業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において判断したものです。

 

<経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容>

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりです。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の影響は依然として予断を許さない状況が続いており、ロシア・ウクライナ情勢の影響を受けて、世界経済は先行きの不透明さが増しています。

 こうした状況の中、当社グループは、従業員及び関係先の健康と安全を最優先し、顧客と協力して必要な対応を速やかにとりながら手持ちプロジェクトを遂行しています。

 当社グループを取り巻く事業環境は、脱炭素化・水素社会への移行の加速、低炭素・再生可能エネルギーの更なる普及、デジタル技術の革新的な進化など大きく変化しています。当社グループではこうした事業環境の変化を先取りして、当社グループの未来を拓く分野への展開を経営の重点施策の一翼として位置付けてきました。2021年5月には中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」をアップデートし、当面の安定収益を支える既存事業の深化と、当社の未来を拓く新規事業の取り組みを更に加速していくことにしました。

 既存事業で確実に収益を確保しながら、成長分野と位置付ける、再生可能エネルギー、水素、炭素循環、エネル

ギーマネジメント、ライフサイエンスなどの新規事業を強化し、デジタルトランスフォーメーションを通じたビジネスモデルの付加価値向上を図ることで、事業ポートフォリオの革新を進め、安定的な収益基盤を確立し、持続的な成長と企業価値の一層の向上を目指します。

 

 当連結会計年度における業績は、次のとおりです。

 

(受注工事高)

 受注工事高は、前連結会計年度比53.7%減の4,159億40百万円となりました。なお、当連結会計年度末受注残高は1兆3,310億14百万円となりました。受注工事高の概要は、「報告セグメントであるエンジニアリング事業の分野別概況」に記載のとおりです。

 

(完成工事高)

 完成工事高は、前連結会計年度比1.4%減の3,111億15百万円となりました。完成工事高の概要は、「報告セグメントであるエンジニアリング事業の分野別概況」に記載のとおりです。

 

(完成工事総利益)

 完成工事総利益は、想定以上に堅調に進捗した案件があった一方で、新型コロナウイルス感染症拡大やウクライナ危機を背景とした資材価格・輸送費の高騰やサプライチェーンへの影響を収益予想へ保守的に反映した案件があったこと等から、前連結会計年度の完成工事総利益200億61百万円に対し、227億94百万円となりました。また、完成工事総利益率は前連結会計年度の6.4%から1.0ポイント増加し7.3%となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」に掲げた固定費削減施策の着実な遂行により、前連結会計年度に比べ7億96百万円減少し122億49百万円となりました。また、販売費及び一般管理費比率は前連結会計年度の4.1%から0.2ポイント減少し3.9%となりました。

 

(営業利益)

 営業利益は、完成工事総利益と同様の理由により、前連結会計年度に比べ35億29百万円増加し105億45百万円の営業利益となりました。

 

(営業外収益・営業外費用)

 営業外収益及び営業外費用は、前連結会計年度の14億47百万円の収益超過に対し、8億86百万円の収益超過となりました。

 また、受取利息・受取配当金から支払利息を差し引いた金融収支は、前連結会計年度の4億83百万円の入金超過に比べ6億74百万円減少し1億91百万円の出金超過となりました。持分法による投資損益は、前連結会計年度の33百万円の投資利益に比べ、当連結会計年度は3億21百万円の投資損失となりました。

 

(経常利益)

 経常利益は、完成工事総利益と同様の理由及び営業外収益が収益超過となったことにより、前連結会計年度に比べ収益が29億69百万円増加し114億31百万円となりました。

 

(特別利益・特別損失)

 特別利益及び特別損失は、前連結会計年度が4億13百万円の収益超過であったのに対し、当連結会計年度は、顧客との和解等によるプロジェクト関連損失等の計上により206億90百万円の損失超過となりました。

 

(法人税、住民税及び事業税・法人税等調整額)

 税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ181億34百万円減少し92億58百万円の損失となりました。

 法人税、住民税及び事業税は35億9百万円、法人税等調整額は59百万円となり、前連結会計年度に比べ26億87百万円の増加となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ206億22百万円減少し126億29百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。

 

 

報告セグメントであるエンジニアリング事業の分野別概況は、次のとおりです。

 

[エネルギー分野]

(LNG・その他ガス関係)

 海外では、カタール、アメリカ、インドネシア、ナイジェリアでLNGプラントのEPC業務を遂行中です。

カタールでは、年産800万トンのLNGプラント4系列の増設案件であるNFEプロジェクトのEPC業務を遂行中です。アメリカでは、ゴールデンパスLNGプロジェクトのEPC業務を遂行中です。ナイジェリアのLNGプロジェクトでは、パートナーが実施する設計のレビューなどの技術支援業務を行っています。その他ガス分野では、

カタールの当社グループ会社がLNG・ガス処理プラントの改造・改修案件に係る複数の設計業務を遂行中です。

 国内では、当社が建設したLNG受入基地の増強・改造・改修や火力発電所向けガス供給設備の新設等のEPC業務を遂行中であり、地震・津波災害対策工事については完工しました。

 当連結会計年度の受注工事高は165億27百万円(前連結会計年度比97.9%減)となり、完成工事高は1,595億17百万円(同37.4%増)となりました。

 

(石油・石油化学分野)

 海外では、アメリカメキシコ湾岸でエチレン生産プラントのEPC業務を契約より早期完工しました。マレーシアで残油流動接触分解装置のEPCC(設計・調達・建設・試運転)業務を遂行中です。

 国内では、石油会社向けに、製油所の競争力強化、設備更新の工事、省エネやカーボンニュートラルに資する各種検討及び耐震補強等の国土強靭化基本法対応の検討業務などを遂行中です。また、船舶燃料硫黄分規制への対策を目的とした既設設備改修工事を完工し、石油化学分野では新規機能材案件を受注し遂行中です。

 当連結会計年度の受注工事高は323億52百万円(同28.3%減)となり、完成工事高は566億70百万円(同52.4%減)となりました。

[地球環境分野]

(医薬・生化学・一般化学関係)

 医薬・生化学分野では、塩野義製薬㈱向け遺伝子組換えタンパク質によるワクチン原薬製造設備の増設及び付帯設備、バイオ医薬品原薬製造工場のEPC業務を遂行中です。EPC事業分野以外では、当社の連続フロー合成技術を実装することを目的とし、シオノギファーマ㈱が設立した医薬品原薬・中間体の連続生産技術を用いた開発製造受託事業を行う合弁会社に参画することを決定しました。

 一般化学分野では、カーボンリサイクル技術の確立に向けて、産学官連携でCO2の回収・資源化やCO2を原料とするパラキシレン製造についての研究開発に取り組んでいます。さらに、顧客の廃プラスチックのリサイクル事業について基本設計業務を遂行しています。

 植物工場分野では、引き続き商業設備の導入推進に取り組んでいます。

 当連結会計年度の受注工事高は411億17百万円(同18.0%減)となり、完成工事高は326億81百万円(同22.3%増)となりました。

 

(環境・新エネルギー・インフラ関係)

 環境分野では、インドで環境規制強化により石炭火力発電所への排煙脱硫設備の導入が進む中、当社のCT-121排煙脱硫プロセスが複数の案件に活用されています。

 国内では、火力発電所の燃焼廃ガスからCO2を分離・回収・貯蔵する(CCS)実証設備の運転支援業務及び一部改造工事を遂行中です。また、石炭火力発電所向けの排煙脱硫設備のEPC業務を遂行中です。

 CO2利用・回収(CCU)分野では、アメリカBlue Planet社、三菱商事㈱との協業で、排ガス等に含まれるCO2を原料にしてコンクリート原料である骨材を製造する技術の開発とその事業化を推進しています。 

 新エネルギー分野では、世界最大級の蓄電池システム建設、太陽光発電設備(メガソーラー)建設、木質

ペレットを燃料とする国内最大級のバイオマス発電所建設に係るEPC業務を遂行するとともに、今後大きな

マーケットが予測される洋上風力発電分野への参入を検討しています。

 インフラ分野では、2021年7月に受注したMSPプロジェクトのEPC業務を遂行中です。国内では、ポリプロピレン重合用触媒製造工場のEPC業務を遂行中です。

 水素事業(水素・アンモニア)の取り組み状況は次のとおりです。

 当社のSPERA水素™技術の優位性を生かした水素バリューチェーンの構築に向けて、複数の具体的な検討や協議を進めています。欧州では、オランダのロッテルダム港湾公社、Koole Terminals、三菱商事㈱とともに、商業規模の水素輸入による国際間水素サプライチェーン構築の検討を開始しています。東南アジアでは、シンガポールにおけるクリーン水素サプライチェーン事業の実現に向けて、総合ユーティリティや都市開発を事業とするSembcorp Industries社をはじめとする現地民間各社、三菱商事㈱とともに具体的な検討を進めています。国内では、ENEOS㈱、オーストラリアのクイーンズランド工科大学とともに進めているCO2フリー水素の製造、輸送、脱水素に関する技術実証において、世界で初めて燃料電気自動車(FCV)へCO2フリー水素を充填することに成功しました。また、ENEOS㈱が推進する技術実証支援事業において、当社が組合員企業として参画する次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合が、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)助成事業にてブルネイで製造したメチルシクロヘキサン(MCH)を世界で初めて既存のケミカルタンカーで海上輸送し、日本の製油所へ納入しました。

 アンモニア関連分野では、当社が主幹事会社となり、産学官連携で製造コストの低減を実現する新規アンモニア合成技術の開発をNEDOのグリーンイノベーション基金事業として進めています。

 また、国内におけるアンモニア受入設備や水素燃料供給に関する複数の検討業務を遂行中です。

 当連結会計年度の受注工事高は3,223億66百万円(2,467.7%増)となり、完成工事高は590億69百万円(同20.9%増)となりました。

 

[デジタル技術革新分野]

 全社DXを加速するためにCDO室を新設し、全社DXの基盤となるデジタル人財の育成やDX意識・文化の醸成等を図るとともに、プロジェクトデジタル変革、コーポレートデジタル変革、デジタル変革ビジネスへの取り組みを進めています。

 プロジェクトデジタル変革では、EPC遂行管理力の進化に向けて、AWP(Advanced Work Packaging)適用のためのシステムを大型プロジェクトに順次適用しています。また、プラントの基本設計業務のうち空間設計にかかる工数の80%程度を削減し、従来の約5倍の速度で三次元モデルの作成を可能とする革新的な設計システムを当社及び㈱Arentが共同出資する㈱PlantStreamにより開発を進め、自社の設計業務を改革するとともに、世界中のプラントオーナーやEPCコントラクターへの販売を進めています。

 コーポレートデジタル変革では、デジタル技術を活用したリモートワーク環境の更なる整備、ロボティックスプロセスオートメーション導入による管理業務の効率化、電子認証・電子契約を推進しています。

 デジタル変革ビジネスでは、国内外の顧客に対し、エンジニアリングの知見とデジタルAI技術を融合させたプラント操業の最適化ソリューションであるEFEXIS®及びCognite㈱、三菱商事㈱とともに進める、産業設備・プラント向けデジタルプラットフォームソリューション Mirai Fusionの提供を拡大しています。

 

 経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項、及び、それらに対する対応については、2.事業等のリスクに記載しています。

 現在は、カタール、アメリカ、インドネシアで遂行中のLNG等のプロジェクトのほか、手持ち工事を着実に遂行していきます。

 新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を最小限に抑えるべく顧客や業務委託先等と協議を行いながら対応を進めるとともに、2021年5月に公表した「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」のアップデートでも言及しているとおり、脱炭素社会への移行加速や石油ガス業界の急激な変革進行への対応、再生可能エネルギー分野及び医薬ライフサイエンス分野等の更なる強化、並びにデジタル徹底活用による全社事業変革を強力に推し進めていきます。

 また、当社グループは、従業員が心身ともに健康を保持して能力を最大限に発揮することが、当社グループの経営理念達成や競争力の向上に不可欠であると考え、人財たる従業員を支えるため、健康経営に取り組みます。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

 ① 受注実績

事業部門の名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

受注高

受注残高

受注高

受注残高

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

<前年同期比>

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

1 エンジニアリング事業

898,125

99.9

1,126,072

100.0

415,219

99.9

1,331,014

100.0

(△269,216)

< 53.8%減>

( 100,117)

エネルギー

分野

(1) LNGプラント関係

782,809

87.1

956,187

84.9

15,292

3.7

914,960

68.8

(△159,601)

< 98.0%減>

(  98,935)

(2) その他ガス関係

3,210

0.4

6,032

0.6

1,235

0.3

3,006

0.2

(   △84)

< 61.5%減>

(  △197)

(3) 石油・石油化学関係

45,130

5.0

49,931

4.4

32,352

7.8

27,188

2.0

(△4,869)

< 28.3%減>

(  1,575)

地球環境

分野

(4) 医薬・生化学

  ・一般化学関係

50,148

5.5

43,285

3.8

41,117

9.9

50,429

3.8

(  △207)

< 18.0%減>

( △1,292)

(5) 環境・新エネルギー

  ・インフラ関係

12,554

1.4

68,425

6.1

322,366

77.5

332,737

25.0

(△104,326)

<2,467.7%増>

(  1,015)

(6) その他

4,271

0.5

2,209

0.2

2,854

0.7

2,690

0.2

(  △125)

< 33.2%減>

(    81)

2 その他の事業

708

0.1

     -

721

0.1

      -

(    -)

<  1.8%増>

(    -)

総 合 計

898,834

100.0

1,126,072

100.0

415,940

100.0

1,331,014

100.0

(△269,216)

< 53.7%減>

( 100,117)

 

  なお、国内及び海外の受注高並びに受注残高の内訳は、次のとおりです。

国内外内訳

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

受注高

受注残高

受注高

受注残高

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

<前年同期比>

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

国   内

103,765

11.5

135,190

12.0

86,525

20.8

104,121

7.8

( △2,049)

<  16.6%減>

(   82)

海   外

795,069

88.5

990,881

88.0

329,414

79.2

1,226,893

92.2

(△267,167)

<  58.6%減>

(100,034)

合   計

898,834

100.0

1,126,072

100.0

415,940

100.0

1,331,014

100.0

(△269,216)

<  53.7%減>

(100,117)

(注)1  受注残高の( )内の数字は、前連結会計年度以前に受注した工事の契約変更等による減額及び外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額の合計を加味しています。

2  当連結会計年度第2四半期連結会計期間より、エンジニアリング事業のうちエネルギー分野及び地球環境分野の内訳について一部名称及び区分定義を変更しており、前連結会計年度についても変更後の区分定義に基づき開示しています。なお、報告セグメントの取扱いに変更はありません。

 

 ② 売上実績

事業部門の名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

<前年同期比>

構成比(%)

1 エンジニアリング事業

314,684

99.8

310,394

99.8

<  1.4%減>

エネルギー

分野

(1) LNGプラント関係

104,839

33.2

155,454

50.0

< 48.3%増>

(2) その他ガス関係

11,274

3.6

4,063

1.3

< 64.0%減>

(3) 石油・石油化学関係

118,952

37.7

56,670

18.2

< 52.4%減>

地球環境

分野

(4) 医薬・生化学

  ・一般化学関係

26,718

8.5

32,681

10.5

< 22.3%増>

(5) 環境・新エネルギー

  ・インフラ関係

48,854

15.5

59,069

19.0

< 20.9%増>

(6) その他

4,044

1.3

2,455

0.8

< 39.3%減>

2 その他の事業

708

0.2

721

0.2

<  1.8%増>

総 合 計

315,393

100.0

311,115

100.0

<  1.4%減>

 

  なお、国内及び海外の売上実績の内訳は、次のとおりです。

国内外内訳

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

<前年同期比>

構成比(%)

国   内

146,084

46.3

117,677

37.8

<  19.4%減>

海   外

169,308

53.7

193,437

62.2

<  14.3%増>

合   計

315,393

100.0

311,115

100.0

<   1.4%減>

  (注) 1  当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載していません。

       2  主な相手先別の売上実績及び総売上高に対する割合は次のとおりです。

前連結会計年度

当連結会計年度

 相手先

金額

(百万円)

割合

(%)

 相手先

金額

(百万円)

割合

(%)

ガルフ・コースト・グロウス・ベンチャーズ・エルエルシー

55,076

17.5

カタールエナジー

75,437

24.2

ビーピー・ベラウ・エルティーディー

34,058

10.8

ビーピー・ベラウ・エルティーディー

31,521

10.1

       3  当連結会計年度第2四半期連結会計期間より、エンジニアリング事業のうちエネルギー分野及び地球環境分野の内訳について一部名称及び区分定義を変更しており、前連結会計年度についても変更後の区分定義に基づき開示しています。なお、報告セグメントの取扱いに変更はありません。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は690億99百万円となり、前連結会計年度末残高より296億38百万円減少しました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。

 

営業活動による資金収支

税金等調整前当期純損失92億58百万円の計上に加えて、契約負債の増加によるプラスの一方、ジョイントベンチャー持分資産の増加によるマイナスなどにより、当連結会計年度における営業活動による資金収支は、255億91百万円のマイナスとなりました。

 

投資活動による資金収支

無形固定資産の取得による支出16億24百万円、貸付けによる支出9億87百万円、投資有価証券の取得による支出7億20百万円などにより、当連結会計年度における投資活動による資金収支は、37億87百万円のマイナスとなりました。

 

財務活動による資金収支

配当金の支払いによる支出36億36百万円、長期借入金の返済による支出1億26百万円などにより、当連結会計年度における財務活動による資金収支は、41億97百万円のマイナスとなりました。

 

② 資金需要

当社グループの資金需要のうち主なものは、当社が受注した国内外のプラント建設に関わる費用、販売費及び一般管理費のほか、今後の成長戦略を支えるための投資です。販売費及び一般管理費のうち主なものは、従業員給与 手当等の人件費のほか、業務委託費等です。当社の研究開発費は、研究開発に携わる従業員の人件費が過半を占めています。

今後の成長戦略を支えるための投資については、当社グループは2021年5月にアップデートされた中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」で事業ポートフォリオと収益構造の革新を掲げており、既存事業の深化を図りながら、当社の未来を拓く新規事業を加速することで、事業基盤を強化し、持続的な成長を実現していくことを目指しています。資金配分については、このビジョンに沿って既存事業の深化と新規事業の加速をバランスよく実行していきます。

既存事業の深化では、EPC業務プロセスの変革とプロジェクト遂行力の強化に重点的に投資していきます。新規事業の加速では、カーボンニュートラル分野、ライフサイエンス分野を対象とした投資を強化していきます。そして、両分野でのビジネスモデルにさらなる付加価値を付けていくためにデジタルトランスフォーメーションを図る投資も推進していきます。

 

③ 財務政策

当社グループは、上記中期経営計画を確実に遂行するうえで、長期にわたる大型プロジェクトの円滑な遂行の観点から、安定した財務基盤を維持すること、及び新規事業の加速に備えた資金余力を確保するため、自己資本比率については20%以上を安定的に維持することを目標としています。

また、当社グループは、資金需要に対して、内部資金又は借入により資金調達することとしています。このうち借入に関して、当社は三菱商事㈱の完全子会社である三菱商事フィナンシャルサービス㈱と締結した総額800億円の融資枠を有しています。

上記融資枠800億円を活用し、上記中期経営計画で掲げた事業環境の変化を捉えた事業ポートフォリオと収益構造の変革を加速させ、当社グループを安定的に運営する資金を創出していくと同時に、その延長線上で、安定的な配当を早期に実施できるように努めてまいります。

 

(4) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。一般に公正妥当と認められる連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産及び負債の報告額や、報告対象期間中の収益及び費用の報告額に影響する判断及び見積りを行うことが要求されます。当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づいて判断及び見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合もあります。

 

 当社グループの見積りや判断を含む重要な会計方針は、連結財務諸表注記の「4 会計方針に関する事項」に記載しています。また、会計方針の適用において使用される当社の判断と見積りのうち、当社グループの連結財務諸表の報告額に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられるものについては、連結財務諸表注記の「4 会計方針に関する事項(重要な会計上の見積り)」 に記載しています。

 

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