(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(以下、「当期」という)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続する中、大企業の製造業を中心に海外経済の回復にともなう輸出の増加などを背景に、企業の設備投資は底堅く推移しました。しかしながら、原材料価格の上昇や半導体供給不足に加え、ロシアのウクライナ軍事侵攻に起因する世界的な食料と燃料価格の上昇、金融不安の再発など紛争による経済的影響により、先行きは一層不透明さが増して行くものと予想されます。
このような状況の中、当社グループは、2019年度を初年度とする中期経営計画に基づき、業務の改革と生産性向上を通じて、お客様の期待に応える企業を目指しており、当期における受注高は114億29百万円(前期比4.6%増)となりました。しかしながら、前期の受注低迷が影響し、売上高は101億82百万円(同14.7%減)、受注残高は133億51百万円(同41.5%増)となりました。
損益面につきましては、国内工場での生産能力向上にともなう工場稼働率改善やコスト削減により採算性は向上したものの、サウジアラビアやインドネシアの現地法人における新型コロナウイルスによる業績回復の遅れから、営業利益は5億52百万円(同30.8%減)となり、経常利益は7億25百万円(同21.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億55百万円(同3.7%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当期の期首から適用しております。詳細は、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
① 船舶用機器事業
新型コロナウイルスによる巣ごもり需要、海外港湾事業の混乱に各国政府の規制緩和が加わり、世界的な貿易量の増加により海運市況が好転し、世界の新造船受注量が増加に転じた影響を受け、受注高は23億27百万円(同7.4%増)と増加したものの、前期の受注減が影響し、売上高は20億82百万円(同1.9%減)、営業利益は1億31百万円(同50.6%減)、受注残高は13億12百万円(同22.9%増)となりました。
② 陸上用機器事業
都市ごみ焼却プラント市場は堅調に推移していたものの、遅れていた同市場向け空冷式熱交換器の受注については、当期末に大口案件の受注が確保できたことから、受注高は24億44百万円(同29.0%増)となりました。売上高は新型コロナウイルス感染拡大により、インドネシア国内経済が停滞した影響を受け24億29百万円(同29.5%減)となり、営業利益は48百万円(同76.8%減)、受注残高は40億19百万円(同17.7%増)となりました。
③ 水処理装置事業
世界的な半導体需要拡大を受け、中国・台湾半導体業界に対する原材料メーカー向け蒸発濃縮装置の需要が増加したものの、前期にあったような大型受注が無かったことや、中東における海水淡水化装置の受注低迷が続いている影響で、受注高は39億57百万円(同8.3%減)と減少し、売上高は30億15百万円(同20.6%減)、営業損益は81百万円の損失(前期は46百万円の利益)、受注残高は61億49百万円(前期比96.7%増)となりました。なお、中東における事業の低迷を受け、2022年3月をもって当社バーレーン支店を閉鎖しました。
④ 消音冷熱装置事業
データセンター向けや都市ごみ焼却プラント向け騒音防止装置の受注が好調に推移したことから、受注高は26億86百万円(同6.1%増)、売上高は26億41百万円(同3.6%増)となりました。営業利益は好採算案件の売上計上により4億43百万円(同67.4%増)と増加し、受注残高は18億69百万円(同2.5%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
資産は前連結会計年度末と比べて14億77百万円増加しましたが、その主な内訳は、受取手形、売掛金及び契約資産が38億56百万円減少したものの、現金及び預金が21億89百万円、仕掛品が27億49百万円、前渡金が1億3百万円それぞれ増加したことによるものです。
負債は前連結会計年度末と比べて3億58百万円増加しましたが、その主な内訳は、支払手形及び買掛金が2億16百万円、流動負債のその他が2億58百万円、長期借入金が8億3百万円それぞれ減少したものの、1年内返済予定の長期借入金が91百万円、前受金が14億72百万円それぞれ増加したことによるものです。
純資産は前連結会計年度末と比べて11億18百万円増加しましたが、その主な内訳は、利益剰余金が1億90百万円、その他有価証券評価差額金が1億39百万円、為替換算調整勘定が7億91百万円それぞれ増加したことによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という)は、前連結会計年度末に比べ21億89百万円増加し、当連結会計年度末には92億16百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権の減少額等により、資金は31億24百万円の増加(前期は33億26百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出等により、資金は6百万円の減少(前期は4億76百万円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入金の返済による支出、配当金の支払額等により、資金は10億58百万円の減少(前期は9億66百万円の減少)となりました。
(4) 資本の財源および資金の流動性についての分析
運転資金需要は、主に材料の購入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらの運転資金の需要に対しては、内部資金を充当しております。加えて、グループ会社の運転資金の効率的な調達を行うため、株式会社みずほ銀行と金銭消費貸借契約を締結しております。
(5) 経営目標の達成状況を判断する経営指標について
当社は2019年度を初年度とする第9次中期経営計画の経営目標として、最終年度である2022年度売上高営業利益率5%の達成を掲げ、そのための重点施策として
・生産能力の増強と業務効率の向上
・現有市場の拡大と収益力の強化
・ビジネスモデルの変革と新製品・新市場展開
を実行しております。
2021年度につきましては限界利益率の向上に向けた内作化や外注加工費の減少、既存製品の競争力強化や新製品の開発・拡販に努めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響や前期の受注低迷による売上高の減少により、売上高営業利益率は2.8%に留まりました。
(単位:百万円)
区分 |
2021年度 実績 |
売上高 |
7,137 |
営業利益 |
200 |
売上高営業利益率(%) |
2.8 |
(6) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
船舶用機器事業 |
1,409 |
1.8 |
陸上用機器事業 |
1,916 |
△22.4 |
水処理装置事業 |
2,810 |
14.6 |
消音冷熱装置事業 |
1,530 |
△6.7 |
その他 |
- |
- |
合計 |
7,666 |
△3.5 |
(注)金額は製造原価で表示しております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
船舶用機器事業 |
2,327 |
7.4 |
1,312 |
22.9 |
陸上用機器事業 |
2,444 |
29.0 |
4,019 |
17.7 |
水処理装置事業 |
3,957 |
△8.3 |
6,149 |
96.7 |
消音冷熱装置事業 |
2,686 |
6.1 |
1,869 |
2.5 |
その他 |
13 |
△4.6 |
- |
- |
合計 |
11,429 |
4.6 |
13,351 |
41.5 |
(注)金額は販売価格で表示しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
船舶用機器事業 |
2,082 |
△1.9 |
陸上用機器事業 |
2,429 |
△29.5 |
水処理装置事業 |
3,015 |
△20.6 |
消音冷熱装置事業 |
2,641 |
3.6 |
その他 |
13 |
△4.6 |
合計 |
10,182 |
△14.7 |
(7) 会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
お知らせ