課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

<長期経営ビジョン>

当社グループは創業以来、「流体の漏れを止める技術」を基盤として独自の製品やサービスを提供し、環境(Clean)、安全(Safety)、最先端技術の創出(Frontier)に関わる社会課題の解決にチャレンジつづけてきました。今後も変化し続ける社会や市場からの要求にスピーディーに対応し、「流体制御」「材料開発」のエキスパートとして、持続可能で豊かな社会の創造に貢献してまいります。また、国際社会において法令や社会規範を遵守し、公正で健全な企業活動に努め、グローバル競争力を向上させてまいります。

創業以来進化を続ける「流体の漏れを止める技術」を基本技術として、「材料技術」「設計技術」「加工技術」「評価技術」などを活用し、独創的で高品質な製品・技術サービスを開発・提供することで、環境(Clean)、安全(Safety)、最先端技術の創出(Frontier)への貢献を追求してまいります。

 

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(2) 中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

 <中期経営ビジョン>

     当社グループは、2024年に創業100周年を迎えます。創業100周年に向け、さらなる競争力の強化と企業価値の向上の礎とするため、2020年4月に中期経営計画「BT Vision22(ブレークスルービジョンニーニー)」をスタートさせました。中期経営計画「BT Vision22」は、以下の5つを基本方針としています。

①事業基盤の拡充

産業機器関連事業においては、メンテナンス事業を強化し、製品開発からメンテナンスまでの総合力の向上を図るだけでなく、環境分野や精密機械向けなど成長する市場に差別化製品を引き続き投入します。電子機器関連事業については、生産能力向上に対して積極的な投資を行い、市場成長率以上の拡大を目標といたします。

②グローバル化の深耕

拠点を設置した域内において、現地市場でのニーズをいち早くキャッチし、市場要求水準を上回る数多くの製品・サービスを提供いたします。また、それぞれの地域で競争力のあるリソースを活用し、グローバル市場に特徴のある製品を供給いたします。

③新事業の創出

当社技術のすそ野は極めて広く、市場変革により新たに生まれたニーズに対応することで新分野を開拓し、また産学官連携を用いて新技術を獲得することで新規事業を創出いたします。

④ESG/SDGs経営の推進

これまでに具体化してきた社会貢献項目に加え、ESG・SDGsという新たな尺度を用い、さらに持続可能で豊かな社会の創出に貢献いたします。

⑤財務戦略の強化

IRを通した投資家とのコミュニケーションをさらに重視するとともに、株主還元も強化いたします

 

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 2022年度が最終年度となりますが、デジタルトランスフォーメーション(DX)や5Gの進展により、半導体需要が拡大傾向であることから、最終年度の売上高等の業績目標を上方修正いたしました。修正後の中期経営計画に掲げている各目標を達成し、さらなる競争力の強化と企業価値の向上を実現いたします。

 

■連結業績(実績・計画)

 

2021年3月期

実績

2022年3月期

実績

2023年3月期

最終年度計画

 

百万円

百万円

百万円

売上高

30,200

40,670

44,000

営業利益

(同 率)

4,847

(16.1%)

11,392

(28.0%)

11,800

(26.8%)

ROE

7.8%

16.8%

8.0%以上

配当性向

34.6%

30.3%

30.0%以上

 

(3) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループを取り巻く経営環境は、依然、新型コロナウイルス感染症が世界経済に影響を及ぼしているものの、先進国を中心にワクチン接種が進み、徐々に持ち直しの動きが見えました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢等の地政学リスクの拡大、原材料価格の高騰など、不確実性が増している状況と認識しております。

また、脱炭素社会やカーボンニュートラルなど環境目標の変化や、DXをはじめとするIT技術の進化、さらには積層化による半導体性能のさらなる向上など、当社事業に関わる変革のスピードと振れ幅は過去に経験をしたことのないレベルとなっています。

そのような状況であっても、社会や市場が変革する際に生まれる新たなニーズに対し機動的に対応し、差別化された製品・技術を投入できれば、競争力を高められる機会となります。電子機器関連事業、産業機器関連事業ともに、市場の変革は当面継続すると想定しており、当社は社会や市場の変化の先を見通し、果敢にチャレンジすることで企業価値の向上を実現してまいります。

 

このような状況の中、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。

 

①持続的成長に向けた取組み

(a)電子機器関連事業の継手・ポンプなどは、半導体の生産に使用される設備・インフラにおいて必要不可欠な部品です。デジタルトランスフォーメーション(DX)や新型コロナウイルス感染症によるテレワークの広がりなど、半導体の社会的重要性は急激に高まっています。この需要拡大に追従すべく、これまでに先行で導入した設備も活用し、安定的に製品を供給できる体制を構築しております。また、さらなる需要の拡大に備え、福知山第2工場立ち上げ等積極的な設備投資を継続してまいります。

(b)産業機器関連事業に関わる一部の市場においては、環境志向が高まり、脱炭素社会やカーボンニュートラルの実現が国家や市場の目標となっています。当社は高性能シール製品を市場に供給することで、環境負荷物質の漏洩を防ぎ、引き続き地球環境に貢献してまいります。

また、環境性能が高く新たな技術が求められる水素などの新エネルギー分野においても積極的に当社製品を投入し、差別化を図ってまいります。

(c)イノベーションによる価値創造も実践してまいります。新技術や新製品の開発プロセスにおいても、産学官連携や機械学習などIT技術を今まで以上に活用し、質・量・スピードを向上させてまいります。また、既存の開発リソースに加え、現在計画中の技術開発センターを活用し、電子機器関連事業及び産業機器関連事業において、技術開発を積極的に進めてまいります。

②人材に関する取組み

当社グループにとって「人材」は最も大切にしている財産であり、継続して「人材」のチカラを向上させていかなければ、持続的成長は実現できません。当社グループでは、階層別研修をはじめとした社内研修をニーズに即した形で充実させるとともに、外部教育機関との連携、派遣による専門スキルの充実化を行っています。また、昨今広がりを見せているIT・DX教育の推進を行う一方で、基本技術に係るノウハウの伝承を行うことで新しい知識と歴史ある知識の融合を図っています。

さらに、グローバル市場の拡大とともに当社グループの成長にとって必要不可欠となる国籍・年齢・性別を問わない優秀な人材の確保と、現地ローカル社員を含めたグローバル人材の育成に力を入れてまいります。

③ESG/SDGsに関する取組み

「流体の漏れを止める技術」を用いて省エネや環境保全に貢献する当社グループの事業は、ESG/SDGsとの親和性が高いものです。

中期経営計画「BT Vision22」において、ESG/SDGs経営のさらなる強化を図るべく、ESG/SDGsの各テーマに合致した取組み目標を掲げています。具体的には、流体の漏れを防ぐ製品の開発・普及によって地球環境の保全と省資源に貢献するだけでなく、自社製品の製造に関わる材料の調達から製品の供給までに発生する環境負荷物質とエネルギー消費量の削減に努めています。

 

 

当社グループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」による提言への賛同を表明いたしました。本提言に基づき、気候変動に関連するリスクと機会の管理や評価を行い、適切な情報開示を行っていくとともに、気候変動の緩和・適応に資する技術開発、製品供給を通じて、市場・社会の脱炭素化および気候変動に対する強靭性の向上に貢献してまいります。また、コーポレート・ガバナンスの観点においては、各種委員会を設置し透明性の高い経営を行うとともに、積極的な情報開示に努めてまいります。

当社グループは引き続き、ESG/SDGs経営を社会貢献と当社の成長を両立できるチャンスとして捉え、目標達成のため積極的に活動してまいります。

④財務上の課題

当社は、安定した財務基盤のもと、財務健全性を確保したうえで、持続可能な成長のための投資及び機動的な投資等に対応できる体制を整えることにより、企業体質の強化に努めてまいります。

 

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