課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中将来に関する事項が含まれていますが、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「動力機構の高度化を原点として、無限の可能性に挑戦し、優れた技術と価値ある商品の世界への提供を通じて、クリーンでクオリティの高い地球社会の実現に貢献する」ことを企業グループの理念としております。また、ファルテックグループは、「時代をリードする価値ある商品・サービスを提供し、美しく豊かなクルマ社会の実現に貢献する」ことをグループの理念としております。両グループ企業の総力を結集して永続的に発展するべく、努力してまいります。

 

(2)会社の経営戦略

 当社グループは2020年4月から4ヶ年計画として23中期経営計画(以下「23中計」)をスタートしており、基本コンセプトは以下のとおりです。

 

基本コンセプト

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めざす姿・スローガン・戦略

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 「23中計」の目指す姿は「技術力(Technology)・情熱(Passion)・信頼(Reliance)を基盤として、4本の柱(1の柱 パワトレ商品のダントツNo.1を追求、2の柱 新規事業の積極展開をスピードアップ、3の柱 安全・環境・防災の徹底、4の柱 働き甲斐のある職場づくり)を確立するTPRグループの実現」であります。

 

財務目標

 財務目標としては、最終年度の2024年3月期に売上高1,800億円、経常利益210億円、ROE10%以上、自己資本比率45%以上、株主還元率30%を掲げております。

 「23中計」の達成により、企業価値の増大を図ってまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 2022年度の世界経済は、プラス成長が見込まれておりますが、新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)の感染再拡大への懸念、半導体不足、エネルギー・原材料価格の高騰などに加え、ウクライナ情勢等地政学リスクの顕在化や各国の金融引き締めによる景気後退リスクもあり、先行き不透明な状況が続くと思われます。

 また、カーボンニュートラルの急速な進展に伴い、当社グループが主として関連する自動車業界においては、EV車の増加やCASE/MaaSと呼ばれる「100年に一度の大変革」が加速しております。

 このような環境変化に対応して、当社グループは、カーボンニュートラルなど社会課題への取り組みを一層強化するとともに、既存事業の圧倒的な競争力実現と新規事業の積極展開を加速推進する方針です。

 具体的には、23中期経営計画(以下、「23中計」)の骨子である以下の「4本の柱」の実現に積極的かつ継続的に取り組んでまいります。

 

「1の柱」パワートレイン商品の圧倒的な競争力(性能・品質・コスト)の実現

 これまで培った技術力・開発力・生産力を活かして、内燃機関の熱効率向上への徹底的な追求や、新燃料対応等カーボンニュートラルの実現に向けたお客様の課題解決に貢献する商品の開発を加速させて、良いものをより安く、スピーディーにグローバルに提供することで、SDGs目標の8番(働き甲斐も経済成長も)、9番(産業と技術革新の基盤をつくろう)、13番(気候変動に具体的な対策を)などに貢献していきます。

 23中計期間では、グローバルでの最適生産・調達・物流を実現するため、地域特性に応じた最適な技術開発の追求と同時に、国内マザー拠点に有する技能および技術の海外生産拠点への移転を推進致します。

 

「2の柱」新事業の積極展開加速による新たな成長領域の拡大

 新製品・新規事業の拡大に向けては、中長期目標を掲げて、当社グループの強みであるパワトレ技術の応用開発、ナノ素材の開発、ゴム・樹脂等の多角化事業、ベンチャー事業への積極的な投資や、M&Aの推進、パートナー会社との開発会社の設立を行い、固定概念に捕らわれず、自前主義から脱却して幅広くグループ内外にネットワークを作り、協業・協創をベースとした成長領域の拡大を加速します。23中計ではSDGs目標の7番(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)、9番(産業と技術革新の基盤をつくろう)、13番(気候変動に具体的な対策を)に貢献できる積極的な開発投資、事業投資を実施してまいります。

 

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「3の柱」グループ経営への本格シフト(安全・環境・経営管理)及びSDGsへの貢献

 当社グループは、営業・技術・生産・品質・海外事業・管理等、全ての機能部門において、企業グループ経営の効率化、高度化を図ります。社員が健康・安全であることは、会社が果たすべき責任であり心身ともに健全で楽しく仕事ができるよう安全・衛生、環境方針の目標達成に努めてまいります。

 事業継続計画(BCP)については、防災・減災に向けて準備を整えてまいりましたが、今後は災害のみならず感染症拡大等のリスクにも即時対応ができるよう、更なる深掘り・訓練を実施してまいります。

 経営の根幹であるコーポレート・ガバナンス、コンプライアンスについても継続的に強化いたします。

地域・社会の持続性確保に関する重要課題にも、従来に増して取組んでまいります。会長兼CEOを委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を新設し、重要課題(マテリアリティ)や各種方針の設定、活動の方向付け、活動状況のフォロー等を行っております。カーボンニュートラル推進会議と、ESG各種会議体への方針展開を行い、ESG(環境・社会・ガバナンス)全般に関する課題への対応を進めています。

 

 

サステナビリティ取組みの推進体制     TPRグループのマテリアリティ

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 また、当社グループは、「地球環境に配慮したものづくりの推進」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして掲げ、気候変動対応に取り組んでおり、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同を表明、賛同企業や金融機関が議論する場である、TCFDコンソーシアムにも参画しております。気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識し、TCFDの提言に基づき、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目について以下のとおり取り組み、情報開示を推進していきます。

 

項目

活動内容

ガバナンス

TPRは、サステナビリティに関する様々な課題に取り組んできているなか、その活動をより体系的に推進することを目的として「サステナビリティ推進委員会」を設置し、重要課題や各種方針の設定、活動の方向付け、活動状況のフォローおよび取締役会への報告等を行い、サステナビリティへの取り組みを強化しています。

また、気候変動への対応等を重要な経営課題のひとつと位置付けており、サステナビリティ推進委員会からの各種方針等を、カーボンニュートラル推進会議やESG各種会議体を通じて、環境関連をはじめ直面する問題から中長期的課題まで、検討・改善に取り組んでいます。

戦略

TPRは、従来より気候変動対策・CO2削減に取り組んできましたが、今般、2045年までにCO2排出量を100%削減(2013年比)という目標を設定し、全社で取り組んでいます。その実現のため、国連気候変動に関する政府間パネルIPCCが公表した「4℃シナリオ」、「2℃シナリオ」などを考慮し、事業活動に与える気候変動のリスク(移行リスクと物理リスク)と機会を抽出し、対処しています。

リスク管理

TPRでは、「リスク管理委員会」を通じて当社の業務遂行に係るリスクを的確に評価・認識し、当社及びグループ各社におけるリスク管理について審議するとともに、重要なリスク案件についてモニタリングしています。

気候変動については、TPRの環境方針は経営会議で決議され、環境問題全般を管理する全社環境保全会議で課題認識、対応状況の進捗をフォローし、環境方針の周知を行っています。気候関連のリスクならびに機会の特定・対処については、TCFDから提言されたフレームワークに従い、シナリオ分析を踏まえて行っています。

取締役会は、ESGリスクやサステナビリティに関する取り組みについて、その重要事項に関する報告を受け、議論することを通じて、監督しています。

指標と目標

TPRは、気候変動の緩和のための長期的な指標として、Scope1-2における2013年対比でのCO2排出量を2030年までに50%、2045年までに100%削減することを目標としています。

この目標に対し、環境に配慮した生産工程や設備の更新、ならびに再生可能エネルギー利用など、社内横断的にCO2低減活動を進めていきます。

 

 

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 当社グループ「23中計」では、上記の諸施策を再整備し、SDGsでも謳われている“誰ひとり取り残さない持続可能で多様性のある社会の実現”というゴールに向けて、社員一人ひとりの活躍が当社の持続的成長を可能にし、ひいては国際社会共通の目標達成に貢献することを目指します。

 

「4の柱」上記を支えるグローバル人材の確保・育成と働き甲斐のある職場づくり

 世界六極に展開する当社グループは、性別・国籍・宗教などにかかわらず多様性を重視し、“それぞれの個を尊重し、認め合い、良いところを活かす”ダイバーシティ&インクルージョンの取組みに努めます。働き方改革としても、同一労働・同一賃金や、ハラスメント撲滅等を徹底するとともに、RPA化による業務改善やテレワークの活用などデジタル・トランスフォーメーション(DX)を加速させます。また、人材育成と人材投資を進めてエンゲージメントを強化し、風通しの良い職場、全社員が成長と働き甲斐を実感できる職場づくりを推進いたします。

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