研究開発活動

5【研究開発活動】

当社は、2021年4月より、中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2をスタートしました。「DRIVE NTN100」Phase 2では、持続可能な社会の実現に向けて13項目のマテリアリティを設定していますが、そのひとつとして、「エネルギーロスの低減(当社の商品やサービスを提供からCO2排出量を低減)」を挙げています。

また、当社の持続的成長を目的に「基盤商品、基盤技術の強化」と「新たな領域の展開」の二軸で研究開発活動を進めています。「DRIVE NTN100」Phase 2では、「サービスソリューション」「ロボット周辺モジュール」「次世代モビリティ・モジュール」「再生可能エネルギー関連」「水素関連」「ライフサイエンス関連」の6つのターゲット分野を設定し、将来の成長市場に当社のコアコンピタンスを活かした製品開発に取組んでいます。

当連結会計年度における研究開発活動費はグループ全体で17,444百万円です。

 

(1)自動車事業

燃費基準やCO2の排出規制規格が厳格化する中、ガソリンエンジン車に代わる、電動駆動ユニットで車両駆動する電気自動車の開発が活発化しています。電動駆動ユニット用転がり軸受には省エネルギー化が求められ、さらなる低フリクション化、小型・軽量化の要求が高まっています。

電動駆動ユニットの小型化を目的とする、モータ高速回転に対応した「EV・HEV用高速深溝玉軸受(モータ減速機用超高速対応)」を製品化し、モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が主催する2021年“超”モノづくり部品大賞の「日本力(にっぽんぶらんど)賞」を受賞しました。従来の常識にとらわれず保持器の材料や設計を大幅に見直すことで、dmn※180万の高速回転対応を実現しています。さらに、将来の超高速回転を視野に入れて、軸受内の熱収支のバランスに配慮するとともに、内部設計諸元を最適化して、dmn220万までの超高速化の目途立てを完了しました。

(※dmn値:軸受の回転性能を表す指標 転動体ピッチ円直径mm×回転速度min-1)

また、駆動装置全体の軽量化に伴い、ハウジングが薄肉化される傾向がありますが、その場合、負荷による外輪変形を起点に、ハウジングと軸受のはめあい面で軸受が緩やかに回転してずれる「クリープ現象」が発生することがあります。これを抑止した「クリープレス軸受」を開発しました。軸受外輪の外径面の一部に逃げ部を設けて、ハウジングと軸受のはめあい面を不連続とする設計とし、クリープを停止させ、装置の異音や振動、軸受の寿命低下を防ぐ効果があります。

ドライブシャフトは、グローバル市場でのSUV車の成長、さらにEV化に対して、高常用角度化、高効率化によるCO2の排出削減が期待できる、固定式等速ジョイント「CFJ」を市場展開し、多くの引き合いをいただき、2022年より量産が開始されます。グローバルシェアNo1のハブベアリングでは、当社の機械設計、製造技術とモータ制御技術を融合し、左右各輪の転舵角を独立制御可能にした「Ra-sHUB」を開発しました。「Ra-sHUB」は前輪駆動車の後輪に取り付け、ハンドルを切る転舵角度や車速から左右の車輪ごとに最適な角度を算出し、車輪角度を変えることが可能です。自動車メーカからは、将来の自動運転での貢献が期待されると、高い評価をいただいています。

 

(2)産業機械事業

大型風力発電分野では、主軸受として自動調心ころ軸受が多く用いられていますが、風によるモーメント荷重下での寿命向上を目的として、「左右非対称自動調心ころ軸受」を市場展開しています。自動調心ころ軸受では、本軸受形式特有の差動すべりによるころの摩耗が問題になることがあります。当社では、ころ表面を耐摩耗に優れるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜で被覆し、軸受の信頼性を高めました。この風力発電装置主軸用「DLCコーティング自動調心ころ軸受」が、一般財団法人新エネルギー財団が主催する令和3年度「新エネ大賞」で「新エネルギー財団会長賞」を受賞しました。本商品の生産、販売を通じて、再生可能エネルギーの普及に貢献しています。

 

(3)新たな6つのターゲット分野

サービスソリューション分野では、製造設備関連のIoTプラットフォーム「Edgecross」に対応した、軸受診断アプリケーションを開発しました。軸受近傍に設置された振動センサのデータを収集し、軸受の異常を診断するソフトウエアです。設備の稼働状況を監視し、生産現場でデータをリアルタイムに収集・分析することで、設備の不具合をいち早く察知し、計画的なメンテナンスが可能となります。各産業の設備のIoT化に貢献するとともに、事業拡大を図っています。

自動車のEV化・電動化を背景に、潤滑油の低粘度化や供給量の削減が採用される傾向にあり、軸受使用条件は過酷になっています。この稀薄潤滑のもと、稀に水素脆性による軸受の早期破損が発生します。新規鋼材の採用と、新たに開発した特殊熱処理技術により、水素脆性による軸受の早期破損を抑制し、長寿命化を実現しました。この技術は、水素化社会の実現に向けた種々のインフラ設備への適用も期待されています。

ロボティクス分野では、人の手首の動きを実現するモジュール製品「i-WRIST」の拡販活動を継続しています。モジュール先端部にカメラやディスペンサを搭載し、装置化することで、人が行ってきた外観検査やグリース塗布の作業を代替することが可能です。すでに多くの引き合い、採用をいただいており、省人化、IoT化が進む生産現場の多様なニーズに応えつつ、販売拡大を図ってまいります。

 

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