当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大による影響が長期化する中、ワクチン接種の進展等に伴い各種の制限措置は段階的に緩和される等、経済社会活動の正常化に向けた動きが見られました。しかしながら、新たな変異株であるオミクロン株による感染再拡大や、資源・エネルギー価格の高騰によるインフレ懸念等、依然として景気の先行きは不透明な状況となっております。また、世界経済においても、欧米諸国を中心に各種経済政策等による景気の回復傾向が見られておりますが、世界的なインフレ率の上昇やウクライナ情勢等の景気下振れリスクも多く、予断を許さない状況が続いております。
当社グループの事業に関わる高齢社会に関連する市場におきましては、高齢者は感染すると特に重症化しやすいとされており、外出自粛等による利用者のサービスの利用控えの影響が見られております。比較的感染力が強く重症化リスクは小さいとされている変異株の感染拡大が急速に進む中、他の世代も含めたワクチン接種の進展や新しい生活様式の浸透等により、その影響は、当連結会計年度末時点において発生当初と比較すると小さくなってきておりますが、当該感染症の影響が見られる前の水準には回復しておらず、長期化も懸念されます。しかしながら、新型コロナウイルス感染症による健康二次被害を防ぐ対策が求められており、中長期的には今後も高齢化率の上昇基調は変わらないことから、引き続きヘルスケアサービスの需要は高まっていくものと予想されます。
また、介護報酬の改定が3年毎に実施されており、2021年度の介護報酬の改定では、全体としてはプラス改定となり、介護保険制度を将来にわたり安定的に持続させるため、自立支援や重度化防止に向けた一層の取組みが評価されることに加え、科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスの提供が求められることとなりました。さらに、新型コロナウイルス感染症や大規模災害等が発生した場合であっても必要な介護サービスが継続的に提供できるよう、事業継続に向けた計画等の策定も求められております。
このような環境のもと、当社グループは引き続き、顧客や従業員、その他関係者等の安全確保、感染防止を最優先に取組み、事業活動を継続することに加えて、コストコントロールを積極的に実施することで利益の確保に努めてまいりました。また、アフターコロナを見据えて「中期ビジョン2025~健康寿命延伸社会の実現に向けて~」を策定し、持続的な成長と中期的な企業価値向上に向けた取組みを推進しております。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況は次のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は2,829,307千円、負債合計は1,584,009千円、純資産は1,245,297千円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高が4,168,077千円、営業利益は156,055千円、経常利益は289,674千円、親会社株主に帰属する当期純利益は186,218千円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(ヘルスケアソリューション事業)
レコードブック事業におきましては、当連結会計年度において短時間リハビリ型通所介護サービス(デイサービス)「レコードブック」のフランチャイズが10ヵ所増加、直営店が1ヵ所減少しております。また、フランチャイズ加盟店4ヵ所を譲受け、3ヵ所を譲渡した結果、直営店が31ヵ所、フランチャイズが159ヵ所となりました。
そのほか、名古屋鉄道株式会社との合弁会社である株式会社名鉄ライフサポートが愛知県を中心に展開する「名鉄レコードブック」は、当連結会計年度末において21ヵ所となっております。
これにより、「レコードブック・ブランド」の店舗が合計で211店舗(前期末は202店舗)となりました。
レコードブックの既存店舗では、利用者の多くが、前期において新型コロナウイルス感染への不安などからサービスの利用を控えられていましたが、店舗における徹底した感染拡大防止策や、高齢者の運動習慣の重要性への理解が徐々に進んでまいりました。その結果、感染拡大の波による影響を受けながらも利用者数は概ね回復基調で推移いたしました。また、顧客単価につきましても、前期途中よりテスト実施している店舗での物販の影響等により、前期比でやや上昇しております。
また、フランチャイズにおいても、総店舗数が前期末と比べて増加したため、フランチャイズからのロイヤルティ等による収入は増加いたしました。一方で、当連結会計年度における新規出店数は、感染拡大前に契約し開業準備を進めていた店舗がオープンしていた前期と比べると減少しており、新規出店に伴う加盟金等による収入は減少しております。
Webソリューション事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業制限があった前期と比較すると、新規案件の獲得状況は復調しております。
ケアサプライ事業におきましては、当連結会計年度の期首より株式会社フルケアを連結の範囲に含めており、同社の損益計算書を連結しております。
これらの結果、売上高は2,893,657千円、営業利益は338,342千円となりました。
(在宅サービス事業)
在宅サービス事業におきましては、レコードブック事業と比較すると軽微ではあるものの、通所介護事業を中心としてオミクロン株の感染が拡大した冬場にかけて、サービスの利用控え等の影響を受けております。
この結果、売上高は1,274,420千円、営業利益は377,654千円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、1,130,550千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は271,522千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益286,814千円、減価償却費131,277千円等による資金の増加が、法人税等の支払額147,598千円等による資金の減少を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は236,298千円となりました。これは主に、事業譲渡による収入52,286千円等による資金の増加が、連結範囲変更に伴う子会社株式の取得による支出274,356等による資金の減少を下回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は250,143千円となりました。これは主に、長期借入による収入200,000千円、短期借入金の純増加額190,000千円などによる資金の増加が、長期借入金の返済による支出130,762千円などによる資金の減少を上回ったことによるものであります。
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主要な販売先については、当社グループは一般個人を対象とした介護サービス事業が中心であり、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
2.2022年3月期より連結財務諸表を作成しているため、前期比については記載しておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。当社グループは、当連結会計年度が連結初年度であり、前期は連結財務諸表を作成していないため、前期との比較は行っておりません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りと異なることがあります。
なお、当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されたとおりであります。
a. 財政状態の分析・検討内容
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,951,020千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金1,130,550千円、売掛金717,195千円であります。
(固定資産)
固定資産は878,286千円となりました。その主な内訳は、有形固定資産が340,300千円、無形固定資産が240,418千円、投資その他の資産が297,566千円であります。有形固定資産は、主にレコードブック事業におけるフランチャイズ店舗に関するもので、建物及び構築物(純額)は306,914千円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における総資産は、2,829,307千円となりました。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,120,496千円となりました。その主な内訳は、預り金366,907千円、短期借入金300,000千円であります。預り金は、主にレコードブック事業におけるフランチャイズ店舗からの介護報酬の預りによるものです。
(固定負債)
固定負債は463,513千円となりました。その主な内訳は、長期借入金343,782千円であります。長期借入金は、期首に子会社株式を取得したこと等に伴い、当連結会計年度に新たに200,000千円を調達しております。
以上の結果、当連結会計年度末における負債は、1,584,009千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は1,245,297千円となりました。その内訳は、資本金252,302千円、資本剰余金237,302千円、利益剰余金798,308千円、自己株式42,615千円あります。自己株式は、当連結会計年度において譲渡制限付株式報酬として21,491千円を処分しております。
なお、収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用したことにより、利益剰余金の当期首残高が30,389千円増加しております。
b. 経営成績の分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度の売上高は4,168,077千円となりました。
これは、ヘルスケアソリューション事業における売上高が2,893,657千円、在宅サービス事業の売上高が1,274,420千円であったことによるものであります。
ヘルスケアソリューション事業においては、レコードブック事業において、前期は利用者の多くが新型コロナウイルス感染への不安などからサービスの利用を控えられていましたが、店舗における徹底した感染拡大防止策や、高齢者の運動習慣の重要性への理解が徐々に進んだ結果、感染拡大の波による影響を受けながらも利用者数は概ね回復基調で推移いたしました。また、フランチャイズの新規出店数は、感染拡大前に契約し開業準備を進めていた店舗がオープンしていた前期と比べると減少しておりますが、当期末の総店舗数は前期末と比べて増加しております。加えて、ケアサプライ事業では、当連結会計年度より株式会社フルケアを連結したことに伴い、同社の売上高を含めております。
在宅サービス事業においては、レコードブック事業と比較すると軽微ではあるものの、通所介護事業を中心としてオミクロン株の感染が拡大した冬場にかけて、サービスの利用控え等の影響を受けております。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は2,700,154千円となりました。
その主な内訳は、レコードブック事業や在宅サービス事業における、直営店舗スタッフの給与手当等の労務費に加え、直営店舗及び一部フランチャイズの建物等の地代家賃、減価償却費等であります。
この結果、売上総利益は1,467,923千円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,311,867千円となりました。
その主な内訳は、給与手当及び賞与で、609,963千円となりました。また、当期首の株式会社フルケアの株式取得に伴いのれんが生じたこと等により、のれん償却費を合計で20,609千円計上しております。
この結果、営業利益は156,055千円となりました。
セグメント別の利益につきましては、ヘルスケアソリューション事業が338,342千円、在宅サービス事業は377,654千円、各報告セグメントに配分していない全社費用は559,941千円となりました。また、セグメント別の利益率につきましては、ヘルスケアソリューション事業が11.7%、在宅サービス事業は29.6%となりました。
なお、収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用したことにより、ヘルスケアソリューション事業における売上高が14,713千円、セグメント利益が19,694千円それぞれ減少しております。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は148,462千円となりました。
その主な内訳は、助成金収入109,120千円、レコードブックの直営店舗をフランチャイズに譲渡したことに伴う事業譲渡益32,246千円であります。
なお、助成金収入については、新型コロナウイルス感染症拡大の特例措置適用を受けた雇用調整助成金、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)による助成金等を国及び地方自治体から収受し、当該助成金の支給決定額を計上しているものであります。
当連結会計年度の営業外費用は14,843千円となりました。
その主な内訳は、支払利息14,187千円であります。
この結果、経常利益は289,674千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益には、計上すべきものはありませんでした。
当連結会計年度の特別損失は2,860千円となりました。
その内訳は、減損損失2,860千円であります。減損損失については、レコードブック事業において想定していた収益を見込めなくなった一部店舗の固定資産に関して計上したものです。
この結果、税金等調整前当期純利益は286,814千円となりました。
また、法人税等合計は100,596千円となりました。
税効果会計適用後の法人税等の負担率については、法定実効税率の30.6%より4.5ポイント高い35.1%となりました。
この結果、当期純利益は186,218千円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は186,218千円となりました。
なお、収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用したことにより、当連結会計年度の売上高は14,713千円減少し、販売費及び一般管理費は4,981千円増加し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ19,694千円減少しております。
c. 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社グループが今後更なる成長と発展を遂げ、より良いサービスを提供していくために、経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。
それらの課題に対応するために経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。
また、必要な人材を適時に採用すると同時に、教育研修に注力することで営業力の強化と企業規模の拡大に対応した内部管理体制の強化を図り、企業価値の更なる向上を目指して取り組んでまいります。
d. キャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、レコードブック等の店舗運営にかかる費用、販売費及び一般管理費等の営業費用、納税資金であります。店舗運営にかかる費用の内訳は、労務費、地代家賃、ソフト利用料及びリース料等であります。営業費用の内訳は、人件費、広告宣伝費及び地代家賃等であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、レコードブック等の店舗開発にかかる費用であります。この内訳は、内装工事費、運動機器等の工具、器具及び備品、差入保証金等であります。
資金調達につきましては、事業計画に基づき、主に内部資金及び金融機関からの借入等により調達しております。また機動的な資金確保のため、主要取引銀行と当座貸越契約を締結しております。なお、将来大規模な投資資金などの資金需要が発生した場合には、エクイティファイナンス等による調達手段を検討してまいります。
e.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「健康な未来」というコーポレートスローガンのもと、「創意革新と挑戦による、超高齢社会における課題解決」をミッションと位置づけ、当社グループのヘルスケアプラットフォームを活用することで、高齢者の生活環境の整備や介護現場の情報整備をするとともに、高齢者の健康寿命の延伸に貢献したいと考えております。当該ミッションを果たすために、現状は、当社グループのコアコンピタンスである「レコードブック店舗ネットワーク」と「ケアマネジャーネットワーク」の2つのプラットフォームを活用したヘルスケアソリューションの開発に力を入れております。
「レコードブック店舗ネットワーク」においては、首都圏及び関西圏のみならず全国にレコードブック店舗ネットワークを拡大させたいと考えております。当連結会計年度末における店舗数は、直営店が31ヵ所、フランチャイズが159ヵ所、名古屋鉄道株式会社との合弁会社である株式会社名鉄ライフサポートが展開する「名鉄レコードブック」が21ヵ所、合計で211ヵ所となりました。「ケアマネジャーネットワーク」においては、介護が必要な高齢者と社会をつなぐインフラとしての役割をより一層拡大させることを目指しております。ケアマネジャー向けに運営している専門Webサイト「ケアマネジメント・オンライン」の当連結会計年度末における会員数は、10万人超となりました。
具体的な経営指標としては、ROE(自己資本利益率)や売上高営業利益率を高めていくことを目標としております。当連結会計年度のROEは15.0%となりました。今後は、必要な成長投資を強化しつつ収益力を底上げすることによりROEを高めてまいりたいと考えております。当連結会計年度の売上高営業利益率は3.7%となりました。今後は、高付加価値のサービス提供による効率的な利益の獲得により、売上高営業利益率の向上を目指してまいります。
将来的には、既存事業の更なる成長施策に加え、新規事業の立ち上げや、資本・業務提携を通じて、ヘルスケアソリューションを提供する会社として、企業価値の更なる拡大を図ってまいります。
お知らせ