当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における国内経済および海外経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」)による厳しい状況が徐々に緩和され経済社会活動が正常化に向かうなかで、持ち直しの動きが続きました。先行きにつきましても、更に加速していくことが期待されますが、感染症の動向に加え、原材料価格の高騰、そして、為替や株価の変動影響等に留意する必要もあり、更に、ロシアのウクライナ侵攻による影響も懸念されることから予断を許さない状況です。
当社グループが最も影響を受ける自動車業界の市場におきましては、高い需要を維持しているものの世界的な半導体等の部品不足や感染症の影響によるサプライチェーンの混乱や生産調整は依然として続いており、本格的な回復に至っておりません。従いまして、先行きにつきましても、同様の注視と可能な限りの備えをしていく必要があります。
このような状況下、当社グループは、「基盤強化」、「永続的発展」、「企業風土改革」を柱とする経営方針を掲げ、国内外で競争力を高める施策や取り組みを積極的に展開してまいりました。また、当社グループのグローバル戦略である『NITTAN Challenge 10』につきましても、「既存事業の付加価値追求」と「新規事業化や商品化によるSDGs(持続可能な開発目標)への貢献」を具現化すべく、グループ一体となって鋭意推進しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、感染症の影響が甚大であった前年度に比べ大幅な増収となりました。国内事業は、半導体等の部品不足及び感染症拡大による生産調整の影響や一部製品の生産拠点移管等の減収要因はありましたものの、感染症影響からの回復等により、前年度に比べ大幅な増収となりました。海外事業は、中国子会社の量産開始、感染症影響からの回復、為替換算の円安効果等により、前年度に比べ大幅な増収となりました。この結果、売上高は、386億69百万円(前年度比11.4%増)となりました。
損益面につきましては、売上原価は、原価低減活動の取り組みなどによりコスト低減を進めたことに加え、国内事業の受注回復、中国子会社の生産安定化などで受注が増加し、固定費負担の割合が減少したことなどにより、売上原価率が前連結会計年度の89.3%から84.9%と4.4%減少しております。
販売費及び一般管理費は、売上原価同様、費用低減を進めたことや、受注増加に伴う固定費負担の割合が減少したことなどにより、対売上高率は前連結会計年度の10.7%から10.0%と0.7%減少しております。
この結果、営業利益は、前年度に比べ大幅に増加し、19億63百万円(前年度は営業利益18百万円)となりました。この増加のうち、為替変動が占める割合は7.13%であります。
営業外収益は前連結会計年度と比べて2億28百万円減少し、3億58百万円となりました。営業外収益の減少の主なものは、持分法投資利益の減少や、前期は発生していた受取保険金が当期は発生しなかったことなどによるものであります。また、営業外費用は、前連結会計年度と比べて14百万円減少し、2億16百万円となりました。営業外費用の減少の主なものは、支払手数料の減少などによるものであります。
この結果、経常利益は、21億6百万円(前年度比460.9%増)となりました。
特別利益は、保有株式の売却に伴う売却益の発生額が前期に比べて大幅に減少したことなどから、前連結会計年度と比べて17億63百万円減少し、6百万円となりました。また、減損損失の発生額が前期に比べて大幅に減少したことなどから、特別損失は、前連結会計年度と比べて6億68百万円減少し、85百万円となりました。
法人税等については、前連結会計年度と比べて4億71百万円増加し、7億19百万円となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べて1億91百万円増加し、6億63百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、期初計画では増益を見込んでおりましたが、6億44百万円(前年度比3.8%減)と前連結会計年度に比べ減益となりました。
なお、当社グループでは経営成績を判断する上で、事業の拡大及び収益性の指標として売上高及び営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益を重視しています。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
(小型エンジンバルブ)
国内事業は、感染症影響からの回復等の増収要因はありましたものの、半導体等の部品不足等による生産調整の影響や中空エンジンバルブの生産拠点移管等により、四輪車用エンジンバルブは前年度に比べ減収となりました。二輪車用エンジンバルブは、生産調整の影響は一部でありましたものの感染症影響からの回復等により増収となりました。
海外事業は、生産調整の影響は一部でありましたものの、中国子会社における中空エンジンバルブの量産安定化、感染症影響からの回復、為替換算の円安効果等により、前年度に比べ大幅な増収となりました。
汎用エンジンバルブは、感染症影響からの回復等により船外機用製品、汎用製品の受注が増加し、前年度に比べ大幅な増収となりました。
当セグメントの損益面につきましては、国内外事業の受注回復、中国子会社の量産安定化、為替換算の円安効果等により、前年度に比べ大幅な増益となりました。
この結果、当セグメントの売上高は、305億67百万円(前年度比12.1%増)、セグメント利益(営業利益)は、18億68百万円(前年度比230.5%増)となりました。
(舶用部品)
舶用部品につきましては、感染症影響からの回復等により海外顧客向けの船舶用補用製品の受注が大幅に増加し、国内顧客向け製品についても回復傾向にあることから、前年度に比べ増収となりました。
当セグメントの損益面につきましては、主力製品の受注回復やコスト削減及び価格改正等により利益計上に転じました。
この結果、当セグメントの売上高は、31億83百万円(前年度比16.2%増)、セグメント利益(営業利益)は、89百万円(前年度はセグメント損失(営業損失)1億79百万円)となりました。
(歯車)
歯車につきましては、主要顧客の半導体等の部品不足等による生産調整の影響は一部でありましたものの、感染症影響からの回復等により自動車用製品の受注が大幅に増加し、産業機械用製品についても回復傾向にあることから、前年度に比べ増収となりました。
当セグメントの損益面につきましては、依然として受注変動が大きく、損失計上であるものの主力製品の受注回復やコスト削減等により損失幅が縮小しました。
この結果、当セグメントの売上高は、27億81百万円(前年度比18.7%増)、セグメント損失(営業損失)は、63百万円(前年度はセグメント損失(営業損失)3億30百万円)となりました。
(PBW)
PBWにつきましては、顧客の半導体等の部品不足等による生産調整の影響は一部でありましたものの、感染症影響からの回復等により、前年度に比べ増収となりました。
当セグメントの損益面につきましては、受注数に見合った価格改正により利益計上に転じました。
この結果、当セグメントの売上高は、12億62百万円(前年度比8.9%増)、セグメント利益(営業利益)は、67百万円(前年度はセグメント損失(営業損失)79百万円)となりました
(その他)
バルブリフターにつきましては、一部製品の転注等により前年度に比べ減収となりました。
可変動弁につきましては、量産終了に向けた補用品調整のため前年度に比べ増収となりました。
工作機械につきましては、グループ内部での取引が増加し増収となりました。
ロイヤルティーにつきましては、グループ内部での取引が増加し増収となりました。
農作物につきましては、販路拡大に鋭意取り組んでおりますが、感染症影響もあり減収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は、29億円(前年度比22.1%増)、セグメント損失(営業損失)は、10百万円(前年度はセグメント損失(営業損失)45百万円)となりました。
なお、当セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高20億25百万円を含んでおります。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっております。
当社グループは、各納入先より提示された生産計画をもとに、当社グループの生産能力を勘案して生産計画を立てる方法が主体となっている事から、受注実績は生産実績に近似するため、記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっております。
2 セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。
当連結会計年度末における総資産は、547億51百万円となり、前連結会計年度末と比較して6億16百万円の増加となりました。
資産の部の流動資産は、222億74百万円となり、前連結会計年度末と比較して5億6百万円の増加となりました。この主な要因は、受取手形及び売掛金が1億87百万円減少した一方、原材料及び貯蔵品が3億40百万円、現金及び預金が3億4百万円増加したことなどによるものであります。
固定資産は、324億76百万円となり、前連結会計年度末と比較して1億10百万円の増加となりました。この主な要因は、有形固定資産が93百万円減少した一方、出資金が1億39百万円、投資有価証券が1億円増加したことなどによるものであります。
負債の部の流動負債は、119億13百万円となり、前連結会計年度末と比較して2億14百万円の増加となりました。この主な要因は、その他に含まれるもののうち設備支払手形が2億74百万円減少した一方、支払手形及び買掛金が4億42百万円増加したことなどによるものであります。
固定負債は、114億15百万円となり、前連結会計年度末と比較して13億84百万円の減少となりました。この主な要因は、長期借入金が16億13百万円減少したことなどによるものであります。
純資産の部は、314億21百万円となり、前連結会計年度末と比較して17億86百万円の増加となりました。この主な要因は、利益剰余金が3億85百万円、為替換算調整勘定が10億38百万円、非支配株主持分が4億36百万円増加したことなどによるものであります。
なお、通貨別の為替の変動につきましては、当社の連結子会社のある国では、前連結会計年度末と比べ、タイバーツが円高に、米ドル・人民元・台湾ドル・インドルピー・インドネシアルピア・ポーランドズロチ・ベトナムドンが円安に進みました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は63億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ、3億4百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により、68億84百万円の資金増加(前連結会計年度は、54億42百万円の資金増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益による資金増加が20億27百万円(前連結会計年度は、13億91百万円の資金増加)となり、前連結会計年度と比べて、6億36百万円の資金増加要因となったことや、仕入債務の増減額による資金増加が3億6百万円(前連結会計年度は、資金減少が4億11百万円)となり、前連結会計年度と比べて、7億17百万円の資金増加要因となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により、35億35百万円の資金減少(前連結会計年度は、25億78百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出33億53百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により、33億4百万円の資金減少(前連結会計年度は、18億61百万円の資金減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出35億29百万円によるものであります。
資金調達の基本方針、及び資金調達手段に関して、当社は円滑な事業活動に必要な流動性及び財務健全性の確保を、資金調達の基本方針としております。これに則し、金融機関との間で長期にわたり培った良好な関係に基づき、主として本邦銀行、生保等からの7年程度の長期資金を中心とした資金調達を行っております。同時に長期資金の年度別償還額の集中等を避けることで借り換えリスクの低減を図っております。さらに好条件の場合には、国際協力銀行などの政府系金融機関から資金調達を行っております。今期末において予定している次期の設備投資に関しては、自己資金、及び長期借入金による資金調達を行う予定です。
流動性の確保に関しましては、当連結会計年度における流動比率は187.0%、当座比率は115.5%となっており、十分な流動性を確保していると認識しております。
財務健全性に関しましては、当連結会計年度における自己資本比率は43.7%となり、円滑な業務遂行を維持するという点に関して、健全な範囲にあると認識しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要と考えている主なものは以下のとおりです。
(a) 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来減算一時差異の解消見込額について、収益力やタックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得が十分に確保できることを前提に、繰延税金資産を慎重に計上しております。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに左右されるため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の修正を行うため、将来の税金費用に影響を与える可能性があります。
(b) 退職給付債務及び退職給付費用の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(c) 減損会計における将来キャッシュ・フロー
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、管理会計上の区分を基準として資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額は、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損損失を計上し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(d) 新型コロナウイルス感染症の影響
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定における新型コロナウイルスの感染拡大による影響につきましては、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項追加情報」及び「同2 財務諸表等(1) 財務諸表注記事項(追加情報)」に記載しております。
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