当連結会計年度の研究開発活動は、主力である切削工具については、多様化する市場ニーズに対して競争力ある製品を投入すべく、あらゆる面での強化を図りました。切削工具以外の製品については、品質・技術による差別化を基本戦略とし、引き続き新製品の開拓を目指して注力を続けております。
(1) 切削工具関係
プリント配線板工具におきましては、プリント配線板用材料の高機能化や特性改善に伴い、その加工の難易度が高まっている状況から、加工効率改善や加工品質改善を実現するコーティング工具の販売数量が増加しています。ドリルにおいては、高難易度の半導体パッケージ基板向けや、高多層基板向けのULFコートドリルの需要が増しており、穴位置精度や寿命を改善した新形状のULFコートドリルを継続的に市場へ投入しています。また、ルーターにおいては、特殊な材料の基板切断加工や、ざぐり加工などの加工が増加しており、特殊加工向けルーターの販売が伸びました。
超硬エンドミルにつきましては、精度や機能は従来品と同等で価格を半額にしたφ3mmシャンクシリーズ、“Vシリーズ”を発売しました。本シリーズは、小径エンドミルの省資源化を目指しφ3mmシャンク、全長38mmを採用し、当社の主力事業であるPCBドリルの生産技術をエンドミルへ展開することで、低価格化を実現しました。既に当社主力であるHARDMAXコート、UTコート、HMGコートの5シリーズを展開し、エンドミルのφ3mmシャンク市場を創成すべく、小径の金型加工や精密部品ユーザーに拡販しています。また、60HRCを超える非常に硬い被削材で高評を得ているHMGコートを展開した4枚刃ラジアスエンドミル“HGLRSシリーズ”を開発し、発売しました。さらに、超硬合金・硬脆材加工向けダイヤモンドコートUDCおよび、長寿命CBNシリーズにおいてもお客様が使いやすいようにラインナップを拡充しました。
(2)その他の製品関係
転造ダイスにつきましては、市場ニーズに対応すべく、ダイスの寿命向上および精度向上を継続的に行っています。転造ダイスの主力市場である自動車部品分野において、パワーウインドウやパワーシートに使用されるウォームギア用ダイスは継続してお客様から高い評価を頂いています。
衝突被害軽減ブレーキに使用されるボールねじ用ダイスの需要が高まっており、形状精度の高精度化も進んでいます。すでに量産採用されており、今後も販売数の増加を見込んでいます。スプライン・セレーション、高強度ボルト用ダイスでは、ダイスの素材特性に適した熱処理条件を採用し、さらに表面改質処理により、長寿命化を図り、お客様から高い評価を頂いています。自動車市場が拡大する中国においても、製造設備の増設を行い、ウォームギア用ダイスを中心に販売数を伸ばしています。新型コロナウイルスの影響で、日本からの出張技術サポートは引き続き困難ですが、Web会議を使ったサポートを行い、販売拡大を進めました。
測定器関連では、一昨年から取り組んでいる測長機器の改良とバージョンアップが完了し、市場投入しました。最近の半導体不足から派生した旺盛なプリント基板需要に支えられ、既に開発を完了した加工用ボール盤の高能率加工を実現するデータ変換器と共に、大幅な受注増につながっています。引き続き高精度の既存測長器のバージョンアップの取り組みを開始し、既存ユーザーの買い替えと更なる新規分野の開拓目指して進捗を図ってまいります。また構造物内の欠陥検出センサ開発は実機段階に入り、技術の横展開を図ったインフラ市場向けの新たな機器構想と共に、この分野での開発体制の強化を進めております。
生体センサの分野では、自律神経信号取得の高精度タイプセンサへの改良開発に着手し、高性能センサとしての市場拡大目指して進捗を図っております。更に開発した特許取得アルゴリズムを用いた、各種疾患検知の健常者向け未病スクリーニングサービスを視野に、協業企業様と新しい市場開拓を進めてまいります。
当連結会計年度における研究開発費は
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