有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)設備産業関連事業としての構造
当社グループの中でも、国内外での機器製造産業での設備投資に必要とされる各種機器の部品等を製造する分野、特にエレクトロニクス事業とメカトロニクス事業の売上は、かかる設備産業の投資動向の趨勢に大きく左右されることが多いのが実情となっております。そのため、かねてより売上や営業利益等が大幅に振れ、顕在する跛行性を平準化することを課題として、事業の柱を増やす及び各事業の柱を太くするなどの取り組みを含めた事業の構造変革に注力して参りました。しかしながら、各事業とも市場の需給水準とサイクルの始期と終期が極めてランダムに推移するために、想定できない大きな増減が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)感染症並びにパンデミック関連
感染症の世界的大流行(パンデミック)により、供給元、納入先、当社グループの工場等のサプライチェーンに影響が生じた場合や、当社グループの従業員に影響が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
特に新型コロナウイルス感染症の収束が未だ見えない状況の下、当社グループは、従業員とその家族の安全とステークホルダーに対する責務を最優先に考え、状況に応じて時差出勤・在宅勤務の実施並びにWeb会議の活用促進に努めております。
しかしながら、当社グループの製品に対する需要の落ち込みが見込まれることや、中国・東南アジアを中心としたロックダウンによる部品や部材の入手難などの理由により、当社グループは国内及び海外の一部の工場で、製品及び部品の一時的な生産停止を実施することもあり、新型コロナウイルス感染症蔓延が長期化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)製品の価格競争・競合・新規開発関連
当社グループは自社の技術力・開発力を持続的成長の源泉と考えており、常に市場動向を把握し研究開発に取組んでおりますが、製品のタイムリーな市場投入が出来なかった場合あるいは製品が市場に受け入れられなかった場合、当社グループの収益性が低下し財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。より一層研究開発に注力することにより競争優位を維持していくことを目指しておりますが、国内外に多様な競合企業が存在するため、当社グループの競争優位が脅かされ、当社グループの製品を上回る性能の新製品が競合企業により開発・上市されるリスクがあります。そのため、当社グループは新製品の販売機会を逸失し、研究開発投資の回収が困難になるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)災害対策関連
供給元、納入先、当社グループの工場などのサプライチェーンが地震、台風等の自然災害や、火災、停電等の事故災害が発生した場合、当社グループの経営成績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、損害を被った設備等の修復費用が発生した場合、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)気候変動
当社グループは、サステナビリティ方針を策定し、「気候変動などの地球環境問題への配慮」のなかで、省エネルギー、クリーンエネルギー、化学物質排出削減などの環境に配慮した製品の技術開発や生物多様性の取り組みなど環境に配慮した活動に全社を挙げて取り組むこととしています。また、カーボンニュートラルへの貢献に向けて、2030年に、自社分のCO2排出量を50%削減(2015年基準)する中期削減目標を設定して取り組みを強化しています。しかしながら、気候変動に伴う異常気象などが当社グループの工場の操業やサプライチェーンに影響を与える物理的リスク、あるいは当社グループや調達パートナーにおいて、原材料価格、エネルギー価格の上昇や省エネ・再エネ対応の追加設備投資、炭素税導入などの影響により、事業コストが増加するリスクにより、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(6)退職給付費用及び債務
当社の従業員退職給付費用及び債務は、年金資産の運用収益率や割引率などの数理計算上の前提に基づいて算出され、数理計算上の差異は発生年度で全額費用処理しております。年金資産運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合や退職金・年金制度が変更された場合は、退職給付費用及び債務が増加し、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)公的規制等
当社グループでは、日本国内のほか諸外国を含め7か国に事業を展開しており、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制、事業や投資の許可等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管制、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。当社グループは事業活動を行うにあたり、これらの規制に細心の注意を払っておりますが、これらの公的規制の変更により適時に対応することが困難な場合を含めて、万一、これらの法的規制を遵守できなかった場合、当社グループの事業活動が制限されることはもとより社会的信用の低下を招き、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。さらにペナルティを課せられるなど発生費用の増加を伴い、当社グループの業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
加えて、各市場においては、各国・地域の定める様々な法律・規制等の変更により、適時に対応することが困難な場合には受注あるいは生産活動等に支障が生じるリスクがあり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)サプライチェーン
当社グループは、主に外部の取引先を通じてサプライヤーから原材料を調達しております。主要な原材料はリスク管理の観点からも可能な限り複数の取引先から購入を行っておりますが、製品の製造において用いるいくつかの原材料、部品については、特定のサプライヤーに依存しているものがあります。購買ルートの検討等対策を講じておりますが、サプライヤーの生産設備における事故など、当社グループがコントロールできない要因により、それらのサプライヤーを通じた原材料・部品の調達が困難となった場合、当社グループの生産能力に影響を与え、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社製品を構成する半導体部品は製品ライフサイクルが短いものもあり、代替部品などでの対処は行っていますが、製品改定費用や収益面から生産中止を余儀なくされる場合など業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループと各サプライヤーとの間は、概ね良好な協力関係にありますが、一般的な経済動向およびサプライヤー個別の事由により、需給の急激な変動や価格の高騰が起きた場合には、必要な部材の入手に支障を来し、当社グループが顧客企業に対し供給責任を果たせない、あるいは部材価格高騰による原価の上昇など、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
サプライチェーンに対するサステナビリティの取り組みが顧客からより強く求められているなか、当社のサプライヤ―に対してもサステナビリティに対する取り組みを働きかけることが必要となってきています。
顧客企業が部材調達の支障を原因とする大幅な稼働低下をした場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)コンプライアンス
当社グループでは、国内外拠点の従業員による個人的な不正行為等を含めたコンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを排除できない場合があります。結果として、当社グループの信頼性や企業イメージが低下し、経営成績や財政状態に影響を与える可能性がありますが、残念ながら、中国子会社において当社出向社員による不正行為が発覚し、当該社員の処分および、その他中国子会社の責任者へのコンプライアンス再教育等の再発防止対策を急遽実施しました。また、特に国内外の子会社向けを重点的に、コンプライアンスに関する注意喚起や内部通報制度の再度の周知を行いました。
このようなリスクを踏まえ、法令遵守は極めて重要な企業の責務であるとの認識のもと、米国・アジアを中心とした諸外国の贈収賄防止法等の厳格化も睨み、国内外を問わず、より一層のコンプライアンスの強化に、継続的に取り組んで参ります。具体的にはオリジングループ行動憲章を設定、コンプライアンス委員会による啓蒙活動を実施して、当社グループのコンプライアンス意識高揚に努めております。また、海外を含めた当社グループ従業員が利用可能な専門業者による内部通報の外部受付窓口を設けて、不正行為が有った場合の早期洗い出しや不正行為の抑止に活用し、コンプライアンス体制維持を図っております。
(10)人材の確保・育成
当社は、経営理念として、人類社会に役立つ存在感あふれる、開かれた、独自性ある、自己実現の場である企業を目指しておりますが、当社事業活動においては技術開発力・生産力・販売力・経営管理力が重要な要素であり、各分野において基幹となる人材の確保・育成に向けた活動が必要不可欠となります。それら重要な要素の強化につながる人材の育成に注力し社員の教育・研修を実施するとともに、有能な人材の確保に取り組んでいますが、そうした必要な人材を確保・育成できない場合、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)為替変動
当社グループの海外売上高比率は、2020年3月期37.9%、2021年3月期37.4%、2022年3月期48.1%と高い比率であり、為替変動の影響を受ける状況にあるため、リスクヘッジを検討しております。為替の動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外の関係会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算されています。換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)減損会計
当社グループの固定資産の時価が著しく低下した場合、又は事業の収益性が悪化した場合には、固定資産減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(13)情報セキュリティ及びサイバー攻撃関連
近年、サイバー攻撃による被害や情報漏えい等の事件が社会問題となる等、情報セキュリティに関する脅威の高度化・多様化への対策が大きな課題となっております。
取引先又は当社グループの機密情報や個人情報の保護については、社内規程の制定、従業員への教育、情報インフラの整備、業務委託先も含めた指導等の対策を実施しておりますが、万が一、情報漏洩等が惹起した場合、当社グループの信用は低下し、取引先の情報を漏洩した場合、法的責任が発生するおそれがあります。その結果、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの重要な事業活動基盤の一つである社内ネットワークについては、安定した運用のため万全の体制を構築し、セキュリティ対策を実施しております。しかしながら、コンピュータウイルスの侵入や不正アクセス等のサイバー攻撃による社内ネットワークやシステムの運用停止等を完全に防げるとは限りません。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、最新のセキュリティシステムの導入を推進し、ネットワークにおけるセキュリティを常に強化するとともに、より高度なスキルを持つセキュリティ人材の育成に向けた取り組み等を強化しております。
(14)製品品質関連
当社グループは、製品品質の維持向上のためISO9001 認証を取得し、顧客の仕様及び品質基準を満足する製品を供給しております。しかしながら、将来的に全ての製品に欠陥がなく、製品の回収や賠償が発生しないという保証はありません。当社製品は、エレクトロニクス事業、メカトロニクス事業、ケミトロニクス事業、コンポーネント事業、半導体デバイス部門の5事業部門の分野にて亘っており、それぞれ特有の制約条件があって生産工程の安定性や収率等に影響が出る可能性があり、またそれに関連して欠陥を含む製品が出荷されないという保証はありません。当社製品において欠陥が発生した場合、製品回収や顧客への賠償に多額のコストを要するとともに社会的信用の失墜を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また製造物責任賠償については保険加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできる保証はありません。当社グループにおいては、5事業部門それぞれに品質状況の月度確認を実施し、不具合が確認された場合には迅速な対処を行うとともに、日常的な品質改善活動を展開して、製品品質に関するリスク低減に努めております。
(15)財務制限条項
当社のコミットメントライン契約等の一部借入金の契約には財務制限条項が付されております。今後、財務制限条項への抵触等があった場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(16)繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っておりますが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産は減額され、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
お知らせ