(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の当社グループをとり巻く環境は、経済活動の正常化が進み、日本・欧米などの先進国経済の持ち直しが続くなど、総じて緩やかな回復基調にあります。一方で、新型コロナウィルス感染症の再拡大や世界的な半導体不足による自動車の減産、中国経済の減速懸念などにより、依然として先行きの不透明な状況が継続しております。
このような状況のもと、当社グループは、ロボット事業を核に、工具、工作機械、ベアリング、油圧機器、そして特殊鋼事業をあわせ持つ総合機械メーカーとしての特長を活かし、ユーザーのものづくりに寄与する新商品の開発技術や提案などにより、受注・売上の拡大にとり組んでまいりました。また、収益の改善に向けて、需要の変動に柔軟に対応する生産体制の構築、合理化などを進め、さらに、中期的な脱炭素・EV化をはじめとする産業構造の変化を見据え事業全般の構造改革を推進してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、自動車や建設機械分野に加え、産業機械・市販分野での需要の回復を
受けて、2,291億17百万円(前期比14.0%増)、このうち、国内売上高は1,167億71百万円(同11.8%増)、海外売上
高は1,123億45百万円(同16.3%増)となりました。利益面につきましては、売上・生産の増加による操業度の改善に
加え、昨年来実施してきた自動化・合理化による生産性の向上、内製拡大、業務の効率化による販売費・一般管理
費の節減など、トータルコストダウンの効果を取り込み、営業利益は147億18百万円(同2.1倍)、経常利益は144億57
百万円(同2.6倍)、親会社株主に帰属する当期純利益は99億93百万円(同4.1倍)となりました。
セグメントの経営成績につきましては、次のとおりであります。
機械工具事業では、回復基調にある工具需要と、中国を中心としたロボット需要の拡大により、売上高は714億93百万円(前期比5.8%増)となり、合理化や経費削減により営業利益は46億9百万円(同83.7%増)となりました。
部品事業では、市況回復が続く自動車・建設機械分野に加え、産業機械・市販分野の需要を取り込み、売上高は1,447億38百万円(同19.9%増)となり、操業度の改善と自動化・合理化による生産性の向上・内製拡大などのコストダウン効果で営業利益は99億3百万円(同2.7倍)となりました。
その他の事業では、特殊鋼需要は持ち直しつつありますが低水準で推移した結果、売上高は128億84百万円(同
0.8%増)、営業利益は99百万円(同82.7%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による収入が投資活動および財務活動による支出を上回った結果、前連結会計年度末に比べ14億38百万円増加し、403億74百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度に比べ138億21百万円増加し、330億80百万円となりました。これは、主として、税金等調整前当期純利益146億10百万円、減価償却費168億38百万円、仕入債務の増加122億23百万円などにより資金が増加した一方で、売上債権の増加62億35百万円、たな卸資産の増加73億35百万円、法人税等の支払額23億16百万円などにより資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により支出した資金は、前連結会計年度に比べ1億76百万円増加し、141億72百万円となりました。これは、主として、国内と中国・北米での自動車向けベアリングの生産能力増強、タイにおける軸受生産体制の強化、国内での建設機械向け油圧商品の生産能力増強等による有形固定資産の取得ならびに、基幹システム導入による無形固定資産の取得であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により支出した資金(前期は138億58百万円の獲得)は、186億8百万円となりました。これは、主として、借入金の純減額185億40百万円、配当金の支払額12億41百万円、自己株式の取得32億96百万円などにより資金が減少した一方で、コマーシャル・ペーパーの純増額50億円などにより資金が増加したことによるものであります。
(2) 生産、受注および販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
機械工具 |
53,666 |
11.0 |
部品 |
141,156 |
24.7 |
その他 |
13,385 |
4.4 |
合計 |
208,207 |
19.4 |
(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
機械工具 |
70,725 |
17.8 |
22,971 |
△8.9 |
部品 |
148,869 |
25.4 |
23,378 |
27.7 |
その他 |
13,748 |
23.3 |
3,186 |
44.0 |
合計 |
233,343 |
22.9 |
49,535 |
8.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
機械工具 |
71,493 |
5.8 |
部品 |
144,738 |
19.9 |
その他 |
12,884 |
0.8 |
合計 |
229,117 |
14.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主要な相手先別の販売実績および販売実績の総額に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
岡谷鋼機株式会社 |
33,265 |
16.5 |
31,489 |
13.7 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの財政状態および経営成績等の状況に関する分析・検討の内容は以下のと
おりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年2月22日)現在に
おいて判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの経営成績の分析は次のとおりであります。
1) 売上高
当連結会計年度の売上高は、2,291億17百万円と前連結会計年度と比べ14.0%の増収となりました。このうち、国内売上高は、1,167億71百万円と同11.8%の増収となりました。これは、自動車・建設機械分野に加え、産業機械・市販分野の需要が回復したことにより、工具・部品を中心に売上高が増加したためであります。一方、海外売上高は、1,123億45百万円と同16.3%の増収となりました。これは、建設機械分野向けを中
心とした油圧機器の拡販に加え、自動車・産業機械分野向けの需要が伸び、工具やロボット、軸受などの売上高が増加したためであります。
なお、期初に公表した売上高の年度計画2,050億円に対しては、達成率111.8%となりました。これは、自動車・建設機械・産業機械分野の需要が想定を上回って回復し、事業全般で売上高が増加したことによります。また、海外売上高比率は、海外での拡販に伴い、期初計画48.8%に比べ0.2ポイント上昇し49.0%となりました。
2) 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は522億64百万円と、部品事業を中心とした売上高の増加により前連結会計年度に比べ増益となりました。
3) 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、375億45百万円となり、前連結会計年度に比べ42億66百万円増加しました。これ
は、売上高の増加により、荷造運搬費が増加したほか、前連結会計年度に比べ人件費や研究開発費が増加した結果であります。また、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は16.4%と前連結会計年度に比べて0.2ポイント低下しました。
4) 営業損益
当連結会計年度の営業利益は147億18百万円と前連結会計年度に比べ114.8%の増益となりました。
また、売上高営業利益率は6.4%となり、前連結会計年度に比べて3.0ポイント上昇しました。
なお、期初に公表した営業利益の年度計画80億円に対しては、達成率184.0%となりました。これは、主に、期初計画に対する売上・生産増に伴う操業度の改善、為替の円安推移によるものであります。そして、営業利益率は、期初計画3.9%に比べ2.5ポイント上昇し6.4%となりました。
5) 営業外損益
営業外損益(費用)は、2億60百万円の費用(純額)となり、前連結会計年度の13億41百万円の費用(純額)から10億81百万円減少しました。これは、支払利息が1億43百万円減少し、為替差益が1億64百万円(前期は為替差損7億19百万円)となったことによるものであります。
6) 経常損益
当連結会計年度の経常利益は144億57百万円と前連結会計年度に比べ162.4%の増益となりました。
7) 親会社株主に帰属する当期純損益
特別利益は、固定資産売却益3億97百万円、投資有価証券売却益2百万円の計上で4億円となり、前連結会計年度に比べて3億70百万円増加しました。特別損失は、固定資産売却損1百万円、固定資産除却損1億68百万円、独占禁止法等関連損失62百万円、投資有価証券評価損14百万円の計上で2億47百万円となり、前連結会計年度に比べ4億29百万円減少しました。
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計は、42億67百万円となり、前連結会計年度に比べ20億77百万円増加しました。
これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は99億93百万円となり、前連結会計年度に比べ75億35百万円の増益となりました。
② 資本の財源および資金の流動性についての分析
1) 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、3,193億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ262億51百万円増加しました。主として、現金及び預金が16億53百万円、受取手形及び売掛金が91億62百万円、たな卸資産が92億30百万円、有形固定資産が11億75百万円、投資有価証券が17億6百万円増加しております。
負債合計は、1,811億円となり、前連結会計年度末に比べ122億99百万円増加しました。主として、支払手形及び買掛金が143億17百万円、コマーシャル・ペーパーが50億円、未払費用が45億26百万円、未払法人税等が25億10百万円増加し、借入金が176億50百万円減少しております。なお、当社は調達手段の多様化と支払金利の抑制を目的として、当連結会計年度にコマーシャル・ペーパーを50億円発行しております。
純資産合計は、1,382億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ139億52百万円増加しました。主として、利益剰余金が87億52百万円、その他有価証券評価差額金が12億93百万円、為替換算調整勘定が48億66百万円増加しております。なお、自己株式の取得により、自己株式が27億84百万円増加しております。
2) キャッシュ・フローの状況
「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
3) 資金需要
当社グループの資金需要は、仕入、生産及び販売活動に必要な運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費用、研究開発費によるもののほか、投資活動において、機械保全、品質向上および生産能力の増強と生産ラインの合理化を目的とした設備投資などであります。これらの資金需要に対しては、安定した収益基盤を確立し一層の利益追求をはかると同時に、売上債権、たな卸資産、仕入債務の適切な管理に加えて、固定資産の効率的活用などにとり組んでおります。また、不足分の資金は、有利子負債による調達を基本にしており、取引金融機関との安定した調達体制の維持に努めるとともに、調達手段の多様化による財務基盤の安定に向けたとり組みを進めております。なお、当社および主要なグループ会社間でキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化に努めております。
当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は、919億46百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は403億74百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております
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