(業績等の概要)
当期は、新型コロナウイルス感染症の世界的な影響が続いているなか、ワクチン普及等により経済活動の正常化が進み、中国に続いて、欧米・日本でも経済の持ち直しが続くなど、総じて穏やかな回復基調にありました。一方で、変異株のデルタ株やオミクロン株の出現による新型コロナウイルス感染症の再拡大や、世界的な半導体不足による自動車製造の減産、エネルギー価格の高騰などにより、依然として先行きの不透明な状況が継続しております。
このなかで当社グループは、当期を初年度とし、2023年12月期までの3ヵ年を対象とした中期経営戦略「Transform Next 2023」を策定し、持続可能で収益性の高い企業を目指した取り組みを進めてまいりました。
このような状況のなか、製造業全般における設備投資の積極化を受けた工作機械向けの需要および自動車市場におけるEV化の加速に伴うセラミックボールの需要が堅調に推移し、当期の売上収益は前期比30.6%増の67,926百万円となりました。利益面につきましては、売上高の増加およびコスト改善の効果の反面、特定顧客に納入した一部製品の不具合に対する対策費用として5億円をその他の費用に計上したこと等により、営業利益は前期比61.1%増の5,816百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比89.4%増の3,554百万円となりました。
2021年から開始した中期経営戦略を着実に実行するべく事業を行ってまいりますとともに、「"Precision for a changing world"(精密加工技術で社会環境の変化に対応していきます)」を忠実に実行して、お客様によりよい企業価値の提供を行ってまいります。
セグメント業績を示すと、次のとおりであります。
プレシジョン・コンポーネントビジネス
プレシジョン・コンポーネントビジネスでは、主にベアリングの重要な構成要素として使用される精密ボール及び精密ローラー等を製造販売しております。精密ボール又は精密ローラーを用いたベアリングは自動車や工作機械をはじめとする産業機械などに多く用いられております。当期は、積極的な設備投資による工作機器の需要拡大およびEVの生産拡大等がありました。
この結果、プレシジョン・コンポーネントビジネスの売上収益は、前期比30.0%増の62,843百万円となりました。セグメント利益(営業利益)につきましては、前期比49.8%増の5,136百万円となりました。
リニアビジネス
リニアビジネスでは、主に工作機械等に使用されるボールねじ及び大型送風機を製造販売しておりますが、当期は、工作機器の需要が堅調に推移しました。
この結果、リニアビジネスの売上収益は、前期比37.6%増の5,082百万円となりました。セグメント利益(営業利益)につきましては、前期比311.4%増の662百万円となりました。
その他
その他では、売上収益は、前年同期と同額の1百万円となりました。セグメント利益(営業利益)につきましては、前期比12.8%減の18百万円となりました。
当連結会計年度の各活動におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益を主な要因とし、6,265百万円の資金の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出を主な要因とし、2,281百万円の資金の減少となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、12,945百万円の資金の増加となりました。主な要因は、中長期の財務体質の強化を図るため、劣後特約付シンジケートローン及び劣後特約付社債の発行により20,000百万円の資金調達を実施したことによります。これらに当連結会計年度のUSドル高及び中国元高を主な要因とする、608百万円の換算差額等を加算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は32,524百万円と前連結会計年度末と比べ17,537百万円の増加となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/支払利息
(注) 1 IFRSに基づく連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4 有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債
を対象としております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、平均販売価格で表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、平均仕入価格で表示しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 プレシジョン・コンポーネントビジネスの生産方式は、見込生産のため該当事項はありませ
ん。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合。
(注)上記の金額には当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売高を含めております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに基づき作成しております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3重要な会計方針」に記載しております。
連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りが必要であります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、将来に関する仮定及び報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (4)見積り及び判断の利用」及び「3.重要な会計方針」に記載しております。
当連結会計年度の売上収益は、新型コロナウイルス感染症の世界的な影響が続いているなか、ワクチン普及等により経済活動の正常化が進み、中国に続いて、欧米・日本でも経済の持ち直しが続く等、総じて緩やかな回復基調にありました。このような状況のなか、製造業全般における設備投資の積極化を受けた工作機械向けの需要及び自動車市場におけるEV化の加速に伴うセラミックボールの需要が堅調に推移し、前連結会計年度に比べ30.6%増加の67,926百万円となりました。事業別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスでは、積極的な設備投資による工作機械の需要拡大及びEVの生産拡大等により、前連結会計年度に比べ30.0%増加の62,843百万円、リニアビジネスでは、主に工作機械の需要が堅調に推移したため、前連結会計年度に比べ37.6%増加の5,082百万円、その他では、主に不動産の賃貸等を行っておりますが、前連結会計年度と同額の1百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ26.9%増加の54,317百万円、売上総利益は前連結会計年度に比べ47.7%増加の13,609百万円となりました。売上原価率は、在庫把握、評価にかかる不備に起因する利益調整が一時的に発生したものの、コスト改善の効果により、前連結会計年度に比べ2.3ポイント減少し、80.0%となりました。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、主に売上増加による発送費用等の影響により、前連結会計年度に比べ26.9%増加の7,384百万円となりました。
④ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ61.1%増加の5,816百万円となりました。事業部別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスでは、売上収益の増加により、前連結会計年度に比べ49.8%増加の5,136百万円、リニアビジネスでは、売上収益の増加により、前連結会計年度に比べ311.4%増加の662百万円、その他では、主に不動産の賃貸等を行っておりますが、前連結会計年度に比べ12.8%減少の18百万円となりました。
⑤ 法人所得税費用
法人所得税費用は、売上収益が回復したことにより、前連結会計年度に比べ108.2%増加の1,452百万円となりました。
⑥ 親会社の所有者に帰属する当期利益
これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ89.4%増加の3,554百万円となりました。
⑦ EBITDA
EBITDA(営業利益+減価償却費及び償却費)は、営業利益が増加したため、前連結会計年度に比べ32.6%増加の9,224百万円となりました。
⑧ フリーキャッシュフロー(FCF)
FCF(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)は、収益の改善及び前連結会計年度における賃貸不動産売却に伴う税負担が減少したことにより、前連結会計年度に比べ319.4%増加の3,984百万円となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営戦略の現状と見直しおよび経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、継続的に企業価値を向上させることを経営の指針とし、①設備投資、②株主還元、③借入金の返済のバランスをとりながら、資金の使途を決定しています。当社グループの資金の源泉は、内部資金及びツバキ・ナカシマ本体の社債及び銀行借入金により調達したものであり、グローバル・キャッシュ・マネジメントシステムを活用し、グループ内の資金をタイムリーに把握すると共に、グループ会社間親子ローンやグループ会社間配当を実施する等し、資金効率の向上に努めております。キャッシュ創出力が当社の強みであり、利益の向上と共に運転資本の最適化を図っています。
なお、前連結会計年度から引き続き新型コロナウイルス感染症による厳しい事業環境の中、当社グループは6,265百万円の営業活動によるキャッシュ・フローを確保しました。現金及び現金同等物の残高は32,524百万円となっております。
当社グループの資金需要は主に設備投資及び運転資金であります。
現在、設備投資資金につきましては、内部資金または社債及び銀行借入金により資金調達をすることとしております。また、今後につきましては、健全な財政状態の維持を図っていくとともに資本効率を高めてまいります。
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