当社企業集団は、トライボロジー(摩擦/摩耗/潤滑技術)をコア技術として、自動車メーカのニーズはもとより、環境、社会の動向を捉え、解決すべき課題を明確にしながら、自動車用各種すべり軸受や各種機能部品の研究開発を行っており、“動きを支える”機能部品の創造に努めております。
当連結会計年度の研究開発活動は、守りと攻めの両軸で既存製品拡大と新領域へのチャレンジを進め、次世代軸受に向けた新技術・新材料の研究とその応用製品開発、ならびに高付加価値のシステム製品の開発を重点に実施いたしました。
また、HV、PHV、FCV、EV等電動車両の今後の増加に向け、大豊グループの保有技術を活かし、モータ、PCU、電池、燃料電池分野の新製品開発に着手しております。一部製品につきましては、ホームページ掲載、展示会出展、客先提案等を既に開始しております。材料技術(表面処理)、設計技術(熱マネジメント)、生産技術(接合技術、ダイカスト技術)の深化で小型・軽量・効率向上のためのシステム提案を実施し、領域拡大に向け推進いたします。
セグメントの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
自動車部品関連事業
1)軸受製品
高性能エンジンや中国の環境規制に対応したエンジン用軸受、ブシュ、コンプレッサー用特殊軸受、各種軸受などを継続し開発してきました。特に、低燃費化のための摩擦低減を実現すべく様々な取組みを実施しております。
2021年には新しく3種類の軸受を量産化しております。
①ディーゼルエンジンの高筒圧化に対応するため、世界で初めてオーバーレイにBi-Sb合金を用いたエンジン用軸受は、従来課題となっていた耐疲労性と耐酸性を飛躍的に向上させました。この製品は2022年の自動車技術会にて技術開発賞を受賞しております。
②樹脂コーティングに新たな添加剤を追加し、“自己修復機能”を持たせたエンジン用軸受は、異物が摺動面に侵入し傷を付けたとしても、その傷を修復する為、軸受合金の露出を防ぐことが出来ます。その結果、耐焼付き性を画期的に改善しました。
③エンジン周辺部品の軸受として、ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプに新材となる樹脂バイメタルが採用されました。噴射圧力の高圧化に対する耐摩耗性と、不足しがちな潤滑環境下での耐焼付き性を両立させています。
開発期間短縮・コスト削減の対応として、製品開発へMBD(モデルベース開発)の適用を進めています。2020年2月よりホームページにMBD事例を公開し、シミュレーションの受託解析を開始するとともに、周辺部品を含めたシステムに最適な仕様を短期間で提案しています。
また、2012年に完全子会社化した中国で最大のアルミ軸受素材メーカ「常州恒業軸瓦材料有限公司」では、アルミ鋳造ラインを導入し、素材から加工までの完全一貫生産体制を構築しています。
これらの技術および生産の取り組みが認められ、国内外の自動車メーカへの納入も拡大し、グローバル展開を積極的に推進しております。
2)システム製品他
市場実績のある商用車向けの電子制御式EGRバルブをベースとし、2016年には多段ターボチャージャ用切換えバルブ、2020年には排気後処理装置の温度制御に用いる排気スロットルバルブを量産化しました。これらの技術を深化させ、高温の排ガス制御用バルブの市場拡大を行っています。
バキュームポンプは、高信頼性に加え、低コスト設計と部品共通化による良品廉価なシステムとして採用を拡大しております。現在は国内2拠点、海外2拠点(タイ、北米)でグローバルに対応しており、生産数は年々増加しております。
エンジン用バランスシャフトギヤについては、樹脂化し、2012年より量産を開始しました。日本ガスケット(株)による抄造技術を活かした開発により、高強度と軽量・低騒音を高レベルで実現するFRP製品として、新たなニーズに応えております。
3)ダイカスト製品
ダイカスト製品では、3Dモデリングを基軸とした一気通貫でのものづくりを推進し、CAE(流動解析)解析を活用した方案設計・湯流れの最適化検証を行い、薄肉鋳造および鋳造精度向上を実現し、短納期で、低コストな製品を提供し、顧客のニーズに応えております。
また、新たに、脱内燃機関を見据え、FCVやHVの製品にも領域を広げており、2020年にPCUインバータケースの量産を開発しました。さらに今後も新規量産化を予定しております。
4)ガスケット製品
エンジン用メタルヘッドガスケットについては、連結子会社の日本ガスケット(株)によるCAE、ノウハウを活かした開発により、顧客と綿密な連携のもと、高機能化、低コスト化、短期間開発を推進しております。トヨタ自動車(株)へ納入しているGD改良型エンジン用のヘッドガスケットは、新工法を開発することでコスト低減、エンジン出力向上に貢献。同社より2020年度VA推進優秀賞を受賞しました。
自動車製造用設備関連事業
当社連結子会社の大豊精機(株)において、自動車製造用設備についての試験研究および開発を進めております。
昨年に引き続き画像検査を用いた人の眼からAI画像検査移行への取り組みや工程の無人化、従来の素材より高性能な素材の研究・開発に取り組んでおります。
当社グループの研究開発費の総額は、
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