業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による厳しい状況の中、景気は持ち直しの動きが見られるものの、感染動向は不確実であり、加えてウクライナ情勢による資源高等、不透明感が見られ先行きは弱含みで推移していくと見込まれます。

かかる状況下、前事業年度同様、安定したニーズを維持し受注環境含め、引き続き活発な生産活動により高水準の業績となりました。

また足元の受注環境も同様に好調であり、受注残高は、前事業年度を上回る高水準で推移しております。

 

経営成績につきましては、前事業年度に比べ受注高は50百万円増の12,492百万円(前期比0.4%増)、受注残高は621百万円増の6,844百万円(前期比10.0%増)となりました。

売上高は264百万円増の11,871百万円(前期比2.3%増)となりました。これは主としてその他特殊製品等の売上高が前事業年度に比べ138百万円減の829百万円となりましたが、高圧洗浄車の売上高が前事業年度に比べ222百万円増の1,729百万円、強力吸引作業車の売上高が前事業年度に比べ108百万円増の8,049百万円及び粉粒体吸引・圧送車の売上高が前事業年度に比べ61百万円増の315百万円となったことによるものであります。

営業利益は55百万円減の1,026百万円(前期比5.1%減)となりました。売上総利益は16百万円増の2,801百万円(前期比0.6%増)となりました。新工場「テクノベース」取得等に伴う償却費用の増加及び基幹システム更新等に伴う支払手数料の増加により、販売費及び一般管理費が71百万円増の1,775百万円(前期比4.2%増)となったことによるものであります。

経常利益は84百万円減の1,025百万円(前期比7.6%減)となりました。営業外収益は主に受取賃貸料19百万円によるものであり、営業外費用は自己株式取得費用27百万円によるものであります。

当期純利益は新工場「テクノベース」取得等に伴う明見工場他の売却を行いましたが、工場移転関連費用及び50周年記念関連費用もあり税引前当期純利益は1,016百万円(前期比4.2%減)となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は265百万円(前期比22.7%減)となりました。この結果、当事業年度における当期純利益は33百万円増の750百万円(前期比4.7%増)となりました。

 

製品の品目別の業績については、次のとおりであります。なお、当社は、環境整備機器関連事業並びにこれらの付帯業務の単一事業であるため、セグメントごとに記載しておりません。

(ア)強力吸引作業車

インフラ整備事業や建設事業の更新、増車及び工場関係の大型更新需要、レンタル業者向けの複数台販売需要を安定的に維持しております。前事業年度を上回る受注高及び受注残高となりました。

業績につきましては、前事業年度に比べ受注高は32百万円増の8,347百万円(前期比0.4%増)、売上高は108百万円増の8,049百万円(前期比1.4%増)、受注残高は297百万円増の4,986百万円(前期比6.4%増)となりました。

(イ)高圧洗浄車

下水道関係のインフラ整備事業の更新、増車の需要は安定しており、高水準を維持し、前事業年度を上回る売上高となりました。

業績につきましては、前事業年度に比べ受注高は272百万円増の2,042百万円(前期比15.4%増)、売上高は222百万円増の1,729百万円(前期比14.8%増)、受注残高は312百万円増の1,240百万円(前期比33.7%増)となりました。

(ウ)粉粒体吸引・圧送車

前事業年度は6台、当事業年度は7台の売上となりました。工場関係向けの需要は、製品原料の輸送や作業環境維持といった目的で継続しております。

業績につきましては、前事業年度に比べ受注高は18百万円減の268百万円(前期比6.3%減)、売上高は61百万円増の315百万円(前期比24.3%増)、受注残高は46百万円減の190百万円(前期比19.7%減)となりました。

(エ)部品売上

部品は高水準で堅調に販売しており、受注高・売上高ともに前事業年度に比べ9百万円増の946百万円(前期比1.0%増)となりました。

(オ)その他

その他は、上記に属さない製品、中古車の販売及び修理改造等であります。当事業年度は、「トンネル壁面清掃車」「水循環式排水管清掃車」「放散水車」及び柑橘類果皮から精油抽出等の「マイクロ波抽出装置」等特殊製品の売上を計上しております。

業績につきましては、前事業年度に比べ受注高は246百万円減の887百万円(前期比21.7%減)、売上高は138百万円減の829百万円(前期比14.3%減)、受注残高は57百万円増の427百万円(前期比15.7%増)となりました。

 

財政状態につきましては、総資産は、前事業年度末に比べ1,729百万円増加し、12,811百万円となりました。これは主に、現金及び預金の減少454百万円はありましたが、新工場「テクノベース」取得等に伴う有形固定資産の増加1,119百万円、売上債権の増加532百万円、未収消費税等の増加326百万円及び基幹システム更新等に伴うソフトウエア仮勘定の増加184百万円によるものであります。

負債は、前事業年度末に比べ2,241百万円増加し、7,099百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少159百万円、未払消費税等の減少143百万円及び引当金の減少58百万円はありましたが、借入金の増加2,462百万円及び未払金の増加149百万円によるものであります。

純資産は、前事業年度末に比べ512百万円減少し、5,712百万円となりました。これは主に、当期純利益の計上750百万円はありましたが、自己株式の取得911百万円及び剰余金の配当350百万円によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度に比べ355百万円減少し、562百万円(前期比38.7%減)となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果使用した資金は、前事業年度に比べ1,183百万円増加し、243百万円(前期比125.9%増)となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上1,016百万円及び減価償却費の計上307百万円はありましたが、売上債権の増加532百万円、法人税等の支払額415百万円、未収消費税等の増加326百万円、未払消費税等の減少143百万円及び棚卸資産の増加107百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、前事業年度に比べ392百万円増加し、1,290百万円(前期比43.8%増)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入608百万円及び定期預金の純減少額100百万円はありましたが、有形固定資産の取得による支出2,010百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果得られた資金は、前事業年度に比べ1,413百万円増加し、1,178百万円(前期比600.9%増)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出939百万円及び配当金の支払額344百万円はありましたが、長期借入れによる収入1,800百万円及び短期借入金の純増加額700百万円があったことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社は、環境整備機器関連事業並びにこれらの付帯業務の単一事業であるため、セグメントごとに記載しておりません。

当事業年度における生産実績、受注実績及び販売実績を製品の品目ごとに示すと、次のとおりであります。

 

(1) 生産実績

品目

生産高(千円)

前年同期比(%)

強力吸引作業車

8,142,997

+0.7

高圧洗浄車

1,727,265

+9.8

粉粒体吸引・圧送車

261,805

△4.3

部品売上

946,785

+1.0

その他

728,882

△27.7

合計

11,807,737

△0.6

 

(注) 1  生産高は、販売価格によるとともに、消費税等は含まれておりません。

2  その他は、上記品目に属さない製品、デモ車の生産等が主なものであります。

 

(2) 受注実績

品目

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

強力吸引作業車

8,347,624

+0.4

4,986,503

+6.4

高圧洗浄車

2,042,415

+15.4

1,240,200

+33.7

粉粒体吸引・圧送車

268,400

△6.3

190,200

△19.7

部品売上

946,785

+1.0

その他

887,753

△21.7

427,629

+15.7

合計

12,492,979

+0.4

6,844,532

+10.0

 

(注) 1  受注高及び受注残高は、販売価格によるとともに、消費税等は含まれておりません。

2  その他は、上記品目に属さない製品、デモ車・中古車及び修理改造等の受注が主なものであります。

3 受注残高には、翌々事業年度の納入予定金額が含まれております。

 

(3) 販売実績

品目

販売高(千円)

前年同期比(%)

強力吸引作業車

8,049,731

+1.4

高圧洗浄車

1,729,698

+14.8

粉粒体吸引・圧送車

315,040

+24.3

部品売上

946,785

+1.0

その他

829,869

△14.3

合計

11,871,124

+2.3

 

(注) 1  販売高には、消費税等は含まれておりません。

2  その他は、上記品目に属さない製品、デモ車・中古車の販売及び修理改造等が主なものであります。

3  主な輸出先及び輸出高並びにその割合等は、輸出高が総販売実績の10%未満であるため、記載を省略しております。

4  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれも総販売実績の10%未満であるため、記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当事業年度の財政状態及び経営成績の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (1)から(9)」に記載のとおりであります。

 

当社の主力製品である強力吸引作業車、高圧洗浄車の主なユーザー市場である、産業廃棄物処理・一般廃棄物処理業界は、その市場規模が今後大きく拡大することは考えづらく、一方で相当の市場シェアを持つ当社にとっては、新製品開発と新市場開拓による売上増を図るとともに更なる効率化の推進による安定利益の確保が経営の課題であります。

新分野としてマイクロ波抽出装置を利用した「バイオマス再資源化装置」の本格的な拡販に努めてまいります。マイクロ波抽出装置では、高機能化評価実験を経て、バイオマス全般分野等様々な用途に向けての市場開拓を進めてまいります。

海外市場においては、引き続き重慶耐徳山花特種車有限責任公司(中国)との強力吸引作業車・高圧洗浄車の技術移転を通じ、中国における新市場の開拓を継続してまいります。また、独立行政法人国際協力機構の委託事業に採択された、インドネシア共和国での下水道維持管理に向けた案件化調査の準備を進めてまいります。

 

当事業年度においては、全国的なインフラ整備需要は底堅く、目標とする経営指標につきましては、売上高経常利益率は8.6%、自己資本当期純利益率(ROE)は12.6%、配当性向は株式上場20周年記念配当を含め38.9%となりました。

 

翌事業年度は、先行き不透明な状況の中、インフラの維持、災害復旧等環境を守る製品の供給を止めることなく、環境整備機器メーカーとしての社会的責任を果たすべく、社会の変化に柔軟に対応し、新たな事業基盤を整備することで、K&Eブランドと働き甲斐を高め企業価値の向上を図るため、顧客志向・人材・品質・効率・企業価値の視点から各種施策に取り組んでまいります。

また、新工場「テクノベース」において、生産性の向上と品質の維持のための設備投資を推進するとともに、南海トラフ地震に備えてのBCPの実践を進めてまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の当事業年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の主な資金需要は、生産活動に必要な運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費であり、これらについては現在手許資金で賄える状況であります。

当社の資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資本のほか、金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしております。また、金融・資本市場の混乱や緊急で資金が必要となる場合に備え、複数の金融機関と当座借越契約を締結し、資金の流動性を確保しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成に当たって用いた重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

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