課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に係る事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「健康な未来」という経営理念のもと、「創意革新と挑戦による、超高齢社会における課題解決」を企業行動指針(ミッション)と位置づけております。

高齢者の健康寿命を延伸する社会の実現に向け、リアルでの介護事業とウェブ事業を軸とし、介護現場での課題をウェブで解決、テクノロジーを起点に介護現場の生産性を高める等双方の機能を活用できる強みを活かし、こうしたサービスを必要とされるすべての顧客や介護事業にかかわる方々に提供していくことにより、社会に貢献してまいります。

また、当社グループは株主、社員、利用者、取引先及び地域社会等当社グループを取りまくすべてのステークホルダーから信頼され、かつ持続して収益をあげることにより、企業価値を増大することを経営の基本方針としております。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、経営方針を実現するため、ヘルスケアプラットフォームの価値向上により事業拡大と新規事業開発を進めるため、以下の施策に取り組んでまいります。

① レコードブック店舗ネットワークの拡大

・全国の大都市圏や地方都市におけるフランチャイズ展開を加速

・企業とのアライアンスを含めたパートナーとの連携強化

② ターゲット層の拡大

・介護保険適用外のヘルスケアソリューションの開発

③ Webソリューション事業の強化

・シルバーマーケティング支援における案件の深耕拡大

・仕事と介護の両立支援における顧客企業の新規開拓強化

④ 経営基盤の更なる強化

・ガバナンス体制の強化

・コンプライアンス体制の強化

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、安定した経営と持続的な成長を実現させることを重視し、ROE(自己資本利益率)及び売上高営業利益率を重要な経営指標と位置づけております。高付加価値のサービス提供による効率的な利益の獲得により、売上高営業利益率等を高めていくことで企業価値を高めてまいります。

 

(4) 経営環境

今後における当社グループの事業に関わる高齢社会に関連する市場は、高齢化率が年々上昇し、ヘルスケアサービスの需要が高まりつつあります。いわゆる「2025年問題」と呼ばれる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となることによる介護や医療などの社会保障費の急増が喫緊の課題であることから、健康寿命の延伸に向けて、高齢者の健康維持・向上に重点をおいた短時間リハビリ型通所介護サービス(デイサービス)の需要は今後も高まることが予想されます。また、1億総活躍社会の実現がうたわれる中で、特に、健康寿命延伸や介護離職ゼロに向けた動きに注目が集まっていることから、当社グループのレコードブック事業や仕事と介護の両立支援サービスについては、サービス需要がさらに高まると予想されます。

 

一方、介護報酬の改定が3年毎に実施されておりますが、2021年度の介護報酬の改定では、全体としてはプラス改定となり、介護保険制度を将来にわたり安定的に持続させるため、自立支援や重度化防止に向けた一層の取組みが評価されることに加え、科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスの提供が求められることとなりました。また、近年の新型コロナウイルス感染症や大規模災害などが発生した場合であっても必要な介護サービスが継続的に提供できるよう、事業継続に向けた計画等の策定も求められております。さらに、介護業界では人材不足が深刻化してきており、人材の確保が重要な経営課題として認識されておりますが、その対応策の一つとして2019年10月に制定された介護職員特定処遇改善加算についても、更なる活用の促進に向けた見直しが行われております。

このような状況の中、当社グループは今後も「レコードブック」について、特にフランチャイズを中心に積極的に全国展開してまいります。また、政府の介護離職ゼロに向けた取り組みを受けて、Webソリューション事業における仕事と介護の両立支援事業を引き続き積極展開するとともに、シルバーマーケティング支援については、メディカルソリューションの分野での本格展開を目指し、サービスを強化してまいります。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、「健康な未来」というコーポレートスローガンのもと、「創意革新と挑戦による、超高齢社会における課題解決」を行う企業として、業容の拡大と経営基盤の強化に取り組んでおります。

翌期の経営環境につきましては、感染症対策と社会経済活動の両立を図り、感染症拡大前の水準を取り戻すことが期待される中、感染症の問題が収束の気配を見せないことに加え、国際情勢不安や金融資本市場の動向等の景気下振れリスクが混在し、先行きは不透明な状況が継続することが考えられます。当社グループの事業に関わる高齢社会に関連する市場は、この感染症の問題が収束するまでの間、外出自粛によるサービスの利用控え等の影響が一定程度想定されるものの、長引く感染症の影響を背景として、健康二次被害を予防するための対策も求められてきております。加えて、中長期的には今後も高齢化率の上昇基調は変わらないことから、引き続きヘルスケアサービスの需要は高まっていくものと予想されます。当社グループでは感染拡大防止を最優先に取組みつつも、アフターコロナを見据えて、昨年中に「中期ビジョン2025~健康寿命延伸社会の実現に向けて~」や「事業計画及び成長可能性に関する事項」を公表いたしました。今後は、持続的な成長と企業価値の更なる向上を目指し、同計画で示したビジョンや経営目標の達成に向けた取組みを加速させてまいります。

 

① 業容の拡大に向けた取り組み

・レコードブックの全国展開の加速

健康寿命の延伸や社会保障費の抑制に向け、介護予防分野への注目が高まる中で、リハビリ型デイサービスの果たす役割に期待が寄せられています。大きな成長の見込まれる当分野において、当社グループはレコードブックの出店を加速することにより、早期のブランド確立及び浸透、マーケットシェアの拡大を図ります。翌期においても、当期より強化してきたフランチャイズ既存加盟店の増店に注力することで、新規出店のペースを再加速させてまいります。また、全国の主要都市を中心に出店エリアを精査し、地元企業や事業主をオーナーとするフランチャイズ方式での出店の強化に加え、当社グループとは異なるノウハウを保有する企業や、地元に顧客基盤やブランドを有する企業等との提携による出店も進めてまいります。

フランチャイズ展開を加速させる上では、フランチャイズ本部機能のより一層の充実も必要であると認識しております。出店エリアの拡大に応じた地方拠点の整備や店舗開発、購買及び出店サポート機能の強化等により、安定的、効率的な出店体制の構築を実現してまいります。さらに、出店後においても、スーパーバイザーによるフランチャイズ加盟店の地域特性等に応じたきめ細やかな経営指導及び店舗運営指導により、加盟店の業績拡大、品質向上、コンプライアンス遵守の推進に努めてまいります。加えて、翌期においては、直営店とフランチャイズで分かれていた組織運営体制を見直し、施策の浸透や情報の横展開などを迅速かつ確実に実行してまいります。

これらのフランチャイズ本部機能強化にあたっては、研修センターやコンタクトセンターの活用に加え、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、多店舗展開を見据えた生産性向上や業務効率化にも努めてまいります。

 

 

・ケアマネジャー会員ネットワークの活用

当社グループの運営する「ケアマネジメント・オンライン」は2022年3月末現在で10万人超のケアマネジャー登録会員を擁しており、当サイトの登録会員を活用したビジネス展開の源泉となっております。シルバーマーケットは、国内における数少ない成長産業であり、多くの競合企業の参入が見込まれる中で、当市場におけるマーケティングの重要性が益々高まっております。当社グループは、ケアマネジャー会員ネットワークを活用したサービスを開発し、このような成長機会を他社に先駆けて掴むことで、一層の業容拡大を図ってまいります。

また、継続的かつ安定的な受注の拡大を図るためには、現在の取引領域を最大限に拡大することに加え、新たな顧客層の獲得も重要な課題であると認識しております。そのためには、顧客の成長分野をリサーチした上で、これまでの業務ノウハウを活かした隣接領域へのサービス展開及びアプローチを進める必要があります。当社グループは、メディカル分野を始めとした関連性の高い分野において新サービスの開発や商品ラインナップの拡充に努め、幅広くサービスを提供してまいります。

 

・新規事業(保険外ヘルスケアサービス)の開発

増大する社会保障費が国家財政を圧迫しており、介護保険サービスの更なる充実は期待しにくい環境にあります。一方、高齢者の価値観の多様化により、従来の介護サービスではなく、自身の生活の質の向上に資するヘルスケアサービスを望む方が増加しており、介護保険外サービスに対するニーズが高まっております。当社グループは、全国展開を進めるレコードブックの店舗網を最大限に活用し、ヘルスケア関連商品の販売や関連サービスの提供等を通じて介護保険外サービスを強化してまいります。これにより高齢者向けサービス領域の拡大を図るとともに、ターゲット層の拡大等も視野に入れた新たなソリューションの開発を進めるなど、早期に当分野におけるビジネスモデルを確立することを目指してまいります。

なお、介護保険外サービスは介護保険サービスと比較し、売上変動リスクや信用リスクが高まることから、これらのリスクを低減するための取り組みも重要な課題であると認識しております。

 

② 経営基盤の強化に向けた取り組み

・優秀な人材の確保・育成

業容の拡大に応じた専門性の高い人材や、有資格者などのサービスを提供する人材の確保・育成は喫緊の課題であると認識しております。教育研修体制や育成プログラムの充実・強化を積極的に進め、人材の定着と能力の底上げを行っていくとともに、継続的な採用活動を通じて、当社の企業理念や風土にあった人材の登用を進めてまいります。加えて、長期的な視点で人材の確保や定着の推進を図るため、従業員が将来展望を持って働き続けることができるよう、能力・資格・経験等に応じた処遇が適切になされる人事制度を設計し、運用してまいります。

 

・内部管理体制の強化

当社グループが今後さらなる業容を拡大するためには、業務内容の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。このため、今後も業務運営上のリスクを把握してリスク管理を適切に行える体制整備に努め、規程及び業務マニュアルの運用を徹底し、効率性・有効性を阻害する業務フローの改善に取り組み、内部管理体制を強化するとともに、業務の効率化を図ってまいります。

 

・事業ポートフォリオの分散・拡充

新型コロナウイルス感染症の収束後は社会に様々な変化が生じていることが想定されます。当社グループは、これまでのノウハウや顧客基盤等を活かしつつ、その変化に対応した事業ポートフォリオを構築し、常に収益源の多様化や収益性の向上を図っていく必要があると考えております。そのため、社内体制の強化に加え、社会の変化によって新たに生じる課題の解決に関し独自の技術を持つベンチャー企業等に対して、企業買収や戦略的提携、資本参加等を必要に応じて行うことで事業ポートフォリオを分散、拡充することにより、中長期的に安定的な経営基盤を確立してまいります。

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