業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における事業環境は、新型コロナウイルスの新たな変異株の感染拡大を受け、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発令され個人消費が低迷するなど厳しい状況が続きました。一方、住宅市場におきましては、巣ごもりによる住環境改善ニーズの高まり等、底堅い需要に支えられ、新設住宅着工戸数は堅調に推移しました。

 

 こうした経営環境のなか、当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略」に記載の基本戦略に則り、以下のように取り組んでまいりました。

 

 昨年10月より、撥水水栓の特長を紹介した新CM「ハーッスイ!」篇を全国に公開し、新たに浴室用デッキ形サーモスタット式シャワー水栓の撥水仕様を追加しました。キッチン用、洗面用とあわせてラインアップを拡充し、水まわりのあらゆるシーンで撥水水栓をご利用して頂ける様になりました。また、巣ごもりにより家の中で過ごす時間が長くなり、入浴時間を快適に過ごしたいというニーズから、高機能シャワーヘッドへの関心の高まりを受け、直径1㎛未満の微細な泡が皮脂汚れを落とすウルトラファインバブルシャワーヘッドを発売しました。

 当社は、KPS(KVK Production System)活動を柱に最適生産をめざし、あらゆる無駄の排除とコスト競争力の強化を推し進めています。組立工程では浴室用サーモスタット式水栓をモデルラインとして、多品種少量生産に対応できるラインづくりを構築しました。今後、他製品へ横展開していきます。また、昨年9月より造成工事に着手した本社工場は、生産能力増強の為の新工場棟の増設を進めており、本年度の完成に向けて計画的に進めていきます。またLNGガスによる発電設備とコージェネレーションシステムの導入による蒸気・温水の供給および太陽光発電パネルの設置により、エネルギー使用量と二酸化炭素排出量の削減を図り、コストと環境の両面に寄与します。

 

 以上のような取り組みの結果、当連結会計年度における連結業績につきましては、売上高は、住宅リフォーム需要の高まりやCM効果により受注が堅調に推移し、27,960百万円(前期比9.9%増)となりました。利益面では、原材料価格の高値継続や円安傾向による製造コスト増加を受け一部商品を値上げしたもののコスト増加分を吸収しきれず、営業利益は2,439百万円(前期比19.6%減)、経常利益は2,440百万円(前期比21.7%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、1,689百万円(前期比23.1%減)となりました。

 

 セグメント毎の業績については以下の通りです。

 

 日本におきましては、売上高は27,675百万円(前年同期比7.9%増)、セグメント利益は2,978百万円(前年同期比19.4%減)となりました。

 売上につきまして、商流別には、特需(住宅設備機材メーカー)向け販売ルートは、前年の新型コロナウイルス感染拡大を受けた受注減から回復の兆しが見られ、前期比で948百万円増(9.4%増)となりました。また、管工機材商ルート(代理店)は、巣ごもりによる住宅リフォーム需要の高まりやCM効果により受注が堅調に推移し、前期比で940百万円増(8.4%増)を確保しました。

 利益につきましては、原材料価格の高値継続や円安傾向による製造コスト増加を受け一部商品を値上げしたもののコスト増加分を吸収しきれず、セグメント利益は減少しました。

 

商流別売上高(単位:千円)

商流

2020年度

2021年度

増減

増減比(%)

特需ルート(千円)

(住宅設備機材メーカー)

10,104,135

11,052,424

948,288

9.4

管工機材商ルート(千円)

(代理店)

11,258,764

12,199,734

940,970

8.4

その他(千円)

(ホームセンター等)

3,927,988

4,423,022

495,034

12.6

※以上の商流別売上高の記載に関しましては、外部顧客への売上高27,266百万円に、一部、セグメント間の内部売上高を含んでおります。

 

 中国におきましては、地道にオンラインでの商談やSNSでの情報発信に努め、中国国内での販売を強化したことと、日本での売り上げ増加に伴いセグメント間の取引が増加したこともあり、売上高は5,782百万円(前期比41.7%増)となりました。利益面では、原材料価格の急激な高騰や円安傾向による製造コスト増加がグループ間の取引価格にて吸収しきれず、セグメント利益は13百万円(前期比95.1%減)となりました。

 フィリピンにおきましては、グループ間のみの売買取引となります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ599百万円減少し、6,101百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,225百万円の収入(前期比1,596百万円の収入減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益2,431百万円、売上債権の増加額708百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、1,156百万円の支出(前期比731百万円の支出増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出761百万円、投資有価証券の取得による支出386百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、736百万円の支出(前期比292百万円の支出増)となりました。これは主に自己株式の取得による支出294百万円、配当金の支払額417百万円等によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当社グループは、給水栓・給排水金具・継手及び配管部材の製造・加工・仕入れ及び販売を主事業とする専門メーカーで、当社及び子会社2社で構成された所在地別セグメント情報を報告セグメントとしております。

 当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

24,722,073

107.6

中国(千円)

2,868,354

133.8

フィリピン(千円)

71,509

75.5

合計(千円)

27,661,937

109.7

(注)金額は販売価格によっております。

 

ロ.受注実績

 当社グループは、大部分の品目につき見込み生産を行っておりますので、記載を省略しております。

 

ハ.販売実績

 当社グループは、給水栓・給排水金具・継手及び配管部材の製造・加工・仕入れ及び販売を主事業とする専門メーカーで、当社及び子会社2社で構成された所在地別セグメント情報を報告セグメントとしております。

 当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

27,266,571

108.8

中国(千円)

693,730

181.4

フィリピン(千円)

合計(千円)

27,960,301

109.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先(日本)

前連結会計年度

  (自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

  (自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

タカラスタンダード株式会社

2,928,965

11.5

3,523,781

12.6

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

イ.財政状態の分析

 当連結会計年度における資産合計及び負債純資産合計は、以下の要因により、前連結会計年度末比1,842百万円増加の32,326百万円となりました。

(資産)

 資産は、前連結会計年度末に比べ1,842百万円増加し、32,326百万円となりました。これは主に電子記録債権が850百万円、原材料及び貯蔵品が429百万円、投資有価証券が384百万円増加したことによります。

(負債)

 負債は前連結会計年度末に比べ537百万円増加し、9,052百万円となりました。これは主に未払法人税等が436百万円減少したものの、電子記録債務が745百万円、営業外電子記録債務が249百万円増加したことによります。

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べ1,305百万円増加し、23,274百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の発生により利益剰余金が1,272百万円増加したことによります。

 これにより、自己資本比率は72.0%(前連結会計年度末は72.1%)となりました。

 

 

ロ.経営成績の分析

(売上高及び営業利益)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比2,518百万円増加の27,960百万円となり、営業利益は前連結会計年度比595百万円減少の2,439百万円となりました。

 セグメントごとの売上高と営業利益の概況については、「(1)経営成績の状況と概況①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(営業外損益及び経常利益)

 当連結会計年度の営業外損益は、前連結会計年度の82百万円の収益(純額)に対して0百万円の収益(純額)となりました。前期には投資不動産賃貸費用112百万円を計上しましたが、当期には165百万円を計上したことなどにより、82百万円の収益減少となりました。

 この結果、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度比677百万円減少の2,440百万円となりました。

(特別損益及び税金等調整前当期純利益)

 特別損益は、前連結会計年度の44百万円の損失(純額)に対して8百万円の損失(純額)となりました。当連結会計年度は特別利益が発生していないものの、前期に減損損失を28百万円計上していることなどにより、35百万円の損失減少となりました。

 この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比641百万円減少の2,431百万円となりました。

(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 法人税等は減益により前連結会計年度比134百万円減少の741百万円となりました。

 この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比507百万円減少の1,689百万円となりました。

 

ハ.経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

 当期の目標に対する達成率は、売上高目標25,700百万円に対して108.8%、営業利益目標2,800百万円に対して87.1%となりました。

 売上高につきましては、住宅リフォーム需要の高まりやCM効果により、管工資材商ルートからの高付加価値商品の受注が堅調に推移したことや特需(住宅設備機材メーカー)からの受注の回復もあり、目標を上回る結果となりました。

 営業利益につきましては、原材料価格の高値継続や円安傾向による製造コスト増加を受け一部商品を値上げしたもののコスト増加分を吸収しきれず、目標を下回る結果となりました。

 また、ROEにつきましては、当面の目標とする10.0%に対して7.5%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ.キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

ロ.資金の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入れのほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業経費であります。投資目的とした資金需要は、設備投資のほか、投資有価証券等の取得であります。また、株主還元については、財務の健全性に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。

 運転資金及び設備投資資金並びに株主還元等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金及び金融機関からの借入を基本方針としております。

 なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は46百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,101百万円となっております。

 現時点では金融機関からの借入は行っておりませんが、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症拡大により当社の経営成績が悪化する場合には、手元資金を確保するため、金融機関からの借入について検討いたします。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込み数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

(繰延税金資産)

 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

(貸倒引当金)

 当社グループは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。なお、取引先の財政状態が予測を大幅に超えて悪化し、その支払能力が著しく低下した場合、追加引当処理が必要となる可能性があります。

(製品保証引当金)

 当社グループは、製品の無償修理費用の支払に備えるため、過去の実績を基礎として無償修理見込額を計上しております。なお、実際の製品不良、修理費用が見積りと異なる場合は、見積り所要額の修正を必要とし、追加引当を計上する可能性があります。

(固定資産の減損処理)

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び判定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の金額に影響を及ぼす可能性があります。

 

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