(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しておりますが、これに伴う当連結会計年度の損益に与える影響はありません。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、上半期においては新型コロナウイルスの感染者数が増減を繰り返し、緊急事態宣言に伴う行動制限や自粛による経済社会活動の抑制など様々な制約を受ける状況が続き、回復軌道は緩やかなものとなりました。しかし、政府から発令された緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置は9月30日をもって全都道府県で解除され、10月以降は経済社会活動の水準は段階的に引き上げられ、宿泊・飲食サービスといった対人接触型サービスを中心に回復傾向が見られました。一方、製造業においては世界的な半導体不足に加え、原材料価格やエネルギー価格の高騰により業績は押し下げられ、本格的な回復には至りませんでした。今後につきましては、さらなる国内経済の活性化・景気回復が期待されますものの、新たな変異株の発生による新型コロナウイルス感染症急拡大への懸念や、資源価格を中心としたインフレの拡大懸念など先行きは不透明な状況が続いております。海外経済においては、先進国を中心にワクチン接種や治療薬の普及が加速したことで医療ひっ迫懸念は後退し、経済活動は緩やかな回復傾向で推移しました。米国では、良好な雇用・所得環境が景気を下支えし、個人消費を中心に景気拡大が持続しました。ユーロ圏では、新型コロナウイルス感染症のピークアウトを受けて、各国で経済活動制限が解除され、サービス業を中心に復調しつつあったものの、ロシアによるウクライナ侵攻により企業・消費者のマインドは悪化し、先行きへの警戒感が強まっております。今後につきましては、地政学的なリスクがもたらす経済損失により世界経済は大幅に減速し、資源、材料価格の上昇がさらに加速することも予想されるなど、先行きについては依然として不透明な状況となっております。
当社グループにおきましては、国内顧客向け販売においては、テレビ会議による客先対応など、非対面型営業を前期に引き続き積極的に推進いたしました結果、建築設備市場においては、都市再開発案件やホテル案件等で大きく受注を増やしました。また工場設備市場においては、蒸気配管向け減圧弁や工場装置向け電磁弁の好調などもあり、販売を伸ばしました。海外顧客向け販売においては、中国向けの販売は前期を大きく上回る売上を達成し、その他の東アジア地域や北米地域向けなどの販売も好調に推移した結果、販売活動全体としては前期を大きく上回る結果となりました。今後につきましては、新型コロナウイルス感染症の終息時期が見通せない状況の中、感染予防対策の徹底とより一層の注意を払った行動を意識し、社内の新型コロナウイルス感染症による操業の停止を最小限に抑制します。また品質管理面においては、市場クレーム再発ゼロ、重要品質改善テーマ再発ゼロなど再発防止を徹底し、製品開発においては、開発遅れを徹底的に防止します。販売活動においては、引き続き行動制限が予想されるため、ターゲットを適切に選定しアクションプランとして着実に進捗を図ります。そして生産活動においては、インフレ抑制の為に一層の原価低減策を立案・実行し、また仕入原価上昇に加え、物流の遅延や二社購買、安定納入の観点からも事業継続計画と絡ませて検討してまいります。
このような状況の下、当社グループは一丸となり、引き続き積極的な提案営業を展開いたしました結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ11億84百万円増加し、153億13百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2億59百万円増加し、21億26百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ9億25百万円増加し、131億86百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高70億91百万円(前期比13.2%増)、営業利益9億10百万円(前期比99.3%増)、経常利益13億52百万円(前期比73.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9億67百万円(前期比64.2%増)となりました。
セグメント毎の経営成績(セグメント間の内部取引高を含む)は以下のとおりであります。
日 本: 67億28百万円(前期比14.5%増)
東南アジア: 21億87百万円(前期比19.3%増)
損益面では、生産の効率化、工数低減やコスト削減を徹底した結果、セグメント利益(セグメント間の内部取引高を含む)は以下のとおりとなりました。
日 本: 6億99百万円(前期比112.8%増)
東南アジア: 1億98百万円(前期比61.6%増)
②キャッシュ・フローの状況
a.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億32百万円増加し、28億49百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の収入は、12億59百万円であり、前連結会計年度に比べ1百万円増加しました。これは、前連結会計年度に比べて、売上債権の増減額で4億35百万円増加したことや棚卸資産の増減額で1億40百万円増加したことなどの減少要因があった一方で、税金等調整前当期純利益が5億86百万円増加したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の支出は、8億1百万円であり、前連結会計年度に比べ48百万円減少しました。これは、前連結会計年度に比べて、有形固定資産の取得による支出が6億56百万円増加したことなどの増加要因があった一方で、投資有価証券の売却による収入3億41百万円、投資有価証券の償還による収入3億円が発生したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の支出は、2億27百万円であり、前連結会計年度に比べ27百万円減少しました。これは、前連結会計年度に比べて、配当金の支払額が25百万円減少したことなどによります。
b.資本の財源および資金の流動性についての分析
(財務・資本政策)
当社グループは、棚卸資産の適正化や会社業績の向上により営業キャッシュ・フローを積み上げ、将来への成長投資や研究開発へ積極的に資金を振り向ける一方で、事業リスクに備えた財務体質強化のため、内部留保による自己資本の充実を図っております。また、資金運用(有価証券及び投資有価証券の取得)についても一時的な余資運用と位置付け、計画的に資金を確保する体制をとっており、事業活動に必要な資金の流動性を確保しております。
(資金調達)
当社グループはこれまで、運転資金並びに設備投資および研究開発活動を自己資金で賄ってきております。当連結会計年度には本社移転に伴う土地・建物の取得及び新オフィスの設備工事などを含む10億3百万円の設備投資を行っておりますが、運転資金の懸念は生じることなく、予定通り事業活動に必要な資金を投下しております。これらに加えて、国内金融機関と借入枠7億円の当座貸越契約を締結することにより、財務の安定性および流動性を補完しております。なお、グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。
(株主還元)
当社グループは株主に対する配当額の決定は最重要政策のひとつと考えており、基本的には利益に対応して配当性向30%以上を目標に配当額を決定する方針であります。内部留保につきましては、将来にわたる株主の利益を確保するため、開発、生産、販売競争力の維持強化を目的とする設備の新設、増設、更新等の中長期視点にたっての投資等に充当させていただくとともに、会社の財産の状況および株価の状況等を考慮したうえ自己株式の買受けを行い、株主への利益還元をはかる予定であります。当期の配当額につきましては、業績を勘案し、1株当たり25円といたしました。
当社グループは株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図るため、2021年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。株式分割前に換算すると1株当たり50円の配当金となり、実質的に20円の増配となります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前期比(%) |
日本 |
3,777,166 |
6.3 |
東南アジア |
3,174,185 |
27.5 |
合計 |
6,951,352 |
15.0 |
(注) 金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当社グループは受注見込みによる生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前期比(%) |
日本 |
6,654,975 |
14.7 |
東南アジア |
436,267 |
△5.5 |
合計 |
7,091,242 |
13.2 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
㈱オータケ |
674,328 |
10.8 |
745,598 |
10.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(日本)
日本においては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため営業活動が制限される中、テレビ会議による客先対応など、非対面型営業を積極的に推進いたしました。その結果、建築設備市場におきましては、都心再開発案件やホテル案件等で大きく受注を増やしました。また工場設備市場におきましては、主力製品である蒸気配管向け減圧弁や工場装置向け電磁弁などで販売を伸ばし、国内全体の売上高は前期を上回る推移となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は67億28百万円(前期比14.5%増)、セグメント利益は6億99百万円(前期比112.8%増)となりました。
セグメント資産は、有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ5億93百万円増加し81億71百万円となりました。
(東南アジア)
東南アジアにおいては、2013年10月にタイで新設された製造工場におきまして、日本国内で生産しておりました製品の生産移管を順次行っており、当社グループ全体の中心的な生産拠点として、鋳造から加工、組立までの一貫生産体制により、品質、コスト、納期面の大幅な改善を実現しております。
また販売活動におきましては、バンコクに開設いたしました営業拠点を中心に、より幅広いユーザー向けの受注活動を継続して展開した結果、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を大きく受けた前期と比較して中国およびASEAN地域向けの販売は好調に推移し、販売活動全体としては前期を上回る結果となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は21億87百万円(前期比19.3%増)、セグメント利益は1億98百万円(前期比61.6%増)となりました。
セグメント資産は、現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ3億31百万円増加し45億39百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ②キャッシュ・フローの状況 b.資本の財源および資金の流動性についての分析」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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