当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中、個人消費など一部に足踏みがみられたものの、持ち直しの動きが続きました。当社インダストリアル機器部門に関連する住宅市場では、貸家や分譲住宅を中心として国内新設住宅着工戸数が前年に対して増加しました。
海外経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和され、回復基調が続きました。米国は設備投資がやや鈍化したものの、個人消費や住宅着工が緩やかに増加し、欧州は一部で厳しい状況が続いているものの、設備投資や生産などで持ち直しの動きがみられました。
一方で、世界的な原材料価格の高騰や物流コストの上昇、調達や供給面での制約などが、引き続き企業収益に大きな影響を与えました。
このような状況の下で、当連結会計年度の売上高は73,958百万円(前期比15.5%の増収)、営業利益は7,498百万円(同12.2%の増益)となりました。経常利益は、8,282百万円(同21.3%の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,090百万円(同18.2%の増益)となりました。
(単位:百万円、%)
なお、営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ6,504百万円増加し、109,043百万円となりました。当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ2,065百万円増加し、25,907百万円となりました。当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ4,439百万円増加し、83,136百万円となりました。
(単位:百万円、%)
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
「国内オフィス事業」は、文具関連製品の販売が減少したことに加え、第4四半期には電子部品不足の影響により文字表示機器の販売が鈍化しました。(売上高:7,284百万円、前年比△2.3%)
「海外オフィス事業」は、欧州において営業活動が一部制限された影響で表示作成機「ビーポップ」の販売が停滞したものの、東南アジアで文具関連製品の販売が増加したほか、中国でチューブマーカー「レタツイン」の販売が好調に推移しました。(売上高:4,644百万円、前年比+18.3%)
「オートステープラ事業」は、オフィス稼働率の緩やかな回復により、機械・消耗品の販売が増加しました。
(売上高:6,584百万円、前年比+15.9%)
この結果、売上高は、18,513百万円で前連結会計年度に比べ1,451百万円(8.5%)の増収、営業利益は3,034百万円で前連結会計年度に比べ295百万円(10.8%)の増益となりました。
オフィス機器事業の資産は、2,659百万円増加し、22,125百万円となりました。
(単位:百万円、%)
(b)インダストリアル機器部門
「国内機工品事業」は、国内の新設住宅着工戸数の前年に対する堅調な推移を背景に、木造建築物向け工具の消耗品の販売が増加したほか、鉄筋結束機「ツインタイア」の専用消耗品の販売が伸長しました。
(売上高:19,640百万円、前年比+4.7%)
「海外機工品事業」は米国での建設支出額や住宅着工戸数の増加、欧州におけるインフラ需要の拡大など好調な市況を背景として、鉄筋結束機「ツインタイア」及びその専用消耗品の販売が大きく伸長したほか、木造建築物向け工具の販売が増加しました。(売上高:22,590百万円、前年比+45.6%)
「住環境機器事業」は、主力の浴室暖房換気乾燥機「ドライファン」の販売がリフォーム・リプレイスのストック市場と新築住宅市場でともに伸長しました。
(売上高:10,338百万円、前年比+3.2%)
この結果、売上高は52,569百万円で前連結会計年度に比べ8,269百万円(18.7%)の増収、営業利益は7,739百万円で前連結会計年度に比べ1,087百万円(16.3%)の増益となりました。
インダストリアル機器事業の資産は、8,133百万円増加し、41,523百万円となりました。
(単位:百万円、%)
HCR機器部門は、新型コロナウイルス感染症の影響により、一部で営業活動の制限を受けたものの、病院・施設向け販売、レンタル卸向け販売が堅調に推移したことで増収となりました。一方で、原材料価格や輸送費の高騰、円安に推移した為替の影響から収益性が悪化しました。
この結果、売上高は2,875百万円で前連結会計年度に比べ208百万円(7.8%)の増収、営業利益は△126百万円で前連結会計年度に比べ162百万円の減益となりました。
HCR機器事業の資産は、451百万円増加し、3.076百万円となりました。
(単位:百万円、%)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。) の期末残高は、現金及び現金同等物の増減額が1,880百万円増加したことにより、23,302百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、5,629百万円(前連結会計年度は8,798百万円の増加)となりました。主な増加は税金等調整前当期純利益が8,249百万円、減価償却費が2,811百万円、一方で主な減少は、棚卸資産の増減額が2,230百万円、法人税等の支払額が1,703百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,651百万円(前連結会計年度は5,349百万円の減少)となりました。主な減少は、有形固定資産の取得による支出が4,160百万円、有価証券及び投資有価証券の取得による支出が1,204百万円、一方で主な増加は、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入が3,900百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、3,274百万円(前連結会計年度は4,483百万円の減少)となりました。主な減少は、配当金の支払額が2,290百万円、自己株式の取得による支出が744百万円です。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
1)貸倒引当金
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
2)製品保証引当金
製品の自主回収及び無償保証期間に基づく修理の支払いに備えるため、合理的に見込まれる損失見込額を計上しております。しかしながら、実際の保証費用が見積りと異なる場合は、引当金の追加計上が必要になる可能性があります。
3)退職給付関係
当社では、退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しておりますが、これらの前提条件が変動した場合、あるいは、運用環境の悪化等により年金資産が減少した場合には、将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性があります。
4)繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積り(過去における事業計画の達成状況など)に依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
5)固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
当社グループの当連結会計年度の売上高は、73,958百万円で前連結会計年度に比べ9,928百万円(15.5%)の増収、営業利益は、7,498百万円で前連結会計年度に比べ813百万円(12.2%)の増益となりました。
新型コロナウイルス感染症による影響が緩和されて、持ち直しの動きが続いたことによりインダストリアル機器部門を中心に全てのセグメントで売上高は上昇しました。一方、世界的な原材料価格の高騰や物流コストの上昇、調達や供給面での制約などにより費用が増加したものの、売価見直しを実施し、営業利益も増益を確保しました。
営業外損益は、前連結会計年度に比べ642百万円増加しました。これは、主に期末にかけて急激な円安が進行したことによる為替差益を計上したことによります。この影響により、経常利益は8,282百万円で、前連結会計年度に比べ1,455百万円(21.3%)の増益となりました。
特別利益は、前連結会計年度に比べ252百万円減少しました。これは、前連結会計年度に過年度関税還付額226百万円を計上したことによるものです。
特別損失は、前連結会計年度に比べ13百万円減少しました。これは、前連結会計年度に構造改革費用33百万円を計上したことによるものです。
これらの影響により、親会社株主に帰属する当期純利益は6,090百万円で前連結会計年度に比べ937百万円(18.2%)の増益となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ、6,504百万円増加し、109,043百万円となりました。流動資産については、商品及び製品が2,088百万円、現金及び預金が1,880百万円増加したことなどにより、7,683百万円増加しました。固定資産については、有形固定資産が2,235百万円増加しましたが、投資有価証券が3,823百万円減少したことなどにより、1,179百万円減少しました。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ、2,065百万円増加し、25,907百万円となりました。流動負債については、未払法人税等が1,032百万円、買掛金が662百万円増加したことなどにより、2,251百万円増加しました。固定負債については、資産除去債務が112百万円増加しましたが、退職給付に係る負債が170百万円、長期借入金が150百万円減少したことなどにより、186百万円減少しました。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ、4,439百万円増加し、83,136百万円となりました。株主資本は、配当金の支払2,289百万円などがありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益が6,090百万円あったため、3,017百万円の増加となりました。
その他の包括利益累計額については、為替換算調整勘定が1,537百万円増加したことなどにより、1,418百万円増加しました。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告・販売促進費等のマーケティング費用です。当社グループの研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されておりますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の主要な部分を占めております。
運転資金及び設備投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローから得られる資金、金融機関からの借入れにより資金を調達しております。
当期の主な設備投資の内容は、本社販売関連で20億、国内の生産設備で15億円、タイ工場の生産能力増強で6億円となりました。研究開発では、全セグメント共通の設計室更新工事・計測器・分析設備の投資を行いました。
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要政策のひとつとして位置づけ、事業の成長を図り、事業利益を追求することにより、業績に裏付けされた成果の配分を安定的に行うことを基本方針としております。
当社はこのたび、株主の皆様に対し、長期安定的に配当を実施するべく、利益配分に関する基本方針を「事業活動による利益を持続的な成長により拡大し、長期安定的に利益配分を行うこと」に変更しました。
この基本方針の変更にあわせて、配当政策を「連結決算を基準に、純資産配当率3.5%を下限として配当性向50%を目指す」としました。
新しい配当政策を当期にも適用し、2022年3月期の配当は前期から16円増配の「1株当たり年間配当金64円」としております。
この結果当期は、配当性向が49.8%、純資産配当率が3.8%となっております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑥セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
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