(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度におけるわが国経済は、前年度に続く新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響やロシアによるウクライナ軍事侵攻による世界的な物流混乱などの影響を受け、経済活動の停滞や個人消費の低迷が続く等厳しい状況となりました。また景気の先行きにつきましては、コロナについては様々な政策効果やワクチン接種による経済活動の改善が期待されるものの、感染再拡大による国内外経済の下振れリスクや設備投資への影響を注視する必要があり、また、ロシア軍事侵攻に伴う原油、ガスをはじめ世界的な物資の高騰や混乱が収束するのかを見極める必要があり、不透明な状況が続いております。
当社を取り巻く環境は、現在100年に一度といわれる産業社会の変革期を迎えています。環境保護のため二酸化炭素排出を大幅に削減する取り組み、電気自動車や燃料電池自動車の開発と移行、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進行、AI・IOT・RPAの活用、海洋資源保護や資源循環推進のためのプラスチックリサイクル利用など、私達の生活や仕事のやり方が根本的に変わりつつあります。
このような状況下、3月初旬までは売上高29億8百万円、経常利益2億1千9百万円という見通しでしたが、国際的な物流混乱のため調達すべき部品が到着しない事態となりました。このため、売上1億8千9百万円分が2023年3月期にずれ込みました。
上記を受け、売上高につきましては、インフレーション成形機事業、ブロー成形機事業、メンテナンス事業共に、前事業年度に比して減少しました。リサイクル装置事業につきましては、予定していた大型リサイクル装置の納入検収が進み、前事業年度に比して大幅に増加しております。売上高全体では前事業年度に比べ5百万円の増収となったものの、当事業年度は、新型コロナウイルス感染症による客先設備投資の抑制等及び原油高も影響し、当初予定していた売上高が減少した一部の要因となりました。利益面につきましては、営業利益、経常利益、当期純利益が前事業年度に比べ増益となりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は、27億1千9百万円(前期比0.2%増)を計上することが出来ました。利益面につきましては、営業利益1億9千5百万円(前期比3.8%増)、経常利益2億2百万円(前期比8.1%増)、当期純利益1億4千8百千円(前期比36.6%増)となりました。
事業部門ごとの営業概要は次のとおりであります。
[インフレーション成形機事業]
インフレーション成形機事業につきましては、高機能多層フィルム成形機を複数台納入することが出来ましたが、大型フィルム成形機の納入が前事業年度に比べ少なく、当事業年度の売上高は前年と比べ減少しました。
この結果、売上高は7億6千1百万円(前期比41.4%減)となりました。
[ブロー成形機事業]
ブロー成形機事業につきましては、予定されていた複数の大型成形機の納入検収が順調に進みましたが、小型成形機の売上高が減少し、前事業年度と比較して減少しました。
この結果、売上高は9億3千2百万円(前期比1.9%減)となりました。
[リサイクル装置事業]
リサイクル装置事業につきましては、予定していた大型リサイクル装置の納入検収が進み、売上高は前事業年度と比較して大幅に増加しました。
この結果、売上高は6億1千3百万円(前事業年度3千7百万円)となりました。
[メンテナンス事業]
メンテナンス事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響、ロシアによるウクライナ軍事侵攻による国際的な物流混乱のため調達すべき部品が入荷できず、売上高は前事業年度と比較して減少しました。
この結果、売上高は4億1千1百万円(前期比3.2%減)となりました。
以上の結果、当事業年度の財政状態は次の通りとなりました。
(資産)
当事業年度における資産の残高は、31億9千9百万円(前期比末38.6%増加)となりました。主な要因としては、投資有価証券が3千2百万円、機械装置が3千1百万円減少しましたが、現金及び預金が4億3千3百万円、受取手形及び売掛金並びに電子記録債権が3億9千1百万円、仕掛品が9千5百万円、前渡金が4千7百万円それぞれ増加したことによるもので、前事業年度末に比べ8億9千万円増加しました。
(負債)
当事業年度における負債の残高は、14億4千9百万円(前期比末41.2%増加)となりました。主な要因としては、未払消費税が5千6百万円、社債が4千2百万円、リース債務が2千3百万円減少しましたが、長期借入金が1億9千3百万円、買掛金が1億4千3百万円、支払手形が1億4百万円、前受金が5千1百万円、未払法人税等が4千9百万円がそれぞれ増加したことによるもので、前事業年度末に比べ4億2千2百万円増加しました。
(純資産)
当事業年度における純資産の残高は、17億4千9百万円(前期比末36.5%増加)となりました。主な要因としては、当期純利益1億4千8百万円を計上し、新株発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ1億8千5百万円増加したしましたが、自己株式が取得と売却により2千8百万円増加(純資産の減少)し、配当金の支払額2千5百万円を計上したことによるもので、前事業年度に比べ4億6千7百万円増加しました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と言う。)の期末残高は、12億9百万円(前事業年度比4億3千3百万円増)となりました。
営業活動の結果、減少した資金は2千8百万円となりました。これは主な増加項目として税引前当期純利益の計上2億1百万円及び減価償却費の計上7千7百万円に加え、仕入債務の増加額2億円があったものの、減少項目として売上債権の増加額3億3千9百万円、棚卸資産の増加額1億9百万円、未払消費税の減少額7千1百万円、法人税等の支払額が2千9百万円発生した結果によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、増加した資金は2千万円となりました。これは主に投資有価証券売却による収入が3千1百万円あった結果によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、増加した資金は4億4千万円となりました。これは主に株式発行による収入が3億6千5百万円、長期借入による収入が3億円ありましたが、長期借入金の返済による支出が1億6百万円、社債償還による支出4千2百万円、リース債務の返済による支出2千8百万円、自己株式の取得による支出5千万円、配当金の支払いが2千6百万円それぞれあった結果によるものであります。
当事業年度における生産実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格であります。
当事業年度における受注状況を事業部門別に示すと次のとおりであります。
注) 1 金額は、販売価格であります。
2 部品については、受注額及び受注残高に含まれておりません。
当事業年度における販売実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格であります。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
第2〔事業の状況〕の3〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の状況の概要をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資金状況は、営業活動キャッシュ・フローでは、主な増加項目として税引前当期純利益の計上2億1百万円及び減価償却費の計上7千7百万円に加え、仕入債務の増加額2億円があったものの、減少項目として売上債権の増加額3億3千9百万円、棚卸資産の増加額1億9百万円、未払消費税の減少額7千1百万円、法人税等の支払額が2千9百万円発生した結果により、2千8百万円の減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、投資有価証券売却による収入が3千1百万円あった結果により、2千万円の増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、株式発行による収入が3億6千5百万円、長期借入による収入が3億円ありましたが、長期借入金の返済による支出が1億6百万円、社債償還による支出4千2百万円、リース債務の返済による支出2千8百万円、自己株式の取得による支出5千万円、配当金の支払いが2千6百万円それぞれあった結果により、4億4千万円の増加となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は12億9百万円となりました。
資産面では、投資有価証券が3千2百万円、機械装置が3千1百万円減少しましたが、現金及び預金が4億3千3百万円、受取手形及び売掛金並びに電子記録債権が3億9千1百万円、仕掛品9千5百万円、前渡金が4千7百万円それぞれ増加した結果、前事業年度末に比べ8億9千万円増加しました。投資その他の資産は繰延税金資産が増加しましたが、投資有価証券、長期前払費用の減少により、前事業年度に比べ2千8百万円減少しました。
負債面では、未払消費税が5千6百万円、社債が4千2百万円、リース債務が2千3百万円減少しましたが、長期借入金が1億9千3百万円、買掛金が1億4千3百万円、支払手形が1億4百万円、前受金が5千1百万円、未払法人税等が4千9百万円それぞれ増加した結果、前事業年度末に比べ4億2千2百万円増加しました。
引続き売上債権の回収促進や、棚卸資産の適正化を図るとともに、原価低減や借入金の見直し等により効果的な資金運用を行います。
当社の運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金は自己資金及び金融機関からの借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
また当社は、事業基盤の獲得・拡大を目的としたプラスチックリサイクル機器製造販売並びに廃プラスチックのリサイクル活用等、環境省が主導するプラスチックリサイクルに沿う事業を新規に立ち上げると同時に、当該関連事業を当社グループのもう一つの柱として、成長スピードの向上を目指しており、こうした日々強まる社会的ニーズにこたえ、中核事業として成長せしめることにより、安定した事業運営可能な体制を整えるため、また、もしくは、当社事業に関連する事業分別、例えば、設計から加工、組立まで一貫した製品製造企業を含め当社とのシナジー効果が期待できる企業のM&Aを推進してまいります。これらの事業を推進する投資を行うため、加えて、財務基盤の安定化を図るため、新規発行株式並びに新株予約権の発行による第三者割当による資金調達を実行してまいります。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、722,879千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,209,756千円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されています。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積もりによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 2(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。また、新型コロナウィルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 2(1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
④ 今後の方針
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
a. インフレーション成形機事業では、市場は成熟化しているものの、競合他社の新機能製品を上回る製品開発が求められ、生分解フィルム等用途が拡大する分野での新機能開発や特許取得等開発投資が必要です。社会問題となっておりますマイクロプラスチックや廃プラスチック問題に対して、生分解性樹脂、及びバイオプラスチックを用いた包装資材用フィルム成形機の製造生産を引き続き強化してまいります。
b. ブロー成形機事業では、購入先の一つである自動車メーカーを中心に飛躍的な技術開発が進んでいます。世界的な半導体不足による自動車生産の停滞という問題がありますので、既存製品分野では大きな伸びは難しいと考えています。これまでのガソリン車を中心とした製造から、将来は電気自動車や燃料電池車(水素自動車)等への移行が進むことが予想されており、従来のニーズを凌駕する変革に対応していく必要があります。そのため、これまでのブロー成形機を基にして、高機能かつ高効率化新製品開発が必要であり、様々な研究開発投資が必要となります。2022年4月にはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業の一部門である「車載機器用高圧水素適合性高分子材料検討ワーキンググループ」に参加が認められ、次世代自動車の研究開発の一翼を担うことになりました。新しい技術開発に向けて研究開発を行ってまいります。
c. リサイクル事業では、プラスチックを資源として循環させることを戦略とするリサイクル事業部を中心に、プラスチックの選別から破砕、粉砕、溶融、造粒、再商品化、そしてプラスチックの選別へ。とプラスチック資源の循環を図るプラスチックリサイクルプラントとすることに注力いたします。
d. メンテナンス事業では、半導体不足による電気品納期の長期化及び世界的な物流混乱の影響が懸念されますが、省力化、高機能化への装置改良に加え定期修理など顧客への提案を重点に置き売上高の増加を図ります。
e. 生産面については、最新鋭の高性能加工機械装置および工場設備補強等を行い、更なる品質の向上と市場の要請に迅速かつ柔軟に対応できる生産体制づくりに取り組み、目標利益の確保を目指します。
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