありました。これは、当連結会計年度に、次年度出荷予定の大型製パンライン等の受注残高が増加していることによります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産、負債の報告数値、並びに報告期間における収益、費用の報告数値は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因などに基づき、見積り及び判断を行っているものであります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたり採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」及び「第5 経理の状況 2.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得の見積りやタックス・プランニングの実現可能性を十分に検証し、繰延税金資産から評価性引当額を減額して回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産に計上しております。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産及び法人税等調整額に重要な影響を与える可能性があります。
b.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては決算時点で入手可能な情報に基づき慎重に判断しておりますが、経営環境の変化や地価の変動等により、前提とした条件や仮定に変更が生じ、回収可能額が減少した場合、追加的な減損処理が必要となる可能性があります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、次のとおりです。
a.財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ4,304百万円増加し、26,585百万円 (前年同期比19.3%増)となりました。セグメント別の売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ879百万円増加し、10,801百万円(前年同期比8.9%増)となりました。売上総利益率は、前連結会計年度比3.9%減少し、40.6%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1,184百万円増加し、9,701百万円(前年同期比13.9%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ304百万円減少し、1,099百万円(前年同期比21.7%減)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、補助金収入や為替差益の増加などにより前連結会計年度に比べ148百万円増加し、408百万円(前年同期比56.8%増)となりました。
営業外費用は、固定資産除却損の減少などにより前連結会計年度に比べ2百万円減少し、39百万円(前年同期比5.8%減)となりました。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ154百万円減少し、1,468百万円(前年同期比9.5%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、受取保険金として、50百万円計上しております。
特別損失は、特別調査費用として80百万円計上しております。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ121百万円減少し、1,486百万円(前年同期比7.6%減)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料・仕入商品、外注費用の支払い及び部品購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資などによるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化することにより、当社グループの財政状態に影響を及ぼす事態に備え、手許流動性を厚くする方針で財務の安全性を確保しております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,067百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は10,000百万円となっております。
重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源泉につきましては次のとおりであります。
「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり、オレンジベーカリーにおける製造用機械装置(生産設備)などであります。資金の調達源泉につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入によります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況は次のとおりです。
当社グループは、2018年5月に2019年3月期から2023年3月期までの中期経営計画を策定しました。中期経営計画期間は、「レオングループの次なるステップへの変革の時期」と位置づけ、安定した利益を確保しながら更なる成長へ向けての挑戦を行ってまいります。
中期経営計画の4年目となる当連結会計年度におきましては、売上高265億円、営業利益率4.1%、ROE5.4%となりました。しかし、新型コロナウイルス感染症が収束せず完全に回復するまでに至らず、中期経営計画の最終年度となる2022年度は、経済環境を勘案し、最終目標を売上高330億円⇒314億円、営業利益率11%以上⇒8%以上、ROE10%⇒7.5%に修正いたします。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
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