(1)当期の経営成績の概況
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と売上高の会計処理が異なっておりますが、影響が軽微であることから経営成績に関する説明におきまして増減額及び前期比はそのまま比較表記しております。
①経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国では、良好な雇用・所得環境や企業収益などにより堅調に推移しております。一方、金融引き締め策が一段と強化される方向性が鮮明となっており、株価下落やローン金利の上昇など金融環境が引き締まることで、底堅く推移していた個人消費も再び減速し、景気後退のリスクへの警戒は怠れない状況となっております。欧州では、ロシア産天然ガスの供給不安に加え、フランスでの原発稼働率の低下等に伴う電力需給ひっ迫などを背景に電力価格が高騰しております。企業では電力価格高騰等の生産コストの増加が収益の圧迫要因となり、コスト増加の一部は販売価格へ転嫁されるなど物価上昇による影響から、回復傾向にあった景気は厳しい局面に直面する状況となっております。中国では、ロックダウン後の生産活動の回復が景気の押し上げ要因となるものの、世界経済の減速から景気の持ち直しペースは緩やかなものとなっております。また一定の行動制限が残ることや世界経済の減速により景気の本格的な回復には時間を要する状況となっております。
一方、国内経済は、個人消費が活動制限の緩和を受けて、サービス業を中心に回復傾向にあります。また企業収益につきましても、経済活動の正常化や生産活動の回復を背景に資源高や円安の進行に伴うコスト増はあるものの堅調に推移しており、景気は持ち直し傾向にあります。
このような経済環境の中、当社グループが関わる電子部品業界につきましては、環境対策、省エネルギーのニーズに向けた自動車のEV化や、ロジック・ファウンドリー(半導体受託製造)の旺盛な投資に加え、スマートフォン需要に一服感がみられるものの、通信基地局やデータセンターの通信部品需要、IoTや自動車関連向けセンサー投資に牽引され、市場環境は堅調に推移しております。
このような状況の中、電子機器事業につきましては電子部品の供給停滞状況の長期化等の懸念があるものの堅調に推移いたしました。また、繊維機器事業及び医療機器事業につきましては低調に推移いたしました。
損益面につきましては、電子機器事業の受注・売上が順調に推移したこと、さらに、製造コストの低減及び諸経費の圧縮に努めたことなどの理由により、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は前年実績を上回る結果となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は10,223百万円(前連結会計年度比56.6%増)となり、営業利益は1,351百万円(同246.5%増)、経常利益は1,462百万円(同198.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,028百万円(同172.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(電子機器事業)
ディスプレイ製造機器では、回復傾向にあったディスプレイパネル販売量がコロナ禍の巣ごもり需要の一段落により落ち込み始めたことを受け、偏光板貼付け関連装置の投資計画を延期するパネルメーカーが相次ぎ、低調に推移いたしました。
このような状況の中、販売額は減少いたしました。
半導体製造機器では、コロナ禍でのリモートワークの拡大による通信インフラ用ICチップ及び電子部品の需要の高まりや、自動車電動化や機器の省電力化に不可欠なパワーICの需要が引き続き拡大するなど、国内市場、海外市場とも堅調に推移いたしました。
このような状況の中、販売額は増加いたしました。
新素材加工機器では、世界的に脱炭素社会・スマート社会に向けパワー半導体の需要が高まっている中、パワー半導体向けSiC材料切断加工装置の商品力が市場に評価され、高いマーケットシェアを維持していること等により、好調に推移いたしました。
このような状況の中、販売額は大幅に増加いたしました。
その結果、売上高は9,946百万円(同64.5%増)、セグメント利益1,516百万円(同221.8%増)となりました。
(繊維機器事業)
繊維機器事業では、アパレル市場において新型コロナの影響が根強く続いており、設備投資の延期、中止が続いております。また、炭素繊維裁断機市場におきましても、先行きの不透明感から市場環境の改善はみられず、同様に一般産業素材向け裁断機におきましても低調に推移いたしました。
このような状況の中、販売額は減少いたしました。
その結果、売上高は190百万円(同34.4%減)、セグメント損失23百万円(前連結会計年度はセグメント損失1百万円)となりました。
(医療機器事業)
医療機器事業では、新型コロナの影響による部品の長納期化から、新規ODMの保留や先送りにより受注活動は低調に推移いたしました。販売活動につきましては、「胸腹水濾過濃縮装置M-CART」の医療機関への販売及びレンタル、試用貸出しを行いました。また、国内の医療機器メーカーより医療機器開発を受託し「体外循環装置用遠心ポンプ駆動装置」の製造販売承認を取得いたしました。
このような状況の中、販売額は減少いたしました。
その結果、売上高は86百万円(同54.8%減)、セグメント損失141百万円(前連結会計年度はセグメント損失79百万円)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて1,713百万円増加し、12,664百万円(前連結会計年度末は10,950百万円)となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,541百万円増加し、9,685百万円(前連結会計年度末は8,143百万円)となりました。主な内訳は現金及び預金3,066百万円、受取手形、売掛金及び契約資産2,786百万円であります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて171百万円増加し、2,978百万円(前連結会計年度末は2,807百万円)となりました。主な内訳は建物及び構築物が993百万円、土地781百万円、投資有価証券617百万円であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて814百万円増加し、6,257百万円(前連結会計年度末は5,442百万円)となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて938百万円増加し、6,040百万円(前連結会計年度末は5,101百万円)となりました。主な内訳は買掛金1,266百万円、電子記録債務1,561百万円、短期借入金1,500百万円であります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて124百万円減少し、217百万円(前連結会計年度末は341百万円)となりました。主な内訳は長期借入金160百万円、資産除去債務32百万円であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて899百万円増加し、6,406百万円(前連結会計年度末は5,507百万円)となりました。主な内訳は資本金963百万円、資本剰余金1,352百万円、利益剰余金4,064百万円であります。
この結果、自己資本比率は50.6%となりました。
(2)当期のキャッシュ・フローの概況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて14百万円減少し、3,056百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は252百万円(前連結会計年度は1,106百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,462百万円、売上債権の増加額が218百万円、棚卸資産の増加額が706百万円、仕入債務の増加額が1,027百万円、契約負債の減少額が946百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は290百万円(前連結会計年度は58百万円の収入)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出303百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は11百万円(前連結会計年度は462百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入れによる収入300百万円、長期借入金の返済による支出194百万円、配当金の支払額81百万円等によるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
電子機器事業 |
9,946,355 |
170.3 |
繊維機器事業 |
190,624 |
65.6 |
医療機器事業 |
86,495 |
45.2 |
合計 |
10,223,476 |
161.7 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
電子機器事業 |
24,681,445 |
265.8 |
19,587,966 |
403.6 |
繊維機器事業 |
203,355 |
81.1 |
50,170 |
134.0 |
医療機器事業 |
208,562 |
96.7 |
168,259 |
364.3 |
合計 |
25,093,362 |
257.3 |
19,806,396 |
401.2 |
(注)電子機器事業部の実績に著しい変動がありました。その内容につきましては、「(1)当期の経営成績の概況①経営成績の状況」をご覧ください。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
電子機器事業 |
9,946,355 |
164.5 |
繊維機器事業 |
190,624 |
65.6 |
医療機器事業 |
86,495 |
45.2 |
合計 |
10,223,476 |
156.6 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
東栄電子有限公司 |
- |
- |
3,349,161 |
32.8 |
2.前連結会計年度の東栄電子有限公司に対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 注記事項 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
経営成績の分析については、3「経営者による財政状態、経営成績等及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
b.財政状態の分析
財政状態の分析については、3「経営者による財政状態、経営成績等及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、3「経営者による財政状態、経営成績等及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
d.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、2「事業等のリスク」をご参照ください。
e.資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、主として内部資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入を実施することを基本方針としております。当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,056百万円あります。資金の流動性については、3「経営者による財政状態、経営成績等及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
f.経営上の目標の達成状況
当社の収益目標であるROE10.0%に対して、当連結会計年度におけるROEは17.3%となりました。引き続き、厳しい市場環境に屈することなく、企業価値を高め、持続的な成長を図ります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、3「経営者による財政状態、経営成績等及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの重要な会計方針については、すべて「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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