当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大が企業活動や個人消費に大きな影響を与えました。
旅行業界におきましては、世界各国の渡航制限や入国規制等を受けて旅行需要の大幅な減退が続いており、2021年1月から12月における日本人出国者数が前年同期比83.9%減の51万人*、訪日外客数が前年同期比94.0%減の24万人*と、著しく減少しております。
このような情勢のもと、当社グループでは、個人旅行事業におきまして、国内ツアーの企画・販売の強化を目的に販売システムの開発を進め、国内旅行需要の獲得に向けた取り組みを推進いたしました。法人旅行事業におきましても、国内のMICE案件、音楽関連イベント等を中心に営業活動を行いました。
また、支店の統合による地代家賃の削減や、出向等による人件費の削減、開発外注費の精査、助成金の活用等によるコスト削減にも注力し、雇用調整助成金等の助成金収入174,005千円を営業外収益に計上しております。
一方で、収益性の低下がみられる固定資産の減損損失632,823千円を特別損失に計上いたしました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により、当連結会計年度の売上高は641,284千円、売上原価は641,802千円、販売費及び一般管理費は60千円それぞれ減少し、営業損失、経常損失及び税金等調整前当期純損失はそれぞれ578千円減少しております。
* 日本政府観光局(JNTO)「日本の観光統計データ」
以上を踏まえた、当連結会計年度の業績は次のとおりであります。
なおセグメントの業績については、当社グループは旅行業の単一セグメントであるため、記載を省略いたします。
財政状態については、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,347,031千円減少し、3,667,105千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ217,058千円減少し、4,689,007千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,129,973千円減少し、△1,021,901千円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、1,408,867千円と前連結会計年度末比2,051,640千円の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失1,971,241千円の計上に加え、助成金収入の計上174,005千円、利息及び保証料の支払額52,465千円等の減少要因がある一方、減価償却費の計上161,495千円、減損損失の計上632,823千円、助成金の受取額260,649千円、支払利息及び支払保証料の計上56,351千円等の増加要因から、922,178千円の支出となりました。
また、前連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失1,763,921千円の計上に加え、仕入債務の減少215,258千円、旅行前受金の減少785,814千円、預り金の減少1,005,088千円等の減少要因がある一方、減価償却費の計上139,261千円、旅行前払金の減少327,625千円、未収入金の減少332,964千円、貸倒引当金の増加298,525千円等の増加要因から、2,996,912千円の支出となりました。
以上の結果、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ支出が2,074,733千円減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出193,387千円、定期預金の預入による支出1,410,000千円、差入保証金の差入による支出53,893千円等の減少要因がある一方、定期預金の払戻による収入60,000千円、差入保証金の回収による収入16,751千円等の増加要因から、1,581,641千円の支出となりました。
また、前連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出166,767千円、差入保証金の差入による支出6,710千円、定期預金の預入による支出6,000千円等の減少要因がある一方、差入保証金の回収による収入28,976千円等の増加要因から、128,204千円の支出となりました。
以上の結果、当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ支出が1,453,436千円増加しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少400,000千円の減少要因がある一方、新株予約権の行使による株式の発行による収入812,580千円、非支配株主からの払込みによる収入31,500千円等の増加要因から、444,307千円の収入となりました。
また、前連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使による株式の発行による収入377,936千円、新株予約権の発行による収入2,829千円、短期借入金の増加3,000,000千円、長期借入れによる収入500,000千円等により、3,882,772千円の収入となりました。
以上の結果、当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ収入が3,438,464千円減少しました。
a. 生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、生産実績は該当がありません。
b. 受注実績
当社グループでは、受注から役務提供期間までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産、負債、収益及び費用の報告額に反映されております。これらの見積りについては、継続的に評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りとは異なることがあります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは次のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来加算一時差異の解消スケジュール及び将来の収益力に基づく課税所得の見積りにより、繰延税金資産の回収可能性を判断しております。課税所得の見積りは事業計画を基礎としており、事業計画における主要な仮定は、予想販売数量であります。
新型コロナウイルスの感染拡大の状況が当社グループの属する旅行業界に多大な影響を与えており、将来の課税所得の見積りの基礎となる事業計画に用いた主要な仮定に大きな変動リスクがあります。当連結会計年度末においては、上記の変動リスクを鑑みて、繰延税金資産に対して評価性引当額を計上しておりますが、来期以降において、変動リスクが減少し、主要な仮定の確実性が高まった場合には、評価性引当額が減少し、繰延税金資産が計上される可能性があります。
(貸倒引当金)
債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
将来、顧客の財務状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
(固定資産の減損会計における将来キャッシュ・フロー)
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定で用いている将来キャッシュ・フローは、事業環境等も踏まえて合理的に作成された事業計画をもとに、資産グループの現在の使用状況や使用計画等を考慮して見積りを行っておりますが、見積りには一定の不確実性が伴うことから、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※3 減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において、事業用資産における収益性の低下により、投資額の回収が困難と見込まれたため、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、632,823千円を減損損失として計上しております。なお、当該資産グループの回収可能価額は使用価値により算定しており、将来キャッシュ・フローに基づく価値がマイナスであるため、ゼロとして評価しております。
a. 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は3,266,472千円と、前連結会計年度末比812,392千円減少しました。これは主に、売掛金が前連結会計年度末比39,968千円、旅行前払金が前連結会計年度末比54,793千円増加した一方で、現金及び預金が前連結会計年度末比701,640千円、未収入金が前連結会計年度末比113,789千円、未収還付法人税等が前連結会計年度末比49,385千円、その他流動資産が前連結会計年度末比36,155千円減少したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は400,633千円と、前連結会計年度末比534,638千円減少しました。これは、投資その他の資産が前連結会計年度末比38,757千円増加した一方で、減損損失の計上により、無形固定資産が前連結会計年度末比431,515千円、有形固定資産が前連結会計年度末比141,880千円減少したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は4,096,481千円と、前連結会計年度末比250,295千円減少しました。これは主に、旅行前受金が前連結会計年度末比44,455千円、未払費用が前連結会計年度末比79,473千円、預り金が前連結会計年度末比25,018千円増加した一方で、短期借入金が前連結会計年度末比400,000千円減少したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は592,525千円と、前連結会計年度末比33,237千円増加しました。これは主に、資産除去債務が前連結会計年度末比36,650千円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は△1,021,901千円と、前連結会計年度末比1,129,973千円減少しました。これは主に、資本金が前連結会計年度末比407,393千円、資本剰余金が前連結会計年度末比407,393千円増加した一方で、利益剰余金が前連結会計年度末比1,972,700千円減少したことによるものです。
b. 経営成績の分析
(売上高)
売上高は、引続き新型コロナウイルス感染症の拡大による海外渡航制限や入国規制等を受けて海外ツアーの催行中止が続く中、個人旅行事業における国内ツアーの販売や、法人旅行事業における音楽関連イベントの受注等により、1,037,201千円(前連結会計年度比12.9%増)となりました。
(売上原価及び売上総利益)
売上原価は、825,420千円(前連結会計年度比8.9%増)となり、この結果、売上総利益は211,780千円(前連結会計年度比31.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業損益)
販売費及び一般管理費は、市場動向に合わせた広告宣伝費の見直しや支払手数料の削減を行ったことに加え、役員報酬の減額、賞与支給の停止、従業員の休業や出向による人件費の削減を行ったこと等により、 1,668,779千円(前連結会計年度比26.8%減)となりました。
これらの結果、営業損失は1,456,999千円(前連結会計年度は営業損失2,120,411千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常損益)
営業外収益は、主に雇用調整助成金及び緊急雇用安定助成金の受給による助成金収入を計上したことにより 191,364千円 ( 前連結会計年度比72.6%減 )となりました。前連結会計年度からの減少要因は、主に従業員の出向を行ったことによる雇用調整助成金の受給額の減少であります。
営業外費用は、主に支払利息、支払手数料、為替差損を計上したことにより、72,782千円(前連結会計年度比73.1%増)となりました。
これらの結果、経常損失は1,338,417千円(前連結会計年度は経常損失1,463,649千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
特別損失は、当社及び連結子会社の固定資産について減損損失を計上したことにより、 632,823千円 ( 前連結会計年度比110.7%増 )となりました。
法人税等は、10,200千円(前連結会計年度比79.3%減)となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,971,051千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失1,808,806千円)となりました。
(1株当たり当期純損益)
普通株式の期中平均株式数は、5,666,088株(前連結会計年度は4,815,199株)となり、1株当たり当期純損失は347.87円(前連結会計年度は1株当たり当期純損失375.65円)となりました。
なお、当社グループでは、事業規模拡大の観点から、売上高及び売上総利益の額とそれらの成長率を重要な経営指標と位置付け、事業の収益性と企業価値の向上の観点から、営業損益、経常損益及び1株当たり当期純損益の額とそれらの成長率についても重要な経営指標としておりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大による旅行需要の大幅な減退の影響を受け、当連結会計年度の経営指標は大きく悪化しております。
新型コロナウイルス感染症の影響の収束後は、優先的に対処すべき課題としても挙げているシステム強化、マーケティングの強化、トラベル・コンシェルジュ教育、商品企画力の向上、ブランド認知度の向上等に努め、売上高、売上総利益、営業損益、経常損益、1株当たり当期純損益の額を成長させてまいります。
c. キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの主な資金需要は、運転資金及び設備資金であります。運転資金の主な内容は、旅行商品の企画販売にかかる仕入のほか、人件費や広告宣伝費をはじめとした販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備資金の主な内容は、旅行事業に係るシステムの開発・改良をはじめとしたシステム投資であります。これらの資金は原則として営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、必要な場合には金融機関からの借入や増資による調達を実施することを基本方針としております。
2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて旅行需要は大幅に減退しており、足元の旅行予約も著しい減少が続いております。このような状況の中、必要運転資金を確保するため、資金調達の実施及び支出の抑制を行っております。当社は、2021年1月から2021年9月にかけて第三者割当増資を実施し、1,193,345千円の資金調達を行いましたが、今後も必要に応じて適宜、資金調達を実施してまいります。また、人件費や地代家賃等の固定費を圧縮し収益構造の改善に努めることにより、手元流動性の充実を図ります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループといたしましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のそれぞれの課題に適格かつ迅速に対処し事業を拡大していくことにより、当社グループのさらなる成長と発展を遂げてまいる所存です。
特に、現状のオンライン予約の利便性と「トラベル・コンシェルジュ」による旅行内容のカスタマイズとを組み合わせた「ハイブリッド戦略」を引続き継続し事業基盤を強化していくと共に、常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、また優秀な人材の確保、育成、離職の抑止などを推進していくことにより、経営成績に重要な影響を与える要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
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