(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の変異株発現で度重なる感染拡大による行動制限や生産活動の制約が継続したものの、ワクチン接種の進展が奏功して感染症との共存による市場の回復を背景に社会経済活動の制限緩和が顕著となり社会生活が平常化したことから、回復基調への転換が見られました。
しかしながら、特に中国においては感染症の拡大防止にゼロコロナ政策の継続による活動規制の強化により経済活動は低位で推移しています。更にはロシアのウクライナ侵攻などの地政学的なリスクから、主に欧州や米国で資源・エネルギー価格の高騰など、景気の下押し圧力が顕著となっており、特に半導体の供給不安や調達環境の悪化によりインフレが一段と加速しています。国内においては、若年層を中心に新規感染者数が高い水準で推移する中、感染症との共存を目指し、海外需要への対応から半導体関連をはじめとする需要の回復基調にあります。
当社グループの事業環境につきましては、主要なお客様である自動車産業等で感染症対応や部品供給の混乱を受けて生産調整を余儀なくされましたが、半導体産業の好調により電子業界向けを中心に部品・消耗品が堅調でした。
こうした情勢下、当連結会計年度の受注高は107,303百万円(前連結会計年度比21.3%増)、売上高は99,247百万円(同20.2%増)、受注残高は44,389百万円(同9.4%増)となりました。収益につきましては、営業利益は2,606百万円(同51.7%増)、経常利益は4,478百万円(同45.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,835百万円(同367.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメントごとの経営成績については、セグメント間の内部売上高等を含めて表示しております。
〔表面処理事業〕
売上高は41,306百万円(前連結会計年度比21.1%増)、営業利益は2,658百万円(同22.9%増)、受注高は41,918百万円(同24.2%増)、受注残高は6,019百万円(同11.6%増)となりました。
〔鋳造事業〕
売上高は34,041百万円(同33.3%増)、営業損益は17百万円の損失(前連結会計年度は1,079百万円の損失)、受注高は38,137百万円(前連結会計年度比17.6%増)、受注残高は25,926百万円(同16.0%増)となりました。
〔環境事業〕
売上高は10,851百万円(同2.6%減)、営業利益は901百万円(同37.4%減)、受注高は11,234百万円(同11.8%増)、受注残高は4,489百万円(同14.7%増)となりました。
〔搬送事業〕
売上高は6,079百万円(同4.9%減)、営業利益は607百万円(同41.6%減)、受注高は6,473百万円(同5.8%増)、受注残高は2,055百万円(同26.3%増)となりました。
〔特機事業〕
売上高は7,694百万円(同27.1%増)、営業損益は386百万円の損失(前連結会計年度は820百万円の損失)、受注高は9,375百万円(前連結会計年度比57.5%増)、受注残高は5,897百万円(同19.1%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ658百万円増加して、42,964百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及びその要因は、次のとおりであります。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
当連結会計年度において、営業活動によって得られた資金は4,091百万円となりました(前連結会計年度は8,088百万円の収入)。これは、税金等調整前当期純利益4,333百万円等の資金の増加要因があったことによるものであります。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
当連結会計年度において、投資活動により支出した資金は1,188百万円となりました(前連結会計年度は1,801百万円の支出)。これは、有形固定資産の取得による支出2,722百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
当連結会計年度において、財務活動により支出した資金は2,754百万円となりました(前連結会計年度は1,141百万円の支出)。これは、配当金の支払額1,334百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
表面処理事業(百万円) |
40,814 |
121.9 |
鋳造事業(百万円) |
32,519 |
121.2 |
環境事業(百万円) |
10,313 |
96.7 |
搬送事業(百万円) |
5,930 |
91.7 |
特機事業(百万円) |
7,151 |
123.3 |
その他(百万円) |
157 |
146.6 |
合計(百万円) |
96,886 |
116.3 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
表面処理事業 |
41,918 |
124.2 |
6,019 |
111.6 |
鋳造事業 |
38,137 |
117.6 |
25,926 |
116.0 |
環境事業 |
11,234 |
111.8 |
4,489 |
114.7 |
搬送事業 |
6,473 |
105.8 |
2,055 |
126.3 |
特機事業 |
9,375 |
157.5 |
5,897 |
80.9 |
その他 |
163 |
109.3 |
- |
- |
合計 |
107,303 |
121.3 |
44,389 |
109.4 |
(注)上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
表面処理事業(百万円) |
41,292 |
121.1 |
鋳造事業(百万円) |
33,459 |
133.7 |
環境事業(百万円) |
10,658 |
97.3 |
搬送事業(百万円) |
6,045 |
94.9 |
特機事業(百万円) |
7,628 |
128.3 |
その他(百万円) |
163 |
109.3 |
合計(百万円) |
99,247 |
120.2 |
(注)上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析、検討内容
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び重要な会計上の見積り」に記載しておりますが、下記の項目についてはその見積りが当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと判断しております。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況」の注記に記載しております。
a.一定期間にわたり認識する収益
当社グループは設備装置の請負工事に関して、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗率を見積り、当該進捗率に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。一定の期間にわたり充足される履行義務に関する売上高は、収益の総額及び進捗率に基づいて算定され、進捗率は見積製造原価に対する当連結会計年度末までに発生した実績製造原価の割合に基づき算定されます。見積製造原価は、案件の仕様、過去の類似案件における原価発生状況、案件の難易度などを勘案しております。
b.受注損失引当金
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注契約に係る損失見込額を受注損失引当金として計上しております。受注損失引当金は、見積製造原価が受注金額を超える案件のうち、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額に基づき算定されます。見積製造原価は、案件の仕様、過去の類似案件における原価発生状況、案件の難易度などを勘案しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析、検討内容
(1)当社グループの当連結会計年度の経営成績等
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(2)当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「2 事業等のリスク」に記載しております。
(3)当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものです。
短期運転資金及び設備投資や長期運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は19,784百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は42,964百万円となっております。
(4)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2021年度よりスタートした中期経営計画「Plus」を基本方針とし、2023年度の達成すべき目標に向け活動したとともに、その先の将来に向けても成長を続けることができる経営基盤の構築に邁進しました。
目標とする経営指標
|
2021年度(第125期) |
2023年度(第127期) |
新商品売上比率 |
機械9% 消耗品1% |
機械30% 消耗品10% |
新規お客様数 |
+1,199社 |
+2,500社 |
新市場比率 |
+3% |
+4% |
成約カバー率 |
+2.8% |
+5% |
営業利益率 |
2.6% |
8.0%以上 |
(5)セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析
〔表面処理事業〕
売上高は、インフラ・建機業界、バネ業界において表面処理装置が堅調に推移したことと、半導体の旺盛な需要による電子関連向けや感染症により停滞していた自動車産業をはじめとした様々な業界で生産活動が回復したことで増加しました。営業利益は、消耗品や部品の増収により増加しました。
〔鋳造事業〕
売上高は、大型プラント案件が堅調に推移するとともに、海外案件もオンライン技術や海外拠点の現地指導員派遣の代替対応で検収が進んだことから増加しました。営業損益は、原材料やエネルギーコストの上昇影響はあったものの、増収により赤字幅が縮小しました。
〔環境事業〕
売上高は、汎用集塵機、メンテナンス・部品は増加しましたが、集塵装置、排ガス浄化装置、水処理装置の大型装置が減少し、全体では減少しました。営業利益は、減収要因に加え、原材料価格高騰や電子部品等の調達コストアップにより減益となりました。
〔搬送事業〕
売上高は、物流搬送システムの売上が減少し、減収となりました。営業利益は、自動車業界や工作機械向けにおける需要に対して半導体不足やウクライナ問題等の影響等があり減少しました。
〔特機事業〕
売上高は、車載向け二次電池市場に対して新商品の高圧ロールプレスが好調により増収となりました。営業損益は、増収に伴い赤字幅が縮小しました。
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