業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況

  当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりであります。

 

a.財政状態

当連結会計年度末における流動資産は300億5千8百万円となり、前連結会計年度末に比べて61億1千4百万円増加しました。また、固定資産は160億6千5百万円となり、前連結会計年度末に比べて8億8千3百万円減少しました。

これにより、総資産は461億2千3百万円と前連結会計年度末に比べて52億3千万円増加しました。

当連結会計年度末における負債は197億2千4百万円となり、前連結会計年度末に比べて23億9千5百万円増加しました。

当連結会計年度末における純資産は263億9千9百万円となり、前連結会計年度末に比べて28億3千4百万円増加しました。

なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて0.1ポイント減少し、51.7%となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況がワクチン接種の促進による経済活動再開等により緩和され、景気の持ち直しの動きがみられましたが、感染症の再拡大、半導体不足の深刻化、原材料価格の上昇やウクライナ情勢の影響などが懸念されるなど、依然として先行き不透明感が続く予断を許さない状況となっております。

このような中、当連結会計年度の売上高は、323億4千7百万円(前期比24.8%増)となりました。

利益面におきましては、営業利益21億2千8百万円(前期は営業損失9億4百万円)、営業外収益に為替差益3億1千5百万円などを計上したことにより、経常利益28億3千1百万円(前期は経常損失5億1千8百万円)となりました。また特別利益には福利厚生施設の売却益1億9千6百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は21億8千万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失11億5千6百万円)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

当連結会計年度より、事業環境の変化に迅速に対応することを目的とした組織再編実施に伴い、報告セグメントを従来の「エレクトロニクス事業」、「メカトロニクス事業」、「ケミトロニクス事業」、「コンポーネント事業」の4区分から、コンポーネント事業に含まれておりました「半導体デバイス」を「その他」に区分し、「エレクトロニクス事業」、「メカトロニクス事業」、「ケミトロニクス事業」、「コンポーネント事業」、「その他」の5区分に変更しております。前期比については、前連結会計年度の数値をセグメント変更後の数値に組み替えた上で比較を行っております。

 

 [エレクトロニクス事業]

 エレクトロニクス事業の売上高は前期比1.3%減の68億4千2百万円(総売上高の21.2%)となりました。

 注力製品である医療用や半導体製造装置用などの高圧電源が堅調に推移し、通信用電源も微増となりましたが、部品調達難による生産遅延に苦戦し、全体では売上減となりました。

 

 [メカトロニクス事業]

 メカトロニクス事業の売上高は前期比152.8%増の55億7百万円(総売上高の17.0%)となりました。

 前期よりウエアラブル市場へ投入しました光学レンズ貼合装置(OLB:Optical Lens Bonder)が大きく寄与し、大幅な売上増となりました。

 

 [ケミトロニクス事業]

 ケミトロニクス事業の売上高は前期比19.1%増の104億2千2百万円(総売上高の32.2%)となりました。

 海外での業績が好調だったため前年実績を上回りましたが、国内は自動車メーカーの減産の影響を受け厳しい状況が継続しました。

 

 [コンポーネント事業]

 コンポーネント事業の売上高は前期比20.1%増の78億4千万円(総売上高の24.2%)となりました。

 半導体需要増加に伴う設備投資が活況、産業機器向けが堅調に推移すると共に金融機器、事務機器関係向けが復調、第4四半期から自動車向けの売上が計上出来、通期では大幅な売上増となりました。

 

[その他]

 その他(半導体デバイス事業)の売上高は前期比13.0%増の17億3千5百万円(総売上高の5.4%)となりました。

 産業機器関係の好調により売上増となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は77億5千5百万円となり、前連結会計年度末より27億3千3百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られた資金は、16億5千5百万円(前期は4億8千8百万円の資金の使用)となりました。主な資金の増加要因は税金等調整前当期純利益30億9百万円、仕入債務の増加額20億8千2百万円であり、主な資金の減少要因は棚卸資産の増加額22億3千1百万円、売上債権の増加額12億7千1百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によって得られた資金は、17億5千6百万円(前期は9千1百万円の資金の獲得)となりました。主な資金の増加要因は定期預金の純減少額14億5千1百万円、関係会社の整理による収入3億7千5百万円であり、主な資金の減少要因は有形固定資産の取得による支出4億7千7百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によって使用された資金は、11億3千4百万円(前期は13億2千5百万円の資金の使用)となりました。主な資金の減少要因は長期借入金の返済による支出5億7千5百万円、非支配株主への配当金の支払額3億9千6百万円であります。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

  a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

エレクトロニクス事業

6,987,718

106.6

メカトロニクス事業

6,798,609

289.0

ケミトロニクス事業

9,126,640

118.6

コンポーネント事業

2,558,143

101.7

その他

1,585,216

98.9

合計

27,056,327

130.6

 (注)金額は販売価額によっております。

 

  b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

エレクトロニクス事業

6,856,872

96.0

1,644,476

100.9

メカトロニクス事業

8,770,949

273.7

5,050,990

282.6

ケミトロニクス事業

10,381,662

119.2

354,164

89.7

コンポーネント事業

8,046,835

119.9

1,263,356

119.6

その他

1,895,424

118.0

479,439

150.3

合計

35,951,742

131.3

8,792,425

169.5

 

  c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

エレクトロニクス事業

6,842,924

98.7

メカトロニクス事業

5,507,183

252.8

ケミトロニクス事業

10,422,188

119.1

コンポーネント事業

7,840,147

120.1

その他

1,735,062

113.0

合計

32,347,506

124.8

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

  至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

  至  2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Interface Technology

(Cheng Du) Co., LTD

4,055,325

12.5

3.前連結会計年度のInterface Technology (Cheng Du) Co., LTDについては当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しています。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、国内外の経済活動の抑制が続くと考えられ、また、世界的な半導体不足や樹脂材料等の不足・値上がりなどによる景気への影響も懸念されており先行き厳しい状態が続くものと思われます。新型コロナウイルス感染症の影響として、部品調達の遅れ、顧客の製造拠点の稼働低下に伴う受注減少及び納入地の渡航禁止等による立会作業の遅延による売上減少等が引き続き想定されます。

 

 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

当連結会計年度末の総資産は461億2千3百万円と前連結会計年度末に比べて52億3千万円増加しました。

流動資産は300億5千8百万円となり、前連結会計年度末に比べて61億1千4百万円増加しました。これは主に流動資産のその他が7億5百万円減少しましたが、現金及び預金が25億2千4百万円、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末においては受取手形及び売掛金)が17億1千4百万円、仕掛品が15億7千5百万円増加したことなどによるものであります。

 固定資産は160億6千5百万円となり、前連結会計年度末に比べて8億8千3百万円減少しました。これは主に投資その他の資産のその他が6億9千2百万円、建物及び構築物が2億1千9百万円減少したことなどによるものであります。

 負債は197億2千4百万円となり、前連結会計年度末に比べて23億9千5百万円増加しました。これは主に長期借入金が4億7千9百万円減少しましたが、支払手形及び買掛金が13億4百万円、電子記録債務が8億4千3百万円、流動負債のその他が5億5千3百万円増加したことなどによるものであります。

 純資産は263億9千9百万円と前連結会計年度末に比べて28億3千4百万円増加しました。これは主に利益剰余金が19億6千8百万円、為替換算調整勘定が6億3千5百万円、非支配株主持分が1億4千9百万円増加したことなどによるものであります。なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて0.1ポイント減少し、51.7%となりました。

 

2)経営成績

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた前期から持ち直し、前期比24.8%増の323億4千7百万円となりました。

 

(売上原価)

売上原価は、前期比17.3%増の236億7千6百万円となりました。国内外でのグループ全体で原価低減及び固定費削減に取組んだ結果、売上原価率は73.2%となり、前期比4.7ポイント減となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、製品補償引当金繰入額の減少や本社さいたま新都心オフィスの移転による賃借料の削減等により、前期比1.5%減の65億4千2百万円となりました。

 

(営業利益、経常利益)

上記要因により、営業利益21億2千8百万円(前期は営業損失9億4百万円)となり、営業外収益に為替差益3億1千5百万円などを計上したことにより、経常利益28億3千1百万円(前期は経常損失5億1千8百万円)となりました。

 

(特別損益)

特別利益は、福利厚生施設の売却益1億9千6百万円の計上等により、2億2千7百万円となりました。

特別損失は、4千9百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、上記要因の他、法人税等5億1百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益3億2千7百万円の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益21億8千万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失11億5千6百万円)となりました。

 

また、セグメントにおける分析につきましては次のとおりであります。

[エレクトロニクス事業]

注力製品である医療用や半導体製造装置用などの高圧電源が堅調に推移し、通信用電源も微増となりましたが、部品調達難による生産遅延に苦戦したため、売上高は前期比1.3%減の68億4千2百万円(総売上高の21.2%)、セグメント利益は前期比247.3%増の8億4千万円となりました。

[メカトロニクス事業]

前期よりウエアラブル市場へ投入しました光学レンズ貼合装置(OLB:Optical Lens Bonder)が大きく寄与し、大幅な売上増となりました。売上高は前期比152.8%増の55億7百万円(総売上高の17.0%)、セグメント利益は6億2千7百万円(前期はセグメント損失3億7千3百万円)となりました。

[ケミトロニクス事業]

海外での業績が好調だったため前年実績を上回りましたが、国内は自動車メーカーの減産の影響を受け厳しい状況が継続しました。

売上高は前期比19.1%増の104億2千2百万円(総売上高の32.2%)、セグメント利益は前期比43.3%増の10億7千万円となりました。

[コンポーネント事業]

半導体需要増加に伴う設備投資が活況、産業機器向けが堅調に推移すると共に金融機器、事務機器関係向けが復調、第4四半期から自動車向けの売上が計上出来、通期では大幅な増収増益となりました。売上高は前期比20.1%増の78億4千万円(総売上高の24.2%)、セグメント利益は前期比91.1%増の12億6千1百万円となりました。

[その他]

産業機器関係の好調により売上増となり、売上高は前期比13.0%増の17億3千5百万円(総売上高の5.4%)、セグメント利益は1億7千6百万円(前期はセグメント損失2億8千7百万円)となりました。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、資金需要の主なものは、新製品開発、製造及び生産性向上、品質向上のための設備投資などの設備投資需要及び新製品開発及び製造のための材料及び部品の購入のほか、労務費、製造経費、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。

これらの資金需要に対して当社グループは、自己資金のほか、銀行借入等の間接金融により賄っております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、市場の動向に予断を許しませんが、当社は機動的な財務戦略をとり、資金の効率的な調達を行うため、特定融資枠契約(シンジケーション方式によるコミットメントライン)を締結しております。

 

 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

また、新型コロナウイルス感染症の今後の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

この連結財務諸表の作成にあたりまして、過去の実績、法令や会計制度等の変更など様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確定要素が内在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

(有形固定資産及び無形固定資産の減損処理)

固定資産の減損処理に係る会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

(繰延税金資産)

当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っておりますが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産は減額され、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

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