当社における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。
(1)経営方針
当社は、「世界に通用するクリーンエアーシステム技術を確立し社会に貢献する」を社是とし、株主、従業員、関連会社に利益を還元し社会貢献することを目標としております。当社の技術は自らの研究・実験に基づく事を主とし、創業以来これまで蓄積された技術力により顧客ニーズに合致した製品を連続的に創造する専業メーカーとして、収益性を維持しつつ企業規模の拡大を図ります。そのため、従業員の創造性を第一とし自主性を重んじております。また、ESG・SDGs関連施策に取組み環境側面・社会側面の双方から持続可能な社会に貢献しつつ、情報開示を充実させ、企業価値を継続的に向上させてまいります。
(2)経営戦略等
当社は、クリーンエアーシステムの専業メーカーとして半導体・電子工業分野及びバイオロジカル分野の双方に多数の製品及び設計・施工技術を有しております。現在、微粒子・菌・ウイルス等を必要とされるレベルまで除去又は制御する設備機器は、分野を問わず幅広く導入されており今後益々その需要と必要分野は拡大しております。
そのような状況において当社では2022年度から2026年度における中長期方針を以下のように定めており、拡大する需要を取込み成長してまいります。
方針1は、標準・準標準品の売上比率の向上であります。2026年度における標準品比率の目標を60%としております。従来は45%前後でありましたが、本方針に沿って製品開発・改良を進め、販売に注力してまいります。
方針2は、差別化であります。単なる価格競争に陥らないよう高付加価値化に取組み、ブランド価値の向上に努めてまいります。
方針3は、グローバル化であります。現在はコロナ禍により停滞しておりますが、従来より注力していた方針であり、渡航制限の解除等の状況に合わせ活発化いたします。
方針4は、新市場進出への積極的な取組みであります。クリーンエアーシステム(空気清浄化)を必要とする市場が拡大中であり、成長のために新市場を切り開いてまいります。
方針5は、サステナビリティ経営への取組みであります。各種産業・研究機関の顧客を通じて社会の安全、快適な暮らし、人々の健康を支える企業として日本、そして世界に貢献してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な利益を確保し、成長することを目標としております。継続的な成長を目指し新製品の開発に注力し、また生産性の向上やサービス業務の拡大に取組んでおります。「営業利益」及び「経常利益」を重要な経営指標として位置づけております。
また、当社は2022年4月に予定される株式会社東京証券取引所の市場区分の見直しに関して、2021年12月16日にプライム市場を選択する申請書を提出しております。
当社の移行基準日時点におけるプライム市場の上場維持基準への適合状況は、以下のとおりとなっており、「流通株式時価総額」については、99.3億円と基準を充たしておりません。そのため当社は、流通株式時価総額に関し、2024年12月期末までに上場維持基準を充たすために「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」に基づき、各種取組みを進めております。
|
流通株式数 |
流通株式 時価総額 |
流通株式 比率 |
売買代金 (1日平均売買代金) |
当社の状況(※) (移行基準日時点) |
78,655単位 |
99.3億円 |
75.7% |
5.5億円 |
上場維持基準 |
20,000単位 |
100億円 |
35% |
0.2億円 |
計画書に記載の項目 |
|
〇 |
|
|
※ 当社の状況は、株式会社東京証券取引所が基準日時点で把握している当社の株券等の分布状況等(2021年6
月末時点)をもとに算出を行ったものです。
(4)経営環境
国内では、新型コロナウイルス感染症の流行がいまだ収束の見通しがつかず継続している中、厚生労働省から病院及び検査施設等への補助金交付及びその執行に伴う感染症対策機器の大幅な受注増加は、2021年3月末をピークとし減少してきております。しかしながら、ワクチンや治療薬の開発と充分な生産供給体制確立及び半導体等各種部品の不足を補うための設備投資は全般的に増加が継続しております。さらに、低炭素社会の実現に向けての技術革新及びインフラの整備も必要とされており、クリーンエアーシステムの需要は好調と考えております。
一方で、受注環境は新型コロナウイルス感染症対策による人流や面談機会の減少及び海外メーカーのロックダウン等の影響を受け、半導体等各種部品の不足状況が長期化しており、当社においても一部製品において代替部品への切替及び納入日程の延期等を顧客へ提案せざるを得ない状況が見られております。
このような背景により全体としては緩やかな回復傾向が予想されておりますが、新型コロナウイルス感染症対策の沈静化状況及び半導体等各種部品の不足状況改善に関する不透明感の継続が予想されます。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社における事業環境は、電子工業分野では、国内半導体製造能力増強を図る政府方針を受けた新規半導体工場建設及び既存設備の改造等による設備投資の増加が見込まれます。また、EV及びFCV等自動車産業の製造環境クリーン化への投資も期待されます。一方、バイオロジカル分野では、新型コロナウイルス感染症対策機器の導入が病院・医療分野から介護関連施設及び一般事務所等へ裾野を広げ拡大すると見込まれております。また、製薬工業分野の設備投資は堅調であり、再生医療やがんの免疫治療への設備投資も復調が見込まれます。
その様な状況において当社の主な取組みは、以下のとおりです。
① 研究・新製品開発は、「HEPAフィルターの研究」、「エアーシャワーの開発」、「ハンドドライヤ―の開発」
及び「クリーンブースの改良」等に取組み、特徴を有する新製品の拡販に努めてまいります。
② 越谷工場における「エアーシャワー」の生産量拡大及び生産効率向上に取組んでまいります。
③ 生産管理システムを活用した合理的な生産管理に取組み、部品の確保及び適正在庫数の維持と製造コスト低
減を目指してまいります。
④ 群馬県桐生市に建設中(8月稼働開始予定)の「赤城スマートファクトリー」を活用し、HEPAフィルター製造能力を増強し、交換用HEPAフィルターの需要増加に対応いたします。
⑤ 昨年拡充した九州(福岡)及び関西(大阪)サービスセンターに続き、東北(仙台)サービスセンターを設置
し、メンテナンス体制の充実を図り顧客満足度を高めてまいります。
また、「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」に基づき、流通株式時価総額に関し2024年12月期末までに上場維持基準を充たすために、「中期経営計画(2022年度~2026年度)」に定めた、他社との差別化、グローバル化、新市場への進出等を着実に進め、クリーンエアーシステムにおいて国内で圧倒的な業界第1位となるとともに、フィルター事業を拡大し、収益性を維持しつつ企業規模の拡大を図ります。それらに加え、情報開示の充実、ESG・SDGs関連施策の推進を加速し、環境側面・社会側面の双方から持続可能な社会に貢献しつつ、企業価値を継続的に向上させることにより「時価総額の向上」を図ります。また、「流通株式比率の向上」に向けた取組みも併せて実施することで、「流通株式時価総額」の向上を図り、プライム市場の上場維持基準適合を目指します。
お知らせ