業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)経営成績の概況

①当連結会計年度の概況

当期における当社グループを取り巻く経営環境は、国内においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響が一
部残るものの製造業を中心に設備投資に回復が見られ、海外においては、米国や欧州などで経済の回復を背景に
設備投資が回復し、世界的に機械需要は増加基調となりました。一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響が残
る一部の地域や業種では回復の動きが遅く、二極化の動きが見られました。また、これに加え、原材料や調達品
の価格上昇と需給逼迫、米中貿易摩擦の深刻化、地政学上のリスクの継続及び原油価格の変動など、不透明感が
残る状態でもありました。
 このような経営環境のもと、当社グループは「中期経営計画2023」を策定し、製品・サービスによる社会課題解決を通じて持続的に企業価値を拡大することをめざし、強靭な事業体の構築、企業価値向上のための変革、SDGsへの貢献拡大、環境負荷低減への取組み強化などの施策を推進してまいりました。
 この結果、当社グループの受注高は1兆753億円、売上高は9,440億円となりました。
 損益面につきましては、営業利益は657億円、経常利益は648億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は
441億円となりました。
 また、ROICは7.3%となりました。

 

②部門別の状況

各部門の経営成績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より報告セグメントを変更しております。また、前連結会計年度(前年同期)の数値につきましては、新セグメントの区分に組替えております。

 

(a) メカトロニクス部門

国内や欧米で中小型の減・変速機やロボット用精密減速機、モータの需要が増加し、受注、売上、営業利益
ともに増加しました。この結果、受注高は1,945億円(前期比42%増)、売上高は1,610億円(前期比21%増)、営
業利益は64億円(前期比106%増)となりました。

 

(b) インダストリアル マシナリー部門

プラスチック加工機械事業は、中国の電気電子関連や欧州での需要増加により、受注、売上、営業利益とも
に増加しました。その他の事業では、半導体関連の需要が増加したことから受注、売上は増加したものの、売
上の機種構成の変化により営業利益は減少しました。この結果、受注高は2,890億円(前期比56%増)、売上高は
2,306億円(前期比13%増)、営業利益は193億円(前期比22%増)となりました。

 

(c) ロジスティックス&コンストラクション部門

油圧ショベル事業は、国内市場が堅調であったことや北米地区の需要が増加したことから、受注、売上、営
業利益ともに増加しました。その他の事業では、建設用クレーン事業が、国内や北米地区の需要が回復してき
たことから、受注、売上、営業利益ともに増加しましたが、運搬機械事業は、造船や鉄鋼関連の需要回復が遅
れていることから、受注、売上、営業利益ともに減少しました。この結果、受注高は4,001億円(前期比31%
増)、売上高は3,414億円(前期比13%増)、営業利益は193億円(前期比42%増)となりました。

 

(d) エネルギー&ライフライン部門

エネルギープラント事業は、国内のバイオマス発電設備の大型案件が前期に比べ減少したことから受注は減
少しましたが、受注残があったことから売上、営業利益はともに増加しました。その他の事業では、受注は増
加しましたが、売上、営業利益はともに減少しました。この結果、受注高は1,856億円(前期比3%増)、売上高
は2,051億円(前期比1%増)、営業利益は182億円(前期比9%増)となりました。

 

(e) その他部門

受注高は61億円(前期比4%増)、売上高は60億円(前期比1%減)、営業利益は24億円(前期比17%増)となり
ました。

 

(2)財政状態の状況

総資産は、受注増などに伴い、棚卸資産が320億円、受取手形、売掛金及び契約資産が118億円それぞれ増加し、設備投資の増加に伴い有形固定資産が252億円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて642億円増の1兆949億円となりました。

負債合計は、現預金の取り崩しなどにより、有利子負債が132億円減少しましたが、受注増に伴い支払手形及び買掛金が124億円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて23億円増の5,281億円となりました。
 純資産は、利益剰余金が328億円、円安に伴い為替換算調整勘定が226億円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて619億円増の5,668億円となりました。
 以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度比2.7ポイント増加し、50.4%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ113億円減少し、850億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、617億円の資金の増加となり、前連結会計年度に比べ25億円の減少となりました。これは、税金等調整前当期純利益は増加しましたが、受注増などに伴い棚卸資産の増加幅が拡大したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、497億円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ59億円支出が増加しました。これは、積極的な設備投資により、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、281億円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ201億円支出が増加しました。これは、現預金の取り崩しにより有利子負債が減少したことなどによるものであります。

 

 

②資本の財源及び資金の流動性

当社は事業活動に必要な手元流動性について、現金及び現金同等物及びコミットメント・ラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけています。当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は850億円となりました。当社は複数の金融機関との契約によるコミットメント・ラインも保持しており、当連結会計年度末の未使用のコミットメント・ラインの総額は700億円です。当社の手元流動性は十分に確保されていると考えております。

当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、M&Aなどの長期資金需要と当社グループの製品製造のための材料及び部品の購入などの運転資金需要です。

資金の調達については、調達コストの低減と資金の安定調達の観点から、社債、コマーシャル・ペーパー等の直接金融と銀行借入等の間接金融の比率や、調達期間の分散を図っており、当連結会計年度も複数の調達手段を組み合わせた資金調達を行いました。その結果、有利子負債残高は前連結会計年度末より132億円減少し1,113億円となりました。

 

(4)経営者視点による経営成績等の状況に関する分析・検討

当社グループは、2021年度を初年度とする3か年の中期経営計画「中期経営計画2023」に基づき、あらゆるステークホルダーの期待に応え、企業価値を持続的に高めるため、ROIC経営を継続してまいります。

「中期経営計画2023」の詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び会社の対処すべき課題」を参照ください。財務目標は以下のとおりです。

「中期経営計画2023」

2021年度実績

2023年度目標

売上高

9,440億円

10,500億円

営業利益率

7.0%

(657億円)

7.2%
(760億円)

ROIC

7.3%

7.5%

 

 

(5)生産、受注及び販売の状況

①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

メカトロニクス

182,545

36.9

インダストリアル マシナリー

246,003

19.0

ロジスティックス&コンストラクション

344,597

16.4

エネルギー&ライフライン

208,236

2.2

その他

5,684

△9.0

合計

987,065

16.7

 

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引につきましては、相殺消去しております。

 

②受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

メカトロニクス

194,461

42.4

80,580

71.1

インダストリアル マシナリー

289,043

56.4

144,205

68.1

ロジスティックス&コンストラクション

400,088

30.8

185,637

46.3

エネルギー&ライフライン

185,569

2.7

256,575

△7.1

その他

6,101

4.0

1,248

11.4

合計

1,075,262

32.1

668,245

24.4

 

(注)セグメント間の取引につきましては、相殺消去しております。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

メカトロニクス

160,986

20.6

インダストリアル マシナリー

230,600

12.9

ロジスティックス&コンストラクション

341,360

13.1

エネルギー&ライフライン

205,061

0.8

その他

5,973

△1.2

合計

943,979

11.2

 

(注)セグメント間の取引につきましては、相殺消去しております。

 

 

(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び、「第5 経理の状況 2 財務諸表等(重要な会計方針)」に記載しております。

また、連結財務諸表を作成する際には、当連結会計年度末日時点の資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用を認識・測定するため、合理的な見積り及び仮定を使用する必要があります。

会計上の見積りが必要となる項目のうち、特に当社グループの財政状態又は経営成績に対して重要な影響を与える可能性があると認識している主な項目は以下のとおりです。

 

①一定の期間にわたり充足される履行義務に係る工事原価総額

当社グループは、一定の期間にわたり充足される履行義務につきましては、履行義務の充足に係る進捗度を見積もり、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。進捗度の見積りは主に原価比例法を用いており、原価比例法においては、実施した工事に関して発生した工事原価が見積工事原価総額に占める割合をもって工事の進捗度としております。当初想定できなかった経済情勢の変動やプロジェクトごとの進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を与える可能性があります。

 

②受注工事損失引当金

当社グループは、未引渡工事のうち、期末時点で大幅な損失の発生する可能性が高いと見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積ることが可能な工事について、翌期以降の損失見積額を受注工事損失引当として計上しております。受注工事損失引当金の見積りを行っていますが、当初想定できなかった経済情勢の変動やプロジェクトごとの進捗状況等により、受注工事損失引当金の金額に影響を与える可能性があります。

 

③有形固定資産、のれん及びその他無形固定資産の減損

当社グループは、減損損失の認識の判定及び測定を行う単位として、有形固定資産、のれん及びその他無形固定資産のグルーピングを行い、減損損失を認識する必要のある資産又は資産グループについて、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。将来の当該資産又は資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能価額を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の金額に影響を与える可能性があります。

 

④繰延税金資産

当社グループの繰延税金資産の回収可能性は、将来の収益力やタックスプランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の発生状況等に基づき判断しております。当該見積り及び当該仮定において、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌事業年度以降の財務諸表において認識する繰延税金資産の金額に影響を与える可能性があります。

 

⑤貸倒引当金

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権につきましては、貸倒実績率により貸倒引当金を計上しております。また、貸倒懸念債権及び破産更生債権につきましては、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。将来、債務者の財政状況の悪化等の事情によってその支払能力が低下した場合には、貸倒引当金又は貸倒損失の金額に影響を与える可能性があります。

 

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