業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要な会計方針」、「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

(2) 経営成績

当期における世界経済は、新型コロナウイルス変異株の感染拡大による行動制限や物流混乱の影響により回復の勢いが弱くなることもありましたが、各国の景気対策やワクチン接種の普及により経済活動が正常化に向かったことで持ち直しの動きがみられました。

当社グループを取り巻く市場環境は、国内においては、製造業の生産活動は半導体不足など原材料の供給制約により一部に弱さがみられましたが、回復傾向が続き設備投資も持ち直しの動きがみられました。海外においては、欧米および中国の景気は緩やかな回復が続きましたが、アジアの一部は新型コロナウイルス感染の再拡大の影響により景気の回復に弱さがみられました。

このような中、当社グループは、中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)の4年目である当期において、顧客にとって長期的に必要不可欠なパートナーとなることを目指し、社会や顧客の課題に対する深い理解に基づいた節水やCO2排出削減、廃棄物削減といった環境負荷低減、生産性の向上など顧客の課題解決に貢献する総合ソリューションやCSVビジネスの拡大に注力しました。また、収益性の改善に向けて、高収益事業である超純水供給事業や精密洗浄事業では、顧客の生産能力拡大への対応や新規案件の開拓に取り組み成果を上げ、水処理装置の設計、施工プロセスにおいては、不適合再発・未然防止モデルの活用により追加コストの発生抑制を図りました。海外では、世界各地域における事業ポートフォリオや生産販売体制の見直しにより、高収益事業の拡大を進めるとともに、外部環境に左右されにくい事業体制の構築に取り組みました。また、中東のクリタ・アクアケミーLtd.とその子会社2社およびカナダのキーテック・ウォーター・マネジメントを連結子会社化し、経営成績を新規に連結しております。

これらの結果、当連結会計年度の受注高は315,240百万円(前年同期比20.2%増)、売上高は288,207百万円(前年同期比7.6%増)となりました。利益につきましては、事業利益は32,944百万円(前年同期比11.8%増)、営業利益は35,734百万円(前年同期比13.3%増)、税引前利益は30,079百万円(前年同期比3.2%増)となりましたが、米国のペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の非支配株主と締結した先渡契約に係る負債の事後測定により金融費用5,496百万円を計上したことから、親会社の所有者に帰属する当期利益は18,471百万円(前年同期比3.2%減)となりました。なお、当連結会計年度においては、その他の収益6,119百万円、その他の費用3,329百万円を計上しております。その他の収益には、主に旧本社(新宿)と大阪支社の不動産を売却したことによる固定資産売却益4,079百万円が含まれております。一方、その他の費用には固定資産の減損損失1,028百万円が含まれております。固定資産の減損損失は、主に当社の国内水処理装置事業の製造拠点再編に伴う山口事業所閉鎖や中国における水処理薬品の生産体制見直しによる栗田水処理新材料(江陰)有限公司(水処理薬品事業)の工場稼働停止決定に伴い発生したものであります。

 

(水処理薬品事業)

受注高・売上高につきましては、国内では、製造業の生産活動回復の動きを受け、顧客の工場稼働率が上昇し増加しました。海外では、前期の新型コロナウイルス感染拡大による経済活動停滞に伴う需要減少の反動増に加え、第1四半期連結会計期間に買収した中東およびカナダの子会社の経営成績を新規に連結したことや円安が進んだことに伴う海外子会社の円換算額の増加もあり、受注高・売上高はともに増加しました。これらの結果、当社グループの水処理薬品事業全体の受注高は118,401百万円(前年同期比14.3%増)、売上高は117,672百万円(前年同期比14.0%増)となりました。利益につきましては、営業活動の通常状態への回復が進んだことに伴う経費の増加や原材料価格高騰の影響がありましたが、売上高が増加したことにより、事業利益は13,589百万円(前年同期比10.6%増)となり、営業利益は海外子会社での為替差益計上もあり、14,560百万円(前年同期比23.2%増)となりました。

 

(水処理装置事業)

国内では、電子産業分野向けの水処理装置の受注高は大型案件の受注により大幅に増加し、売上高も大型案件の工事進捗により増加しました。同分野向けのメンテナンス・サービスの受注高・売上高は、顧客の工場稼働率が堅調に推移したことを背景とした増設および消耗品交換などの修繕案件により、増加しました。一般産業分野向けの水処理装置は、受注高が大型案件の受注取消により大幅に減少し、売上高も大型案件の売上計上が一巡し減少しました。同分野向けのメンテナンス・サービスの受注高は、採算性を重視した営業活動により減少しましたが、売上高は顧客の工場稼働率の回復を背景に需要が伸長し、増加しました。電力分野向け水処理装置は、大型案件の受注の減少と受注残からの売上計上の一巡により、受注高・売上高ともに減少しました。土壌浄化の受注高は増加しましたが、売上高は大型案件の売上計上が一巡し、減少しました。海外では、東アジアの電子産業向けの水処理装置の大型案件の受注・売上計上があったことに加え、精密洗浄の需要が伸長したことにより、受注高・売上高ともに増加しました。なお、超純水供給事業の国内および海外を合わせた売上高は、前期に開始した契約案件に加え、新規稼働した案件の売上貢献により増収となりました。

これらの結果、当社グループの水処理装置事業全体の受注高は196,839百万円(前年同期比24.0%増)、売上高は170,534百万円(前年同期比3.7%増)となりました。利益につきましては、主に原価低減など収益性改善に努めた結果、事業利益は19,391百万円(前年同期比13.2%増)となり、営業利益は前期にその他の収益に計上した超純水供給事業における一部顧客との契約の解除に伴う清算益2,066百万円がなくなったものの、21,169百万円(前年同期比7.8%増)となりました。

生産、受注および販売の実績は、以下のとおりであります。

①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

 前年同期比(%)

水処理薬品事業(百万円)

119,951

117.3

水処理装置事業(百万円)

170,819

103.4

合計(百万円)

290,770

108.7

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

②受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

水処理薬品事業

118,401

114.3

5,459

114.5

水処理装置事業

196,839

124.0

83,542

146.6

合計

315,240

120.2

89,001

144.1

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

 前年同期比(%)

水処理薬品事業(百万円)

117,672

114.0

水処理装置事業(百万円)

170,534

103.7

合計(百万円)

288,207

107.6

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(3) 財政状態

①資産合計  469,981百万円(前連結会計年度末比45,053百万円増加)

流動資産は178,396百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,914百万円増加しました。これは主に有形固定資産の取得による支出や法人所得税の支払等により現金及び現金同等物が16,498百万円減少したものの、増収影響により営業債権及びその他の債権が11,147百万円増加したことに加え、その他の流動資産、棚卸資産がそれぞれ3,784百万円、3,221百万円増加したためであります。

非流動資産は291,585百万円となり、前連結会計年度末に比べ43,140百万円増加しました。有形固定資産の増加(43,431百万円)は、主に当社が2022年4月に東京都昭島市で新たな研究開発拠点Kurita Innovation Hub(クリタイノベーションハブ)を開設したことや超純水供給事業 (水処理装置事業)に係る設備の新規取得によるものであります。のれんの増加(7,396百万円)は、海外子会社で計上しているのれんの円換算額が円安により増加したことに加えて、第1四半期連結会計期間より中東のクリタ・アクアケミーLtd.(水処理薬品事業)の株式51%分を取得し、その100%子会社2社も含めて連結子会社化したこと、およびカナダのキーテック・ウォーター・マネジメント(水処理薬品事業)を買収し、連結子会社化したことによるものであります。その他の金融資産の減少(10,552百万円)および繰延税金資産の増加(2,872百万円)は、主に政策保有株式の一部を売却したためであります。

 

②負債合計  192,119百万円(前連結会計年度末比25,029百万円増加)

流動負債は113,927百万円となり、前連結会計年度末に比べ38,975百万円増加しました。これは主にその他の金融負債、営業債務及びその他の債務、社債及び借入金がそれぞれ19,613百万円、11,461百万円、7,735百万円増加したためであります。その他の金融負債は米国のペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(水処理装置事業)の非支配株主と締結した先渡契約に係る負債を事後測定したことに加え非流動負債から振り替えた結果増加しました

非流動負債は78,191百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,946百万円減少しました。これは主に前述した先渡契約に係る負債を流動負債へ振り替えたことでその他の金融負債が11,946百万円減少したためであります

 

③資本合計  277,862百万円(前連結会計年度末比20,025百万円増加)

主に親会社の所有者に帰属する当期利益の計上などにより利益剰余金が15,935百万円、円安外国通貨高に伴う在外営業活動体の換算差額の計上などによりその他の資本の構成要素が3,661百万円それぞれ増加したためであります。

 

当連結会計年度末における資産をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注)

連結財務諸表

計上額

水処理薬品事業

水処理装置事業

セグメント資産

148,267

274,119

422,386

47,595

469,981

(注)主なものは各報告セグメントに配分していない全社資産であります。

 

(4) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は45,730百万円(前連結会計年度末比16,497百万円減少)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は28,737百万円(前年同期比11,265百万円減少)となりました。これは主に税引前利益30,079百万円、減価償却費及び償却費23,412百万円などで資金が増加したものの、法人所得税の支払額13,308百万円、営業債権及びその他の債権の増減額6,713百万円などで資金が減少したためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動で使用した資金は39,929百万円(前年同期比29,158百万円増加)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入で9,197百万円、有形固定資産の売却による収入で8,743百万円の資金を得た一方で、有形固定資産の取得による支出55,096百万円などで資金を使用したためであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動で使用した資金は7,927百万円(前年同期比10,925百万円減少)となりました。これは主に短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増減額で7,577百万円の資金を得た一方で、配当金の支払額8,797百万円、リース負債の返済による支出5,005百万円などで資金を使用したためであります。

 

当社グループは事業運営上必要な流動性確保と安定した資金調達体制の確立を基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本とし、設備投資やその他成長分野への投資資金は自己資金を基本としつつも、必要に応じて債券市場での調達や銀行借入を想定しております。なお、当連結会計年度末において、取引金融機関1社とコミットメント・ライン契約を締結しております(借入実行残高 -百万円、借入未実行残高 20,000百万円)。

 

(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

中期経営計画「MVP-22」に対する達成状況については、以下のとおりであります。

 

2021年3月期実績

2022年3月期実績

2023年3月期目標

売上高年平均成長率

(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)

△1.1%

0.2%

3%以上

売上高事業利益率

11.0%

11.4%

15%

親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)

7.7%

7.0%

10%以上

 

 

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