業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ① 経営成績

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症に翻弄された1年となりました。1月に第3波、5月に第4波、7月にデルタ株の第5波が猛威を振るいはじめ、第5波ピーク時には、国内の1日の新規感染者数は2万5千人、入院患者数は2万人を超える事態となりました。一方で、ワクチン接種は進み、8月中旬には国民の半分が接種を終えたことにより、第5波での感染症による犠牲者は、第3波・第4波の6割程度となり、その効果が現れてきました。しかし2021年末から発生した第6波オミクロン株は、年明けから急激に感染が拡大、1日当たり10万人の新規感染者を出す事態となりました。こうした中での経済活動は、2020年度実質GDP成長率△4.5%に落ち込んだものの、政府はウィズコロナ下での経済対策を進め、2021年度実質GDP成長率は2.6%を見込み、徐々に厳しい状況は緩和されています。

 

当社の第43期(2021年12月期)における画像検査関連は、医薬品・食品市場の伸長によりラベル・銘板およびパッケージ印刷市場での売上が伸びました。国内コンシューマー向け印刷品が堅調なことにより、昨年に引き続き、検版市場、ボトル検査市場も好調でした。前年まで市場開拓が遅れていたグラビアフィルム市場では、検版システム導入を足掛かりとして大型オフライン自動検査機の参入に成功し、次期の受注にもつながっています。

特殊印刷機関連は、新型コロナ感染症による影響から本格的な復調には至っていませんが、画像検査搬送機の拡販等により、装置製造における売上は前年対比1割程度伸びました。特殊印刷機関連資材である商品販売も同様に1割程度伸長しました。ウェビナー等の活用による営業活動が功を奏し、潜在的な需要を掘り起こしたことが、来期以降の受注にもつながっています。

クラウドサービス関連においては、官公庁向けサービスが伸長しました。WEB給与明細サービスや、スキーチケットWEB販売も好調であり、全体では、前年対比5割以上の伸びを示しました。

海外では、ASEANにおける新型コロナ感染症の影響が引き続き大きく、ベトナム・タイの売上合計は、前年比3割程度落ち込みました。中国においては、当期に営業を終了したナビタス蘇州(納維達斯机械(蘇州)有限公司)で、自動車関連の増産により前年並みの売上がありましたが、営業赤字が継続し、事業整理損として特別損失を計上いたしました。

画像検査関連のシリウスビジョン上海(希瑞斯(上海)視覚科技有限公司)は、当期から営業を開始しました。日本から中国への入国が困難なため、リモート会議(ウェブ会議システム)を利用して営業・技術支援し、ボトル・容器製造大手複数社からの受注に成功、次期から量産での導入につながる見込みとなりました。日本国内で培ったリモート営業手法が、中国でも有効に活用できましたが、当期開始時点で計画していた中国現地への技術者派遣ができておれば、もっと早く立ち上がったと想定されます。また、中国蘇州にあるボトル搬送機メーカーである、蘇州誉陣自動化科技有限公司(以下、「Yuzen社」)と資本業務提携を行いました。Yuzen社の搬送機と当社の画像検査ソフトウエアがお互い補完する効果は大きく、早速大手飲料メーカー工場の生産ラインへの当社画像検査機の導入につながりました。このように、ボトル搬送機の中国現地調達に目途をつけたことで、今後、当社画像検査ソフトウエアが中国のボトル・容器製造メーカーに浸透していくと期待されています。

新規事業として、製造工場での製品品質向上に貢献するクラウドシステムを開発・販売することを目的に、株式会社UniARTS(ユニアーツ)を設立しました。検査工程のデータをビックデータ化し、ビジュアル化することが可能なDXクラウドサービスを、次期より提供する予定です。AIとIoT技術を利活用し、当社画像検査機だけでなく、他社画像検査機にもつながるシステムとなっており、他社機を利用されている顧客にも幅広く活用いただきたいと考えています。なお、会社設立にあたっては、2021年11月に、第三者割当増資を行い、資金調達を行っております。

画像検査ソフトウエアの開発はWillable株式会社が、ハードウエアの研究開発をVOSTEC株式会社が行っています。当期に投入したプリンター用可変印刷検査機「SIP(Sirius Inspection Printer)」(シップ)は、両社合同での研究開発の成果ですが、市場での評価は非常に高く、既に多くの引き合いが寄せられています。また、両者が開発した、印刷面の任意の箇所の色濃度をリアルタイムで測定できる測色(ΔE測定)機能を、当社の主力画像検査ソフトウエアであるAsmilVision(アスミルビジョン)とFlexVision(フレックスビジョン)に搭載し市場投入しましたが、この機能が当社画像検査機の売上増に大きく貢献しています。

この両社への研究開発投資額は、連結売上高に対し、2.8%に達しています。画像検査ソフトウエアの開発体制は、2020年3月にM&Aにより子会社化した株式会社ウェブインパクトのクラウドシステム開発メンバーがWillable株式会社へ参画するとともに、外部から積極的に求人活動することにより、この2年間で5割増の人員強化を実施しました。2020年初頭から、新型コロナ感染症の影響で多くの画像検査機メーカーの業績が落ち込む中、当社画像検査関連は2年で約3割の売上増となりましたが、これは、積極的な研究開発投資と体制の強化により生み出された画像検査新技術・新製品の成果であると言えます。

また、当社の全社員に対して働きやすい環境作りを目指すだけでなく、インセンティブとして株式給付信託(J-ESOP)の導入や、産業医の選任による健康管理など、福利厚生面の充実も図っております。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は4,138百万円、営業利益が3百万円、経常利益が34百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が7百万円となりました。

 

 ② 財政状態

  当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して41百万円減少し、3,961百万円となりました。これは主として現金及び預金が637百万円増加した一方で、受取手形及び売掛金が379百万円、関係会社株式が226百万円、有価証券が100百万円減少したことによるものであります。

  負債は、前連結会計年度末と比較して146百万円減少し、883百万円となりました。これは主として支払手形及び買掛金が289百万円減少したことによるものであります。

  純資産は、前連結会計年度末と比較して104百万円増加し、3,077百万円となりました。これは主として自己株式が66百万円減少したことによるものであります。

  これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末と比較し2.8ポイント増加し、77.1%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して537百万円増加し、1,843百万円となりました。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

   営業活動によるキャッシュ・フローでは、213百万円の支出となりました。これは主として売上債権の増加177百万円によるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

   投資活動によるキャッシュ・フローでは、276百万円の収入となりました。これは主として連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入401百万円によるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

   財務活動によるキャッシュ・フローでは、256百万円の収入となりました。これは主として短期借入金の純増減額200百万円によるものであります。

 

 ④ 生産、受注及び販売の実績

前連結会計年度は決算期の変更に伴い、2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。

セグメントにつきましては、単一セグメント(画像検査・特殊印刷関連事業)となっております。

 

 a 生産実績

  当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

画像検査・特殊印刷関連事業

4,124,318

合計

4,124,318

(注)1 金額は、販売価格であります。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 b 受注実績

  当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

画像検査・特殊印刷関連事業

3,873,184

448,849

合計

3,873,184

448,849

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 c 販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

画像検査・特殊印刷関連事業

4,138,363

合計

4,138,363

(注)1 当連結会計年度における「主な相手先別販売実績」については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はありませんので記載を省略しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 ① 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

また、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 

 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

   当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

  a 経営成績の分析

2021年12月期において画像検査関連は、医薬品・食品市場の伸長によりラベル・銘板およびパッケージ印刷市場で売上が伸び、昨年に続き検版市場・ボトル検査市場も好調でした。市場開拓が遅れていたグラビアフィルム市場は、検版システム導入を足掛かりに大型オフライン自動検査機の参入に成功し、次期の受注にもつながっています。

特殊印刷機関連は、新型コロナ感染症の影響を受けておりますが、ウェビナー等を活用した営業が奏功し、画像検査搬送機の拡販等により、装置製造の売上が1割程度伸長すると同時に関連商品販売も伸びました。

クラウドサービス関連は、官公庁向けサービスの伸長をはじめ、WEB給与明細サービス、スキーチケットWEB販売も好調で、前年よりも5割程度増加しました。

これらの結果、当社グループの国内売り上げは、3,470百万円となりました。

海外市場では、ASEANにおける新型コロナ感染症の影響が引き続き大きく、ベトナム・タイの売上合計が前年と比べて3割程度落ち込みました。また、中国では当期に営業を終了したナビタス蘇州(納維達斯机械(蘇州)有限公司)で、自動車関連の増産により前年並みの売上を計上できました。

また、画像検査関連は中国市場でシリウスビジョン上海(希瑞斯(上海)視覚科技有限公司)が営業を開始し、入国が困難な中リモート会議などで営業・技術面のサポートを行い、ボトル・容器製造の大手企業からの受注に成功し、次期の量産に向けた導入につながる見込みとなりました。

これらの結果、当社グループの海外売上高は、668百万円となりました。

 

  b 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を目指し、その財源として安定的な営業キャッシュ・フローの創出を最優先事項と考えており、事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローで賄っており、運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することに努めております。

   また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,843百万円となっております。

   なお、当社グループは画像検査・特殊印刷関連の単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は記載を省略しております。

 

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