課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「独自の商品を創造し、社会に貢献する」ことを経営理念に掲げ、合板機械メーカー、木材加工機械メーカー及び住宅建材メーカーとして、木材加工の新技術の創造を基本方針としております。

当社グループの処理対象材料である木材は、環境問題(大気の浄化・国土の保全)に貢献しながら生育し、機能性と環境調和性を備え、且つ再生可能な人間に優しい地上資源です。長年人類と密接に関わってきたこの木材資源を有効活用できるよう日夜努力をし、世界にオンリーワンの機械を提供できるような技術の開発を最重点課題としております。

 

(2)経営戦略等

中長期的な経営戦略及び対処すべき課題としましては、合板機械事業、木工機械事業、住宅建材事業の三本柱を主たる事業と考え、各事業における顧客の視点に立ち、市場ニーズに対応した新技術、新製品の開発に取り組み、積極的な営業活動を展開し、業績の向上及び経営基盤の確保に努めてまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当面の目標とする経営指標といたしましては、本来の収益性を示す売上高営業利益率として、10%以上を安定的に計上できることを目指しております。

 

(4)経営環境及び優先的に対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境は、木材産業と木材利用の動向に大きな影響を受けます。

近年の動向としましては、世界的に森林資源の枯渇に対する懸念が高まったことや、発展途上国への原料輸出に対する規制、また環境問題への関心の高まりによる天然林伐採への反対運動、中国における木材需要の増大等により、再生可能な植林木の利用へと急速な樹種転換が進んでまいりました。

また、国内においては伐採期を迎えた杉をはじめとする植林木の有効利用が国策としても進められ、針葉樹の利用が急激に進みました。

加工対象となる樹種が変化して行く中、どんな樹種でも無駄なく利用出来ること、省人化等の効率化や環境配慮など、変化する市場ニーズに対応した新技術、新製品が求められております。

この様な経営環境に対応し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けた取り組みとして、研究開発、人材育成の強化を課題として捉えております。

各事業別の経営環境及び優先的に対処すべき課題は次のとおりです。

①合板機械事業

杉をはじめとする針葉樹は、旧来主流であった南洋材(広葉樹)と比べると単板切削が難しく、特に杉は含水率が針葉樹の中でも高い上に、個体間・樹幹内でも大きく異なっており、樹種の特性に応じた乾燥技術の開発が大きな課題でしたが、ロールジェットドライヤーやアコーディオンプレスをはじめとする、乾燥・プレス機械の開発を他社に先駆けて取り組み、当社独自の機構が効果を上げるなど成果を出しております。

海外においても針葉樹材への樹種転換が進んでいる中、当社の実績やノウハウを評価頂き、主力機械であるドライヤー及びプレス機械の受注に繋がっており、海外における展開も徐々に増加しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響で受注活動が停滞しました。

依然として新型コロナウイルス感染症のリスクは残っておりますが、早期に受注活動を回復させることを課題としております。

また、国産木材資源の有効活用に向け取り組んでおりますが、昨年発生したウッドショックと言われる木材需給問題により、国産木材資源を利用した建築構造部材活用への期待が更に高まっております。

中でも、国産木材資源を利用した高層建築物への期待が高まっており、既存機械の改良改善に引き続き取り組むとともに、新たなニーズに対応した機械の開発を加速させ早期に商品化することを課題としております。

 

②木工機械事業

顧客ニーズに対応した機械の開発改良を行い、特化した商品を目標とし研究開発を強化し取り組んでおります。

また、今後も顧客ニーズに対応するとともに、持続可能な木材資源の有効活用、商品に対する品質・性能向上、機械ラインのシステム化を進め省人化、作業環境の改善等、新たな開発を進め業界の発展に寄与できる機械の商品化を最大の課題としております。

③住宅建材事業

阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓から、より耐震性に優れた木造住宅を提供することを重要な使命と考えております。住宅着工戸数の減少に伴う受注競争の激化により価格競争に陥りがちな業界内において、耐震性に優れた建築工法であるツーバイフォー建築部材を拡販するために、生産性の向上によるコストダウン、他社との差別化を図る付加価値の創造と品質の向上を課題としております。

また、昨今の原材料調達価格の高騰や、入荷自体が不安定になるなど、主要材料の海外依存度が高いことを課題として認識しております。

調達先の変更や多様性を持つことは容易なことではありませんが、長期的な視野を持ち対応すべきと考えております。

 

(5)対処方針

合板機械事業におきましては、木材資源の有効利用、省人化・自動化、環境配慮など、お客様の多様なニーズに応えるため、「独自の商品を創造し、社会に貢献する」の経営理念のもと、テーマ別の勉強会を開催し知識の共有及び技術力の向上に引き続き取り組んでおります。また、開発推進部門を中心に外部企業のアイデアも取り入れ、生産性と環境に配慮したシステム開発を更に推し進め、オンリーワンの開発機械を業界のナンバーワン機械に押し上げ、顧客満足度と業績の向上に努めてまいります。

また、海外展開においては新型コロナウイルス感染症の影響で営業活動が停滞しておりましたが、海外の展示会等に積極的に出展するなどPR活動を強化するとともに、営業部門を増強するなど組織力強化にも取り組んで参ります。

新型コロナウイルス感染症の影響で中断しておりましたが、増加する海外からの引き合い案件に対応できる人材を育成すべく、営業および技術担当者を海外に常駐させ、語学および技術の習得を行うなど、海外での円滑な業務体制の構築に取り組んで参ります。

木工機械事業におきましては、現在開発中の機械を一刻も早く商品化することを最大の目標として、研究開発活動を強化して取り組んでおります。

また、変化する業界に必要とされる既存機械のブラッシュアップ、新規開発を並行して進め、業界の発展に寄与できるよう取り組んで参ります。

住宅建材事業におきましては、ツーバイフォー工法において不動の地位を築くべく他社に先駆けてツーバイフォー工法におけるフルパネル化システムを推し進めており、ツーバイフォー協会で優秀賞を受賞するなどフルパネル化の発展、販売力強化を着実に進めております。また、住宅着工戸数が伸び悩む中、受注での優位性を保つため、JAS認定工場の強みを生かした営業活動を継続して行くと共に、柔軟な発想のもと、新たなサービスや商品を生み出すべく、企画・開発にも取り組み、他社との差別化を図ってまいります。

また、原材料調達の海外依存度を改善するため、合板機械事業・木工機械事業との連携も視野に入れ、あらゆる可能性を探りながら対処してまいります。

 

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