1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下,「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度における世界経済は,新型コロナウイルスの新規感染者の減少にともない回復基調にありましたが,ロシア・ウクライナ情勢の影響により,世界的な資源高が急速に進行するなど,年度末にかけて減速する懸念が強まりました。
また,日本経済も,企業収益の改善にともなう設備投資の活発化などにより,製造業を中心に回復基調にありますが,半導体不足や原油高にともなうエネルギー価格の上昇を受け,回復のペースは鈍化しました。
そのような中で,当社グループの主要な販売市場である通信装置,ロボット,半導体製造装置などのファクトリーオートメーション市場からの需要が大幅に増加しました。
その結果,当連結会計年度における連結売上収益は101,123百万円(前年同期比30.5%増)となり,連結営業利益は10,971百万円(前年同期比127.1%増),連結税引前当期利益は11,787百万円(前年同期比135.9%増),親会社の所有者に帰属する当期利益は9,015百万円(前年同期比128.7%増)となりました。
受注高は150,128百万円(前年同期比73.9%増),受注残高は74,731百万円(前年同期比190.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
①日本
日本には,当社および連結子会社の山洋工業株式会社,山洋電気テクノサービス株式会社,山洋電気ITソリューション株式会社があります。セグメント売上収益は100,599百万円(前年同期比28.7%増)となり,セグメント利益は5,578百万円(前年同期比109.1%増)となりました。
②北米
北米には,連結子会社のSANYO DENKI AMERICA,INC.があります。セグメント売上収益は15,217百万円(前年同期比41.9%増)となり,セグメント利益は1,298百万円(前年同期比68.8%増)となりました。
③ヨーロッパ
ヨーロッパには,連結子会社のSANYO DENKI EUROPE S.A.およびSANYO DENKI GERMANY GmbHがあります。セグメント売上収益は5,814百万円(前年同期比27.7%増)となり,セグメント利益は314百万円(前年同期比30.7%増)となりました。
④東アジア
東アジアには,連結子会社の山洋電气(上海)貿易有限公司,山洋電氣(香港)有限公司,台灣山洋電氣股份有限公司,SANYO DENKI KOREA CO.,LTD.,上海山洋電气技術有限公司,山洋電气貿易(深圳)有限公司,中山市山洋電气有限公司,山洋電气精密機器維修(深圳)有限公司および山洋電气(天津)貿易有限公司があります。セグメント売上収益は17,961百万円(前年同期比41.5%増)となり,セグメント利益は1,625百万円(前年同期比100.8%増)となりました。
⑤東南アジア
東南アジアには,連結子会社のSANYO DENKI PHILIPPINES,INC.,SANYO DENKI SINGAPORE PTE.LTD.,SANYO DENKI INDIA PRIVATE LIMITEDおよびSANYO DENKI (THAILAND) CO.,LTD.があります。
セグメント売上収益は34,461百万円(前年同期比44.1%増)となり,セグメント利益は2,354百万円(前年同期比340.0%増)となりました。
また,事業部門別の営業概況は次のとおりです。
①クーリングシステム事業
クーリングシステム製品「San Ace」は,通信装置,サーバ,急速充電器向けの需要が大幅に増加しました。また,半導体製造装置,マウンタ,測定機,制御機器向けの需要も増加しました。
その結果,売上収益は31,604百万円(前年同期比35.3%増),受注高57,187百万円(前年同期比127.9%増),受注残高32,006百万円(前年同期比398.3%増)となりました。
②パワーシステム事業
パワーシステム製品「SANUPS」は,官公庁,交通などの社会インフラ向けや,半導体工場設備,製造装置向けの需要が堅調でした。一方, 情報通信設備向けの需要は低調でした。
その結果,売上収益は7,389百万円(前年同期比2.3%増),受注高8,557百万円(前年同期比23.9%増),受注残高3,003百万円(前年同期比63.7%増)となりました。
③サーボシステム事業
サーボシステム製品「SANMOTION」は,半導体製造装置,ウェハ搬送ロボット向けの需要が大幅に増加しました。また,5G関連機器,リチウムイオン電池の製造のための設備投資が増加し,電子部品実装機,射出成形機,ロボット向けの需要が増加しました。
その結果,売上収益は55,990百万円(前年同期比37.7%増),受注高77,695百万円(前年同期比61.6%増),受注残高37,633百万円(前年同期比136.3%増)となりました。
④電気機器販売事業
半導体業界からの需要の増加により,産業用電気機器,制御機器,および電気材料の販売は増加しました。また,医療機器向けの需要も堅調に推移しました。
その結果,売上収益は4,638百万円(前年同期比8.0%増),受注高5,260百万円(前年同期比18.6%増),受注残高1,616百万円(前年同期比62.7%増)となりました。
⑤電気工事事業
主要顧客である鉄鋼業界は回復の兆しが見られたものの,設備投資の遅れが目立ち電気工事の需要が低迷しました。一方,水処理事業や太陽光発電事業からの需要は堅調に推移しました。
その結果,売上収益は1,501百万円(前年同期比24.0%減),受注高1,426百万円(前年同期比21.4%減),受注残高472百万円(前年同期比13.7%減)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は,前連結会計年度末と比較して,資産合計は14,704百万円の増加,負債合計は4,436百万円の増加,資本合計は10,267百万円の増加となりました。
資産の主な変動要因は,棚卸資産の増加7,898百万円,現金及び現金同等物の増加3,930百万円,営業債権及びその他の債権の増加3,674百万円によるものです。
負債の主な変動要因は,借入金(流動負債)の増加2,313百万円,営業債務及びその他の債務の増加2,060百万円,未払法人所得税等の増加1,193百万円によるものです。
資本の主な変動要因は,利益剰余金の増加8,203百万円,その他の資本の構成要素の増加2,070百万円によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は,18,778百万円となり,前連結会計年度末より3,930百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動による資金の増加は,8,234百万円(前連結会計年度は4,959百万円の増加)となりました。これは主に,税引前当期利益11,787百万円,棚卸資産の増加6,672百万円,減価償却費及び償却費5,651百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動による資金の減少は,4,826百万円(前連結会計年度は4,294百万円の減少)となりました。これは主に,有形固定資産の取得による支出3,278百万円,無形資産の取得による支出1,416百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動による資金の減少は,622百万円(前連結会計年度は10百万円の増加)となりました。これは主に,短期借入金の純増加額2,074百万円,長期借入金の返済による支出1,887百万円によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については,内部振替前の数値によっています。
2 金額は,販売価格によっています。
3 上記金額には,消費税等は含まれていません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については,相殺消去しています。
2 上記金額には,消費税等は含まれていません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については,相殺消去しています。
2 上記金額には,消費税等は含まれていません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は,IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり,過去の実績や状況に照らし合理的と考えられる前提に基づき,会計上の見積りを実施しています。
なお,当社グループで採用する個々の項目は,「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しています。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの第9次中期経営計画は,「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。この計画のもと,当連結会計年度の財政状態および経営成績等は次のとおりです。
① 連結財政状態の分析
(資産)
流動資産は,棚卸資産が前連結会計年度末に比べて7,898百万円増加しました。また,現金及び現金同等物が前連結会計年度末に比べて3,930百万円増加しました。非流動資産は,有形固定資産が減少したことにより前連結会計年度末に比べて818百万円減少しました。その結果,当連結会計年度末における資産合計は,前連結会計年度末に比べて14,704百万円増加の128,667百万円となりました。
(負債)
流動負債は,営業債務の増加や,長野県上田市のテクノロジーセンター新棟の建設および運転資金需要のための借入金が増加したことにより,前連結会計年度末に比べて5,922百万円増加しました。非流動負債は,借入金の返済による減少や,退職給付に係る負債が減少したことにより前連結会計年度末に比べて1,485百万円減少しました。その結果,当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べて4,436百万円増加の48,012百万円となりました。
(資本)
当期利益の計上,および配当金の支払により利益剰余金は8,203百万円増加しました。また,保有する金融資産の公正価値変動等により,その他の資本の構成要素が2,070百万円増加しました。その結果,資本合計は前連結会計年度末に比べて10,267百万円増加の80,655百万円となりました。
② 連結経営成績の分析
当連結会計年度は,当社グループの主要な販売市場である通信装置や,ロボット,半導体製造装置などのファクトリーオートメーション市場からの需要が大幅に増加しました。その結果,当連結会計年度の連結売上収益は101,123百万円となり,前連結会計年度に比べ23,617百万円増加しました。
また,販売費及び一般管理費につきましては,受注の大幅な増加にともない,荷造運送費や従業員給与が増加しました。その結果,当連結会計年度の販売費及び一般管理費は14,744百万円となり,前連結会計年度に比べ2,328百万円増加しました。
以上から,連結営業利益は前連結会計年度に比べ127.1%増の10,971百万円,連結税引前当期利益は前連結会計年度に比べ135.9%増の11,787百万円,親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べ128.7%増の9,015百万円となりました。
セグメントごとの売上収益に関する分析は次のとおりです。
(日本)
日本では,企業収益の改善にともなう設備投資の活発化を背景に,通信装置やロボット,半導体製造装置などのファクトリーオートメーション市場からの需要が好調に推移しました。セグメント売上収益は前連結会計年度に比べ28.7%増の100,599百万円となりました。
(北米)
北米では,半導体製造装置などのファクトリーオートメーション市場や通信装置,サーバ関連の市場からの需要が好調でした。セグメント売上収益は前連結会計年度に比べ41.9%増の15,217百万円となりました。
(ヨーロッパ)
ヨーロッパでは,通信装置やファクトリーオートメーション市場からの需要が好調でした。セグメント売上収益は前連結会計年度に比べ27.7%増の5,814百万円となりました。
(東アジア)
東アジアでは,中国市場を中心として,工作機械やロボット向けの需要が好調でした。また,医療機器向けの需要も好調に推移しました。セグメント売上収益は前連結会計年度に比べ41.5%増の17,961百万円となりました。
(東南アジア)
東南アジアでは,受注の増加を受けて,SANYO DENKI PHILIPPINES,INC.の生産量が大幅に増加しました。セグメント売上収益は前連結会計年度に比べ44.1%増の34,461百万円となりました。
また,翌連結会計年度(2023年3月期)の予想につきましては,「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3) 経営環境及び対処すべき課題等 ① 経営環境」に記載のとおりです。
③ 資本の財源および資金の流動性の分析
当連結会計年度の資本の財源の分析は以下のとおりです。
(フリー・キャッシュ・フロー)
当社グループでは,フリー・キャッシュ・フローを重視した経営をおこなっています。
当社グループのキャッシュ・フロー関連の指標は,次のとおりです。
(注)フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー
当社グループは,当連結会計年度を初年度とする第9次中期経営計画に掲げた目標の達成に向け,生産能力の増強を目的とした設備投資をおこないました。営業活動により獲得した現金,および金融機関からの計画的な資金調達によって,企業活動に必要な資金をじゅうぶんに確保しています。
当社グループでは,今後も資本の健全性や,成長のための投資との最適なバランスを勘案したうえで,内部留保の確保および株主還元の充実に努める方針です。
(ROE)
当社グループは,中長期的に重視すべき経営指標の目標値として,ROE10%以上を目標とした経営をおこなっています。当連結会計年度につきましては,当期利益の増加にともない,前連結会計年度の5.9%から大幅に上昇し,11.9%となりました。
(営業利益率)
当社グループは,グローバル企業として「世界のトップブランド」の構築を目標としており,トップブランドにふさわしい企業グループとなることを目指して,営業利益率を重視した経営をおこなっています。当連結会計年度における営業利益率は,次のとおりです。
(3) 経営方針,経営戦略,経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは,2021年4月から期間を5年とする「第9次中期経営計画」をスタートさせました。計画の目的,重要方針,行動指針および重視すべき経営指標と目標値については,「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。
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