業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び当社の連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により緊急事態宣言が再度発令されるなどの影響を受けながらも、ワクチン接種の進展により段階的な経済活動の再開に伴う景気回復の兆しが見られました。一方で、新たな変異株の蔓延懸念に加えウクライナ情勢の長期的な影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。

 当社グループが属する広告業界におきましても、2021年の総広告費は6兆7,998億円(前年比110.4%)と前年を上回る結果となり(電通「日本の広告費」2022年2月発表)、景気回復の兆候が見受けられますが、新型コロナウイルス感染症の拡大前の水準までには回復していないことから、依然として厳しい状況が続いているものと認識しております。

 このような中、当社グループではリモート勤務等の感染拡大防止に努めながら、積極的な事業活動を行ってまいりました。放送・通信業界、住まい・暮らし業界、医療・健康業界を戦略マーケットとし、強固な顧客基盤をベースとした専門性の高い広告戦略やマーケティングメソッド、ソリューションの開発・提供を行ってまいりました。

 全国のCATV局向けには、加入者に対してケーブルテレビ番組情報誌「月刊チャンネルガイド」の編集・制作を中心としたプロモーション施策を展開し、底堅い事業運営を進めました。大手住宅メーカー向けには、新型コロナウイルスの影響を受け顧客とのコミュニケーションのオンライン化を進めるクライアントニーズを捉え、各種の営業活動支援施策や映像制作、カタログ制作等の提供を行いました。また、大手外食チェーン向けには、広告・マーケティング戦略の立案から実行までをワンストップで支援し、引き続き主力顧客の維持・強化を図りました。

 また、営業外収益として投資事業組合運用益を51,455千円計上しました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,837,302千円(前年同期比0.2%増)、営業利益323,794千円

(同10.6%増)、経常利益373,925千円(同15.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益253,798千円(同31.7%増)となりました。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

イ.広告宣伝事業

 当事業においては、全国のCATV局の加入者に対してケーブルテレビ番組情報誌「月刊チャンネルガイド」の編

集・制作を行う他、自社メディアとしてホームセンターやドラッグストア向けのフリーペーパーの発行や、様々

なクライアント企業に対し広告戦略のプランニング、各種販促サービス、デジタルマーケティング等のソリュー

ションを提供しております。

 当連結会計年度では、全国のCATV局に向けたケーブルテレビ番組情報誌「月刊チャンネルガイド」が引き続き

堅調に推移した他、強固な顧客基盤を軸に、住まい・暮らし業界においては、コロナ禍にあって住宅販売の営業

手法が大きく変化していく中で、クライアントのニーズに応え、デジタル化・オンライン化や動画制作などを含

む様々な営業活動支援施策の受注を重ねることができました。その他業界においてもクライアントのオンライン

イベントを全面的に支援するなど、コロナ禍における顧客課題の解決を幅広いソリューションで行いました。

 業界別の売上高は、放送・通信業界が2,120,161千円(前年同期比9.6%減)、住まい・暮らし業界が1,394,263千円(同9.4%増)、医療・健康業界が273,844千円(同29.8%減)、その他業界が907,603千円(同

32.9%増)となりました。

 以上の結果、当事業の売上高は4,695,873千円(前年同期比0.1%増)、セグメント利益は314,351千円(同

11.2%増)となりました。

 

ロ.その他

 その他においては、当社の子会社の株式会社日宣印刷において当社グループの広告宣伝事業の印刷物の他、関西地域の企業に対して商業印刷を行っております。

 当事業の売上高は141,428千円(前年同期比3.3%増)、セグメント利益は5,123千円(同14.3%減)となりました。

 

 また、当連結会計年度末における財政状態は以下のとおりであります。

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末より204,963千円減少し、4,321,557千円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が87,268千円、現金及び預金が63,428千円、建物及び構築物が30,282千円、投資有価証券が10,392千円、それぞれ減少したこと等によるものです。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末より216,320千円減少し、1,381,010千円となりました。これは主に、退職給付に係る負債が15,900千円増加した一方で、買掛金が84,387千円、長期借入金が59,400千円、未払法人税等が12,797千円、その他の流動負債が59,671千円、それぞれ減少したこと等によるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末より11,356千円増加し、2,940,547千円となりました。これは主に、利益剰余金の配当を82,807千円行い、また、自己株式を186,211千円取得した一方でストック・オプション行使に伴い14,652千円の新株発行を行うとともに、親会社株主に帰属する当期純利益を253,798千円計上したこと等によるものです。

 この結果、自己資本比率は68.0%(前連結会計年度末は64.7%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べて63,429千円減少し、1,601,576千円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは224,999千円の収入(前連結会計年度は452,242千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を373,925千円、減価償却費を49,320千円計上し、売上債権の回収による増加が97,388千円あった一方で、投資事業組合運用益51,455千円の計上、仕入債務の支払による減少が84,387千円、法人税等の支払額が138,180千円、未払消費税等の支払による減少が34,524千円あったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは24,744千円の収入(前連結会計年度は85,412千円の収入)となりました。これは主に、投資事業組合からの分配による収入が53,245千円あった一方で、有形固定資産の取得による支出が10,476千円、無形固定資産の取得による支出が4,841千円、それぞれあったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは313,172千円の支出(前連結会計年度は164,417千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額が80,779千円、自己株式の取得による支出が187,645千円、長期借入金の返済による支出が59,400千円あったこと等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績及び受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(千円)

前年同期比(%)

広告宣伝事業

4,695,873

100.1

報告セグメント計

4,695,873

100.1

その他

141,428

103.3

合計

4,837,302

100.2

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年3月1日

至 2021年2月28日)

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

旭化成ホームズ株式会社

1,012,773

20.97

1,042,117

21.54

3.広告宣伝事業における、当社分類による顧客所属業界別の販売実績を示すと、次のとおりであります。

業界

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(千円)

前年同期比(%)

放送・通信

2,120,161

90.40

住まい・暮らし

1,394,263

109.44

医療・健康

273,844

70.20

その他

907,603

132.86

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針は、「第5 経理の状況 1. (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。また、会計上の見積りにつきましては、入手可能な情報に基づき合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響については「第5 経理の状況 1. (1) 連結財務諸表 注記事項 追加情報 (会計上の見積りにおける一定の仮定)」に記載のとおりです。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社は、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、「連結売上高」及び「連結営業利益」を重要な経営指標と捉えております。デジタルマーケティングやブランディング、映像制作等、サービス提供領域の拡大を図るとともに、次の10年に向けたビジョンを策定しており、業容の拡大とともにグループの生産性の向上を図り、連結営業利益率の改善も目指してまいります。連結営業利益率の改善に向け、当社が長年にわたり注力してきた事業領域において収益力を維持・強化していくとともに、新たな領域においても収益基盤の確立を図ってまいります。

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載の通り、連結売上高では増収増益を達成することができました。新型コロナウイルスの感染状況は収束をみせず、主に医療・健康業界における案件が引き続き低調ではありましたが、その他業界においてはクライアントのコロナ禍における課題解決にソリューションを提供するなど、当連結会計年度における増収の原動力の一つとなりました。また、連結子会社である日産社の顧客の受注が回復基調にあることも業績に寄与しました。

 放送・通信業界においては、ケーブルテレビ番組情報誌「月刊チャンネルガイド」を中心に、底堅い事業運営を進めました。加えて、住まい・暮らし業界においては、コロナ禍にあって住宅販売の営業手法が大きく変化していく中で、クライアントのニーズに応え、デジタル化・オンライン化や動画制作、さらには当社が自社メディアで培ったコンテンツの編集・監修ノウハウの提供など、様々な営業活動支援施策の受注を重ねることで売上を大きく伸ばすことができました。このように売上高については引き続きプラス面でもマイナス面でも新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、クライアントの課題解決という観点から、事業のポートフォリオが機能したものと認識しております。

 利益面についても、コスト圧縮策を継続し、また当連結会計年度では営業外収益として投資事業組合運用益を計上したことにより、増益とすることができました。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況」に記載の「マーケティングノウハウの更なる向上」、「優秀な人材の確保と育成」、「原材料の調達」は喫緊の課題と認識しております。それらへの対応策として、以下の取り組みを実施しました。

 まず「マーケティングノウハウの更なる向上」については、技術の進歩や新型コロナウイルス感染症を契機として、広告会社のあり方も大きく変わろうとしていると認識しています。これについては社内の組織改編によりデジタルCX部門を設立し、様々な技術やテクノロジーを採り入れた提案を継続していくことで、社内における指標の一つである売上高のデジタル領域比率を更に向上させることができました。当社が企画提案したソリューションの他クライアントへの水平展開によるビジネスモデル化の取り組みにも、尽力しています。
 次に「優秀な人材の確保と育成」に関しましては、時代の変化・要請に沿った形でおよそ10年ぶりに経営理念の一部を改訂しました。社員も含め、あらゆるステークホルダーの価値創造パートナーとなることを掲げ、その経営理念の浸透や社員のエンゲージメント向上のための施策を実施し、組織力の強化を図りました。

 また「原材料の調達」については、原材料費や物流費が上昇する中で適切なコストコントロールを進めています。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業活動のための適切な資金確保、流動性並びに健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出を優先事項として考えております。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益を373,925千円、減価償却費を49,320千円それぞれ計上したことなどにより、224,999千円となりました。また当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は1,601,576千円と十分な流動性を確保している状況であることから、健全な財務状況であると認識しております。

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