研究開発活動

5【研究開発活動】

(1)方針及び目的

当社グループの研究開発は、「豊かな人間環境の創造を目指して社会に貢献する」という経営理念に基づき、脱炭素、水、空気、エネルギーなど環境に関わる様々な社会課題の解決と、当社の持続的な成長に向けて、計測、省エネ・創エネ、脱臭、水処理プラント、医療など、主として環境関連セグメントに属する分野において、製品及びシステムの開発を行っております。

研究開発体制については、当社の研究開発委員会において、全ての研究開発活動の妥当性、方向性、方法、工程、予算及び市場性について審議し、適確、迅速かつ経済的に研究開発活動を遂行できる体制を構築しております。

また、研究開発活動の実施については、以下の各拠点において、関連部門が連携しながら取り組んでおります。

中央研究所では、脱臭、脱硫、水処理、バイオマス等の環境関連製品に向けた研究開発、及び他部門における製品開発への協力業務を行っております。環境計測技術センターでは、オゾン濃度測定を中心とした測定器・装置及び除菌・脱臭などの環境整備に役立つオゾン応用製品の研究開発を進めております。加えて、オゾンの用途拡大や有効利用が期待される医療・福祉分野に向けた製品の開発にも取り組んでおります。これらの拠点では、大学など外部研究機関との共同研究も積極的に推進しております。

かずさ生産技術センターでは、高効率のターボブロワを中心とする送風機の改良・開発を行っております。かずさファシリティー開発センター及び荏原実業パワー㈱では、マルチモード空調機や蓄電システムなど、ZEB・ZEH関連製品の開発を進めております。

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は673百万円であります。

 

(2)主な研究開発の成果

以下は、全て環境関連セグメントに係る研究開発の成果であります。

・計測分野

テーマ名:アンモニア性窒素濃度測定装置

概要:従来のイオン電極式とは異なる新技術を採用し、安定した連続測定が可能なアンモニア性窒素濃度測定装置を開発いたしました。流入水のアンモニア性窒素濃度の把握は、ばっ気風量の最適化や処理水質の安定化に寄与し、下水処理の省エネルギー化を実現いたします。関係団体とのフィールド実証を実施した後、市場展開を進めてまいります。

期間:2021年1月~2021年12月(現在継続中)

 

・省エネ・創エネ分野

① テーマ名:炭酸ガスからメタンへの転換システムの開発

概要:バイオメタネーションは炭酸ガスを微生物の働きで水素との反応によりメタンガスに転換する技術です。当社は大学等との共同研究でこのバイオメタネーションシステムの適正化の研究開発を行っております。脱炭素社会の実現に向けて本技術の実用化を進めております。

期間:2021年6月~2021年12月(現在継続中)

② テーマ名:屋外型デシカント除湿機

概要:当社の天吊り型除湿機の改良を行うことにより、省スペースな縦型除湿機(屋外仕様)を開発いたしました。当機器は、既存建物や設置スペースに制約のある施設にも容易に設置可能となります。

期間:2021年1月~2021年12月

③ テーマ名:建設現場における蓄電池・太陽光発電を用いた脱炭素化推進実証実験

概要:強風豪雪で厳しい環境となる冬季の北海道留萌市にて、建設工事の仮設現場事務所を対象に、太陽光発電と蓄電池による安定した電力供給と二酸化炭素排出削減の実証実験を開始いたしました。

期間:2021年11月~2021年12月(現在継続中)

 

④ テーマ名:災害停電時マンホールポンプ起動支援システム

概要:風水災害等による停電に伴うマンホールポンプの稼働停止に対する問題解決のために、自然エネルギーである太陽光発電や可搬式蓄電池、電気自動車を組み合わせた災害に強いシステムを下水道新技術機構と共同開発しております。

期間:2021年8月~2021年12月(現在継続中)

 

・脱臭分野

テーマ名:脱臭設備最適化システム

概要:公共下水道設備や民間工場に設置されている脱臭設備において、設備の運転状況をコントロールするシステムの開発を実施しております。このシステムは、脱臭設備を省エネ化しCO2削減に貢献します。

期間:2021年7月~2021年12月(現在継続中)

 

・水処理プラント分野

① テーマ名:能力増強型水処理システム

概要:国内の下水処理方式として広く普及している標準活性汚泥法に対して、既存施設を活用しながら処理能力を1.5倍程度へ増強することが可能な新たなシステムを日本下水道事業団と共同開発しております。

期間:2019年1月~2021年12月(現在継続中)

② テーマ名:循環式陸上養殖システム

概要:将来の世界的な食糧難を勘案し、今後需要が増加していくと見られている魚類の陸上養殖システムにおいて、これまで当社が水産領域で培ってきたノウハウを生かし、閉鎖循環方式を採用した養殖システムの開発を進めております。

期間:2021年1月~2021年12月(現在継続中)

 

・医療環境分野

テーマ名:小型陰圧装置

概要:新型コロナウイルス感染症対策のための設備整備事業として陰圧室の整備があり、医療機関において簡易陰圧装置の導入が進められております。診察室や狭い個室内にも設置できる小型モデルのニーズに応え、コンパクトなモデルACE-2000を開発し、販売を開始いたしました。ACE-5000/4000/2000の3モデル展開により、幅広い設置環境に対応してまいります。

期間:2021年1月~2021年12月

 

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