文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、2030年の未来を見据え、価値共創に向け2つの指針を定めております。
経営ビジョン
「TRY! NEXT JOURNEY ~新たな旅に踏み出そう~」
グリーンズグループ2030年CSR宣言
「環境にも人にも優しいホスピタリティあふれる企業」
上記の経営ビジョン、CSR宣言の実現に向け、すべてのステークホルダーとの価値共創を実現してまいります。
2025年6月期を最終期とした新たな中期経営計画「GREENS JOURNEY 2025」を策定し、2022年8月12日付にて公表いたしました。当社グループでは、2019年8月より2022年6月期を最終期とした中期経営計画「GREENS JOURNEY 2022」のもと、「成長投資の3ヵ年」として事業運営を進めておりましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大の影響による想定を大きく超えた経営環境の変化と当社グループの状況を鑑み、2021年5月13日付にて計画を取り下げました。
今般、次のステージを見据え、大きな事業成長を目指す新たな中期経営計画「GREENS JOURNEY 2025」においては、経営ビジョン「TRY! NEXT JOURNEY ~新たな旅に踏み出そう~」のもと、引き続きしっかりとした感染予防対策に努めながら早期の成長軌道回帰を目指してまいります。
「レジリエントな企業として新しいステージへ」を基本方針に、成長路線回帰と更なる成長による企業価値向上へ取り組みを進めてまいります。
中期経営計画「GREENS JOURNEY 2025」における重点戦略
1.ブランド展開によるレジャーターゲット獲得強化
2.ビジネス需要の取り組み強化
3.バンケット機能の高度化と新たなる領域への進出
4.着実な新店開発の実施
5.競争力の源泉たる“人財”の確保・育成に向けた取り組み
6.さらなるDX推進による業務効率化と新しい顧客体験の創造
なお当社グループの報告セグメントは、ホテル事業の単一セグメントでありますが、サービス・出店戦略や、主要顧客・プロモーション等により事業部門を2つに分け、事業を運営しております。2つの異なるスタイルのホテル事業を有していること、双方の特性を融合することで幅広い事業展開を実現しております。
また、世界トップクラスのホテル軒数を有するチョイスホテルズインターナショナル社とのマスターフランチャイズ契約に基づき、中間料金帯のグローバルブランドとして日本全国展開に成功しており、今後も着実な新店開発とブランド価値向上を推進してまいります。
事業部門別の内容、出店戦略、施設及びサービス、主要顧客ならびにプロモーション戦略、地域別店舗数につきましては、「第一部企業情報 第1 企業の概況 3.事業の内容」をご覧ください。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、新たな中期経営計画「GREENS JOURNEY 2025」のもと、以下の経営指標の達成にむけ、重点戦略として「ブランド展開によるレジャーターゲット獲得強化」「ビジネス需要の取り組み強化」「バンケット機能の高度化と新たなる領域への進出」「着実な新店開発の実施」「競争力の源泉たる“人財”の確保・育成に向けた取り組み」「さらなるDX推進による業務効率化と新しい顧客体験の創造」への取り組みを開始しております。
経営指標 |
2025年6月期目標 |
売上高 |
372 億円 |
営業利益 |
33 億円 |
営業利益率 |
9.0 % |
経常利益 |
31 億円 |
親会社株主に帰属する |
30 億円 |
自己資本比率 |
40 %程度 |
D/Eレシオ |
1 倍程度 |
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは前出のとおり、2030年の未来を見据え、価値共創に向け定めた2つの指針に基づき、企業価値向上、株主価値最大化を目指し取り組んでおります。
しかしながら長期化する新型コロナウイルス感染症の影響により、当連結会計年度において売上高25,437百万円、営業損失2,157百万円、経常損失2,021百万円を計上しました。
またシンジケートローン12,600百万円の返済期日が2023年3月に到来する事から、借入金の返済等の資金繰りに懸念が生じており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。
当社グループは、当該状況を解消すべく、以下の通り対応を進めてまいります。
1.事業の進捗について
当連結会計年度(2021年7月1日から2022年6月30日まで)における我が国経済は、新型コロナウイルスの度重なる感染拡大や新たな変異株の流行等により先行き不透明な状況が続きました。しかしながら2022年3月22日をもって東京や愛知、大阪など18都道府県に適用されていたまん延防止等重点措置が全面解除され、また国際的な人の往来再開に向け水際措置も段階的な緩和が行われるなど、感染抑止策や医療提供体制は保ちつつも経済社会活動の本格的な再開へ、両立の動きが強まっております。
2022年7月29日に観光庁が公表している最新の宿泊旅行統計調査(2022年5月第2次速報、2022年6月第1次速報)によりますと、2022年5月の延べ宿泊者数は3,674万人泊(前年同月比+77.3%、2019年同月比△28.5%)、6月は3,451万人泊(前年同月比+73.4%、2019年同月比△24.7%)と、大きく前年は上回るものの、コロナ禍以前には至らない水準で推移しております。
このような事業状況の下で、当社運営ホテルにおける月次の客室稼働率および客室単価は、期中に感染拡大期を含みつつも前年同期の各月を上回る水準で推移し、2022年3月22日のまん延防止等重点措置の全面解除以降、月次の客室稼働率は2019年6月期に近い水準にて推移しております。また客室単価も回復基調で推移し、2021年12月度は6,245円と2020年3月以降で初めて6千円台まで回復し、2022年1月から2月にかけての感染拡大期においても6千円台を下回ることなく推移いたしました。コロナ禍以前インバウンド需要が強く、比較的単価の高かった大都市圏における客室単価は本格的な回復には至っていないものの、客室単価の回復や各種施策により足元の収支は大きく改善しております。
今後は、水際措置の更なる緩和や経済社会活動の本格的な再開状況に合わせた各種プランの提供、適切なレベニューマネジメントにより、さらなる収益拡大を進めてまいります。
2.構造改革について
「構造改革推進本部」において分科会「店舗運営」「営業本部・本社管理部門の効率化、スリム化」「事業モデルの見直し」「商品力強化・販売機会の創出」を設け、中長期的な目線で事業運営体制の効率化を目指した取り組みを進めた結果、当連結会計年度の費用削減目標額である1,331百万円を達成いたしました。特に当社において原価に占める割合の大きい「賃借料」については、「事業モデルの見直し」の一環として、長引くコロナ禍の影響下で運営を継続する現状を踏まえた交渉を行った結果、前連結会計年度を上回る額にて当連結会計年度目標を達成いたしました。また「人件費」については、新規開業による新たな人員の配置等により全体額としては大きな削減には繋がらないものの、引き続き採用募集費、福利厚生費等の一時的な節減に加え、「店舗運営」「営業本部・本社管理部門の効率化、スリム化」にて検討されたシフトの効率化などオペレーションの効率化や運営コストのスリム化に繋がる様々な施策を実行フェーズに移しており、稼働回復後も継続可能なローコストオペレーション体制の構築を段階的に進めております。「商品力強化・販売機会の創出」では、朝食の有料化を開始した店舗のモニタリングや追加施策の検討、また事業成長や収益に貢献するような施策について引き続き検討を進めており、需要回復段階に応じた市場ニーズの変化、収益性、実現性、話題性など様々な切り口からの議論、当社の業績動向、今後の事業方針等を踏まえ、具体化や投入時期等の検討を進めてまいります。
なお、各自治体からの要請に応じ一部の店舗について、新型コロナウイルス感染者のうち軽症者等の宿泊療養施設としてホテル建物の一棟貸しを行っており、当連結会計年度末時点において両事業合わせ11都道府県に対し実施しております。一棟貸し対象のホテルにおいては契約期間中、適切な価格設定により一定の売上高が確保されることから、業績回復の下支えとなっております。また感染拡大防止のために行う非接触型サービス導入に対する助成制度等を利用し、従前より利便性向上に向け段階的に進めておりましたセルフチェックイン・アウト機の既存店導入計画を大きく前倒しし、当連結会計年度において両事業合わせて11店舗に導入いたしました。
足元では経済社会活動の本格的な再開への動きが強まっており、水際措置の更なる緩和が予想されることから、ビジネス、レジャー需要ともにさらなる回復が進むと想定しております。金融機関とは良好な関係を維持できており、継続的な支援が受けられるものと考えておりますが、金融機関と締結した借入契約の一部については、契約上の返済期限が短期となっていることから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
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