業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、変異株により感染者が増加するなど、依然として新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されるものの、ワクチン接種が進むことで収束に向かうことへの期待感や、海外経済の回復に伴う輸出増加を背景として社会経済活動の正常化が緩やかに進みましたが、原材料価格高騰や半導体不足、急激な円安の進行に加え、ウクライナ情勢の緊迫化による影響が拡大するなど、先行き不透明な状況が続いております。

当社を取り巻く事業環境は、上期においてはウッドショックと言われる世界的な木材資源高騰による、住宅資材の需給問題から混乱が生じたこと、カーボンニュートラルへの取り組みに対する影響を慎重に検討する動きが見られるなど、業界の設備投資への動きが鈍化しましたが、落ち込むことが懸念されていた住宅着工戸数が下期以降も前年を上回り推移したことや、木材需要が高まったことから業界の業績も好調に推移したことなどから、設備投資意欲が徐々に回復しました。

このような状況の中、新型コロナウイルス感染対策を徹底し受注及び売上活動に注力するとともに、原材料等を先行手配するなど価格上昇の影響を抑えるとともに、生産工程の前倒しや効率化に取り組み売上確保と原価低減に努めて参りました。

これらの結果、当連結会計年度における売上高は、4,938百万円(前年同期は3,538百万円の売上高)となりました。売上高のうち輸出は、817百万円(前年同期は785百万円)で輸出比率は16.55%となりました。利益につきましては、営業利益は185百万円(前年同期は81百万円の営業損失)、経常利益は282百万円(前年同期は86百万円の経常利益)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は223百万円(前年同期は3百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

なお、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。これに伴い、前連結会計年度と比較しての前年同期比(%)を記載せず説明しております。その他詳細につきましては、第5経理の状況 注記事項(会計方針の変更)をご参照ください。

財政状態は、総資産8,588百万円となり、前連結会計年度末に比べ396百万円増加しました。その主なものは、受取手形、売掛金及び契約資産の増加828百万円、流動資産のその他の増加179百万円、現金及び預金の減少555百万円、仕掛品の減少54百万円によるものであります。

負債につきましては、3,337百万円となり、前連結会計年度末に比べ208百万円増加しました。その主なものは、支払手形及び買掛金の増加526百万円、前受金の減少148百万円、流動負債のその他の減少164百万円によるものであります。

純資産につきましては、5,251百万円となり、前連結会計年度末に比べ187百万円増加しました。その主なものは、利益剰余金の増加151百万円によるものであります。

 

セグメントの経営成績は次のとおりであります。

ア.合板機械事業

合板機械事業は、市場の先行き不透明感から設備投資への慎重姿勢が見られたことや、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、受注活動の停滞や機械の据付工事が制限されるなど引き続き厳しい状況ではありましたが、業界の業績が好調に推移したことや、経済活動の正常化が緩やかに進んだことから、下期以降、客先の設備投資意欲も回復傾向が見られました。

このような状況の中、感染症対策を徹底し営業活動に取り組むとともに、延期となっていた海外の据付工事を可能な限り進めて参りました。

また、収益認識に関する会計基準を適用したことによる影響もあり、当連結会計年度の売上高は2,641百万円(前年同期は1,844百万円の売上高)、営業損失は2百万円(前年同期は90百万円の営業損失)となりました。

イ.木工機械事業

木工機械事業は、木工業界全体の景気が低迷しており、設備投資にも慎重姿勢が強く見られておりましたが、木材需要の高まりもあり業界全体の業績が好調に推移したことなどから、設備投資意欲も回復傾向が見られました。

このような状況の中、チッパーが継続的に受注・売上出来ていることや、顧客ニーズに対応した機械の開発改良に注力し、国産材に特化したフィンガージョイントライン、集成材ラインのシステム化案件を受注出来たことにより売上が増加しました。

また、生産工程の前倒しや効率化、経費削減にも積極的に取り組んでまいりました。

収益認識に関する会計基準を適用したことによる影響もあり、当連結会計年度の売上高は1,059百万円(前年同期は937百万円の売上高)、営業利益は192百万円(前年同期は136百万円の営業利益)となりました。

ウ.住宅建材事業

住宅建材事業は、住宅着工戸数が前年比で増加して推移したことや、高騰している主要材料価格を受注額に転嫁できたことなどにより増収増益となりました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は1,237百万円(前年同期は778百万円の売上高)、営業利益につきましては、103百万円(前年同期は15百万円の営業損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は3,885百万円となり、前連結会計年度末と比べ、471百万円減少しました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、使用した資金は、463百万円(前年同期は336百万円の獲得)となりました。これは主に、仕入債務の増加による資金の増加を契約資産の増加による資金の減少が上回ったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、獲得した資金は、68百万円(前年同期は80百万円の獲得)となりました。これは主に、定期預金の預入による資金の減少を定期預金の払戻による資金の増加が上回ったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は、76百万円(前年同期は360百万円の獲得)となりました。これは主に、配当金の支払いによるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

ア.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

合板機械事業(千円)

2,588,704

141.5

木工機械事業(千円)

1,053,421

121.8

住宅建材事業(千円)

1,236,788

159.8

合計(千円)

4,878,914

140.7

(注)1.金額は販売価格で算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.外注加工による生産を含んでおります。

3.当連結会計年度において、住宅建材事業セグメントの生産実績に著しい変動がありました。主な要因は、高騰している主要材料価格を受注額に転嫁できたことなどにより、1案件当たりの生産額が増加したことによるものです。

 

イ.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

合板機械事業

3,429,456

236.6

1,979,140

166.2

木工機械事業

1,422,763

162.8

498,587

368.3

住宅建材事業

1,268,677

159.4

103,614

143.4

合計

6,120,898

196.2

2,581,342

184.6

(注)1.金額は販売価格で算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、受注高に著しい変動がありました。主な要因は、合板機械事業及び木工機械事業においては、前連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、市場の設備投資意欲が低下し受注が減少しましたが、当連結会計年度は業界全体の業績も良く、設備投資意欲が回復し受注件数が増加したことによるものです。住宅建材事業においては、高騰している主要材料価格を受注額に転嫁できたことなどにより1案件当たりの契約額が増加したことによるものです。

3.当連結会計年度において、木工機械事業セグメントの受注残高に著しい変動がありました。主な要因は、期末にかけてシステム化案件などの大型案件を受注できたことによるものです。

 

ウ.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

合板機械事業(千円)

2,641,404

143.2

木工機械事業(千円)

1,059,545

115.8

住宅建材事業(千円)

1,237,295

158.9

合計(千円)

4,938,246

139.6

(注)1.金額は販売価格で算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、住宅建材事業セグメントの販売実績に著しい変動がありました。主な要因は、高騰している主要材料価格を受注額に転嫁できたことなどにより1案件当たりの販売額が増加したことによるものです。

 

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当連結会計年度における株式会社日新及びウェアハウザー社の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。また、当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社日新

604,342

17.1

ウェアハウザー社

514,750

14.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、売上高は前期に比べ39.6%増加し4,938百万円、営業利益は185百万円(前年同期は81百万円の営業損失)となりました。

なお、当社の経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を、本来の収益性を示す売上高営業利益率としており、重要な項目と捉えております。

売上高営業利益率の目標としては、10%以上を安定的に計上できることを目指しておりますが、当期の営業利益率は3.8%となりました。

この主な要因としましては、合板機械事業において新型コロナウイルス感染症の影響により、延期となっていた海外の据付工事を可能な限り進めたこと、合板機械事業及び木工機械事業ともに、住宅着工戸数が好調に推移したことなどから、業界の業績も好調に推移し、設備投資意欲の回復から受注が増加したことにより売上が増加しました。

住宅建材事業においても、コスト増加分を受注額に反映するなど営業活動を強化したことにより売上高が増加し、各セグメントにて増収となりました。

営業利益につきましては、木工機械事業においては、付加価値の高い機械の開発を進め、市場に投入できたこと、システム化案件など大型案件が受注できたことや、生産工程の効率化、経費削減の成果もあり、目標を大きく上回る利益率となりました。

住宅建材事業においては、上昇するコストを受注額に反映するなど適正な利益を確保できたことや、生産工程の効率化を一層進めたことなどから、目標には届きませんでしたが、利益率は大きく改善しました。

一方、合板機械事業において、売上高は前年より増加しましたが、上昇するコストや先行している研究開発に係る費用などを、売上で吸収することが出来ず営業損失となりました。

総合的には、事業規模が大きい合板機械事業の収益性が悪化していることが、グループ全体の営業利益率低下の要因と認識しております。

その他、当連結会計年度における経営成績等につきましては(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。

この様な環境の中、新型コロナウイルス感染症の影響や、ウクライナ情勢が一定の収束をみるまでは不安定な経営状況が継続すると思われますが、内部留保や新型コロナウイルス感染症特別貸付制度による資金調達により、安定的な財務状況を維持し、経済環境の変動に柔軟に対応できるように準備しております。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、第2「事業の状況」の3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。

資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保する事を基本方針としております。

運転資金需要のうち主なものは製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、資金調達は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。

資金の効率化により生じた余裕資金は借入金返済等の原資とし、財務体質の強化を図ってまいります。

ここ数年の業績により手元資金に余裕が生まれている状況ではありますが、現在開発中の機械が商品化された際に予想される、必要設備に対する資金の担保や、リーマンショック級の景気後退、現在発生しております新型コロナウイルス感染症拡大による、業績低下に伴う運転資金の確保など、業績悪化時にも耐えうる財務体質を確保するため、一定の余裕資金を確保しておく必要があると考えており、安全性の高い金融商品である合同運用指定金銭信託にて余裕資金を運用しております。

また、安定的な財務状況を維持し、経済環境の変動に柔軟に対応できるよう、新型コロナウイルス感染症特別貸付制度による資金調達を実施しております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表作成にあたり採用した会計方針は、第5「経理の状況」(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項に記載のとおりでありますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。

a)完成工事補償引当金

顧客に納入した製品に対して発生したクレームに係る費用に備えるため、製品売上高に対して将来予想される補償費用を一定の比率で算定するとともに、個別に発生見込の高い費用を完成工事補償引当金として計上しております。

引当金の見積りにおいて想定していなかった製品の不具合による義務の発生や、引当の額を超えて費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。一方、実際の費用が引当金の額を下回った場合は引当金戻入益を計上することになります。

 

b)一定の期間にわたり充足される履行義務について認識した収益

一定の期間にわたり充足される履行義務について認識した収益に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

c)繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

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