当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(経営成績)
当連結会計年度における事業環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行から徐々に回復に向かいました。しかし年後半には、変異種の出現もあり、依然予断を許さない状況が続いています。また、世界的なサプライチェーンにおける半導体等の部品不足、原油や原材料価格の高騰、物流遅延など、先行きの不透明な状況が続きました。
当社グループに関連深い電子機器業界では、半導体関連をはじめ、電子機器工業界全般の活況に伴う需要増加の状況が続き、増収に結びついております。省人化設備の投入強化等、需要増加に対応すべくグループを挙げ生産体制を増強し、稼働率を向上することで収益面でも大きな成果が表れました。また、高付加価値品へのユーザーニーズのシフトが更なる収益性の向上に寄与し、前連結会計年度から大幅な増益となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は28,174百万円(前年同期比23.5%増)となり、営業利益は5,430百万円(同89.6%増)、経常利益は5,407百万円(同90.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,803百万円(同49.8%増)となっております。
次にセグメント別の状況ですが、「日本」では、半導体関連製品の旺盛な需要、車載関連製品の回復により需要が急増しました。高付加価値品への需要の高まりが拡大したことにより利益率の大幅な改善につながっております。この地区での売上高(セグメント間取引消去を含む。以下同じ。)は19,832百万円(前年同期比23.7%増)となり、セグメント利益(営業利益)は3,905百万円(前年同期比136.3%増)となっております。
日本を除く「アジア」では、生産活動全般の盛り上がりと製造強化の動きが感じられ、当社グループが得意とする高付加価値工具への需要の高まりにより好調に推移しました。前期比増収増益と利益率の改善を達成しております。この地区での売上高は14,044百万円(同22.2%増)となり、セグメント利益は1,454百万円(同44.0%増)となっております。
その他、欧米地区でも半導体関連製品、自動車関連製品の回復による需要の拡大を受け好調に推移いたしました。北米地区での売上高は1,324百万円(同16.8%増)、セグメント利益は59百万円(同42.9%増)、欧州地区の売上高は1,934百万円(同35.7%増)、セグメント利益は181百万円(同79.0%増)となっております。
(財政状態)
当連結会計年度末の資産合計は、64,530百万円(前連結会計年度末比6,498百万円増)となりました。
流動資産合計は36,493百万円(同4,355百万円増)となりました。主な変動要因は、現金及び預金(同1,643百万円増)、受取手形及び売掛金(1,691百万円増)であります。
固定資産合計は 28,037百万円 ( 同2,143百万円増 )となっております。このうち、 有形固定資産合計は 22,173百万円 (同651百万円増) となり、投資有価証券の増加 (同1,489百万円増) を含む投資その他の資産合計は 5,794百万円 (同1,488百万円増) となっております。
当連結会計年度末の負債合計は5,470百万円(前連結会計年度末比1,404百万円増)となりました。
流動負債合計は4,564百万円(同1,350百万円増)となり、固定負債合計は906百万円(同54百万円増)となっております。
当連結会計年度末の純資産合計は 59,060百万円 ( 前連結会計年度末比5,093百万円増 )となりました。株主資本合計が 55,896百万円 ( 同2,471百万円増 )、その他の包括利益累計額合計が 3,163百万円 ( 同2,622百万円増 )となっております。 主な変動項目は利益剰余金( 同2,473百万円増 )と為替換算調整勘定( 1,833百万円増 )であります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,689百万円増加し、当連結会計年度末現在17,240百万円となっております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動の安定と利益向上を主因として、5,825百万円の収入(前年同期比753百万円の収入の増加)となっております。主なキャッシュ・イン項目は、税金等調整前当期純利益5,178百万円および減価償却費2,681百万円であり、主なキャッシュ・アウト項目は、売上債権の増加1,009百万円および法人税等の支払額1,161百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、3,163百万円の支出(同3,847百万円の支出の増加)となりました。有形固定資産の取得による支出2,617百万円および投資有価証券の取得による支出721百万円が主な変動要因となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,440百万円の支出(同327百万円の支出の増加)となりました。配当金の支払額1,329百万円が主な変動要因となっております。
(注) 金額は販売価格で換算しており、消費税等は含んでおりません。
当社グループは一部の受注に見込み分を上乗せした見込み生産が主体であります。従いまして、当該事項の記載は省略しております。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含んでおりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、売上高が前期比23.5%増となる28,174百万円となり、営業利益が前期比89.6%増の5,430百万円という実績になっております。
新型コロナウイルス感染症の拡大、感染症の中でも経済を優先しようとする動きへの変化と原燃料価格の高騰、半導体などの部材不足、そして年度後半の国際情勢の緊張感の高まりなど、当社グループをめぐる事業環境は混迷を深める状況にあり、生産活動に強弱感が出ていました。一方で、産出量の拡大と技術の高度化が同時に求められている半導体関連製品、環境対応気運の高まりによる新エネルギー対応自動車および高速通信インフラ向けの投資拡大関連の動きは底堅く、時には旺盛な生産活動も感じられました。当社グループの主力の高付加価値産業用切削工具に対するこれら製品向けの需要は、急速に変化しつつも右肩上がりの推移をたどっており、上記の大幅な増収増益に寄与しております。この動きは想定を上回るもので、四半期業績報告の際に2度にわたり開示予想値を上方修正させていただくこととなり、また確定した実績も売上高予想を5.5%、営業利益予想を13.1%上回るものとなっております。
その他、当社グループは経営管理項目として売上高営業利益率をあげており、当連結会計年度においては前年実績12.6%、目標値18.0%に対し実績19.3%を計上することができております。ほとんどが高付加価値品需要で構成されている日本市場での品質優位性獲得と東アジアでの需要量拡大対応を同時に進めたことから、グループ主要拠点すべてで利益率の向上を果たすことができ、自信を深めているところです。
半導体パッケージなどの高度な電子部品向け需要や中国の高付加価値品需要の高まりなどが感じられるようになってきましたので、引続き当社グループの得意とする品質・技術での差別化戦略を推進するとともに、生産効率の改善と産出量の拡大を図ってまいりたいと思っております。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは超硬合金などの原材料の購入費用であり、その他は製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資のための資金需要の多くは、内製している生産設備向けとなっております。当社グループは、非常に激しい需要変動にさらされており、資金に対しては十分な流動性と自由で迅速な意思決定を可能にする柔軟性の確保を重視しており、主に自己資金による財源確保を進めております。また経費節減やスリム化の努力も重ね、当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は前期末比1,689百万円増となる17,240百万円となっております。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用に数値は反映されております。これらの見積もりについては、継続的に評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積もりには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
イ 固定資産の減損
固定資産の減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。過年度の損益実績や事業計画に基づき検討しておりますが、市場環境の変化等により、事業計画の前提条件に変更が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
ロ 繰延税金資産の回収可能性
今年度の課税所得の実績や事業計画に基づく課税所得の見積りに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産を取り崩し税金費用の計上が必要となる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する会計上の見積りに係る仮定は、第5経理の状況の1連結財務諸表等の(1)連結財務諸表 注記事項の(追加情報)に記載しております。
ハ たな卸資産の評価
たな卸資産は、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。また、一定期間を超えて保有するたな卸資産については、収益性の低下の事実を反映するために、過去の販売・使用実績及び製品群ごとのライフサイクル等に基づき決定した方針により規則的に帳簿価額を切り下げております。しかし、当初想定できなかった生産需要や経済情勢等により、前提となるライフサイクルに変更が生じる場合、更なる帳簿価額の切り下げが必要となる可能性があります。
ニ 賞与引当金
当社の賞与引当金は翌期上期賞与に対する引当金でありますが、当社の営業利益見込み(業績予想)を用いて算定しております。業績予想については経営者の最善の見積もりと判断により行われますが、将来の不確実な経済情勢の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となる可能性があります。
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