当連結会計年度における当社グループ (当社、連結子会社及び持分法適用会社) の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下、「経営成績等」という。) の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
自動機械部門は、産業機械では、三次元はんだ印刷検査機の売上高は増加したものの、リチウムイオン電池製造システムの売上高が減少いたしました。また、自動包装システムでは、薬品向けの売上高は増加したものの、食品向けの売上高が減少いたしました。
その結果、売上高は16,808百万円(前期比18.7%増)、セグメント利益は売上高増加により、2,413百万円(前期比45.4%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は386百万円増加、セグメント利益は60百万円増加しております。
機器部門は、国内市場では、5Gの普及などで堅調な半導体需要により、半導体製造装置向け売上高が増加いたしました。また、自動車市場では環境対応車に関連した製造設備向け売上高、半導体や自動車用の設備で需要が旺盛な工作機械向け売上高もそれぞれ増加いたしました。
海外市場では、製造業全般で設備投資が継続した中国、半導体設備投資が堅調な韓国や台湾などで売上高が増加いたしました。また、経済活動の回復が続いている欧米、活動制限の緩和により東南アジアの売上高も増加いたしました。
その結果、売上高は125,390百万円(前期比35.5%増)、セグメント利益は売上高増加に生産性改善の効果も加わり、19,443百万円(前期比93.0%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は701百万円減少、販売費及び一般管理費は190百万円減少、セグメント利益は177百万円減少しております。
よって、当期における連結業績は、売上高142,199百万円(前期比33.2%増)、営業利益17,879百万円(前期比132.2%増)、経常利益18,043百万円(前期比130.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益12,567百万円(前期比138.3%増)となり、営業利益率は前期比5.4ポイント増加の12.6%となりました。これにより、1株当たり当期純利益は前連結会計年度と比較して108円35銭増加し、188円58銭となりました。また、ROEも利益増加により5.9%から12.1%に上昇いたしました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は315百万円減少、売上原価は7百万円減少、販売費及び一般管理費は190百万円減少、営業利益は116百万円減少、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ60百万円増加しております。
次年度の見通しと方針について、次期の世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大の長期化やロシア・ウクライナ問題をはじめとする地政学リスクの高まりなど、依然として不確実性は高いものの、ワクチン普及の進展による社会生活の正常化や生産活動に対する制約が徐々に収束に向かうことが見込まれ、引き続き堅調に推移していくと予想されます。
社会の価値観や市場そのものが大きく変化し、デジタル化が促進される中、当社グループを取り巻く事業環境は、製造業の自動化・省人化需要の高まり、半導体設備投資といった電子産業における投資拡大、自動車の電動化に向けた需要の増加等により、国内及び海外で高水準に推移することを見込んでおります。
ただし、半導体を中心とする部品不足の長期化や原材料高騰などのサプライチェーンリスクに加え、米中間の貿易摩擦が及ぼす影響、地震や自然災害が及ぼす影響、さらに地政学的リスクや為替変動が及ぼす影響に注視していく必要があります。
なお、2023年3月期からスタートさせました第5次中期経営計画『Exciting CKD 2025』は、2026年3月期までの4年間の中期経営計画です。長期経営ビジョン「10年VISION GO CKD!」を達成し、次の長期経営ビジョンへつなげる基盤構築の位置づけとなります。
事業を通じて社会に貢献し、新たな価値を創出しながら心躍る4年間として、次の10年につなげる意味を込めて「Exciting」としており、成長が見込まれる分野への事業戦略を強化し、経営効率を向上させながら、経営基盤の強化に取組み、企業価値向上を目指してまいります。
具体的な経営目標といたしましては、最終年度である2026年3月期に、連結売上高180,000百万円、営業利益25,000百万円、営業利益率13.9%、ROEは、2023年3月期から2026年3月期の4年間にかけて10%から13%を目標といたします。
また、配当性向は、株主還元のさらなる充実を図るため、30%を目安から40%を目安へと変更することとし、機動的な自己株買いも検討してまいります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3. 当連結会計年度において、機器部門の生産高が著しく増加しております。これは主として、半導体製造装置
向けや中国の受注増の影響によるものであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)自動機械部門以外は、需要見込による生産方法をとっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 当連結会計年度において、機器部門の販売高が著しく増加しております。これは主として、半導体製造装置
向けや中国の受注増の影響によるものであります。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ 19,788百万円増加の172,514百万円となりました。これは主に、現金及び預金が減少したもの、売上債権、棚卸資産、有形固定資産及び退職給付に係る資産が増加したものであります。
特に、売上増加により売上債権の増加、受注増加に伴い仕入が増加したことによる棚卸資産の増加及び有形固定資産が設備投資により増加したことで、資産が増加しております。
負債は、前連結会計年度末に比べ7,833百万円増加の62,942百万円となりました。これは主に、借入金及び前受金が減少したものの、仕入債務や未払法人税等が増加したことによるものであります。
特に、借入金は計画的に返済し有利子負債が減少したものの、受注増加に伴う仕入債務の増加、及び利益増加に伴う未払法人税等が増加したことで、負債が増加しております。
純資産は、前連結会計年度末に比べ11,954百万円増加の109,571百万円となりました。
当社グループでは自己資本比率60%以上を目安としております。当連結会計年度では、当期純利益が増加したものの、売上増加や設備投資により総資産が増加したことで、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.3ポイント減少の 63.5%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物 (以下「資金」といいます。) は、前連結会計年度末に比べ1,885百万円減少の34,027百万円となりました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、12,352百万円 (前期比29.5%減) となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益17,947百万円、減価償却費5,910百万円及び仕入債務の増加5,278百万円による資金の増加、売上債権及び契約資産の増加5,492百万円、棚卸資産の増加7,337百万円、前受金の減少2,187百万円並びに法人税等の支払額3,066百万円による資金の減少によるものであります。
前連結会計年度では、在庫の適正水準化、必要最小限の在庫量の維持に取組んだことに加え、売上債権の回収改善により資金が増加いたしました。当連結会計年度においては、引続き適正在庫の維持に取組んでおりますが、売上増加に伴う売上債権の増加や受注増加による棚卸資産の増加により、営業活動による資金の増加幅は減少いたしました。
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、8,544百万円 (前期比206.6%増) となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出7,879百万円による資金の減少によるものであります。
当連結会計年度においては設備投資計画に基づき支出を実施したため、投資活動による資金の支出は増加いたしました。
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、6,264百万円 (前期は2,423百万円の増加) となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出3,520百万円、配当金の支払額2,995百万円による資金の減少によるものであります。
前連結会計年度では、新株予約権の行使による株式の発行により資金が増加いたしましたが、当連結会計年度においては、借入金を計画的に返済したことにより財務活動において資金が減少しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきまして、当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用、研究開発費並びに当社グループの設備新設、改修等にかかる投資であり、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしております。
当社グループは、円滑な事業活動に必要となる流動性の確保と財源の健全性及び安全性の確保を資金調達の基本としており、市場環境等を考慮した上で、有効かつ機動的な資金調達を実施しております。資金需要を満たすための資金は、原則として営業活動によるキャッシュ・フローを主とした内部資金を財源としますが、多額の投資に対する資金需要が見込まれる場合などは、銀行等からの借入などの外部資金を活用いたします。
資金調達をおこなう場合は、期間や国内外の市場金利動向、自己資本比率、DEレシオ (負債資本倍率) などの財務指標への影響度などを総合的に勘案しながら、最適な資金調達を実施してまいります。
設備投資資金については、2021年度は、設備投資9,596百万円、研究開発費3,639百万円となりました。2022年度以降は、事業拡大に向けた生産能力増強及び自動化投資を行ってまいります。
株主還元については、経営における重要課題の一つとして考えており、連結配当性向40%を目安としております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」 をご確認下さい。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたっては、資産、負債、収益及び費用の数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りとは異なることがあります。
連結財務諸表を作成するにあたって、半導体、自動車及び工作機械等の市況の変化や新型コロナウイルス感染拡大の長期化や地政学リスクなどの影響を考慮した仮定を用いて、その不確実性を見積りに反映しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、機器部門の棚卸資産の評価、繰延税金資産の回収可能性及び固定資産の減損について見積り特有の不確実性により、財政状態及び経営成績に重要な影響が及ぶ可能性があると考えております。
なお、機器部門の棚卸資産の評価の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。当該評価について、市況の変動等により見直しが必要になった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。
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