課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針

NTNグループは、企業理念の実践を通じて、「なめらかな社会」の実現を目指します。ステークホルダーをはじめとした社会から信頼され必要とされる企業として、人権の尊重とコンプライアンスを重視し、事業活動に取り組んでまいります。

※「なめらかな社会」:人と自然が調和し、人々が安心して豊かに暮らせる社会

 

 <企業理念>

 新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する

 

 1. 独創的技術の創造

 2. 客先及び最終消費者に適合した付加価値技術及びサービスの提供

 3. 着実な業績の伸長の下での社員の生活向上、株主への利益還元、社会への貢献

 4. グローバリゼーションの推進と国際企業にふさわしい経営・企業形態の形成

 

<ステークホルダーへの姿勢>

従業員

顧客

取引先

地域社会

株主

環境

多様性と個性を尊重し、従業員が安全で健康的に働き、活躍できる職場環境づくりに努めます。

お客様と誠実に向き合い、安全・安心で信頼性の高い商品・サービスを提供することにより、お客様の満足を追求します。

公正で自由な環境のもと、取引先との相互信頼に基づく良好なパートナーシップを構築し、共に成長・発展をはかります。

事業を行う地域の文化や慣習を尊重し、事業活動を通じて、地域社会の期待に応え、長期的な信頼関係を構築します。

持続的な利益の創出による株主への利益還元に努め、積極的なコミュニケーションを通じて、長期的な信頼関係を構築します。

事業活動において自然との調和をはかり、環境負荷低減に寄与する技術と商品・サービスの提供を通じて、地球環境に貢献します。

 

(2)経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

「なめらかな社会」の実現に向けた具体的な取組みとして、2020年12月にSDGs対応のために当社グループが優先的に取組むべき13項目のマテリアリティを特定し、昨年5月に「TCFD提言」に賛同を表明しました。

また当社グループは、サステナビリティ経営の推進組織として、「サステナビリティ委員会」を設置し、その取組みについて適宜、取締役会に報告する体制を構築しております。TCFDの提言に沿ったシナリオ分析の結果を、関連するマテリアリティ(機会:エネルギーロスの低減、リスク:気候変動への対応等)の指標・目標に結び付け、事業活動に展開するとともに「カーボンニュートラル(環境負荷低減・脱炭素)」と「安全安心、快適性の追求」に繋がる分野に研究開発資源を集中し、将来の成長に向けた研究開発活動を加速させています。

 

[中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2の概要]

昨年4月から開始した3年間の中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2では、事業構造の変革(Transformation)を加速するという方針のもと、3年間を財務体質の強化期間と位置づけ、現下の半導体の供給不足や物流費の高騰、急激に進むインフレ、紛争リスクの上昇等、急激かつ大幅な経営環境の変化にしなやかに対応できる企業体質の構築を目指しています。

 

1.基本戦略

(1)事業構造の変革

デジタル技術と当社が培った経営資源を融合させ、事業構造の変革を加速させます。基幹システムの刷新による「経営管理の更なる高度化」、スマートファクトリ化の推進、また顧客製品の状態監視や故障の事前予知等、DX戦略に基づく新たなビジネスの創出、拡大に取組みます。

 

(2)財務体質の強化

目標とする売上高の8割程度でも利益を出せる財務体質を目指し、比例費低減、固定費抑制等による損益分岐点売上高の引き下げに取組んでいます。また、投資効率を追求し、効率化・省人化投資を進めるほか、遊休資産や有価証券の売却、事業統廃合等の選択と集中によりキャッシュ・フローの最大化に取組みます。

<取組み状況>

自動車事業を中心に半導体をはじめとするサプライチェーンの問題による生産調整が想定より長期化する中、固定費抑制と調達改革を含めた比例費低減を推進しています。さらに、低収益商品の撤退や利益率の高い商品への集中による商品ポートフォリオの改善に取組んでいるほか、鋼材価格や物流費の高騰分については販売価格の見直しにより利益の確保を図ってまいります。

また、コーポレートガバナンス・コードに対応した政策保有株式の大幅な縮減、従業員の安全・安心と働き方改革に資する就労環境の提供を目的にした本社建屋・土地の売却を進めました。

 

2.事業別戦略

(1)補修事業

OEM・補修共通の販売戦略の下、ターゲット業種を攻略します。常備在庫の拡充、技術サポート・サービス対応の強化、自動車補修部門・機能の再編等の施策を進め、販売拡大に繋げます。

また、センサ技術とIoTを活用し、「しゃべる軸受」・「考える軸受」の早期開発による状態監視ビジネスの確立と補修需要の囲い込み、遠隔支援カメラ等を活用した技術サービスの拡大を通じ、ハードの売り切りからソフト・サービスを加えたビジネスへの変革を目指します。

<取組み状況>

コロナ禍からの需要回復がグローバルで進む中、補修市場向け製品供給を強化すべく、常備在庫システムの運用拡大を進めています。また、鋼材価格や物流費の高騰に対して、定価表の改定等により、補修事業における利益の確保を図っています。

また、コロナ禍で顧客への訪問機会が制約される中、リモート技術講習会の開催や遠隔技術サポート等のサービスを展開するとともに、「NTNポータブル異常検知装置」を活用した顧客設備の状態監視の提案にも取組んでいます。

 

(2)産業機械事業

既存商品の収益基盤の強化と新領域の早期確立を図ります。成長業種(風力発電、変減速機、工作機械、鉄道車両等)に経営資源を投入し販売を拡大します。

また、収益基盤を強化すべき業種(建設機械、農業機械、航空・宇宙等)は、抜本的な原価低減や生産性の向上、低収益・不採算型番の売価改善や販売縮小・撤退等の収益改善施策を進めます。一方、風力発電向け軸受メンテナンスサービスや、手首関節モジュール商品を活用した省人化提案を進めます。

<取組み状況>

世界的にカーボンニュートラルが進む中、生産設備を増強した風力発電機向け軸受の受注拡大に取組むとともに、ロボティクス、サービスソリューション事業の推進体制を強化しています。

成長領域に経営資源を重点投入することで将来の事業基盤を強化する一方で、鋼材・物流費高騰分の売価転嫁、及び不採算ビジネスに対する値上げ・撤退を進め、足元の業績向上に取組んでいます。

 

(3)自動車事業

SUVや電気自動車(EV)等の高成長・高収益セグメントへの受注シフトを進めるとともに、比例費低減、ものづくり改革の推進、売価管理の徹底等に取組み、利益率向上を図ります。同時に電動モジュール商品や環境対応商品の販売を拡大し、カーボンニュートラルに貢献します。

グローバルで加速する「EV化・電動化」に対し、ハブベアリングやドライブシャフトでは高効率・低振動・低フリクション等の技術的な優位性を活かした販売機会の獲得を進め、電動オイルポンプやeHUB/sHUB、電動ブレーキ等の新領域分野での早期の事業化を目指します。

<取組み状況>

排ガス規制の厳格化やEV化が加速する欧州市場において、当期はプレミアムブランドのEV向け大口ビジネスの量産が開始した他、SUV向けに当社CFJ(次世代高効率固定式等速ジョイント)の量産初採用が決定する等、当社グループがターゲットとしている市場・セグメントにおける成果が出始めています。

また、鋼材価格、物流費、エネルギー費がグローバルで高騰しています。これらのコストアップ要因については売価転嫁を確実に行うと同時に、低収益ビジネスの値上げ・撤退や、米州・欧州地区における不採算事業の再編や再建計画を実行し、自動車事業の利益率改善を図っています。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

①長期ビジョン及び中期経営計画に関する目標

当社グループは、「新しい100年に向けた10年後(2028年3月期)の姿」として長期ビジョンを定め、売上高成長率は各地域のGDP成長率+α、営業利益率10%以上、総資産回転率1.0回転以上、更に為替変動による利益への影響を現状から半減させることを目指しております。それに向けて、昨年4月から開始した中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2では、最終年度の目標として下表のとおり目標値を設定し、実現に向けて諸施策を推進してまいります。

 

Phase 1

Phase 2

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2024年3月期目標

連結売上高

733,846百万円

651,956百万円

562,847百万円

700,000百万円以上

連結営業利益

27,222百万円

7,517百万円

△3,138百万円

42,000百万円以上

フリー・キャッシュ・フロー

△22,390百万円

△18,058百万円

18,535百万円

27,000百万円以上

自己資本比率

27.4%

20.6%

20.4%

20%以上

ネットDEレシオ

1.2

1.9

1.6

1.5以下

ROIC

3.3%

1.0%

△0.4%

5%以上

棚卸資産回転率

3.8回

3.6回

3.2回

4.1回

 

②CO2排出量削減に関する目標

当社グループのマテリアリティのうち、「気候変動への対応」の目標を「2035年度カーボンニュートラル(サプライチェーンを含めて2050年度)」とし、2023年3月期以降のKPI(管理指標)として新たに「2018年度比で、2030年度に事業活動におけるCO2排出量50%削減」を設定しました。

 

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