文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
経営理念
「世界の日精 プラスチックをとおして人間社会を豊かにする」
経営ミッション
「お客様の価値を創造し、お客様が満足することを通じて社会貢献を図る」
品質方針
「お客様と会社がともに成長できるモノづくりを推進する」
当社は創業以来、射出成形機の専業メーカーとして、常にお客様の立場に立った商品開発を手がけるとともにお客様と永年培ってきた成形技術の集積を総合的に提供することに努めてまいりました。
常にお客様のニーズを先取りし、高付加価値、高品質の商品ならびに充実したサービスを提供することにより、豊かな社会の実現に貢献することを経営の基本方針としております。
(2)目標とする経営指標
目標とする経営指標は、連結売上高営業利益率であります。
当社グループでは、株主への安定的な配当を維持しつつ、継続的な研究開発および生産設備投資を行っていくためには、連結ベースの売上高営業利益率を恒常的に8%以上確保することが必要であると認識しております。
2022年3月期におきましては、新型コロナウイルス感染症による経済の停滞から射出成形機の需要が回復基調であったこと等から2021年3月期の2.8%から5.3%となりました。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2022年4月より「グローバル環境経営を更に進化させ、『フューチャーデザイン2026』の達成に向けた総仕上げを行う」をスローガンに掲げ、3ヵ年の第四次中期経営計画を策定し、以下の方針により2025年3月期に連結売上高640億円、連結営業利益42億円の達成を目指してまいります。
①真のグローバル経営の強化
世界規模で進展する市場変化のなかで、グローバル環境経営を強化し、高収益企業としてグローバルな展開を図り、グループ力を発揮いたします。
②グローバル市場への積極的展開による営業強化
営業力の強化と、新たなビジネスモデルの創出により売上増大を図ってまいります。またお客様の課題解決型企業として、お客様にご満足いただける提案型営業を行うとともに、ボーダレス化、IoT化に呼応して、グローバル市場への積極的な展開を図ってまいります。
③グローバル生産体制の強化
5極生産体制により生産能力を増強するとともに、生産技術力と品質保証体制を強化いたします。またグローバル調達体制の強化と内製化率向上により更なるコストダウンを図ってまいります。
④グローバルリスク管理体制の強化
リーガルリスクに対応した製・販・財戦略とコーポレートガバナンス、BCP等に対応したグローバルマネジメント体制を強化いたします。また、グローバルに対応できる人材の育成を図ってまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2023年3月期(2022年4月から2023年3月まで)につきましては、新型コロナウイルス感染症により停滞した経済活動の回復が継続することが見込まれるものの、半導体不足、鉄鋼価格の上昇、プラスチック材料の不足、値上げ等の懸念から先行きは不透明であります。また、世界において環境問題が指摘されており、その対応が急務となっております。
その具体的な施策は、次のとおりであります。
①環境経営の実践強化
環境経営を強化し、企業価値の向上を図り、営業、生産、商品、リスク等全ての企業活動を環境視点で考え、環境対応技術のビジネス化により売上増に繋げてまいります。
②セールス戦略
お客様の課題解決型企業として展示会および内覧会等を活用し、提案型営業によりソリューションビジネスモデルを提案し、お客様にご満足を提供するため、IoT技術を活用した営業・サービス活動、環境対応技術の提案を進めてまいります。
③商品戦略
中・長期ロードマップに基づく計画的な商品開発・研究開発を行い、市場投入を図ってまいります。環境対応技術開発の推進としてポリ乳酸(PLA)+木粉材料の拡販および新規ビジネス商品としてアルミ金型、サブスクリプション等を展開してまいります。
④プロダクト戦略
グローバルサプライチェーンの強化により、品質、コスト、納期対応の向上および為替リスクの低減を図るとともに難調達部品(半導体関連部品、金属材料部品、プラスチック材料部品等)の計画的調達および供給体制の構築を進めてまいります。
⑤コスト戦略
グローバルサプライチェーンの強化により、コストダウンを推進し、海外工場使用部品を国内工場に展開することで更なるコストダウンを進めてまいります。
⑥サービス戦略
サービス、部品販売業務は、収益の柱であり、販売を更に強化してまいります。ビフォアサービス営業の強化およびプリメンテナンスを推進してまいります。
⑦人事戦略
グローバルに対応できる人材の育成のため、海外社員のトレーニングプログラムを確立させるとともにグループ内での人材交流、外国人技能実習制度を利用した人材活用を進めてまいります。
⑧リスク管理体制
全社リスクの見直しを実施し、全拠点のBCPの作成および更新を進めてまいります。特にBCPについては、地震、水害、雪害等の天災およびウイルス等の健康リスクへの対応を強化してまいります。
⑸気候変動およびTCFDに対する課題
当社グループは、地球規模での環境保全への対応につき経営の重要課題の一つとして捉えております。グローバル視点による経営の基本を環境面から考え、海洋プラスチック問題や脱炭素社会の実現、資源環境システムの構築といった問題に対し、各施策を推し進めてまいります。
①ガバナンス体制
気候変動対応および目標値の設定承認は代表取締役社長が行います。具体的には全社において環境経営プロジェクトを定期的に開催しており、同プロジェクトにおいて目標値の設定、各部門における進捗状況の把握をし、目標達成に向けた施策の実行を監督しております。内容および進捗状況は同プロジェクト内において代表取締役社長に報告される体制を敷いております。
②戦略
当社グループでは、気候変動がもたらす事業活動に係る重要なリスクと機会の明確化に向けて、信頼性のある外部機関によるシナリオ群を活用しつつ、「脱炭素シナリオ(1.5℃~2℃)」、「温暖化進行シナリオ(2.7℃~4℃)」の2つのシナリオ分析を進め、重要なリスク(移行リスク、物理的リスク)と機会に対する主なインパクトを想定し、費用対効果を考慮のうえ対応策を定め、財務への影響を測定してまいります。
③リスク管理体制
社内で実施する環境経営プロジェクトを通じてリスクを特定し、各部門において部門目標として設定いたします。設定したリスクは各部門に所属する課単位で目標展開項目としてPDCAサイクルを実施し、目標達成に向けた施策を推し進めることといたします。各課単位での取組状況を確認する体制としてISO9001、ISO14001による品質環境内部審査委員会の内部審査および内部監査部門が実施する業務監査において定期的に審査、評価を行い、取締役会で報告し、実効性を確保してまいります。
④指標および目標
現在、当社本社にて設置、稼働しております太陽光発電量は、2019年が664,736kwh(28百万円相当)、2020年が615,220kwh(27百万円相当)であり、平均して年間で約300トンのCO₂削減量を実現しております。この発電量は本社工場の稼働に必要な電力量の15%程度であります。今後におきましては、本社および海外拠点において再生可能エネルギーを用いた工場等の稼働方法を検討してまいります。
事業においては、お客様である成形加工業界に対し、環境対応への啓蒙と新しい成形法の確立を進め、営業、生産、商品、リスク等の全ての企業活動を環境視点で考える「環境対応技術のビジネス化」により売上増加に繋げてまいります。
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