業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
 ① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国経済は、前期に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況の中で推移しましたが、感染対策の徹底やワクチン接種が促進され、社会経済活動が正常化に向かう中で、景気は持ち直しの動きも見られました。しかしながら、変異株の出現による新型コロナウイルス感染症の再拡大やウクライナ情勢等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
 当社を取り巻く事業環境につきましては、石油業界では、自動車の低燃費化を主要因とする構造的な需要低下により精製能力の削減と稼働調整が行われており、加えて新型コロナウイルス感染症の影響により製品需要が低迷しています。
 また、石油化学や一般化学業界では、一部で需要回復の兆しは見られるものの、全般的には新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、製品需要が低迷した状況が続きました。
  工事施工にかかわるステンレス鋼などの一部資材は、ウクライナ情勢により価格が高騰したものの、国内在庫が確保されており、当期は資材確保の問題はありませんでした。ただし、ウクライナ情勢が長期化した場合、納期の長期化などが今後懸念されます。
 こうした状況下、前期はメンテナンス分野で石油・石油化学関連の定期修理工事が多い年にあたり堅調に推移しましたが、当期はこれらの定期修理工事が少なかったことから、通期では受注高・完成工事高が減少しました。
 収益面におきましては、改造改修工事等の工事量が当初想定を上回ったことに加え、直接工事費や経費の削減、稼働の効率化等により個々の工事における収益性の向上に努めた結果、増益となりました。
 

 

(財政状態)

当連結会計年度末における資産合計は、1,007億81百万円で、前期末より36億59百万円増加しました。これは、未成工事支出金が61億56百万円減少したものの、現金及び預金が61億52百万円、受取手形、完成工事未収入金及び契約資産が30億78百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

当連結会計年度末における負債合計は、214億38百万円で、前期末より17億93百万円減少しました。これは、退職給付に係る負債が16億89百万円減少したこと等によるものであります。

当連結会計年度末における純資産合計は、793億42百万円で、前期末より54億52百万円増加しました。これは、その他有価証券評価差額金が3億13百万円減少したものの、利益剰余金が47億69百万円、退職給付に係る調整累計額が12億30百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

(経営成績)

当社グループの連結の業績は、受注高 1,412億29百万円 (前期比 1.3%減) 、完成工事高 1,298億32百万円(前期比11.0%減)、営業利益109億82百万円(前期比5.7%増)、経常利益112億70百万円(前期比5.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益77億48百万円(前期比5.5%増)となりました。

当社単体の業績は、受注高1,322億9百万円(前期比1.3%減)、完成工事高は1,212億4百万円(前期比11.5%減)、営業利益100億83百万円(前期比7.1%増)、経常利益105億92百万円(前期比6.5%増)、当期純利益86億19百万円(前期比30.0%増)となりました。

 

    受注高の工事種類別内訳                   (単位:百万円)

 

受注高

前連結会計年度( 2021年3月 期)

当連結会計年度( 2022年3月 期)

前期比

増減率

 

メンテナンス

101,210

90,167

△11,043

△10.9%

 

エンジニアリング

41,885

51,062

9,176

21.9%

エンジニアリング業

143,095

141,229

△1,866

△1.3%

 

 

    完成工事高の工事種類別内訳                 (単位:百万円)

 

完成工事高

前連結会計年度( 2021年3月 期)

当連結会計年度( 2022年3月 期)

前期比

増減率

 

メンテナンス

101,364

87,032

△14,332

△14.1

 

エンジニアリング

44,438

42,679

△1,759

△4.0

エンジニアリング業

145,803

129,711

△16,091

△11.0

その他事業

111

121

9

8.6

合 計

145,914

129,832

△16,081

△11.0

 

 

  (注)その他は、不動産の賃貸等などであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金および現金同等物は、前期末に比べ61億48百万円(前期比92.0%)増加し、期末残高は128億35百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュフローは、111億57百万円のプラスとなり、前期に比べ25億65百万円のプラスになりました。主な支出は、未払消費税等の減少額12億59百万円、法人税等の支払額10億51百万円、主な収入は、税金等調整前当期純利益113億16百万円によるものであります

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュフローは、22億25百万円のマイナスとなり、前期に比べ11億23百万円のマイナスとなりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出29億49百万円によるものであります

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュフローは、28億49百万円のマイナスとなり、前期に比べ43億20百万円のプラスとなりました。主な支出は、配当金の支払額29億78百万円によるものであります

 

 

③生産、受注及び販売の実績

 1) 受注実績

事業セグメント別

区分

前連結会計年度(百万円)

当連結会計年度(百万円)

エンジニアリング業

 

 

  石油・石油化学関係

107,957

92,378

  一般工業関係

35,137

48,851

合計

143,095

141,229

 

 

 2) 売上実績

事業セグメント別

区分

前連結会計年度(百万円)

当連結会計年度(百万円)

エンジニアリング業

 

 

  石油・石油化学関係

98,318

90,458

  一般工業関係

47,484

39,252

145,803

129,711

その他の事業

111

121

合計

145,914

129,832

 

 

工事種類別

 

区分

前連結会計年度(百万円)

当連結会計年度(百万円)

エンジニアリング業

 

 

  メンテナンス

101,364

87,032

  エンジニアリング

44,438

42,679

145,803

129,711

その他の事業

111

121

合計

145,914

129,832

 

(注) 1 当社グループでは、エンジニアリング業以外は受注生産を行っておりません。

2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載を省略しております。

3 主な相手先別の完成工事高および総完成工事高に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

完成工事高(百万円)

割合(%)

完成工事高(百万円)

割合(%)

ENEOS㈱

60,708

41.6

44,730

34.5

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、期末日現在の資産、負債および期間中の収益、費用の報告額に影響する判断および見積りが要求され、過去の実績および状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っております。

当社グループは特に以下の会計方針の適用において見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合もあります。

また、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5経理の状況」の「1連結財務諸表等  注記事項 (追加情報)(新型コロナウイルス感染症拡大の影響)」に記載したとおりであります。

1)貸倒引当金

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等の特定の債権については、保守的に見積った回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。

取引先の財政状態および業績が見込以上に悪化した場合等、貸倒懸念債権等の特定の債権の回収可能性の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において貸倒引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

2)工事損失引当金

当社グループは、受注工事に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における未引渡工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることができる工事について、損失見込額を工事損失引当金として計上しております。

実際の工事施工状況が予定から乖離する等、工事損失発生の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において工事損失の追加計上が必要となる可能性があります。

3)完成工事補償引当金

当社グループは、完成工事に係る瑕疵担保等の費用に備えるため、過去の経験割合に基づく一定の算定基準を基礎に、期末日現在において予定されている瑕疵担保等の費用を合理的に見積った補償見込額を加味して完成工事補償引当金として計上しております。

瑕疵担保等の費用の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において補償損失の追加計上が必要となる可能性があります。

4)退職給付に係る負債

当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、見積りを反映した各種の仮定に基づく数理計算により算出された退職給付に係る負債を計上しております。

これらの各種仮定には、割引率、長期期待運用収益率、予想昇給率等が含まれており、実際の結果が見積りの前提と異なる場合、または前提が変更された場合、来期以降の連結財務諸表において退職給付債務および費用に影響する可能性があります。

5)繰延税金資産

当社グループは、期末日後将来的に発生する課税所得を見積り、当該課税所得に係わる税金負担を軽減する効果を有すると判断した回収可能額を繰延税金資産として計上しております。

将来課税所得の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において繰延税金資産の調整額の計上により損益に影響する可能性があります。

6)収益及び費用の計上基準

当社グループは、履行義務の充足に係る進捗度の合理的な見積りができる工事については、一定期間にわたり履行義務が充足されると判断し、履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識しております。進捗度は、当連結会計年度末までの既発生原価累計額を工事完了までの見積総原価と比較することにより測定しております。また、履行義務の充足に係る進捗度の合理的な見積りができない工事については、原価回収基準、工事期間が短いメンテナンス工事については、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識しております。

実際の工事施工状況が予定から乖離する等、工事収益総額および工事原価総額の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において工事損益に影響する可能性があります。

7)固定資産の減損

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについては、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。

減損の兆候の把握、並びに減損損失の認識および測定の前提となる割引前将来キャッシュ・フローの見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1) 経営成績等の状況

当社グループの当期の経営成績は、受注高1,412億29百万円(前期比1.3%減)、完成工事高1,298億32百万円(前期比11.0%減)、営業利益109億82百万円(前期比5.7%増)経常利益112億70百万円(前期比5.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益77億48百万円(前期比5.5%増)となりました。

  ア 受注高および完成工事高

 受注高が前期比で18億66百万円減少し、完成工事高が前期比で160億81百万円減少となった要因は、前期は主要顧客である石油・石油化学業界において定期修理工事が多い年にあたり堅調に推移しましたが、当期はこれらの定期修理工事が少なかったことによるものです。

 イ 営業利益

 営業利益は、改造改修工事等の工事量が当初想定を上回ったことに加え、直接工事費や経費の削減、稼働の効率化等により個々の工事における収益性の向上に努めた結果、前期比で5億96百万円増加となりました。

 ウ 経常利益

 経常利益は、営業外損益において収支差し引きでプラス2億87百万円となり、前期比で6億13百万円の増加となりました。

 エ 親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比で4億4百万円増加となりました。

 

2) 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「2事業等のリスク」に記載したとおりであります。当社グループを取り巻く環境は、国内の石油製品の需要減少により、経営環境は楽観できない状況が続くものと予想されます。

3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの当期末における現金および現金同等物は、前期末に比べ61億48百万円(92.0%)増加し、期末残高は128億35百万円となりました。概要については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当期におけるキャッシュ・フロー施策として、新規分野、新規事業への参入を行い、健全なキャッシュ・フローを維持できる収益の確保に努めてまいりました。

また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、金融機関との取引関係の維持、調達先の分散など、資金調達リスクを軽減するため様々な対策をとっております。

4) 経営戦略の現状と見通し

当社グループは、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題」に記載したとおり、将来の事業環境を踏まえ、2021年3月に「2032年度までに当社グループがありたい姿」を描いた長期ビジョンである「RAIZNEXT Group V-2032」を策定いたしました。また、あわせて2021~2024年度を対象とする「第2次中期経営計画-RAIZNEXT SYNERGY POWER」を策定いたしました。第2次中期経営計画は、第1次中期経営計画に続く「シナジー効果の創出」の期間であるとともに、長期ビジョンの実現に向けたファーストステップと位置付けております。

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