(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が拡大し、個人消費や経済活動が大きな影響を受ける中で、ワクチン接種の普及や各種政策の効果により、経済活動は徐々に回復に向かいました。しかし、新たな変異株の出現による感染再拡大の懸念など、景気の先行きは全く予断を許さない状況が続いております。
当社グループを取り巻く環境装置機械業界においては、公共分野では、上下水道関連設備の更新・改修・機能強化や国土強靭化基本計画に基づく雨水排水処理施設等の防災・減災需要が堅調に推移したものの、民間分野では、景気の先行きの不透明感から、前年度に引き続き設備投資の停滞が見られております。
このような事業環境のもと、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の業績への影響を最小限に止め企業価値の更なる向上を目指して、以下の戦略に取り組んでまいりました。
a. 新事業の創出、新製品開発の加速
研究開発活動の成果を基に、新規事業の創出、新製品の市場投入の加速を図る。
b. 事業領域の拡大
既存事業の顧客・エリアの拡大を図る。
c. 安定的収益基盤の確立
既存事業の収益性を一層向上させるとともに、メンテナンス体制を強化し、アフターマーケットを獲得する。
d. 成長投資
財務健全性や資本効率、利益還元のバランスを追求しつつ、新規事業展開のための設備投資、業務提携、M&Aなどの成長投資により利益拡大を図る。
e. ガバナンスの充実強化
コンプライアンスの徹底を図るとともに、経営の透明性と効率性を高め、コーポレートガバナンス体制の一層の充実を図る。
これらの活動の結果、当連結会計年度の受注高は35,014百万円(前年同期比3.0%増)、売上高は32,485百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益は3,982百万円(前年同期比23.9%増)、経常利益は4,110百万円(前年同期比22.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,159百万円(前年同期比34.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(環境関連)
環境関連セグメントでは、受注高は7,240百万円(前年同期比19.3%減)、売上高は8,563百万円(前年同期比14.9%増)、セグメント利益は2,036百万円(前年同期比55.2%増)となりました。
(水処理関連)
水処理関連セグメントでは、受注高は17,435百万円(前年同期比10.7%増)、売上高は14,683百万円(前年同期比11.6%増)、セグメント利益は、2,060百万円(前年同期比9.1%増)となりました。
(風水力冷熱機器等関連)
風水力冷熱機器等関連セグメントでは、受注高は10,338百万円(前年同期比11.4%増)、売上高は9,238百万円(前年同期比4.2%減)、セグメント利益は932百万円(前年同期比0.4%増)となりました。
財政状態につきましては、次のとおりであります。
総資産は、前連結会計年度末に比べ3,216百万円増加し、35,725百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加1,713百万円、保有株式の時価上昇に伴う投資有価証券の増加1,450百万円であります。
負債は、前連結会計年度末に比べ767百万円増加し、16,573百万円となりました。主な要因は、従業員持株会信託型ESOP導入に伴う長期借入金の増加176百万円、繰延税金負債の増加512百万円であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ2,448百万円増加し、19,152百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益3,159百万円の計上、保有株式の時価上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加1,132百万円、剰余金の配当による減少979百万円、自己株式の取得による減少1,287百万円であります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,574百万円増加し、10,955百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は3,147百万円(前年同期は4,073百万円の獲得)となりました。税金等調整前当期純利益の計上4,392百万円、法人税等の支払額1,341百万円等により営業活動全体では3,147百万円の増加となったものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は108百万円(前年同期は1,037百万円の獲得)となりました。主な要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入626百万円、有形固定資産の取得による支出446百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,681百万円(前年同期は957百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払額978百万円、自己株式の取得による支出1,011百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
環境関連 |
(百万円) |
4,876 |
99.3 |
水処理関連 |
(百万円) |
10,089 |
109.0 |
風水力冷熱機器等関連 |
(百万円) |
3,219 |
105.8 |
合計 |
(百万円) |
18,185 |
105.7 |
(注)金額は生産価格によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
環境関連 |
(百万円) |
102 |
685.9 |
水処理関連 |
(百万円) |
171 |
68.8 |
風水力冷熱機器等関連 |
(百万円) |
3,670 |
90.2 |
合計 |
(百万円) |
3,944 |
91.1 |
(注)金額は仕入価格によっております。
c.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
1) 受注実績
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
環境関連 |
7,240 |
80.7 |
3,221 |
70.9 |
水処理関連 |
17,435 |
110.7 |
16,760 |
119.6 |
風水力冷熱機器等関連 |
10,338 |
111.4 |
5,274 |
126.4 |
合計 |
35,014 |
103.0 |
25,256 |
111.1 |
(注)金額は販売価格によっております。
2) 受注先別実績
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|||
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
前年同期比(%) |
|
環境関連 |
3,227 |
4,013 |
7,240 |
80.7 |
水処理関連 |
17,257 |
177 |
17,435 |
110.7 |
風水力冷熱機器等関連 |
1,948 |
8,390 |
10,338 |
111.4 |
合計 |
22,432 |
12,581 |
35,014 |
103.0 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.当社グループが建設業者を通じて受注した官公庁発注工事は、官公庁欄に計上しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|||
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
前年同期比(%) |
|
環境関連 |
2,565 |
5,998 |
8,563 |
114.9 |
水処理関連 |
14,320 |
363 |
14,683 |
111.6 |
風水力冷熱機器等関連 |
1,503 |
7,734 |
9,238 |
95.8 |
合計 |
18,389 |
14,096 |
32,485 |
107.4 |
(注)1.総販売実績に対する販売割合が、10%以上の相手先はありません。
2.当社グループが建設業者を通じて受注した官公庁発注工事は、官公庁欄に計上しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
当連結会計年度の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
2) 経営成績
イ.経営成績の概要
当連結会計年度における経営成績の概要は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
ロ.受注高について
公共分野においては、上下水道関連設備の更新・改修・機能強化や国土強靭化基本計画に基づく雨水排水処理施設等の防災・減災需要が引き続き堅調に推移したものの、民間分野においては、景気の先行きの不透明感から、前年度に引き続き設備投資の停滞が見られました。その結果、受注高は前年同期比3.0%増の35,014百万円となりました。
セグメント別では、環境関連は前年同期比19.3%減、水処理関連は前年同期比10.7%増、風水力冷熱機器等関連は前年同期比11.4%増となりました。
ハ.売上高について
景気の先行きの不透明感を反映し、民間設備投資は減少したものの、上下水道関連設備の更新案件の増加に加え、半導体業界向けオゾンモニタなど計測分野の販売が増加しました。その結果、売上高は前年同期比7.4%増の32,485百万円となりました。
セグメント別では、環境関連は前年同期比14.9%増、水処理関連は前年同期比11.6%増、風水力冷熱機器等関連は前年同期比4.2%減となりました。
ニ.売上総利益について
売上高の増加に加え、採算性を重視した受注や原価低減活動等によって、売上総利益率が前年同期の29.8%から32.3%へと上昇し、売上総利益は前年同期比16.4%増となる10,489百万円となりました。
ホ.販売費及び一般管理費について
人件費等の増加により、販売費及び一般管理費は前年同期比12.3%増となる6,507百万円となりました。
ヘ.営業利益について
販売費及び一般管理費の増加はあったものの、売上総利益の増加により、営業利益は前年同期比23.9%増の3,982百万円となりました。
ト.経常利益について
営業利益に、受取配当金、投資不動産賃貸料等による営業外収益230百万円、不動産賃貸費用等による営業外費用102百万円が計上され、経常利益は前年同期比22.2%増の4,110百万円となりました。
チ.親会社株主に帰属する当期純利益について
経常利益に投資有価証券売却益338百万円等の特別損益、法人税等1,232百万円が計上され、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比34.9%増の3,159百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「2 事業等のリスク」及び「③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響につきましては、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載のとおりであります。
c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(環境関連)
環境関連製品の製造・販売を手掛ける当セグメントの受注高は、半導体向け需要の増加により計測分野、蓄電池の需要増加により創エネ・省エネ分野等が増加しております。一方で、水景施設・水産関連などの水処理プラント分野が減少し、新型コロナウイルス感染症拡大を受け増加していた感染症対策製品の需要も補助金対象範囲の縮小や感染症の落着きなどにより前年同期比では減少しております。その結果、受注高は前年同期比19.3%減の7,240百万円となりました。売上高は、感染症対策製品の期首受注残高の増加による販売増加に加え、半導体業界向けオゾンモニタなど計測分野の販売が増加し、前年同期比14.9%増の8,563百万円となりました。セグメント利益は売上高の増加に加えてセールスミックスの変動により売上総利益率も上昇し、前年同期比55.2%増となる2,036百万円となりました。
(水処理関連)
上下水道向けの設計・施工を手掛ける当セグメントの市場環境は、上下水道設備の更新案件の増加に加え、国土強靭化基本計画に基づく雨水排水施設などの防災・減災需要も増加し、堅調に推移しました。その結果、受注高は前年同期比10.7%増の17,435百万円となり、売上高も前年同期比11.6%増となる14,683百万円となりました。セグメント利益は、人件費等の費用が増加したものの、売上高の増加に加えて採算性を重視した受注や原価意識の徹底による売上総利益率の上昇もあり、前年同期比9.1%増となる2,060百万円となりました。
(風水力冷熱機器等関連)
主にポンプ、冷凍機、空調機器などを商社として販売する当セグメントの市場環境は、新型コロナウイルスの感染拡大により、経済活動が制限され、民間の設備投資には停滞感が見られるなど厳しい状況で推移しました。こうした市場環境のもと、受注高は空調関連機器の大口案件が寄与し前年同期比11.4%増の10,338百万円となりましたが、売上高は期首受注残高の減少もあり前年同期比4.2%減の9,238百万円となりました。セグメント利益は、売上高が減少したものの採算性を重視した受注等による売上総利益率の上昇により、前年同期比0.4%増の932百万円となりました。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
1) 目標とする経営指標
当社グループは、「環境関連」(メーカー事業)を核とした成長基盤の構築を図り、利益成長による企業価値を向上させるために、「目指す経営指標」として次の3つの経営指標を設定しております。
イ.「環境関連」(メーカー事業)の売上総利益構成比率50%以上
ロ.売上総利益率30%以上
ハ.営業利益率10%以上
当連結会計年度におきましては、「環境関連」(メーカー事業)の売上総利益構成比率36.3%、売上総利益率44.4%、営業利益率23.8%となっております。
2) 中長期的な会社の経営戦略
中長期的な会社の経営戦略につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略・経営指標等」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源等につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりであります。
|
2017年12月期 |
2018年12月期 |
2019年12月期 |
2020年12月期 |
2021年12月期 |
|
自己資本比率 |
(%) |
49.1 |
47.1 |
53.3 |
51.4 |
53.6 |
時価ベースの自己資本比率 |
(%) |
53.0 |
44.8 |
52.3 |
78.5 |
85.1 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
(年) |
0.8 |
0.4 |
1.5 |
0.3 |
0.4 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
(倍) |
192.1 |
357.6 |
90.3 |
611.8 |
467.0 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
b.資本の財源及び資金の流動性
1) 資金の需要
当社グループは、長期ビジョン(2030年度に目指す姿)を実現するための研究開発投資及び成長投資、並びに債務の返済及び運転資金などの資金需要に備え、流動性の確保、内部留保の充実及び資金調達に努めております。
2) 資金の調達
当社グループは、必要な資金は内部資金より充当し、不足が生じた場合は銀行借入により調達しております。
3) 資金の流動性
当社グループは、複数の金融機関との当座貸越契約を設定しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に関する見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
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