文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの一貫した基本方針は、「モノづくりに根ざした確かな技術と徹底した品質管理に基づく高品質な製品・設備を提供すること。」であります。
当社グループは、これまで培ってきた技術、経験、ノウハウを活用し、絶え間ない新製品、新技術の開発、改良により、エンジニアリング、化学工業機械等の分野において、新しい時代のニーズに応えるとともに、既存の製品・技術にとらわれない新しい事業分野にも積極的にチャレンジし、顧客のあらゆる要望に応える製品、技術、サービスの提供を目指してまいります。
当社グループは、2021年11月に「三菱化工機グループ2050経営ビジョン」(以下「経営ビジョン」)を策定し公表いたしました。2050年を最終到達年として、2035年の当社創立100周年を踏まえた長期ビジョンであり、 SDGsへの取組みも含め、2035年には当社の既存技術・製品からなる事業と、それをさらに深化させた事業に加え、新しい分野の事業を合わせて事業規模を1,000億円に拡大していくものであります。
2050年までに、5つの社会課題「CO2・気候変動」「資源循環」「水・食料」「自然災害」「労働力不足」の解決に貢献する企業グループを目指し、全社目標に「持続可能な発展に挑戦し、快適な社会を実現する」を掲げ、以下の4つの事業領域を展開することといたしました。
①持続可能な循環型社会推進事業
②水素を核としたクリーンエネルギー事業
③デジタルを活用した省力・省エネ事業
④水・食・自然災害等の課題解決に向けた次世代技術開発事業
この度、当社グループは、新たな中期経営計画(2022年度~2024年度)を策定いたしました。本中期経営計画は、経営ビジョン実現に向けた成長の足固め期間と位置付け、① 新たな事業ポートフォリオの確立、② 経営基盤の確立の2つを骨子としております。
2) 既存事業の再構築および収益性の改善
を実施し、新規事業領域への経営資源創出のため、各事業の選択と集中を進め、新たな獲得事業や既存事業の深化に対して経営資源をシフトしてまいります。
に注力してまいります。戦略的事業領域に対応する製品開発の推進、グループ連携強化による連結業績の向上・人的リソースの活用、非財務情報の開示強化や資本政策の強化といった社会・資本市場からの要請に対応していくことで経営基盤の確立をはかってまいります。
(エンジニアリング事業)
プラント事業においては、国内外の化学関連プラントの需要が堅調に推移しました。半導体に関連する設備投資が増大いたしましたが、新型コロナウイルスの影響によるサプライチェーンへの影響により、電子部品の納期遅延や資材価格の高騰が続き、プラントコストが増大する懸念が高まりました。
水素関連においては、小型水素製造装置、半導体電子材料業界を中心に需要は底堅く推移いたしました。水素関連市場の立ち上がりはまだ途上ですが、脱炭素化の加速により、水素のブルー及びグリーン化を求める動きが加速しております。
環境事業においては、大型案件の発注形態がPFI等にシフトしてきておりますが、主力の下水処理分野における需要は、昨年同様ほぼ横ばいの状況が続きました。一方で、バイオガス関連では脱炭素化の加速により、民間でのバイオガス利用市場に活発な動きがみられました。
(単体機械事業)
主力の油清浄機、各種単体機械においては、造船業界及び海運業界の復調、並びに民間設備投資の持ち直しの動きから堅調に推移致しました。
SOx(硫黄酸化物)規制においては、一般海域を航行する全ての船舶を対象に、2020年1月より硫黄分0.5%以下の燃料油使用、または、スクラバの設置が義務化しておりますが、規制適合燃料の採用傾向が強く、スクラバの採用に慎重な状況が続いております。
一方、NOx(窒素酸化物)規制においては、3次規制により、欧州及び米国の規制海域(ECA)を航行する船舶向けの環境規制対応機器の需要が堅調に推移いたしました。
また、海運業界では世界的な脱炭素の流れからLNG燃料船への移行が進んでいます。更にGHG排出ゼロに向けて、水素・アンモニア等の新燃料導入に対する検討が加速しております。
当連結会計年度は、2019年度を初年度として開始した3ヵ年の中期経営計画の最終年度にあたりました。この中期経営計画期間中、当社グループは
①差別化技術を持つ成長事業中心の企業体への変革
②利益指標を最重視し安定的な高収益体制を構築
③グループ経営促進による連結収益力の向上
上記を骨子とした事業活動を展開いたしました。新型コロナウイルス感染症による影響はありましたものの増収・増益を達成し、売上高・営業利益目標は概ね達成いたしました。
一方で、次世代成長分野としてのクリーンエネルギー、バイオガス利活用及び船舶環境規制対応機器の3つの重点開発領域につきましては、技術開発を推進しましたものの、いずれの領域とも売上高・利益に貢献するには至らず、中核事業化に向けての戦略の再構築が必要な結果となりました。
当社は、上記の結果を踏まえ、新たな中期経営計画(2022年度~2024年度)を策定しております。新たな中期経営計画で対処すべき課題は以下の2点であります。
①新たな事業ポートフォリオの確立
1)既存事業の再構築
既存事業は成長性・収益性の観点からポートフォリオを再評価し「主力事業」「成熟事業」「成長事業」「低成長事業」の4つに分類し、目指す姿と基本方針を設定いたします。低成長事業には梃入れ・撤退を実施し選択と集中を推進いたします。これにより既存事業の事業規模維持と営業利益率の改善をはかります。
2)新規事業の創出
新設した技術開発・生産統括本部を起点とし、全社一丸となり経営ビジョン実現に向け、戦略的投資を拡大して新規事業創出の基盤を構築いたします。
また、既存事業のケイパビリティと重点開発領域での成果を深化・昇華し、経営ビジョンにおいて戦略的事業領域に設定した「持続可能な循環型社会推進事業」「水素を核としたクリーンエネルギー事業」に関連する分野において新たなビジネスの確立を目指してまいります。
②経営基盤の確立
1)モノづくり戦略の確立
以下の3点を推進することで当社グループのモノづくり戦略を確立してまいります。
・省エネ、脱炭素化、ゼロエミッション工場を推進
・DXを活用したモノづくりの高度化・効率化、生産体制の強化を推進
・モノづくりにより培ったノウハウで戦略的事業領域に対応する製品開発を推進
2)グループ経営の推進
当社グループの保有するビジネスチェーン、人的リソースを活用することで機会損失の減少、収益力の向上を目指してまいります。
3)企業価値の向上
TCFD提言に沿った取り組み等、非財務情報の積極的開示を通じてステークホルダーとのエンゲージメントを深めてまいります。また、耐用性の観点を基本とした人事施策で適所適材の配置を行い、様々な従業員が能力を発揮し、活躍できる環境を整備してまいります。財務面では、自己資本比率の適切な水準維持とROE向上のため資本効率を高める施策を実行してまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)等については、中期経営計画において定めている連結売上高、営業利益率及びROEとしております。当社グループでは、利益指標を最重視しており、安定的高収益体制を構築するため営業利益率を、また、資本効率の向上で市場評価を高めることを目的としてROEをそれぞれ収益性の指標として採用しております。
(注)上記KPIについては有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
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