業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策としてのワクチン接種の進展等により緩やかな回復傾向が続きましたが、新たな変異株(オミクロン株)の発生により先行き不透明な状況が続いております。

また、世界経済についても景気の回復が見え始めましたが、原材料価格の高騰、半導体等の不足による経済への悪影響など、先行き不透明な状況が続いております。

このような中、2023年度を最終年度とする「中長期経営計画N-ExT 2023」は3年目を迎え、当社グループは「冷やす」技術をもとに最良の製品・サービスを生み出し、顧客と共に新しい課題に取り組むことで社会に貢献することをコンセプトに本計画を実行しております。

当連結会計年度の当社グループの業績は、当社グループの主要顧客であるスーパーマーケットが外出自粛等の継続で「内食需要」がコロナ禍前に比べ依然として高かったことから店舗の改装需要が好調で、スーパーマーケット向け売上が順調に推移しました。また、コンビニエンス・ストア向け売上は堅調に推移し、物流センター等の大型物件向け売上は順調に推移しました。中国における売上については、中国国内の新型コロナウイルス感染症対策のための活動制限があり経済活動が先行き不透明になりつつある中、積極的な営業活動により昨年の実績を上回りました。

利益については、競合他社との厳しい価格競争の継続、コロナ禍の影響、原材料価格の高騰、また「中長期経営計画N-ExT 2023」の実行による投資負担の増加などがありましたが、スーパーマーケット向け売上が好調に推移したことにより前年同期に比べて増益となりました。中国における利益については、原材料の高騰、競合他社との価格競争などにより厳しい結果となりました。

その結果、売上高は326億6百万円(前年同期比43億62百万円15.4%増)、経常利益は20億54百万円(前年同期比7億67百万円59.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14億6百万円(前年同期比4億93百万円54.1%増)となりました。

「中長期経営計画N-ExT 2023」に基づく事業分野別売上は次のとおりであります。

単位:百万円(百万円未満切捨て)

 事 業 区 分

2020年売上高

構  成  比(%)

2021年売上高

構  成  比(%)

対前年同期比(%)

ショーケース・倉庫事業

21,934

77.7

25,509

78.2

16.3

  メンテナンス事業

3,676

13.0

4,323

13.3

17.6

  海外事業

2,633

9.3

2,774

8.5

5.4

合        計

28,244

100.0

32,606

100.0

15.4

 

 

「ショーケース・倉庫事業」は、ショーケース事業売上、倉庫事業売上ともに順調に推移した結果、前年同期比16.3%増となりました。

「メンテナンス事業」は、継続的に提案メンテナンス等を実施しており、需要を掘り起こした結果、前年同期比17.6%増となりました。

「海外事業」は、中国国内の経済活動が先行き不透明になりつつある中で、積極的な営業活動を行った結果、前年同期比5.4%増となりました。

 

なお、当社グループの事業は食品店舗向けの冷凍・冷蔵ショーケース等の製造・販売並びにこれらの付随業務からなる単一セグメントであるため、セグメント情報の記載をしておりませんが、所在地別の業績の概況は次のとおりであります。

 

<日本>

国内の売上高は、外出自粛等の継続で「内食需要」がコロナ禍前に比べ依然として高かったことから店舗の改装需要が好調で、スーパーマーケット向け売上、物流センター等の大型物件向け売上ともに順調に推移しました。またコンビニエンス・ストア向け売上は堅調に推移しました。

その結果、298億32百万円(前年同期比42億21百万円16.5%増)となり、営業利益は19億52百万円(前年同期比7億80百万円66.6%増)となりました。

 

<中国>

中国の売上高は、中国国内の経済活動が先行き不透明になりつつある中で、積極的な営業活動により昨年の実績を上回り、売上高は29億27百万円(前年同期比1億85百万円6.8%増)となりましたが、利益の面では厳しい状況となり営業損失は12百万円(前年同期は20百万円の営業利益)となりました。

 

② 財政状態

資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は352億95百万円となり、前連結会計年度末と比較して11億92百万円の増加となりました。

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産の残高は262億54百万円となり、前連結会計年度末と比較して10億23百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金が前連結会計年度末と比較して4億79百万円増加、たな卸資産が7億64百万円増加したことなどによります。

(固定資産)

当連結会計年度末の固定資産の残高は90億40百万円となり、前連結会計年度末と比較して1億69百万円の増加となりました。これは主に長期貸付金(「その他」)が1億87百万円発生したことによります。

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債の残高は54億44百万円となり、前連結会計年度末と比較して9億67百万円の増加となりました。これは主に支払手形及び買掛金が前連結会計年度末と比較して1億71百万円増加、未払法人税等が2億79百万円増加、前受金(「その他」)が3億50百万円増加したことなどによります。

(固定負債)

当連結会計年度末の固定負債の残高は35億5百万円となり、前連結会計年度末と比較して17百万円の減少となりました。これは主に退職給付に係る負債が1億61百万円減少した一方で、役員株式給付引当金が1億23百万円増加したことなどによります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産の残高は263億45百万円(非支配株主持分15億42百万円を含む。)となり、前連結会計年度末と比較して2億42百万円の増加となりました。これは主に配当金の支払などにより利益剰余金が1億14百万円減少した一方で、為替換算調整勘定が2億6百万円増加したことなどによります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して6億76百万円増加し、69億78百万円となりました。その内容の主なものは次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金は、25億99百万円の増加(前年同期は5億76百万円の増加)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益20億52百万円及び減価償却費5億31百万円、売上債権の減少が3億72百万円あったのに対し、退職給付に係る負債の減少が1億61百万円、たな卸資産の増加が6億66百万円、法人税等の支払額が3億21百万円あったことなどによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金は、4億46百万円の減少(前年同期は8億23百万円の減少)となりました。この主な要因は、定期預金の解約が2億70百万円あったことにより資金が増加したことに対し、有形固定資産および無形固定資産の取得による支出が合計5億3百万円あったこと、貸付けによる支出が2億円あったことなどにより資金が減少したことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金は、15億50百万円の減少(前年同期は15億72百万円の減少)となりました。この主な要因は、配当金の支払が15億16百万円あったことによります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

当社グループの事業は食品店舗向けの冷凍・冷蔵ショーケース等の製造、販売を事業内容とする単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

  a.生産実績

当連結会計年度における生産実績を製品別に示すと、以下のとおりであります。

 

製品

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

 至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

ショーケース(千円)

14,785,740

113.7

冷凍機(千円)

2,722,773

98.5

工事・その他(千円)

15,188,224

120.6

合計(千円)

32,696,738

115.2

 

(注) 金額は販売価格で表示してあり、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注状況

当社グループの生産のほとんどが見込生産であるため、受注状況の記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績を製品別に示すと、以下のとおりであります。

 

製品

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

 至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

ショーケース(千円)

14,809,557

114.1

冷凍機(千円)

2,757,763

101.9

工事・その他(千円)

15,039,660

119.7

合計(千円)

32,606,981

115.4

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

 至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

 至 2021年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱セブン-イレブン・ジャパン

11,134,162

39.4

11,773,681

36.7

 

2.本表の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積について過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

ア.工事請負契約における工事進行基準売上高

ショーケース・倉庫事業における一定の要件を満たす工事請負契約については、工事進行基準を採用し、収益を計上しております。進捗度は、当期までの発生費用を工事完了までの工事原価総額と比較することにより測定しております。

工事原価総額は、契約ごとに当該工事請負契約の契約内容に基づいて算定しております。工事請負契約は、顧客からの契約仕様の変更要求や当初見積りに対する原価の増加や当初想定していない事象の発生による原価の変動など、工事の進行途中の環境の変化によって工事原価総額が変動することがあります。その工事原価総額の変動により、収益認識時期が変わる可能性があります。

イ.工事損失引当金

当社グループは受注物件の損失発生に備えるため、手持物件のうち将来損失発生が見込まれ、かつ金額を合理的に見積ることができる物件について、その損失見込み額を工事損失引当金として計上しております。工事損失引当金は見積り特有の不確実性があるため、工事竣工までの仕様変更や原材料価格の高騰などのため見積りの前提が変わり、不採算工事が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの経営成績の分析は次のとおりであります。

当社グループの主要顧客である食品流通業界におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が長期化する中で、消費者の外出自粛にともなう「内食需要」が依然として高かったことから、食料品および日用品の販売が好調に推移しました。その一方で、ドラッグストアなどの他業種で食料品の取り扱いが年々拡大しており、厳しい経営環境は続いております。

このような中、スーパーマーケット向け売上は、前年より工事延期となっていた物件が当期に売上計上したことや、業績堅調により既存店舗の改装を積極的に行っていた顧客があったことなどから、前年に比べ増収となりました。また、コンビニエンス・ストア向け売上および物流センター等の大型物件向け売上は順調に推移し増収となりました。一方、利益面につきましては、原材料価格の高騰や「中長期経営計画N-ExT 2023 」の実行による投資負担の増加などがあったものの、スーパーマーケット向け売上が好調に推移した結果、前年に比べ増益となりました。

 

(売上高)

国内では、スーパーマーケット向け売上は、前年より工事延期となっていた物件が当期に売上計上したこと、当期の既存店舗の改装需要が増加したことにより好調に推移しました。また、コンビニエンス・ストア向け売上および物流センター等の大型物件向け売上についても順調に推移し、昨年の実績を上回る結果となりました。その結果、前年同期比16.5%増298億32百万円となりました。

中国では、新型コロナウイルス感染症対策により活動が制限され、経済活動が不透明な中でも営業活動を積極的に行った結果、前年同期比6.8%増29億27百万円となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価率は、原材料価格の高騰や設備投資による負担があったものの、生産効率改善に努めた結果、前連結会計年度より0.9ポイント改善して86.7%となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より1億1百万円増加して24億円となりました。

(営業利益)

営業利益は、販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上高が前年と比べて増収となったことにより、前連結会計年度より7億46百万円増加して19億39百万円となりました。

(営業外収益及び費用)

営業外収益は、前連結会計年度より19百万円増加して1億22百万円となりました。営業外費用は、前連結会計年度より1百万円減少して7百万円となりました。

(経常利益)

経常利益は、販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上高が前年と比べて増収となったことにより、前連結会計年度より7億67百万円増加して20億54百万円となりました。

(特別利益及び損失)

特別利益及び損失は、固定資産除却損が2百万円あったことなどにより、損失純額として1百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より4億93百万円増加して14億6百万円となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要は、生産活動に必要な運転資金(材料費、外注費、人件費、諸経費)、販売費及び一般管理費等の営業活動費用によるもののほか、2019年度から2023年度までの5か年を対象期間とする中長期経営計画の実行によるものを予定しております。当該中長期経営計画では事業基盤強化に向けた投資として60億円、成長投資として10億円を予定しており、同対象期間に研究開発活動にも16億円を予定しております。これらの資金需要に対しては、取引金融機関からの調達は行わず、現在自己資金で賄っております。

なお、当連結会計年度末における借入金及び有利子負債の残高は6億6百万円になっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は69億78百万円になっております。

 

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