(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5[経理の状況] 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、ワクチン接種の進展と共に、経済活動の正常化に向けた動きが見られるようになりましたが、新たな変異株の出現などにより、未だ収束時期を見通すことができない状況が継続しております。また、海外においては、ワクチン普及に伴う経済活動の再開により、持ち直しの動きが見られるものの、ウクライナ情勢等に起因した世界経済の下振れが懸念されるなど、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループを取り巻く受注環境は、国内では、ケミカル業界向けが下期以降、好調に推移しコロナ禍以前の水準まで復調しましたが、プラント向けを中心とした水処理関連は、回復にやや遅れが見られ、低調な結果となりました。一方、海外向けでは、二次電池業界の設備投資が引き続き活発なことから、同業界向けの受注が好調に推移しました。
以上の結果、売上高は、86億76百万円(前期比4.9%増)と増加しました。
利益面につきましては、「スムーズフローポンプ」など高付加価値製品の売上構成割合上昇に伴い総利益率が向上したことから、売上総利益は、40億67百万円(同17.1%増)と増加しました。また、企業活動が徐々に再開されていることなどから、販売費及び一般管理費が増加しましたが、売上総利益の増加で吸収することができたため、営業利益は、12億17百万円(同44.7%増)、経常利益は、12億66百万円(同49.6%増)とそれぞれ増益となりました。また、特別功労金等の特別損失を計上しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、8億80百万円(同49.2%増)と増益となりました。
主な品目別販売実績は以下のとおりであります。
<定量ポンプ>
国内市場では、当社主力製品の「スムーズフローポンプ」の主要市場となるケミカル業界が好調な業績を背景に、カーボンニュートラルやBCP対策、ポートフォリオ転換など積極的な設備投資を計画する企業が多く、活発さを取り戻しつつあります。また、電子材料、特に二次電池やMLCCといった素材関連は、市場ニーズの広がりから積極投資が続き、売上の確保に貢献しました。
また、微量制御型スムーズフロー「Qシリーズ」は、研究・開発分野において用途拡大を続けており、新しい市場の開拓に貢献しております。さらに、分野を問わず、ユニット製品への組込においても採用が続いており、販売台数が順調に伸長しております。
一方で、汎用ポンプは、水処理関連において苦戦が続いていることから、コロナ禍以前の水準に戻らず、全体としては低調に推移しました。
海外市場では、韓国の二次電池業界において設備投資の動きが引き続き活発なことから、「スムーズフローポンプ」の受注を大きく積み上げ売上を伸ばすとともに、利益を押し上げる要因となりました。また、中国では、営業活動に制限がある中、継続的に取り組んできた電子材料市場で評価されはじめており、順調に売上を伸ばしました。
以上の結果、定量ポンプの売上高は、53億92百万円(前期比14.1%増)となりました。
<ケミカル移送ポンプ>
「ムンシュポンプ(高耐食ポンプ)」の主力市場である製鉄・非鉄業界は市場が回復しているものの、製鉄プラント向け新規案件の減少が響き、売上は減少しました。
以上の結果、ケミカル移送ポンプの売上高は、6億14百万円(前期比4.2%減)となりました。
<計測機器・装置>
プラント向けの大型案件を受注したものの、前期に水処理装置の大型物件を複数受注していた反動により、売上が減少しました。
以上の結果、計測機器・装置の売上高は、12億50百万円(前期比21.4%減)となりました。
<流体機器>
ケミカル業界向けの大型物件を受注したことから、売上が増加しました。
以上の結果、流体機器の売上高は、4億24百万円(前期比11.8%増)となりました。
<ケミカルタンク>
比較的小型の設備投資や更新需要から小容量タンクの販売台数が伸長し、売上が増加しました。
以上の結果、ケミカルタンクの売上高は、6億52百万円(前期比5.5%増)となりました。
<その他>
その他には、立会調整費やメンテナンス等の売上高及びその他(レストラン、フィットネス)の売上高が含まれております。
その他の売上高は、3億41百万円(前期比9.9%増)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて6億59百万円増加し、120億92百万円となりました。
流動資産は5億32百万円増加し、81億19百万円となりました。主な増加内訳は、現金及び預金の増加1億41百万円、売上債権の増加3億22百万円、棚卸資産の増加71百万円であります。
固定資産は1億27百万円増加し、39億72百万円となりました。増減内訳は、有形固定資産の減少13百万円、無形固定資産の増加49百万円、投資その他の資産の増加91百万円であります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べて51百万円増加し、39億74百万円となりました。
流動負債は4億12百万円増加し、31億2百万円となりました。主な増加内訳は、仕入債務の増加1億21百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加3億50百万円、賞与引当金の増加23百万円であります。
固定負債は3億61百万円減少し、8億72百万円となりました。主な減少内訳は、長期借入金の減少3億50百万円であります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて6億8百万円増加し、81億17百万円となりました。
主な増加内訳は、利益剰余金の増加5億16百万円、その他有価証券評価差額金の増加21百万円、土地再評価差額金の増加27百万円、為替換算調整勘定の増加11百万円、退職給付に係る調整累計額の増加15百万円であります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の65.7%から67.1%へと1.4ポイント上昇いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べて1億52百万円増加し、34億44百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて3億78百万円減少し、7億57百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益12億42百万円、減価償却費2億13百万円、仕入債務の増加1億21百万円による資金の増加及び売上債権の増加3億20百万円、棚卸資産の増加71百万円、法人税等の支払3億58百万円による資金の減少によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて2億13百万円支出が増加し2億94百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1億21百万円、無形固定資産の取得による支出58百万円、投資有価証券の取得による支出1億41百万円による資金の減少によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて7百万円支出が減少し、3億20百万円の支出となりました。これは主に、配当金の支払3億23百万円による資金の減少によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、ポンプ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の生産実績、受注実績、販売実績の記載はしておりません。なお、品目別の生産実績等は次のとおりであります。
a. 生産実績
品目 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
定量ポンプ(千円) |
5,449,521 |
117.7 |
ケミカル移送ポンプ(千円) |
605,323 |
93.2 |
計測機器・装置 (千円) |
1,226,549 |
77.2 |
流体機器(千円) |
423,084 |
111.5 |
ケミカルタンク(千円) |
649,021 |
105.0 |
合計(千円) |
8,353,499 |
106.2 |
(注)金額は販売価額で表示しております。
b. 受注実績
品目 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|||
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
定量ポンプ |
5,682,123 |
122.0 |
812,238 |
151.9 |
ケミカル移送ポンプ |
661,952 |
109.8 |
159,587 |
142.8 |
計測機器・装置 |
1,310,280 |
83.9 |
258,296 |
151.8 |
流体機器 |
514,232 |
139.7 |
160,814 |
234.5 |
ケミカルタンク |
656,429 |
108.8 |
64,239 |
113.7 |
その他 |
354,069 |
112.8 |
42,353 |
139.6 |
合計 |
9,179,086 |
113.2 |
1,497,530 |
154.1 |
(注)金額は販売価額で表示しております。
c. 販売実績
品目 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
定量ポンプ(千円) |
5,392,303 |
114.1 |
ケミカル移送ポンプ(千円) |
614,645 |
95.8 |
計測機器・装置(千円) |
1,250,828 |
78.6 |
流体機器(千円) |
424,237 |
111.8 |
ケミカルタンク(千円) |
652,562 |
105.5 |
その他(千円) |
341,864 |
109.9 |
合計(千円) |
8,676,443 |
104.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高については86億76百万円(前期比4.9%増)となり、増収となりました。利益面につきましては、営業利益は12億17百万円(同44.7%増)、経常利益は12億66百万円(同49.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億80百万円(同49.2%増)とそれぞれ増益となりました。
各品目別の販売状況につきましては、「第2[事業の状況] 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照下さい。
各段階利益の増減金額とその要因につきましては、以下のとおりであります。
売上総利益は、増収効果に加えて、売上構成比の好転に伴う総利益率の向上及び棚卸資産評価損の減少により、5億92百万円(同17.1%増)の増益となりました。
営業利益は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて制限されていた企業活動が徐々に再開されていることなどから、販売費及び一般管理費が2億16百万円増加しましたが、売上総利益の増加で十分に吸収することができたため、3億76百万円(同44.7%増)の増益となりました。
経常利益は、投資有価証券運用損益が利益側に転じたことなどもあり、4億19百万円(同49.6%増)の増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、特別功労金等の特別損失を計上しましたが、2億90百万円(同49.2%増)の増益となりました。
以上の結果、1株当たり当期純利益は、122円12銭(同40円14銭増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは7億57百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは2億94百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは3億20百万円の支出となりました。以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から1億52百万円増加し、34億44百万円となりました。詳細につきましては、「第2[事業の状況] 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営において必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資によるものであります。
当連結会計年度末時点における重要な資本的支出の予定はありませんが、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資に係る資金調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3億93百万円となっております。
③ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中長期的に資本コストを上回るROE(自己資本利益率)の向上を目指す価値創造企業でありたいと考えております。このため、ROEを重要な指標として位置付けております。
当連結会計年度におけるROEは11.3%(前期比3.2ポイント上昇)となりましたが、引き続き当該指標の改善に邁進してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針については、「第5[経理の状況] 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、この連結財務諸表の作成にあたり、連結決算日における資産及び負債の数値並びに当連結会計年度における収益及び費用の数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。
当社グループでは、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付債務、棚卸資産の評価、有価証券の評価、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性などについて、会計上の見積り及び仮定を用いており、そのうち主なものは以下のとおりでありますが、その発生可能性及び影響度を考慮して、いずれも経営成績等に重要な影響を及ぼすものはないと判断しております。
a.棚卸資産の評価
当社グループは、過去の消費実績を基礎としたうえで、見積り時点で入手し得る将来情報を加味することにより、期末の棚卸資産評価を行っております。なお、予期せぬ経営環境の著しい変化や入手した情報の精度などに見積りの不確実性があり、その変動により棚卸資産の減額処理及び評価損が計上される可能性があります。
b.固定資産の減損
当社グループは、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき、固定資産の回収可能価額を算出しております。なお、当初見込んでいた収益や将来キャッシュ・フロー等の前提条件に見積りの不確実性があり、その変動により固定資産の減額処理及び減損損失が計上される可能性があります。
c.退職給付債務
当社グループは、数理計算上で設定される前提条件に基づいて退職給付債務を算出しております。これらの前提条件には、日本の国債の市場利回りを基礎に算出した割引率や年金資産が投資されている資産の種類ごとの収益率に基づいて算出した長期期待運用収益率のほか、退職率、死亡率などの基礎率が含まれておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、将来期間にわたり影響を及ぼす可能性があります。
d.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、回収が不確実と判断された部分に対して評価性引当額を計上しております。また、回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲内で繰延税金資産を計上しております。なお、業績等により変動する将来の課税所得見込額に見積りの不確実性があり、その変動により繰延税金資産の取崩及びそれに伴う税金費用が計上される可能性があります。
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