当社グループは、創業以来「お客様に喜ばれる製品」の提供を企業理念の一つに掲げ、お客様に満足して使っていただける、お求めやすい商品をタイムリーに提供することをモットーに研究開発活動を展開しています。お客様のニーズに応えるため、徹底した調査に基づき、省エネ・低コスト農業、安全作業・環境保全への配慮など積極的に取り組んでいます。
国内においては、主力である稲作機械をはじめとして、省力化ニーズの高い畑作・野菜作分野への機械化に注力しているほか、ICTやロボット技術を活用した超省力化農業、経験と勘の農業から誰もができる農業、データを駆使した戦略的な農業を可能とするスマート農業にも積極的に取り組んでいます。海外においては、北米や欧州向コンパクトトラクタ市場への対応や、中国・アセアンそして韓国やインドへ日本で培った稲作技術を活用した商品展開など、地域のニーズに対応した商品展開に積極的に取り組んでいます。
近年は、変化し続ける事業環境に迅速に対応するため、産学官との連携や、パートナーとの幅広い連携による技術力の向上と 革新的な 商品・サービスの開発・提供に積極的に取り組んでいます。
また、毎年、技術研究発表会を開催し、研究開発の成果や発明情報の共有とともに、討論を重ね グループ全体のスキルアップを図っています。
なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
(トラクタ)
・大型化が進む国内農機市場において、70馬力以上の需要が増加するとともに、低コスト機へのニーズが高まっています。このたび、大規模農家が求める「高機能」「高能率」「高い作業適応性」はそのままに、装備を厳選したTJV885-Eを市場投入しました。また、シンプル・低価格で好評のTJX743には、輸入作業機などのよりけん引力が求められる作業向けのタイヤ幅の広いラジアルタイヤ仕様を市場投入しました。
・担い手への農地集約が進む中、スマート農業による作業の軽労・省力・効率化が活発化しており、今後も需要拡大が見込まれます。このたび、高い静粛性、振動低減そして粘り強いトルクを発揮する当社内製新エンジンを搭載したジアスNTA・NT5シリーズに、田植機でも好評を得ている直進アシストシステム「オペレスタ」を搭載し市場投入しました。熟練者の確保が難しい場合など、不慣れな人でも簡単に操作することができるので、人手不足の解決に貢献します。
(コンバイン)
・コンパクトで作物にやさしい普通型コンバインHC403に、当社内製新エンジンを搭載し、新たな普通型コンバインHC405として市場投入しました。新エンジンは従来機に比べ低騒音、トルク向上を実現しており、快適作業や高い負荷でもより粘り強い作業を可能にします。また、作業状態時にエンジン負荷、車速などに応じて作業回転範囲内(グリーンゾーン)でエンジン回転を自動的にコントロールするIQ脱穀制御などの新機能を搭載しています。これにより、コーナー旋回や倒伏作業などの低速作業時に唐箕の風量を最適化して脱穀ロスを低減します。
(田植機)
・当社は全ての機種を横断する自動操舵イノベーションの総称を「ISEKIドリームパイロット」と名付け、センシング技術、営農管理システムを合わせた3分野のICT化を進めることにより日本農業の発展に貢献してまいります。このたび、自動化技術を織り込んだ有人監視型ロボット田植機PRJ8を市場投入しました。オペレータが監視することで安全性を確保しながら、田植機での自動作業を可能にしました。田植作業の省力化と作業効率の向上に寄与するほか、オペレータの疲労軽減や不慣れな作業者の習熟にかける時間コスト等の課題解決に貢献します。
(野菜作商品)
・広がりを見せる野菜作市場においても、生産者1軒あたりの栽培面積拡大により、植付、収穫作業の更なる効率化や省力化が求められています。
移植機においては、 高い作業効率とコンパクトな扱いやすさで好評を得ている歩行型全自動野菜移植機に、市場要望を織り込んだPVZ100シリーズ、エンジン変更に伴い作業性を向上させた、歩行型半自動野菜移植機PVH103・203シリーズ、乗用型半自動野菜移植機PVHR203・403シリーズを市場投入しました 。
また、防除を中心に水田から畑作まで様々な作業を1台で対応でき好評を得ている乗用管理機に、機体構成の見直しによる適応性の向上や先端技術を採用した乗用管理機JKZ23を市場投入しました。作業の効率化・高精度化、疲労軽減で日本農業を応援してまいります。
(その他商品)
・ コンパクトで簡単に耕うんができるミニ耕うん機として農家からホビーユーザまで幅広く好評を頂いているKCRシリーズ、KMRシリーズをモデルチェンジしました。また、中山間地域や広い家庭菜園などで活躍するロータリ専用機は、基本性能を踏襲しながら安全性を向上させたKVR753を投入、プロ農家の野菜作りに欠かせないうね作りやマルチ作業などの管理作業に最適な2輪管理機は、安全性、整備性の向上を図ったKKシリーズをモデルチェンジし市場投入しました。
当社は、「ISEKIレポート」「知的財産報告書」等において当社グループの研究開発の考え方、活動、知的財産戦略等について情報開示を行っております。「特許行政年次報告書」(特許庁編)によれば、日本における分野別登録数(2014年までは分野別公開数)および全産業を対象とした特許査定率において上位を維持し続け、2020年度は分野別登録数で第2位、特許査定率で第1位となりました。
(分野別登録数・分野別公開数の年度別推移)
※ 特許査定率 = 特許査定件数 / (特許査定件数 + 拒絶査定件数 + 取下・放棄件数)
取下・放棄件数 … 拒絶理由通知後に取下げまたは放棄した件数
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