(1) エンジニアリング事業
当社の研究開発活動は、それぞれの時代、或いは、将来の社会・顧客課題の解決、それを通じたビジネスの発掘、受注の促進、付加価値の増大、技術優位性の確立等に寄与する技術・商品の開発を目指し、以下の4つを重点分野として取り組んでいます。
①ガス・石油・環境分野
②再生可能エネルギー分野
③バイオ・医薬・ライフサイエンス分野
④エンジニアリング力強化
<ガス・石油・環境分野>
・軽油の超深度脱硫用として開発したハイブリッドチタニア触媒(CT-HBT®)は、国内の商業装置へ6件の納入実績があり、何れも顧客から高い評価を頂いています。国内他社へのセールス活動に加えて、海外へ展開すべく、海外パートナー候補企業との協議を進めています。
・既に多くの商業化実績のある排煙脱硫技術では、湿式石灰石石膏法排煙脱硫装置(CT-121 CHIYODATHOROUGHBRED 121®)は、インドL&T社とライセンス契約を締結し、インド市場において複数の案件を受注、更なる拡大を目指しています。
・その他CO2の化成品等への有効利用に向けた開発及び実用化について積極的に取り組んでいます。CO2の化成品への有効利用の一例として、ポリエステル繊維やペットボトル用樹脂等の原料となるパラキシレン製造に関する技術開発を開始しており、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業として共同研究者である国立大学法人富山大学、日鉄エンジニアリング㈱、日本製鉄㈱、ハイケム㈱、三菱商事㈱と協力して画期的な触媒の改良、量産技術の開発やCO2削減効果を含めた事業性検討などを進めています。またアメリカBlue Planet社、三菱商事㈱と共に、CO2の炭酸塩化に関する技術開発と事業化を推進しています。
<再生可能エネルギー分野>
・将来の水素エネルギー社会への対応として、有機ケミカルハイドライドを用いた水素輸送/貯蔵システム(SPERA水素TM)の開発を実施しており、三菱商事㈱、三井物産㈱、日本郵船㈱と共同で、ブルネイで調達した水素を日本へ輸送・供給するNEDO実証事業を2020年12月無事に完了し当技術の商業規模へのスケールアップが可能であることを確認しました。同システムについては、シンガポール水素社会実現の鍵となる候補技術としても注目されており、同国政府・関係民間各社との間で覚書を締結し、当社の独自技術を用いた水素の輸入利用・事業化に向けての技術及び商務面での協議・検討を進めています。さらに2022年3月からはシンガポール政府からの助成金交付を得て現地大学NTU(Nanyang Technological University)およびNUS(National University of Singapore)の研究者と共に水素サプライチェーン構築のための連携プログラムを進めています。
・CO2を電気還元してオレフィンやアルコールに転換する技術は、NEDOのムーンショット型研究開発事業に採択されました。国立研究開発法人理化学研究所、古河電気工業㈱、UBE㈱、清水建設㈱、国立大学法人東京大学及び国立大学法人大阪大学と共同で開発を進めていきます。
・アンモニアの燃料利用拡大に向けアンモニア製造コストを低減する新触媒の開発・技術実証はNEDOのグリーンイノベーション基金事業に採択され、東京電力ホールディングス㈱、JERA㈱と共同で開発を進めていきます。
<バイオ・医薬・ライフサイエンス分野>
・医薬・ライフサイエンス分野では、シオノギファーマ㈱と協力して医薬品開発のスピードアップと生産時の品質や作業安全性の向上を可能とする医薬品原薬・中間体の連続生産技術の開発・検討を実施し、同技術を実装するため、シオノギファーマ㈱を中心としてジョイントベンチャーを設立することを決定し、当社もこれに参画することにしました。また、再生医療等製品・細胞医薬品を安全かつ安定に製造するため、筑波大学内に設置したつくば幹細胞ラボと連携し、iPS細胞等幹細胞の品質評価・製造プロセスに関する技術開発を進めています。
<エンジニアリング力強化>
・プラント建設やO&M(オペレーション&メンテナンス)で重要となる3次元解析(FEM解析、熱流動解析等)やダイナミック・シミュレーションを中心とした運転最適化と設備保全技術の高度化を図っています。また、国土強靭化法に沿った製油所・油槽所を中心とするプラント設備や燃料供給基地の耐震診断や補強対策検討、老朽化対応技術を高度化、我が国の要となるエネルギー供給設備の強化事業にも参画し、我が国のエネルギー安全保障に貢献しています。
・デジタルイノベーション関連では、一般社団法人社会実装推進センターの令和2年度補正 産業保安高度化推進事業費補助金に採択され、西部石油㈱と共同で「装置監視AIを活用した運転支援システム構築事業」を遂行し、実装後の効果検証を開始しました。
なお、当社は研究開発センターを含む技術開発部約60名を中心に研究開発業務を遂行しており、当連結会計年度中に支出した研究開発費の総額は
(2) その他の事業
該当活動はありません。
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