業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

 当連結会計年度における世界経済は、経済活動の正常化が進み、総じて緩やかな回復基調で推移したものの、

新型コロナウイルス感染再拡大や世界的な半導体不足、資源・エネルギー価格の上昇、ウクライナ危機などを原因とする経済活動の減速懸念等、引続き予断を許さない状況が継続しました。

 自動車業界におきましては、「100年に一度の大変革期」のなか、世界の自動車生産台数は前年度と比較し増加するなど生産の回復が見られましたが、半導体をはじめとする部品供給問題など、サプライチェーン全体では厳しい1年でございました。

 当連結会計年度は、自動車販売の回復に伴う、客先からの数量増に柔軟に対応できたことで順調なスタートを切ることができた一方、年度後半に新型コロナウイルスの感染再拡大・半導体不足、原材料費高騰等の厳しい経済環境の影響をうけた結果、連結売上高は、前年度より5,875百万円の増収となる98,820百万円となり、連結営業利益は、398百万円増益の1,108百万円となりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ652百万円増加し、114,379百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,315百万円減少し、48,074百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,968百万円増加し、66,305百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、連結売上高は98,820百万円となり、前連結会計年度に比べ、5,875百万円(前年度比6.3%増)の増収となりました。利益面では、連結営業利益は1,108百万円(前年度比56.1%増)、連結経常利益は1,650百万円(前年度比109.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は621百万円(前年度比106.6%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、19,615百万円となり前連結会計年度末より862百万円減少(前年度比4.2%減)いたしました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、7,100百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,460百万円増加(前年度比25.9%増)いたしました。営業活動によるキャッシュ・フローの増加要因は、主に売上債権の減少2,645百万円、仕入債務の増加1,936百万円、棚卸資産の増加3,149百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、4,725百万円となり、前連結会計年度末に比べ407百万円減少(前年度比7.9%減)いたしました。投資活動によるキャッシュ・フローの支出の減少要因は、主に有形固定資産の取得による支出の減少467百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、3,732百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,269百万円増加(前年同期は8,537百万円の収入)いたしました。財務活動によるキャッシュ・フローの収入の減少要因は、主に長期借入れによる収入の減少11,184百万円によるものであります。

 

 

(3)生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

自動車部品関連事業

88,450

12.4

自動車製造用設備関連事業

12,311

△11.1

合計

100,761

8.9

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額算出基礎は、販売価格で計算しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 なお、自動車製造用設備関連事業を除く製品については見込生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

自動車製造用設備関連事業

16,475

43.4

7,565

126.0

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

自動車部品関連事業

軸受製品

42,204

13.9

システム製品

15,324

3.8

ダイカスト製品

9,420

17.0

ガスケット製品

14,879

7.6

その他

4,561

△11.9

86,390

9.5

自動車製造用設備関連事業

12,258

△11.6

その他

172

△4

合計

98,820

6.3

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車(株)

36,309

39.0

33,168

33.5

 

(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

a.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点において入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

① 退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産

 従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

② 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について、その回収可能性を考慮して、評価性引当額を計上しております。評価性引当額を計上する際には、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

③ 固定資産の減損会計
 当社グループは、固定資産の減損会計を適用しております。減損会計は資産のグルーピング、割引前将来キャッシュ・フローの総額、回収可能価額を当社グループに固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて算出しておりますが、その仮定及び予測に変動が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

④ 製品保証引当金

 北米の当社連結子会社において生産した製品の一部に不具合が発生する恐れがあることから得意先より市場回収処置(リコール)の届出が米国運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration)に行われたことに伴い、費用の負担額等は協議中でありますが、対象台数等の現時点で入手可能な情報に基づき、保証費用の発生見込み額として製品保証引当金を計上しております。

 これらの計算には不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により、実際の保証費用が異なり、結果として製品保証引当金の追加計上又は戻入が必要となる可能性があります。

 

b.財政状態の分析

① 流動資産

 当連結会計年度末における流動資産の残高は59,375百万円であり、前連結会計年度末に比べ1,586百万円増加しております。商品及び製品の1,943百万円の増加、原材料及び貯蔵品の1,462百万円の増加、現金及び預金の1,057百万円の減少が主な要因であります。

② 固定資産

 当連結会計年度末における固定資産の残高は55,003百万円であり、前連結会計年度末に比べ934百万円減少しております。機械装置及び運搬具の949百万円の減少、工具、器具及び備品の504百万円の減少、繰延税金資産の465百万円の増加が主な要因であります。

③ 流動負債

 当連結会計年度末における流動負債の残高は25,157百万円であり、前連結会計年度末に比べ1,982百万円増加しております。支払手形及び買掛金の742百万円の増加、1年内返済予定の長期借入金の385百万円の増加、電子記録債務の357百万円の増加が主な要因であります。

④ 固定負債

 当連結会計年度末における固定負債の残高は22,916百万円であり、前連結会計年度末に比べ3,298百万円減少しております。長期借入金の3,296百万円の減少、繰延税金負債の160百万円の増加が主な要因であります。

⑤ 純資産

 当連結会計年度末における純資産の残高は66,305百万円であり、前連結会計年度末に比べ1,968百万円増加しております。為替換算調整勘定の1,920百万円の増加が主な要因であります。

 

c.キャッシュ・フローの分析

 「業績等の概要」の「(2)キャッシュ・フローの状況」で述べておりますように当社グループの資金状況は、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、19,615百万円となり、前連結会計年度末より862百万円減少いたしました。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動の結果得られた資金は、7,100百万円となり、前連結会計年度に比べ1,460百万円増加(前年度比25.9%増)いたしました。これは主に、売上債権の減少2,645百万円、仕入債務の増加1,936百万円、棚卸資産の増加3,149百万円によるものです。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動の結果使用した資金は、4,725百万円となり、前連結会計年度に比べ407百万円減少(前年度比7.9%減)いたしました。これは主に、有形固定資産の取得による支出の減少467百万円によるものです。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動の結果使用した資金は、3,732百万円となり、前連結会計年度に比べ12,269百万円増加(前年同期は8,537百万円の収入)いたしました。これは主に、長期借入れによる収入の減少11,184百万円によるものです。

 

d.経営成績の分析

① 売上高

 当連結会計年度における売上高は、98,820百万円となり、前連結会計年度に比べ5,875百万円増加(前年度比6.3%増)いたしました。これは主として、自動車部品関連事業の売上が増加したことによるものです。

② 営業利益

 当連結会計年度における営業利益は、1,108百万円となり、前連結会計年度に比べ398百万円増加(前年度比56.1%増)いたしました。

③ 営業外損益

 当連結会計年度における営業外収益は、941百万円となり前連結会計年度に比べ263百万円増加(前年度比38.9%増)いたしました。これは主として、為替差益の増加によるものです。また、営業外費用は、399百万円となり199百万円減少(前年度比33.3%減)いたしました。これは主として、貸倒引当金繰入額の減少によるものです。

④ 経常利益

 当連結会計年度における経常利益は、1,650百万円となり、前述の要因により、前連結会計年度に比べ861百万円増加(前年度比109.2%増)いたしました。

⑤ 特別損益

 当連結会計年度における特別利益は、471百万円となり、前連結会計年度に比べ416百万円増加(前年度比755.8%増)いたしました。これは主として、債務免除益の増加によるものです。また、特別損失は、878百万円となり、715百万円増加(前年度比438.8%増)いたしました。これは主として、製品保証引当金繰入額の増加によるものです。

⑥ 税金等調整前当期純利益

 当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、1,243百万円となり、前述の要因により、前連結会計年度に比べ562百万円増加(前年度比82.6%増)いたしました。

⑦ 法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額

 当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額は、493百万円となりました。

⑧ 非支配株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における非支配株主に帰属する当期純利益は、連結子会社における利益の増加などにより、前連結会計年度に比べ、55百万円増加(前年度比76.7%増)して、128百万円となりました。

⑨ 親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、621百万円となり、前連結会計年度に比べ320百万円増加(前年度比106.6%増)しました。1株当たり当期純利益は前連結会計年度の10.37円に対し21.42円となりました。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。

 

(自動車部品事業)

① 軸受製品では、前年度の新型コロナウィルスの感染拡大によるグローバルでの市場の冷え込みによる生産

減から一転し増産となり、連結売上高は42,204百万円(前期比5,135百万円増、13.9%増)となりました。

② システム製品では、海外を中心にバキュームポンプ製品を中心とした製品の生産が回復し、連結売上高は

15,324百万円(前期比561百万円増、3.8%増)となりました。

③ ダイカスト製品では、昨年度の新型コロナウィルスの感染拡大による生産減からの回復に加え、新規立上・増産により連結売上高は9,420百万円(前期比1,367百万円増、17.0%増)となりました。

④ ガスケット製品では、市場の回復に伴い日本、北米、アジアでの生産増により連結売上高は14,879百万円(前期比1,045百万円増、7.6%増)となりました。

⑤ その他製品では、連結売上高4,561百万円(前年度比621百万円減、12.0%減)となりました。

 

(自動車製造用設備事業)

 自動車製造用設備事業では、主要な客先の大規模なモデルチェンジがひと段落したため、試作及び設備事

業が減少し、連結売上高は12,258百万円(前年度比1,606百万円減、11.6%減)となりました。

 

e.資本の財源及び資金の流動性

① 資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは、製品製造のための材料、部品の購入及び設備投資によるものであります。また、長期借入金返済のための資金需要も大きくなっております。

② 財務政策

 当社グループは、設備投資は継続して実施するものの、財務の健全性を保つために、投資金額の抑制を図り資金負担を軽減するとともに、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、将来必要な運転資金及び設備資金を調達することを考えております。

 

f.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向等があります。

 自動車産業は、100年に1度ともいわれる大変革期を迎えており、今後更なるグローバル競争が熾烈になると予想されます。このような厳しい環境ではありますが、すべり軸受を中心とした既存ビジネスを強化・拡大しながら一層の収益向上を推進し、新たなる分野におけるビジネス展開へつなげ、「地球環境とお客様への貢献」をテーマに、「グローバル供給を支える製造・生産技術」、「製品技術・生産技術の革新」、「人財力の強化」など競争力強化に向けた取り組みを継続・加速して新たなる飛躍を実現したいと考えております。

 

g.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、売上高および営業利益を重要な経営指標として位置付けております。

 当社グループは、連結業績予想を2021年4月27日に開示いたしましたが、世界的な半導体不足や新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う客先の生産台数減少に加え、非鉄金属などの材料費高騰や北米における港湾問題等による物流価格の上昇があり、2022年2月1日および2022年4月18日に修正しております。

 当連結会計年度における連結売上高は98,820百万円となり、2021年4月27日に開示しております連結売上高目標101,000百万円に比べ、△2,179百万円(2.2%減)の減収となりました。連結営業利益は1,108百万円となり、連結営業利益目標3,500百万円に比べ、△2,391百万円(68.3%減)の減益となりました。引き続き当該指標の改善に邁進していく所存です。

 

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