当社は当年度より、社内組織をベースとした事業セグメントの構成の変更に基づき、従来、「その他」に含めておりました金融サービス事業を「機械」に含めております。この変更に伴い、前年度比及び前年度末比については前年度の数値を変更後の区分に組替えて算出しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。
当年度(2021年1月1日~2021年12月31日)における、経営者の視点による当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
当年度は、依然続くコロナ禍において、生活様式や仕事環境の変化に対応するための進化が問われる1年でした。めまぐるしく変わる社会の価値基準に適応しつつ、社会が企業に求めることに応え、さらなる進化が迫られる中、当社は「グローバル・メジャー・ブランド」の実現に向けて、長期ビジョン「GMB2030」及びその土台づくりとしての中期経営計画2025の推進を始めました。当年度における中期経営計画2025の推進状況は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中期経営計画2025の推進」に記載のとおりです。
一方で、当年度は不安定な経済状況が続いた1年でしたが、当社の事業はエッセンシャルビジネスとして根強いニーズに支えられ、売上高は初めて2兆円を超え、営業利益も過去最高益を達成しました。
当年度の売上高は前年度比3,435億円(18.5%)増加して2兆1,968億円となりました。
国内売上高は水・環境部門やその他部門が減少しましたが、機械部門が農業機械等を中心に増加したため、前年度比76億円(1.3%)増の6,028億円となりました。
海外売上高は水・環境部門が減少しましたが、農業機械や建設機械が大きく伸長したため、前年度比3,359億円(26.7%)増の1兆5,940億円となりました。当年度の海外売上高比率は前年度比4.7ポイント上昇して72.6%となりました。
営業利益は原材料価格や物流費の高騰等の減益要因はありましたが、国内外での大幅な増収や為替の改善等により、前年度比709億円(40.5%)増の2,462億円となりました。税引前利益は営業利益の増加により前年度比667億円(35.9%)増加して2,526億円となりました。法人所得税は649億円の負担、持分法による投資損益は30億円の利益となり、当期利益は前年度比493億円(34.9%)増の1,907億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は前年度を471億円(36.7%)上回る1,756億円となりました。
事業別セグメントの外部顧客への売上高及びセグメント利益の状況は次のとおりです。
当部門は農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械により構成されております。
当部門の売上高は前年度比23.6%増加して1兆8,648億円となり、売上高全体の84.9%を占めました。
国内売上高は前年度比6.0%増の3,105億円となりました。消費増税前の駆け込み需要の反動減からの回復や経営継続補助金による需要の増加により、農業機械や農業関連商品が伸長しました。
海外売上高は前年度比27.8%増の1兆5,543億円となりました。北米では、サプライチェーンの混乱による調達の遅れは続いておりますが、郊外移住等に伴う旺盛な需要を背景にトラクタや建設機械が大幅に増加しました。欧州では、前年の新型コロナウイルス感染拡大に伴う販売低迷からの回復により、建設機械、トラクタ、エンジンが増加しました。アジアでは、タイで良好な天候や作物価格の高値安定に支えられた畑作市場の好調により農業機械が大幅に増加したほか、インドでも農業機械が好調に推移しました。その他の地域では、オーストラリアのトラクタや建設機械が政府の景気刺激策を背景に大きく伸長しました。
当部門のセグメント利益は原材料価格や物流費の高騰等の減益要因はありましたが、国内外での大幅な増収や値上げ効果、為替の改善により、前年度比39.1%増加して2,504億円となりました。
当部門はパイプインフラ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、官需向けバルブ、素形材、スパイラル鋼管、空調機器等)、環境関連製品(各種環境プラント、ポンプ、民需向けバルブ等)により構成されております。
当部門の売上高は前年度比3.3%減少して3,054億円となり、売上高全体の13.9%を占めました。
国内売上高は前年度比3.0%減の2,657億円となりました。パイプインフラ関連製品は緊急事態宣言に伴う工期延長の影響等によりダクタイル鉄管や工事事業が減少しました。環境関連製品は排水ポンプ車の増販がありましたが、プラント建設の減少により全体では減少となりました。
海外売上高は前年度比5.2%減の397億円となりました。素形材やダクタイル鉄管等が減少しました。
当部門のセグメント利益は国内での減収と原材料価格の高騰により前年度比14.1%減少して223億円となりました。
当部門は各種サービス事業等により構成されております。
当部門の売上高は前年度比6.3%減の266億円となり、売上高全体の1.2%を占めました。
当部門のセグメント利益は前年度比6.9%増加して37億円となりました。
資産合計は前年度末比5,842億円増加して3兆7,735億円となりました。小売が好調な北米での販売金融の拡大及び円安による円換算影響により、金融債権が大きく増加しました。また、港湾の混雑に伴う輸送中在庫の増加等により棚卸資産が増加しました。
負債合計は金融債権の増加により主に外貨建ての社債及び借入金が増加しました。
資本合計は利益の積み上がりや為替の変動等に伴うその他の資本の構成要素の改善により増加しました。親会社所有者帰属持分比率は前年度末比1.8ポイント減少して44.5%となりました。
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは925億円の収入となりました。当期利益は増加しましたが、棚卸資産の増加に伴い前年度比504億円の収入減となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,274億円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出の増加や有価証券の売却による収入の減少等により、前年度比802億円の支出増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは606億円の収入となりました。資金調達の増加等により前年度比1,289億円の収入増となりました。
これらのキャッシュ・フローに為替レート変動の影響を加えた結果、当年度末の現金及び現金同等物残高は期首残高から357億円増加して2,586億円となりました。
なお、当社は中期経営計画2025において、営業活動によるキャッシュ・フロー及びフリー・キャッシュ・フローを重要指標としており、今後もこれらの拡大に取り組んでいきます。
当社の財務の基本方針は、操業に必要となる資金源を十分に確保すること、及びバランスシートの健全性を強化することです。
当社は運転資金の効率的な管理を通じて、事業活動における資本効率の最適化を図るとともに、グループ内の資金を親会社や海外の金融子会社に集中させることにより、グループ内の資金管理の効率改善に努めております。
当社は営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の源泉と考えており、資金需要に応じて金融機関からの借入、社債の発行、債権の証券化による資金調達、コマーシャル・ペーパーの発行等を行っております。運転資金及び設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて金融機関からの借入金等を充当しております。当年度の借入金の使途は主として販売金融にかかわるものです。なお、資金調達に係る債務の残高については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※14 社債及び借入金」をご参照ください。
現在のところ、当社は健全な財務基盤及び安定したキャッシュ・フロー創出力により、事業運営や投資活動のための資金調達に困難が生じることはないと考えております。
当年度における事業別セグメントの生産実績は次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額は販売額をもって計上しております。
3 金額に消費税等は含まれておりません。
当年度における事業別セグメントの受注状況は次のとおりです。
なお、機械部門は一部を除き受注生産を行っておらず、水・環境、その他の各事業部門についても一部受注生産を行っていない事業があります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額に消費税等は含まれておりません。
当年度における事業別セグメントの販売実績は次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 販売額が総販売額の10%以上に及ぶ販売先は前年度、当年度ともにありません。
3 金額に消費税等は含まれておりません。
当社はIFRSに準拠して連結財務諸表を作成しており、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を使用しております。実際の業績はこれらの見積り及び仮定とは異なる場合があります。見積り及び仮定は継続して見直され、当該見直しによる影響は会計上の見積りの変更として、見積りを変更した報告期間及び将来の報告期間において認識されます。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※2 作成の基礎 (4) 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※3 重要な会計方針」に記載しております。
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