研究開発活動

5 【研究開発活動】

当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は496百万円であり、生活環境分野で使用される水処理装置及び機器メーカーとして、社会に貢献する製品の開発を進めております。

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

  (1) 環境事業

上水道分野では、重点製品としてMIEX(帯磁性イオン交換樹脂)による有機物除去システムの販売を推進しております。MIEX処理システムは水中に溶存する有機物を除去する新しい処理方式です。有機物、色度、トリハロメタン対策などに有効であり、東京都小笠原村父島の扇浦浄水場及び母島の沖村浄水場へ納入して良好な処理が行われております。大規模浄水場への適用に向けたプラント実験及び社内プロジェクトを立上げ、大型物件受注のための準備を行っています。また、平成27年4月より強化された水道水質基準のハロ酢酸類の低減対策として、MIEXを使用した前処理設備を兵庫県佐用町奥海浄水場に納入し、安定した水質が確保されていることを追跡調査でも確認しています。

浄水場は改築更新の時代を迎え、更新に適した機器や維持管理性の良い機器の開発が求められています。沈殿池機械や急速ろ過設備機器の開発を強化し、時代のニーズにこたえていきます。令和4年4月、レシプロ式汚泥掻き寄せ機と高濃度排泥装置の組み合わせ技術が水道技術研究センター「水道施設の点検を含む維持・修繕に関する新技術事例集(Aqua-LIST)」に掲載されました。維持管理業務の効率化と高濃度排泥技術が評価されたものです。

また、近年話題となっているAI技術の浄水場への適用として、処理工程への画像診断、水質予測への応用を中央大学、北海道科学大学との共同研究による開発や神奈川県某所浄水場で浄水場の実データをもとに前塩素注入率を予測するAIモデル開発、水中ドローンを使った調査の実証研究を進めています。

下水道分野では、高知大学、日本下水道事業団、前澤工業の共同研究にて開発した「OD法における二点DO制御システム」は平成26年度に地方共同法人日本下水道事業団の新技術Ⅰ類に登録され、平成27年度に、国土交通大臣賞<循環のみち下水道賞>のグランプリ、及び公益社団法人日本水環境学会の技術賞を受賞しました。「OD法における二点DO制御システム」は、令和2年度に笠間市浄化センターともべ、糸魚川市青海浄化センターの増設工事、令和3年度に宮崎県三股市三股中央浄化センター、岡山県真庭市落合浄化センターの更新工事が完成し、今年度末の完成を目指した福岡県内での更新工事も進行中です。また、二点DO制御技術を応用した「高効率固液分離技術と二点DO制御を用いた省エネ型水処理技術の実証事業」(国土交通省B-DASHプロジェクト-国土交通省より平成29年3月にガイドラインとして発刊)は、脱炭素に貢献できる省エネ型高度処理として共同研究を行った(株)石垣とともに販売を展開中です。

平成29年3月に公益財団法人日本下水道新技術機構の建設技術審査証明を取得し、販売契約を結んでいるアトラスコプコ(株)社製のZSブロワは、平成30年度に延岡市一ヶ岡下水処理場、令和3年度に佐賀県伊万里市に納入し、昨年度に福岡県、長崎県で新たにブロワを受注しました。更に前澤工業(株)、日本下水道事業団、埼玉県との共同研究として圧力が高い場合でも運転可能であるZSブロワの特徴を活かし、脱炭素への削減効果が期待できる技術として深槽曝気システムが今年度の国土交通省のB-DASHプロジェクトとして採択され、埼玉県の新河岸川水循環センターの反応タンクを改造した実証設備の建設が予定されています。

当社の得意とする沈砂池設備では省エネルギー化や高性能化を目的に、揚砂装置、ユニット型除塵機、沈砂分離機(エスカルゴ)、し渣分離脱水機等の開発や改良も実施しております。

新たな膜分離活性汚泥法(MBR)として「仕切板挿入型MBR(B-MBR)」を北海道大学及び中央大学との共同研究で開発を進めています。令和元年7月より国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の戦略的省エネルギー技術革新プログラムの助成事業として埼玉県中川水循環センターに大型実験設備を建設し、検証を行いました。本技術の成果を令和3年度に従来のMBRに比較し、消費電力量が約50%削減可能な省エネ型水処理技術としてNEDOに研究報告書を提出しました。引き続き、実施設計に向けたデータ収集の継続調査を行っています。

2050年脱炭素化社会に向けては、従来の下水処理方式に替わる次世代の処理システムを基礎研究レベルで実用化製品化の可能性を探っていきます。

水質試験分野では、分析センターの水質分析精度管理を向上させることによって、高い評価を受けております。水道法第20条に基づく登録水質検査機関として、また、クリプトスポリジウムの検査機関として高い信頼を得ております。また、環境計量証明事業者として、下水や工場排水等の分析業務も行っております。水質検査は、水処理システムの運転・維持管理のための評価判定指標のひとつとして重要な位置づけであり、今後も精度管理を徹底し、新たな分析手法・項目に挑戦してまいります。

 

このセグメントの研究開発費は390百万円であります。

 

  (2) バルブ事業

バルブ事業では、引続き「持続可能な上下水道」および「次世代水道・新世代下水道」をキーワードにバルブ・ゲート関連の開発を行っております。

水道事業における課題解決策の一つにCPS(Cyber Physical System)/IoT(Internet of things)技術があります。この技術に対応した製品を目標として、水道管路内の情報を収集し、CPSに連系できる製品の開発を継続しており、フィールド試験も予定しております。

この他に環境負荷低減に向けたコア技術の確立と工事費の削減に寄与する製品開発に取り組んでおります。材料の開発においても、製品の耐用年数を向上させる新素材について大学との共同研究を継続しております。

 

このセグメントの研究開発費は100百万円であります。

 

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